兵庫県たつの市で開催された第38回マウンテンバイク全日本選手権day2はXCO各カテゴリーレース開催。注目の男子エリートは沢田時(宇都宮ブリッツェン)が昨年に次ぐ連覇で、昨日のXCCとあわせて完全勝利を飾った。U23は副島達海(TRKWorks)がアンダー初年度からの4連覇、ジュニアを含めると5年連続優勝となった。

沢田時(宇都宮ブリッツェン)がライバル北林力(Massi Development Team)に挨拶 photo:Makoto AYANO
昨日に続き好天となった菖蒲谷森林公園。気温は33°まで上がり夏日となるなか、男子エリートは11:45にスタート。マスターズレース等では省かれたロックセクションや立体交差もエリート男子ではフルに使用され、難易度のさらに高いコースとなった。

男子エリートのスタート photo:Makoto AYANO
コース長は1周3.5km、最高地点:465m、最低地点:374mの標高差91mで、男子エリートはスタートループ2.1km+3.5km×6周=23.1kmで争われた。出走は79名。

スタートラップをリードする平林安里(TEAM SCOTT TERRA SYSTEM) photo:Makoto AYANO 
沢田時(宇都宮ブリッツェン)と北林力(Massi Development Team)が続く photo:Makoto AYANO
スタートで先行したのは下りテクニックに秀でた平林安里(TEAM SCOTT TERRA SYSTEM)。ジェットコースターの下りで大きな差をもって先行するが、沢田時(宇都宮ブリッツェン)と北林力(Massi Development Team)が続き、1周目を終える頃には捉え、3人がやや抜け出した形に。

北林力(Massi Development Team)が沢田時(宇都宮ブリッツェン)の前に出る photo:Makoto AYANO
しかしその後、平林が脱落し、沢田と北林の2人パックとなる。登りのスピードがある沢田、下りが得意な北林が、お互いの得意セクションで抜きつ抜かれつのランデブーに。しかし徐々に沢田の優勢が濃くなり、タイム差が広がり始める。
レース中盤をすぎると足切りによって選手が減り、ラスト2周ではコース上に残るのは8人のみになった。

ロックセクションを行く沢田時(宇都宮ブリッツェン) photo:Makoto AYANO

沢田時(宇都宮ブリッツェン)に北林力(Massi Development Team)が迫る photo:Makoto AYANO
いったん北林が沢田のすぐ背後まで詰め寄ることがあったが、沢田が登りでスパートすると再びその差が開き、51秒差をもって最終周回へと入った。沢田はそのまま逃げ切り、1分以上の差を持ってフィニッシュ。昨年に続く連覇と、通算3回目のXCO制覇、そして昨日のXCCと併せての今年のMTB全日本選手権の完全優勝となった。

男子エリートで連覇&XCCとの完全優勝の沢田時(宇都宮ブリッツェン) photo:Makoto AYANO

男子エリート優勝 沢田時(宇都宮ブリッツェン)、2位北林力(Massi Development Team)、3位竹内 遼(MERIDA BIKING TEAM) photo:Makoto AYANO
優勝の沢田時(宇都宮ブリッツェン)
「久しぶりにリキとバチバチの勝負ができて、走っている時は楽しくはなかったんですが(笑)、振り返るとすごくいい勝負ができた。会場のみなさんに応援していただき、いいレースが出来たと思う。個人的にはこのコースには得意意識が無くて、下りで苦労した。しかし自分の得意なところだけで勝負しようと思って冷静に走ることができた。まだまだ伸びしろもあるな、と感じながら日本一になることができた。これからも成長できるように頑張りたいと思います。一度少し休んで、秋からのシーズン再始動に備えたいと思います」。

