カワシマサイクルサプライの展示会を訪れ、エリートのボトルやケージ、スマートフレームをはじめ、カンパニョーロのレコード、フィジークのシューズ、ピレリのタイヤなどを見て回った。本国担当者やアンバサダーのコメントとともに紹介しよう。



エリート:試作のエアロボトルやローラー付きケージが登場

1つ1つ丁寧に製品を紹介してくれたエリートの本国スタッフ

40年以上の歴史を持つエリート。インドアトレーナーと、ボトルやケージといったハイドレーション製品を二本柱に展開している。ブースで海外担当者に強みを尋ねると、「私たちは40年以上自転車ビジネスに携わっていて、ブランドは世界中でよく知られている」という答えが返ってきた。

テーブルの上でまず目を引いたのは、3Dプリンターで出力された試作段階のエアロボトル関連パーツだ。重量や質感は量産品とは異なるが、形状はほぼ固まっているという。ダウンチューブとシートチューブにそれぞれ専用のパーツを介して取り付ける構成で、フレームへの収まりを高めるのが狙いになる。

試作段階のエアロボトルまわり。ダウンチューブ用とシート用のエラストマー、ケージ、専用ボトルが並ぶ

担当者が説明してくれたところでは、ケージ側にはボトルを受け止めるくぼみと、ボトルが抜け出さないための返しが設けられている。この位置は全モデルで共通で、カチッとはまる感触を大切にした設計だという。本国担当者によれば、スクリューキャップとプッシュプルバルブを備えたユニバーサルなエアロボトルと専用ケージ、フレーム形状に合わせた取り付けパーツを組み合わせ、主要なフレームの形に対応させる考え方だ。しかもこのケージには、エアロボトルだけでなくフライボトルのような丸型ボトルも問題なく収まる。エアロボトルを忘れた日でも、手持ちのボトルで走り出せるわけだ。

ボトルでは、蓋付きのFLY TEXの流れをくむ新型の話も伺った。指一本で蓋を開けられるのが特徴で、この蓋がシリコン製で柔らかい。担当者が指摘していたのは、従来の全面を覆うタイプの蓋は、飲むときに完全には開ききらず、顔の近くに蓋が来て邪魔になりがちだという点だ。シリコンなら飲む際に当たっても痛くなく、走行中の汚れからバルブを守るカバーを一体化したものだと説明していた。

柔らかなキャップが備えられるFLYが登場する

ボトルが触れる部分にローラーを備えた新作も登場する

ホールド性を確保したカーボンモデルのVico X

実物を手にして印象的だったのは、新しいケージの「Rolle」だ。ガラス繊維素材のケージの内側に3つのローラーを備え、ボトルの出し入れをローラーが受け持つ。狙いはアルミやステンレス製ボトルを使うときの傷とカタつきの抑制で、ボトルを入れて走ると鳴りがちなあの音を避けられる。構造は極めてシンプルだが、カタログや写真では伝わりにくい出し入れの滑らかさが違う、と担当者は話す。軽く見えるのに、ステンレスボトルの傷が気になる人には頼りになりそうな一本に映った。バイクパッキングやグラベルライドでメタルボトルを選ぶ人が増えているだけに、時宜を得た提案だ。

カーボンケージの新型「Vico X」も並んでいた。従来モデルが25gだったのに対して18gと軽く、ボトルを抜き差ししやすい大きな開口を持つ「Leggero」とは性格が異なる。Vico Xはホールド力を高めた設計で、グラベルのようにボトルが跳ねやすい場面でも保持してくれる。担当者によれば、シートチューブ側にLeggero、ダウンチューブ側にVico Xという使い分けをする選手も多いそうだ。抜き差しのしやすさを優先したい場所と、保持力を優先したい場所とで、役割を分けているわけだ。ウイング部分は従来の形状を踏襲しつつ肉抜きを施し、さらに軽量化を図っているという。

UAEらプロチームにボトルを供給しているエリート
ラベンダーカラーなどの新色も登場予定だ



定番のフライボトルについては、本国担当者はボトルとしては「世界で最も軽く、柔らかいことが特徴でほんの少し握るだけで十分な水分が出る」と説明する。ボトル本体にとどまらず、キャップ、蓋、プッシュプルバルブまで分解して洗える構造も売りだ。粉末のドリンクやサプリメントを入れると汚れが蓋の内側に溜まりがちで、他社の製品では分解して徹底的に洗うのが難しいのだという。

インドアトレーナー「Rivo」は人気の一台だ

インドアトレーナーは、レンジの広さが際立っていた。初めてインドアサイクリングに取り組む人向けには、セットアップが簡単な「Rivo」が用意されている。18%の勾配を再現でき、パワー精度は2.5%。上位の「Avanti」を挟み、トップモデルの「Justo 2」では24%までの勾配再現と誤差1%未満のパワー精度を実現している。内部に実際のパワーメーターを備えるからだという。

