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どこまでもロードバイク、それでいてキチンとEバイク。オルベアが放つ電動アシストロードバイク「Gain(ゲイン)」は、今までの常識を打ち破る、コアなサイクリストすら満足させる洗練されたEロード。インプレッションを通し、オルベアの哲学が反映された一台を掘り下げます。

オルベア Gain、最もエレガントな本気のスポーツEロード

日本上陸を果たしたオルベアのGain。軽さと走る楽しさを追い求めたEロードバイクだ。写真の2台は2025年春に追加された新カラー(右のステムは実際と異なります。納車時には左と同じRP10ステム -8°、ライト一体型サイコンマウント仕様となります) photo:So Isobe

Eバイク(電動アシストバイク)といえば、どうしても実用性重視の“野暮ったい乗り物”というイメージがつきまとう。隠そうにも隠れないバッテリーと、重たそうなシルエット。辛い登りを助けてくれるアシスト力は魅力だけど、元々ゴツいMTBならいざ知らず、スマートなロードバイクには似つかわしくない...。

でもきっと、そんな先入観は、このバイクを見れば180度変わるはず。伝統と革新のバスクブランド、オルベアがラインナップする本気のスポーツEロードが「Gain(ゲイン)」だ。


まず目に飛び込んでくるのは、その完璧にまで美しいシルエット。レーシングモデル「ORCA」とも似通ったダイヤモンド型のカーボンフレームに、「え、これ電動なの?」と驚くこと間違いなし。必要最小限に抑えられたダウンチューブにバッテリーは内蔵され、佇まいを損なわないリアハブ式ユニット、そしてほぼフル内装されたケーブル類。メリハリの効いたフレームデザインに、Eバイクの“あの無骨さ”はどこにもない。あるのはただ、オルベアが長年培ってきたロードバイクの美学だけだ。

フラッグシップロードOrcaとも似通ったフレームデザイン。 photo:So Isobe

細身のリアバックは振動吸収を狙ったもの。フェンダー用のボルト穴もスマートだ photo:So Isobe
Eバイクとは思えないスマートなフォルム photo:So Isobe



そもそもオルベアは、1840年創業という数ある欧州ブランドの中でもトップクラスに長い歴史を持つブランドだ。プロレースとの結びつきは強く、いつでもその時代のトップチームと協業体制を組み、そのフィードバックを加えたハイスペックバイクを生み出してきた。モノづくりを重視した製品第一主義を守り、日本でもオルベア・ジャパンが発足するなど急速に人気を高めている。Gainはそんな「走り志向」のブランドが作る、本気のスポーツEロードである。

オルベアらしい走りはそのまま。そっと背中を押すナチュラルアシスト

ライドクオリティを高めていくれるE-ROADのGAIN (c)オルベア

Gainは電動アシスト付きにもかかわらず、シマノ105 Di2とアルミホイールを採用するM30iグレード(Sサイズ)で11.8kg。バッテリーを含めたアシストユニット総重量は3.2kgだから、バイク自体はアナログバイクにはない補強やコンポーネントを含めても8.2kgとなる計算だ。多くのEバイクより圧倒的に軽く、同じように軽さを売りにするスペシャライズドのCREO 2の最上級モデルより1kg以上軽いといえば、これがいかに凄まじいかが分かるだろう。

そこに宿るのは、長年培ってきたレーシングバイクらしい走りに、Eバイクのテクノロジーをプラスするというオルベアらしい考え方。いくらパワーがあったとしても、アシスト上限以上のスピード域や、アシストをオフにした時に「走らない」Eバイクだなんてオルベアは作らない。アナログバイクとのグループライドでも遜色ない、自転車本来の楽しみを味わえることがGainの根幹には宿っている。

ドイツMahle社製の「X20」リアハブモーター。自然なアシスト感を達成すべく研究が繰り返されたという photo:So Isobe

フリーボディのセンサーは1回転あたり40回も情報を取得。滑らかなアシストを実現する photo:So Isobe
フリーボディの情報はリアエンドのポートからコンピュータへ photo:So Isobe


手元のスイッチでiWocONEインターフェースを操作可能。細部まで考え尽くされている photo:So Isobe

だからこそ、アシストフィールもナチュラルであることが目指されている。ドイツMahle社製の「X20」リアハブモーターは市場で最も軽量かつコンパクトで、電動パワーがライダーのパフォーマンスをサポートすることに徹し、自らの力でサイクリングを楽しめるようにE-BIKEをデザインするというオルベア独自の「Enough Power」コンセプトに基づいたチューニングが施されている。