暑さに苦しんだ北林力(Massi Development Team) photo:Makoto AYANO
2位の北林力(Massi Development Team)
「暑さに弱い自分の欠点が出ました。一周目は自分らしく走れたけれど、頭が熱いと思った瞬間から眠くなり、力が入らなくなったり。それでも時さんに追いつき、粘って、今できる限りの走りはできたと思います。たとえ暑さに弱くてそんな状態になったとしても、余裕を持って勝てるぐらいの力をつけないとダメですね。この(暑い)時期に全日本があるのは自分にとって不利です。時さんがアジア選手権に勝ったときはすごく暑いときで、僕がアジア選に勝ったのは秋の開催でした。それくらい苦手なんです。でもそれは言い訳にしません。いつでも勝てる力が必要ですね」。

立体交差を行く竹内遼(MERIDA BIKING TEAM) photo:Makoto AYANO
3位の竹内遼(MERIDA BIKING TEAM)
「全日本だからもちろん勝つためにここにやってきたんですが、タイム差を見れば時さんとリキ君とは大きな差があるという結果でした。実は5、6月に不調に悩み、一時は自転車選手を辞めることをチームマネジャーに話したぐらいなんです。体調不良からのメンタル不調、負のスパイラルに陥いっていました。しかしそれでもチームや支えてくれる人たちが居てくれたおかげで、また自分に自信を持って今日を走れる状態まで戻せたことは幸運だった。勝とうという気持ちがあって、支えてくれる人たちが居る限りは、また全日本に挑戦したいと思います。来年も!」。
男子U23は副島達海が4連覇 ジュニア入れて全日本5連勝を達成

エリートでも通用する高橋翔 (SPEED of sound)と副島達海(TRKWorks)が2強だ photo:Makoto AYANO
男子U23はエリートクラスでも通用する実力を持った副島達海(TRKWorks)と高橋翔 (SPEED of sound)の2人の闘いに。

XCO男子U23のスタート photo:Makoto AYANO

キングこと三浦恭資さんとチームNIPPOの大門宏さんが若手選手の見極めに来ていた photo:Makoto AYANO 
副島達海(TRKWorks)がスタートからリード photo:Makoto AYANO

スタートラップを先行する高橋翔 (SPEED of sound) photo:Makoto AYANO
スタートダッシュを決めたのは高橋。1周目を先行するが、2周目に副島が前に出ると、徐々に引き離しにかかる。パワフルなペダリングで差を広げ、最終的なタイム差は1:36にまで広がった。副島達海の勝利はU23初年度から、最終年に当たる今回の4連覇を達成。ジュニアでの勝利を含めると5年連続優勝となった。

高橋翔との差を広げる副島達海(TRK Works) photo:Makoto AYANO

フォトジェニックなポーズを決めてフィニッシュする副島達海(TRKWorks) photo:Makoto AYANO
優勝の副島達海(TRK Works)
「今までこんなに緊張したことがないくらい緊張していて...。全日本は毎年なんですけど、今年は更新している感じで。でもそれで周りを見すぎてしまうわけでなく、自分に向き合って、しっかり練習できたかなと思います。体調も上がったり下がったりで、根拠無いままに追い込んで練習してしまったんですが、自分が強くなっている確信をもって今日に臨めました。来年からエリートなので、明日からはエリートで勝つための練習をしていきたいと思います。初の関西での開催ということで、関西人の自分としては嬉しい全日本でした」。

男子U23 優勝副島達海(TRKWorks)、2位高橋翔 (SPEED of sound)、3位古江昂太(FUKAYA RACING) photo:Makoto AYANO
2位の高橋翔 (SPEED of sound)
「キツかったです。スタートも悪くなく、調子も良かったんですが、完全に力負けですね。言い訳は無いです」。
男子ジュニアは野嵜然新(RACING TORQUE)が連覇

XCO男子ジュニアのスタート photo:Makoto AYANO
優勝候補は2024年のXCC&XCO完全優勝の野嵜然新(RACING TORQUE)。野崎は昨日にXCCを落としているものの、下馬評通り序盤から他を寄せ付けない走りでトップを走り続けた。フィニッシュでは電話ガチャ切りとバイクのロゴを掃除して見せるポーズを演じる余裕も見せた。

