劇的な逃げ切り決着となったジロ15日目。勝者フレドリク・ドゥヴァーシュネスは「スプリントステージでプロトンを騙してやるつもりだった」と語った。惜しくも敗れたマエストリや、逃げを許したマニエらの言葉で、予想外のレースを振り返る。



ステージ優勝 フレドリク・ドゥヴァーシュネス(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)

金星を挙げたフレドリク・ドゥヴァーシュネス(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) photo:CorVos

レース直後インタビュー

ともに逃げたイタリア人の3名はとても協力的だった。それにポルティ・ヴィジットマルタの2名は本当に強かった。逃げに乗るのは得意なので、勝利のチャンスだと思っていた。勝利を意識したのは残り5km地点ぐらい。終盤になっても2分差があったから、次第に勝利を信じ始めた。だけど重要なのは何をするかで、その結果何が起きるかまでは考えないようにすることだ。

今大会でチームには冗談で「スプリントステージでプロトンを騙してやる」と言っており、それを実現できた。本当に素晴らしいよ。(チームとして初出場のジロでの初勝利は)価値の大きな勝利だ。

表彰式で雄叫びを挙げたフレドリク・ドゥヴァーシュネス(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) photo:CorVos

表彰式後インタビュー

初めて出場したグランツールで勝つことができた。ただただ素晴らしい。勝因は逃げ集団による良い協力体制の構築と、ハイスピードでレースが進行したことだね。風と平坦路によって速いレースとなるのはわかっていた。ラスト10kmはプロトンとのタイム差を把握できず、後ろを振り返って確認していた。だけどその姿が見えなかったから、逃げ切ることに集中した。

スプリントには自信があり、ラスト500mで誰も虚を突くスプリントを仕掛けなかった。だから自分のタイミングで踏み込んだ。ジロでの逃げ切り勝利は1年も前から意識していたが、具体的にはナポリやミラノ、ローマなど大都市でのステージで逃げ切りを狙うつもりだった。

─マキシミリアン・ヴァルシャイドが逃げ切れたのは「モーターバイクのせいだ」と訴えていた。

今日、コース上にいたモーターバイクは僕と、一緒に逃げた選手たちだけだよ(笑)。

ステージ2位 ミルコ・マエストリ(イタリア、ポルティ・ヴィジットマルタ)

ポルティ・ヴィジットマルタが2名を入れた逃げ集団 photo:CorVos

通常ならば、このようなステージで逃げはプロトンに捕まるものだ。だが素晴らしいチームメイトのアシストと、逃げに乗った2名の強力な仲間のおかげで、牽制をすることなく予想外の結果をもたらした。もう少し早くスプリントを開始できたかもしれないが、今日は単純に最も強い選手が勝った。マッティア(バイス)があれほどアシストしてくれたのにもかかわらず、勝利に届かなかったのは悔しい。これまで何度もあと一歩のところまで迫ってきたことを思えばなおさらだ。

それでも僕らは決して挑戦を諦めない。蜂は飛べないはずだと言われる。それでも空を飛ぶ。僕らも蜂であり続ける。

ステージ3位 マルティン・マルチェルージ(イタリア、バルディアーニCSF・7サベール)

プロトンを振り切り、真っ先にスプリントを開始したフレドリク・ドゥヴァーシュネス(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) photo:CorVos

そこまで落ち込んではいない。ミルコ(マエストリ)とドゥヴァーシュネスの方がスプリントが速く、終盤の脚も回っていたように見えたからね。僕らは見事な走りを見せた。あのペースをフィニッシュまで保てるとは思わなかった。だから3位はモチベーションに繋がる結果だ。

ステージ5位&マリアチクラミーノ(ポイント賞) ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)

集団を長い時間牽引したのにもかかわらず、勝利争いに加われなかったのは少し残念だ。ステージ全体を通してハイスピードな展開で、プロトンではチームメイトが全てを出し尽くしてくれた。ただ、最後の周回コースは本当にテクニカルで、逃げ集団に少し有利だった。

ラスト20kmをあれほど速く走っていたにもかかわらず、なぜ集団が逃げを捕まえられなかったのか、何が起きたのかをいま説明するのは難しい。明るい材料としては、再びマリアチクラミーノを手にしたこと。これを守るために戦っていく。

ステージ6位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユニベット・ローズ・ロケッツ)

ジロ初勝利に向け、プロトンの牽引を担当したユニベット・ローズ・ロケッツ photo:RCS Sport

懸命に集団を牽引したが届かなかった。だけど僕らはチーム全員をプロトン前方に並べ、全力を尽くした。それはリドル・トレックやスーダル・クイックステップも同じこと。だけど逃げ集団が強すぎた。それに暑さや市街地の周回コースが追走を難しくした。市街地の周回コースには多くの観客が詰めかけ、美しかった。個人的に危険と感じる箇所はなかった。

マリアローザ ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)

コミッセールと交渉したヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

チームカーよりもコミッセール(審判員)の乗る車と並走した時間の方が長かったんじゃないかな(笑)。ミラノの市街地コースは安全性が十分ではないと感じた。そうプロトンで話し合い、それをコミッセールに伝えた。僕らの声を聞き入れてくれ、彼らの判断に感謝したい。路面には多くの穴が空いており、線路もあった。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, RCS Sport