なかでも新しいコンセプトとして紹介されたのが、スマートフレーム「Square」だ。自分のバイクをトレーナーに載せるのではなく、専用のフレームにトレーナーを組み合わせる方式を採る。サドルの高さと前後位置、ハンドルの高さ、フレームの長さ、クランクの長さを体格に合わせて調整でき、複数人で同じフレームを共有することもできる。駆動にはベルトを採用し、チェーンよりも静かで注油の必要もない。海外担当者は床がいつもきれいなままでいられるという。

スマートフレーム「Square」。専用フレームにトレーナーを組み合わせる方式で、クランクやフレームの調整ができる

フレームとトレーナーを別売りにしたモジュール式のため、将来新しい機能を備えたトレーナーが登場しても、フレームはそのままに本体だけを入れ替えられる。さらにライザーを組み合わせると、20%の登りと10%の下りを再現でき、ハンドルを切る動きや左右に少し動く第三の動きも加わる。左右の動きは肩や背中に優しく、実走に近い感覚をもたらすという。

トレーナーについては、国内でのアフターサービスの話も印象に残った。メーカー保証が従来の2年から4年に延びたこと、そして故障の際は国内の修理拠点で基板の書き換えやグリスアップまで対応することだ。本国に送り返す方式と違って、手元に戻るまでが早い。インドアトレーナーは調子を崩したときの扱いが気になる製品だけに、頼もしい話だった。

海外担当者は日本市場の印象も語ってくれた。「日本の消費者や販売店はとても技術に明るく、外観のデザインだけでなく、製品のあらゆる部分を見ている。展示会でも細かな質問を数多くもらった」。ブースで担当者と交わした細かなやり取りを思い出すと、その言葉にも頷ける。

カンパニョーロ:ワイヤレス変速となったRecord

ピナレロに組み付けられた「Record」のクランクセット

今年のカンパニョーロで中心に据えられていたのは、コンポーネンツの「Record」だ。ワイヤレスの電動変速で、スーパーレコードと並ぶ上位グレードに位置づけられる。担当者によれば、スーパーレコードとの違いは基本的に細かな部分の素材で、昔から変わらない考え方だという。システムとしての動きは共通で、ボタンの数も変わらない。握り心地については、レコードのほうがスーパーレコードより少し細く感じるという話が出た。寸法はほぼ同じで、面取りの違いによる印象らしい。

レコードが今回おもしろいのは、ラインアップが用途ごとにきっちり分けられている点だ。スーパーレコードもレコードも、位置づけは4つのカテゴリーに分かれる。ロード用の2×、オールロード用の2×、オールロード用の1×、そしてグラベル用の1×だ。違いの核心はリアディレイラーのキャパシティにある。48Tのスプロケットを使いたい場合や、チェーンが暴れないように十分なテンションが必要な場合には、それに適したディレイラーを選ぶ必要がある。ピボットの設計も異なり、軽く動かしたいか、テンションを強くしたいかで使い分ける。

無線コンポーネントになったRecord

スプロケットは、大型のものがトップ側の数枚を一体の削り出しで作り、イタリアの工場で生産されているという。担当者が感心していたのは、トップ側の約6枚までが1Tずつの変速になっていることだ。巡航域でよく使うギアで一気に歯が飛ぶことがなく、足の感覚が変わらない。「ロードのトップを手がけてきたメーカーらしい」という言葉が、使い込んだ人の実感として響く。

バッテリー残量は色で表示され、数段階で細かく確認できる。モバイルバッテリーとケーブルがあれば、取り付けたまま充電もできるそうだ。グラベル用の左側にボタンのないレバーでも、アプリの設定によってフロントディレイラーの操作をシングル向けの割り当てに変更できる。左右どちらのレバーでも変速できるようにしておけば、万一の際の保険にもなる、という使い方の提案が現実的でおもしろい。

新生ZONDAは内幅25mmでグラベルまで対応可能となっている

ホイールでは「Zonda」も並んでいた。内幅は25mm。グラベルからロードまで使える守備範囲の広さで、重量は1500g強とインパクトこそ控えめなものの、実によく転がるという。今回はすべてストレートスポークに改め、タイヤが太くなって高まる剛性への要求にも応えている。1400g台のシャマルと比べると、ロード寄りの性格はシャマルのほうが強い。ただ、年ごとのトレンドに合わせて進化してきたホイールとして、ZONDAは使い勝手に優れているという。

