ハーパーがアタックから逃げ切り勝利に繋げたフィネストレ峠で、大逆転劇から総合優勝を決めたサイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)。嬉し涙と共に語った言葉や、マリアローザを失ったデルトロなどコメントを紹介します。
ステージ優勝 クリス・ハーパー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)

32.5kmの独走を決め、ステージ優勝したクリス・ハーパー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) photo:CorVos
レース直後インタビュー
身体的にも、精神的にも厳しいジロだった。総合上位を狙うべく臨み、1週目は調子が良かった。だが2度目の休息日(4日目の移動日)で体調を崩し、2週目はコンディションの悪いなか走っていた。そのため総合争いから脱落し、その後は何とか調子を取り戻して、ステージ優勝を狙った。
―元チームメイトであるサイモン・イェーツが総合優勝を決めた。
正直、いま僕は自分の勝利に喜んでいるのか、彼のマリアローザ獲得に喜んでいるのか分からない(笑)。彼は本当に素晴らしい人間で、数シーズンを共にし、共にレースを走ったことを誇りに思っている。彼以上にジロの総合優勝がふさわしい選手はいないのではないだろうか。

見事な逃げ切り勝利を決めたクリス・ハーパー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) photo:CorVos
表彰式後のコメント
全く予想していなかった結果だ。昨日も逃げていたので、正直脚はあまり残っていなかった。それに今日は総合勢の激しい争いになり、どのみち逃げは決まらないだろうと思っていた。大きな逃げ集団を抜け出し、とにかく賢く立ち回ろうと思った。最後は自分の100%を出し、何とか持ちこたえられるよう願っていた。
(フィネストレで勝てたことは)とても大きな意味がある。有名な登り勝つことができて誇りに思うし、本当に嬉しい。2度目の休息日に体調を崩し、抗生物質を飲み、その後は回復に努めた。そして終盤の山岳ステージで逃げに乗り、結果を出すことに集中していた。
ステージ3位&マリアローザ サイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)

未舗装路区間に入っても、ハイペースで踏み続けるサイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos
今大会のコースが発表されてから、ここで何か仕掛けたいと考え続けていた。あの時(7年前)の物語を終わらせるという意味でもね。正直、いまは言葉がない。
レースを通して調子は良く、今大会で自分の実力を発揮できる機会がなかった。そして今日、そのチャンスを見つけ、リチャル(カラパス)とイサーク(デルトロ)から飛び出し、この脚があれば速いペースで踏み続けられると思った。

7年越しにマリアローザを獲得したサイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) photo:RCS Sport
―そして前でワウト・ファンアールトが待っていた。
チーム全体として素晴らしい走りを見せてくれたので、彼(ファンアールト)はケーキの上の苺みたいなものだった。レースを通してチームが、そしてあの谷で彼がいてくれなければ、総合逆転は不可能だった。今朝はリラックスしていたように見えたかもしれないが、ここで本当に自分は何かできるのかと疑っていた。そんな中、チームメイトが僕を勇気づけ、信じてくれた。感謝している。
正直、マリアローザを着てローマを走ることができるなんて信じられない。この感情を表す言葉を探しているが、見つからないよ。
総合2位&マリアビアンカ(ヤングライダー賞) イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)

フィネストレ峠でアタックしたサイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos
総合2位という順位にとても満足している。この結果を真摯に受け止めたい。多くの人が僕がこのレベルで戦えることに驚いているだろう。でもチームは時間の問題だと思ってくれた。まだ時間が必要であることが分かった。
ジロ3週目で自分が総合を争うことのできる選手であることを証明した。これ以上誇りに思い、幸せなことはない。もちろん最後の日にマリアローザを失うことは悲しいが、チームとして見せた走りに満足している。思い通りにならないのが自転車ロードレースだし、だからこそ愛すべきスポーツなんだ。

フィニッシュ後、涙を流しながらも笑顔を見せたイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos
フィネストレの序盤から10分間ほど、カラパスはクレイジーなほど積極的にアタックを繰り返した。1時間に及ぶ登りなので、下手にアタックに反応したくはなかった。そしてサイモンが追いつき、総合3位である彼のアタックには2位のカラパスがついていくはずだった。しかし、彼はそれに反応せず、僕を引き離すことに集中した。
さすがに(フィネストレの)終盤は共に協力してサイモンを追いかけた。彼は登りで引き、僕は下りのペースを作った。しかしある地点からカラパスが協力を拒んだ。だからチームメイトの合流を待ち、そこからはベストを尽くしたのだが、タイムを取り戻すことはできなかった。
総合3位 リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)

何度もアタックを仕掛けるカラパスに食らいつくイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) photo:RCS Sport
彼(イェーツ)は最も強かったというよりも、賢かった選手だと言える。一方、彼(デルトロ)は最終的にマリアローザを得ることができず、賢く立ち回ることができなかった。
終盤にイェーツを牽引したワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)