XCO男子ジュニアをリードする野嵜然新(RACING TORQUE) photo:Makoto AYANO
優勝の野嵜然新(RACING TORQUE)
「今年は正直、MTBの準備ができていなかったんです。昨日のXCCの負けは自分でも予想外で、キツかった。でもこのXCOだけは落とすわけにいかないので、意地で走りました。勝てて良かった。この後はインターハイに出て、来月からはヨーロッパに渡りロードとMTBの活動をする予定です。8月の1ヶ月、香港のチームに所属してスペインのUCIレースなどを走ります。MTB世界選手権での20位以内という目標に向けてやっていきたいと思っています」。

男子ジュニアを制した野嵜然新(RACING TORQUE) photo:Makoto AYANO

ジュニア優勝の野嵜然新(RACING TORQUE)とU23優勝の副島達海(TRKWorks) photo:Makoto AYANO

昨日に続き好天となった菖蒲谷森林公園。気温は33°まで上がり夏日となるなか、男子エリートは11:45にスタート。マスターズレース等では省かれたロックセクションや立体交差もエリート男子ではフルに使用され、難易度のさらに高いコースとなった。

コース長は1周3.5km、最高地点:465m、最低地点:374mの標高差91mで、男子エリートはスタートループ2.1km+3.5km×6周=23.1kmで争われた。出走は79名。


スタートで先行したのは下りテクニックに秀でた平林安里(TEAM SCOTT TERRA SYSTEM)。ジェットコースターの下りで大きな差をもって先行するが、沢田時(宇都宮ブリッツェン)と北林力(Massi Development Team)が続き、1周目を終える頃には捉え、3人がやや抜け出した形に。

しかしその後、平林が脱落し、沢田と北林の2人パックとなる。登りのスピードがある沢田、下りが得意な北林が、お互いの得意セクションで抜きつ抜かれつのランデブーに。しかし徐々に沢田の優勢が濃くなり、タイム差が広がり始める。
レース中盤をすぎると足切りによって選手が減り、ラスト2周ではコース上に残るのは8人のみになった。


いったん北林が沢田のすぐ背後まで詰め寄ることがあったが、沢田が登りでスパートすると再びその差が開き、51秒差をもって最終周回へと入った。沢田はそのまま逃げ切り、1分以上の差を持ってフィニッシュ。昨年に続く連覇と、通算3回目のXCO制覇、そして昨日のXCCと併せての今年のMTB全日本選手権の完全優勝となった。


優勝の沢田時(宇都宮ブリッツェン)
「久しぶりにリキとバチバチの勝負ができて、走っている時は楽しくはなかったんですが(笑)、振り返るとすごくいい勝負ができた。会場のみなさんに応援していただき、いいレースが出来たと思う。個人的にはこのコースには得意意識が無くて、下りで苦労した。しかし自分の得意なところだけで勝負しようと思って冷静に走ることができた。まだまだ伸びしろもあるな、と感じながら日本一になることができた。これからも成長できるように頑張りたいと思います。一度少し休んで、秋からのシーズン再始動に備えたいと思います」。

2位の北林力(Massi Development Team)
「暑さに弱い自分の欠点が出ました。一周目は自分らしく走れたけれど、頭が熱いと思った瞬間から眠くなり、力が入らなくなったり。それでも時さんに追いつき、粘って、今できる限りの走りはできたと思います。たとえ暑さに弱くてそんな状態になったとしても、余裕を持って勝てるぐらいの力をつけないとダメですね。この(暑い)時期に全日本があるのは自分にとって不利です。時さんがアジア選手権に勝ったときはすごく暑いときで、僕がアジア選に勝ったのは秋の開催でした。それくらい苦手なんです。でもそれは言い訳にしません。いつでも勝てる力が必要ですね」。