フルクラム:グラベル向けの「GR」と、日本限定のカスタムホイール

Speed 42 Teamは大きいロゴが特徴だ

カワシマサイクルサプライ限定のオリジナルモデル、AIRBEAT 400
Wind42もオリジナルモデルとして展開される



並行して新しいグラフィックのホイールも展示されていた。フルクラムのなかでも、ロードからオールロードを視野に入れた「Sharq」と、47C以上のタイヤを前提としたグラベル専用の「GR」が目を引く。

さらに会場にはロード向けのホイールも並んでいた。リムハイト57mmの「Sharq 57」や、チーム仕様の「Speed 42 Team」といったモデルに加えて、日本限定のカスタムホイールとして「Wind 42 Custom」と「AIRBEAT 400 Custom」も展示されていた。いずれも日本限定のモデルで、日本市場に向けた特別仕様が用意されている。

プロファイルデザイン:エアロドロップバー「DRV/AERO C」と、ベースバー「Wing 20C+II」の新サイズ380mm

プロファイルデザインからクリップオン・エアロバー対応のエアロ・カーボンドロップバーも用意されている

「「Wing Ultimate S」。トライアスロンやTT向けのコックピットセットが展示されていた

ハンドルまわりでは、プロファイルデザインのブースにも足を止めた。ロード向けの「DRV/AERO C」カーボンドロップバーや、トライアスロンやTT向けには、ベースバーの「Wing 20C+II」の新サイズ380mm幅が展示されていた。

フィジーク:R1 Lightグレードと新名称のバーテープ、アンバサダーAcchanさんとフィジークの出会い

フィジークのR1 Lightシリーズは軽量かつコスパ優れるモデルだ

フィジークのバーテープはモデル名が変更となり、より用途がわかりやすくなった
フィジークはフラットバー用のグリップも用意している



タデイ・ポガチャルが選ぶ「Argo Adaptive」

フィジークの今年のトピックはR1 Lightグレードがローンチされたことだろう。表皮なしのEVAパッド、樹脂ベース、カーボンレールという構成を採用しながら、フラッグシップモデルに匹敵する軽量性を達成。同時にミドルグレードらしい価格を実現しており、人気モデルとなった。

そしてバーテープのラインアップも整理されている。モデル名が、厚みに応じてRACEFEEL(2mm)、RIDEFEEL(2.7mm)、COMFORTFEEL(3.5mm)という、握った際のフィーリングを直感的に示す名称へと変更される。ランニングチェンジのため、順次新しい名称となったバーテープの販売が始まるという。

フィジークはタデイ・ポガチャル擁するUAEチームエミレーツXRGをサポートしており、プロトンでも存在感が増すばかり。そんなフィジークの新製品は順次発表されるとのことのため、ぜひアナウンスには注目してもらいたい。

フィジークのアンバサダーとして活動するAcchan

フィジークのアンバサダーを務めるAcchanさんに話を聞いた。そもそもフィジークとの出会いはどんなものだったのか。そう尋ねると、「今年のサイクルモードで、すでに面識のあったフィジーク担当の福田さんに36サイズの取り扱いがないことの文句をつけたことが始まりでした」と笑って切り出した。

福田さんは「すでにフィジークのシューズを履き続けてくれていることは知っていましたし、小さいサイズが無いことに悩んでいらっしゃる方は少なくないことも実感していました」という。そんな状況でもこれまで小サイズのあったフィジークは「頼みの綱だった」とAcchanも言う。新モデルにサイズがないことは切実な問題だ。その不満を率直にぶつけたところから縁が始まった。

彼女が悩みを抱えているのと同時に、フィジークは各地域のローカルアンバサダー起用を進めていた。そのようなタイミングが重なり、フィジークユーザーである彼女にアンバサダーの白羽の矢が立ったのだという。そして、本国からもすぐに許可が下りて、今年の初夏にアンバサダーとしての活動が始まったのだという。

Acchanお気に入りのProxyのアクセント

「アンバサダーになるのは初めてなんですけど、フィジークのことは好きなので光栄です」。長年の愛用者だからこそ理解する製品の良さや悩みを自分の言葉で伝えた始まり方が、等身大のサイクリストに映る。そして、直接悩みを伝えたことで、36サイズの取り扱いモデルの拡充が決定しており、順次発売となる。

ではフィジークのどこが好きなのか。ここでも答えは率直だった。「正直に言っていいですか?見た目です」。足にフィットするのはもちろんだが、最初の一足を探していたとき、一番かわいいと思ったのがフィジークだったそうだ。現在のラインアップでお気に入りなのが、Vega。「白色のカラーはめっちゃキラキラしてて、かわいいんですよ。一目惚れですね」。

見た目で入って、実際に履いてみてどうだったのか。「めっちゃいいです。カーボンで軽いし、通気性もいい」。ペダリングの感触も気に入っていて、彼女はVegaを履くと、その軽さをはっきり感じるという。