この日も逃げに乗ったワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos
本当に素晴らしい結果だ。こんな結果になるなんて、今朝は予想していなかった。あれだけ距離を残すなか、勇気を持って仕掛けたサイモンは素晴らしい。僕は全力で結果を追い求める選手が好きなので、彼には最大の賛辞を送りたい。
逃げに乗り、大きなリードを得たので僕自身のステージ優勝は難しいと思った。だからチームプレイすることに切り替えた。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, RCS Sport
ステージ優勝 クリス・ハーパー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)

レース直後インタビュー
身体的にも、精神的にも厳しいジロだった。総合上位を狙うべく臨み、1週目は調子が良かった。だが2度目の休息日(4日目の移動日)で体調を崩し、2週目はコンディションの悪いなか走っていた。そのため総合争いから脱落し、その後は何とか調子を取り戻して、ステージ優勝を狙った。
―元チームメイトであるサイモン・イェーツが総合優勝を決めた。
正直、いま僕は自分の勝利に喜んでいるのか、彼のマリアローザ獲得に喜んでいるのか分からない(笑)。彼は本当に素晴らしい人間で、数シーズンを共にし、共にレースを走ったことを誇りに思っている。彼以上にジロの総合優勝がふさわしい選手はいないのではないだろうか。

表彰式後のコメント
全く予想していなかった結果だ。昨日も逃げていたので、正直脚はあまり残っていなかった。それに今日は総合勢の激しい争いになり、どのみち逃げは決まらないだろうと思っていた。大きな逃げ集団を抜け出し、とにかく賢く立ち回ろうと思った。最後は自分の100%を出し、何とか持ちこたえられるよう願っていた。
(フィネストレで勝てたことは)とても大きな意味がある。有名な登り勝つことができて誇りに思うし、本当に嬉しい。2度目の休息日に体調を崩し、抗生物質を飲み、その後は回復に努めた。そして終盤の山岳ステージで逃げに乗り、結果を出すことに集中していた。
ステージ3位&マリアローザ サイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)

今大会のコースが発表されてから、ここで何か仕掛けたいと考え続けていた。あの時(7年前)の物語を終わらせるという意味でもね。正直、いまは言葉がない。
レースを通して調子は良く、今大会で自分の実力を発揮できる機会がなかった。そして今日、そのチャンスを見つけ、リチャル(カラパス)とイサーク(デルトロ)から飛び出し、この脚があれば速いペースで踏み続けられると思った。

―そして前でワウト・ファンアールトが待っていた。
チーム全体として素晴らしい走りを見せてくれたので、彼(ファンアールト)はケーキの上の苺みたいなものだった。レースを通してチームが、そしてあの谷で彼がいてくれなければ、総合逆転は不可能だった。今朝はリラックスしていたように見えたかもしれないが、ここで本当に自分は何かできるのかと疑っていた。そんな中、チームメイトが僕を勇気づけ、信じてくれた。感謝している。
正直、マリアローザを着てローマを走ることができるなんて信じられない。この感情を表す言葉を探しているが、見つからないよ。
総合2位&マリアビアンカ(ヤングライダー賞) イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)

総合2位という順位にとても満足している。この結果を真摯に受け止めたい。多くの人が僕がこのレベルで戦えることに驚いているだろう。でもチームは時間の問題だと思ってくれた。まだ時間が必要であることが分かった。
ジロ3週目で自分が総合を争うことのできる選手であることを証明した。これ以上誇りに思い、幸せなことはない。もちろん最後の日にマリアローザを失うことは悲しいが、チームとして見せた走りに満足している。思い通りにならないのが自転車ロードレースだし、だからこそ愛すべきスポーツなんだ。

フィネストレの序盤から10分間ほど、カラパスはクレイジーなほど積極的にアタックを繰り返した。1時間に及ぶ登りなので、下手にアタックに反応したくはなかった。そしてサイモンが追いつき、総合3位である彼のアタックには2位のカラパスがついていくはずだった。しかし、彼はそれに反応せず、僕を引き離すことに集中した。
さすがに(フィネストレの)終盤は共に協力してサイモンを追いかけた。彼は登りで引き、僕は下りのペースを作った。しかしある地点からカラパスが協力を拒んだ。だからチームメイトの合流を待ち、そこからはベストを尽くしたのだが、タイムを取り戻すことはできなかった。
総合3位 リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)

彼(イェーツ)は最も強かったというよりも、賢かった選手だと言える。一方、彼(デルトロ)は最終的にマリアローザを得ることができず、賢く立ち回ることができなかった。
終盤にイェーツを牽引したワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)

本当に素晴らしい結果だ。こんな結果になるなんて、今朝は予想していなかった。あれだけ距離を残すなか、勇気を持って仕掛けたサイモンは素晴らしい。僕は全力で結果を追い求める選手が好きなので、彼には最大の賛辞を送りたい。
逃げに乗り、大きなリードを得たので僕自身のステージ優勝は難しいと思った。だからチームプレイすることに切り替えた。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, RCS Sport
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