3位の竹内遼(MERIDA BIKING TEAM)
「全日本だからもちろん勝つためにここにやってきたんですが、タイム差を見れば時さんとリキ君とは大きな差があるという結果でした。実は5、6月に不調に悩み、一時は自転車選手を辞めることをチームマネジャーに話したぐらいなんです。体調不良からのメンタル不調、負のスパイラルに陥いっていました。しかしそれでもチームや支えてくれる人たちが居てくれたおかげで、また自分に自信を持って今日を走れる状態まで戻せたことは幸運だった。勝とうという気持ちがあって、支えてくれる人たちが居る限りは、また全日本に挑戦したいと思います。来年も!」。
男子U23は副島達海が4連覇 ジュニア入れて全日本5連勝を達成

男子U23はエリートクラスでも通用する実力を持った副島達海(TRKWorks)と高橋翔 (SPEED of sound)の2人の闘いに。




スタートダッシュを決めたのは高橋。1周目を先行するが、2周目に副島が前に出ると、徐々に引き離しにかかる。パワフルなペダリングで差を広げ、最終的なタイム差は1:36にまで広がった。副島達海の勝利はU23初年度から、最終年に当たる今回の4連覇を達成。ジュニアでの勝利を含めると5年連続優勝となった。


優勝の副島達海(TRK Works)
「今までこんなに緊張したことがないくらい緊張していて...。全日本は毎年なんですけど、今年は更新している感じで。でもそれで周りを見すぎてしまうわけでなく、自分に向き合って、しっかり練習できたかなと思います。体調も上がったり下がったりで、根拠無いままに追い込んで練習してしまったんですが、自分が強くなっている確信をもって今日に臨めました。来年からエリートなので、明日からはエリートで勝つための練習をしていきたいと思います。初の関西での開催ということで、関西人の自分としては嬉しい全日本でした」。

2位の高橋翔 (SPEED of sound)
「キツかったです。スタートも悪くなく、調子も良かったんですが、完全に力負けですね。言い訳は無いです」。
男子ジュニアは野嵜然新(RACING TORQUE)が連覇

優勝候補は2024年のXCC&XCO完全優勝の野嵜然新(RACING TORQUE)。野崎は昨日にXCCを落としているものの、下馬評通り序盤から他を寄せ付けない走りでトップを走り続けた。フィニッシュでは電話ガチャ切りとバイクのロゴを掃除して見せるポーズを演じる余裕も見せた。

優勝の野嵜然新(RACING TORQUE)
「今年は正直、MTBの準備ができていなかったんです。昨日のXCCの負けは自分でも予想外で、キツかった。でもこのXCOだけは落とすわけにいかないので、意地で走りました。勝てて良かった。この後はインターハイに出て、来月からはヨーロッパに渡りロードとMTBの活動をする予定です。8月の1ヶ月、香港のチームに所属してスペインのUCIレースなどを走ります。MTB世界選手権での20位以内という目標に向けてやっていきたいと思っています」。


MTB全日本選手権2025XCO リザルト
男子エリート | ||
1位 | 沢田時(宇都宮ブリッツェン) | 1:26:45.94 |
2位 | 北林力(Massi Development Team) | +1:07.12 |
3位 | 竹内遼(MERIDA BIKING TEAM) | +6:27.61 |
男子U23 | ||
1位 | 副島達海(TRKWorks) | 1:14:03.09 |
2位 | 高橋翔 (SPEED of sound) | +1:36.15 |
3位 | 古江昂太(FUKAYA RACING) | +7:35.53 |
男子ジュニア | ||
1位 | 野嵜然新(RACING TORQUE) | 1:02:36.14 |
2位 | 松山海司(Sonic Racing) | +46.89 |
3位 | 中仙道侑毅(FUKAYA RACING) | +3:06.30 |
※男子ユースはday1に開催
text&photo:Makoto AYANO
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