ロードシューズ「Lyra」はミドルグレードとして人気が高いという

彼女はロードモデルのVegaと、XCモデルのProxyと使い分けているという。女子ライドのイベントでは、カフェに寄って歩く場面が多く、そのような状況ではProxyを選ぶ。「歩きやすいですし、2ホールクリートのわりに軽めで、通気性もちゃんとあるんです。Vegaほどではないですけど、ペダリングの調子もいいですよ」。

ブルーのアクセントがお気に入りで、ライド仲間から「ここ、かわいい」と声をかけられることも多い。「ですよねーって返してます」と、うれしそうに話してくれた。Vegaのフィット感や軽さも魅力的だが、ここぞという時にVegaの出番が回ってくるようだ。

見た目に惹かれて手に取り、履いてみて性能に納得しているAcchanさん。今後様々なイベントでもアンバサダーとしての活動が期待されるため、フィジークについても実情を語ってくれるはずだ。フィジークブランドが気になる女性サイクリストは彼女に声をかけてみても良いだろう。

ピレリ:エアロの「P ZERO Race TLR SL」と研究開発部門に裏付けられた強み

エアロダイナミクスを追求したP ZERO Race TLR SL-R

ピレリのフラッグシップモデルのP ZERO Race TLR SLR
リムウォールとツライチになるような設計が施されている



自転車用タイヤでは、F1のタイヤを手がけるピレリのブースで話を聞いた。ブランドの強みを尋ねると、「エンジニアリングです」という答えが返ってきた。「非常に高度なコンパウンドを使えることと、F1用のタイヤを開発した同じ研究開発部門の裏づけがあること」が根拠だという。

その成果を象徴するモデルとして挙がったのが、エアロ性能を高めた「P ZERO Race TLR SL-R」と、レース用でも耐パンク性を高めた「P ZERO Race RS」だ。用途に応じて選べる2本の性格は明確に分かれているが、どちらも転がり抵抗は非常に低く、グリップ性能にも優れているというのが担当者の説明だった。空力を突き詰めるならSL-R、パンクのリスクを抑えて安心して走りたいならRSと、走るシーンで考えると選びやすい。

ピレリから本国担当者が来場した

プロチームからの評価を尋ねると、「プロチームからのフィードバックはとても良好。プロの選手が使える選択肢が、いまは十分に揃っている」との答えだった。選手たちの声は今後のタイヤ開発を続けていくうえでも欠かせないという。

日本市場については「自転車の長い歴史があり、ライダーは非常に情熱的。富士ヒルクライムの存在もあって、重量を気にする傾向があるかもしれないが、性能全般への欲求が強い」と語っていた。そんな彼らのニーズにはプロユースのP ZEROシリーズが応えられるはずだ。

Q36.5:日本で人気の冬用グローブと、背面にジャージ素材を使った秋冬ウェア

トム・ピドコックらの活躍で知名度をあげているQ36.5

秋冬のウェアでは、日本で流通し始めた頃から続く定番の冬用グローブWinter Rain Glovesがおすすめだという。ニット素材の中間に防風素材を挟み込んでおり、1シーズンを乗り切れる暖かさがありながら、分厚くなりがちな冬用グローブのなかでは操作性が高い。毎年よく売れているというのも頷ける、押さえておきたい一品だ。

新しいモデルは、風を受けやすい前側に防風素材を使い、背面には夏物と同じジャージ素材を使っているのが特徴だ。冬物では珍しい作りで、発汗した蒸気を背面から逃がしてくれる。

Rain Winter Glovesはおすすめのプロダクトだ

Q36.5のDottoreジャケット(右列)
背中部分には通気性に優れるメッシュ生地が採用される


肩部分は切りっぱなしとされている



ベストはジャージのポケットに丸めて収まるほどコンパクトになる。縫い目が少なく窮屈さがなく、軽くてしなやか。

ベースレイヤーの種類が非常に豊富で、普段着のフリースのような起毛を備えたモデルまで揃う。冬場も低強度で走る方から、本格的なトレーニングを行う方にもマッチするラインアップとなっている。

オークリー:「CYBR Lightning」や「Radar EV」、マチューモデルをラインアップ

CYBER LIGHTNINGも注目の製品だ

オークリーのRadar EVに新作が登場している

Sutro LiteのMVDPモデル

アイウェアでは、オークリーのブースに「CYBR Lightning」や「Radar EV Heater」などが並んでいた。また、マチュー・ファンデルプールモデルの用意されており、プロトンでお馴染みのプロダクトとして数多くのショップスタッフがブースに集った。

Report:Gakuto Fujiwara
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