最大250W/50Nmというモーター出力は少し控えめで、強引に上り坂を突破するようなものではない。でも、だからこそ、ライダーの背中をそっと押してくれるような、脚力が増したような喜びを味わえる。脚を止めた際の抵抗が一切ないのはハブ式ユニットの好ポイントだ。

ケーブル類はセミ内装。Eバイクらしからぬルックスと整備性を両立 photo:So Isobe
スマートに一体化したリアライト。システムインテグレーションでも一歩先の完成度を見せる photo:So Isobe


充電ポートはBBボックス上側に photo:So Isobe
電源ボタンはトップチューブ。LEDの色でモード確認が可能だ photo:So Isobe



自然な乗り心地を実現しつつ、航続距離を最大限に伸ばすスイートスポットを見つけるために行われたという何百時間ものテストによって、ダウンチューブ内蔵バッテリーだけでも獲得標高4,000m/150kmものビッグライドを走破できる。さらにボトル型のRange Extender(拡張バッテリー)をプラスすれば、60kmの航続距離を追加でき、さらなるビッグライドにも出かけることができてしまう。

GainのX20システムはモーターだけではなく、全てが統合されていることも特徴だ。コントロールセンターはトップチューブのボタンとサイクルコンピューターで構成されており、iWocONEインターフェースでアシストレベルやバッテリー残量を直感的に確認できる。さらにスマートフォンと連携すれば、ナビゲーション、パワー出力、GPSログ、アシストモードのカスタマイズまで思いのまま。新時代のEロードに相応しい仕上がりだ。

世界に一台だけの、あなたのGainを

完成車の上位2グレードはオークォ製のカーボンホイール(リム高42mm)を装備する photo:So Isobe

Gainを唯一無二のEロードバイクに昇華させるのが、オルベアが誇る世界一柔軟なオーダーシステム「MyO(マイオー)」でのカスタマイズが可能だということ。

フレームカラーやロゴの配色はもちろん、ハンドル幅、ギア構成などをオンラインで自由自在に選択可能。組み合わせは無限で、追加料金は基本無料。MyOでオーダーしたGainは、バスク・マリャビアの自社工場で1台ずつ丁寧に組み上げられ、あなただけの1台として完成する。つまり、Gainは「選ぶ」だけではなく、「創る」楽しさもある稀有なEバイクなのだ。

2025年の新色「カーボンビュー」は、その名の通りカーボン地肌が見える仕上がり。オーダーシステム「MyO(マイオー)」であらゆるカスタマイズが可能だ photo:So Isobe

コックピットはオルベアオリジナル。ユーザー層を踏まえてややアップライズしたハンドルをセットする photo:So Isobe
コンポーネント別に6種類の完成車がラインナップ photo:So Isobe



ラインアップはシマノ105機械式からDURA-ACEまで計6モデルを用意。サイズはXS~XXLの6サイズ展開。MyOカスタムの場合の納期は約2ヶ月となる。

-GAIN M10IGAIN M20IGAIN M21E 1XGAIN M30IGAIN M30GAIN M40
フレームOrbea Gain Carbon OMR monocoque structure
フォークGain OMR carbon fork
バッテリーMahle iX350 36V 353Wh
モーターMahle motor hub X20
コンポーネントShimano
Dura-Ace Di2
R9250
Shimano
Ultegra Di2
R8150
Sram
Force AXS
Shimano
105 Di2
R7150
Shimano
105
R7100
Shimano
Cues
U6030
ハンドルバーOC Road Performance RP10-R CarbonOC Road Performance RP21 Alu SL
サドルFizik
Vento Antares R1 Carbon Rail
Fizik
Vento Antares R3 Kium Rail
Fizik
Vento Antares R3 Kium Rail
Fizik Aliante R5
タイヤPirelli P ZERO Race 30cPirelli P ZERO Race 30cPirelli Cinturato Gravel H 35cPirelli P ZERO Race X SmartEVO TLR 700x30c
ホイールCarbon 42, Tubeless, 21cCarbon 42, Tubeless, 21cAlloy, Tubeless, 700c, 21cAlloy, Tubeless, 700c, 21c
価格¥ 1,581,800¥ 1,202,300¥ 1,202,300¥ 1,012,000¥ 870,100¥ 838,200

次章では、かつてプロMTB選手として活躍し、シドニーオリンピック日本代表にも選ばれた鈴木雷太さんが登場。長野県松本市のプロショップ「BIKE RANCH」のオーナーとして、Eバイクに造詣深い雷太さん目線でのGainインプレッションをお届けします。
提供:オルベア・ジャパン| text:So Isobe