斜塔で有名なピサがフィニッシュ地点となったジロ第10ステージ。28.6kmの個人タイムトライアルをダーン・ホーレ(オランダ、リドル・トレック)が制し、雨に見舞われたデルトロはマリアローザを保持。ログリッチは区間17位となるも総合タイムを稼いでいる。

早朝に降った雨が止み、前半スタート組はドライコンディションに恵まれた photo:RCS Sport

ジロ・デ・イタリア2025第10ステージ コースプロフィール image:RCS Sport アルバニアの開幕からイタリア本土を北上中のジロ・デ・イタリアは、5月20日に第10ステージを迎えた。2週目の初日は、イタリアのレジェンド選手マリオ・チポリーニの故郷ルッカから始まる28.6kmの個人タイムトライアル。平坦路かつ、直線路が大部分を占めるシンプルなレイアウトで、フィニッシュ地点はかの有名な「ピサの斜塔」のすぐ下だ。
レース当日の天候は雨のち曇り。早朝に降った雨によって試走中にプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)ら数名が落車するなか、第1出走者であるアレクサンダー・クリーガー(ドイツ、チューダー・プロサイクリング)がスタートする頃に路面はドライに。しかし晴れ間は最後までもたず、レース後半にスタートした総合上位勢がそのあおりを食う結果となった。
前半スタート組で好タイムを出したのはイーサン・ヘイター(イギリス、スーダル・クイックステップ)だった。今年イネオス・グレナディアーズから移籍したイギリスのロード王者は、マイケル・ヘップバーン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)のタイムを40秒更新する32分40秒でフィニッシュ。平均時速52.519kmのこのタイムが、長らく選手たちの目標タイムとなった。

ステージ3位:イーサン・ヘイター(イギリス、スーダル・クイックステップ) photo:RCS Sport

ステージ5位:エドアルド・アッフィニ(イタリア、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos
第2ステージの個人TTで区間4位だったTTヨーロッパ王者のエドアルド・アッフィニ(イタリア、ヴィスマ・リースアバイク)はトップタイムに14秒及ばない。そして全体の42番目にTTオランダ王者であるダーン・ホーレ(リドル・トレック)がスタート。出場選手の中で最も身長の高い198cmのホーレは前半を抑えめで入り、後半にスピードを上げた結果32分30秒とヘイターを9秒上回った。
2日前の第9ステージで復活勝利を挙げたワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)は1分8秒遅れとまずまずのタイムでフィニッシュ。そして第2ステージを制し、優勝候補筆頭に挙げられたジョシュア・ターリング(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が走り出す。
8.4km地点の第1中間計測を、ホーレより17秒早いトップタイムで通過したイギリスTT王者。しかし1分先にスタートしたミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)に追いつき、コーナーで接触間近となるシーンも。それでリズムを崩したからか、ターリングは第2中間計測(20.5km地点)までで大きくタイムを失い、ホーレの6秒遅れでフィニッシュした。

ステージ1位:ダーン・ホーレ(オランダ、リドル・トレック) photo:RCS Sport

ステージ2位:ジョシュア・ターリング(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:RCS Sport
チームメイトであるシモーネ・コンソンニとジョナタン・ミラン(共にイタリア)とTV通話しながら、ホットシートでその模様を見守ったホーレはホッと胸をなでおろす。そしていよいよ総合上位勢がスタート。走り出す直前に観客に手を振る余裕を見せたログリッチが飛び出し、2日前&当日の落車の影響を感じさせない滑り出しを見せた。
この頃から、それまでなんとかもっていた天候が悪化し、再び雨が降り始めた。それでも比較的ドライな状況の中走り終えることができたログリッチは1分14秒遅れ(区間17位)でフィニッシュ。総合7位のエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)は落車によりタイムを失う一方、サイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)は1分43秒遅れ(区間23位)と健闘。最終的にイェーツは総合順位を6位から4位まで上げることに成功した。

ステージ17位:プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:RCS Sport
ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)がフィニッシュする頃に雨粒は大きくなっており、そんな不利なウェットコンディションの中、総合上位につけるUAEチームエミレーツXRGの2名、フアン・アユソ(スペイン)とイサーク・デルトロ(メキシコ)に出番が回ってきた。白のマリアビアンカ(ヤングライダー賞ジャージ)にグレーのビブショーツを合わせたアユソはコーナーを慎重にクリアしながら、トップから1分34秒遅れ、ログリッチから20秒遅れの区間22位でフィニッシュした。
そして、メキシコ人初のマリアローザ着用者となったデルトロがスタート。フレームとホイールのロゴをピンク色に染め上げたバイクで、アユソと同じく慎重なライン取り&スピードでコーナーをこなし、2分22秒遅れ(区間36位)でフィニッシュ。アユソに対する総合リードを25秒差で保ち、マリアローザを見事守り切った。

ステージ22位:フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

ステージ36位:イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) photo:RCS Sport
この結果ホーレが昨年のTTオランダ選手権に続く、プロキャリア2勝目をジロという大舞台で掴み取った。「信じられないよ。喜びの感情で胸がいっぱいだ。このステージでの勝利を狙っており、調子も良かった。だがまさか自分が勝てるとは思っていなかった。総合上位陣は雨の影響があったかもしれないが、同じくドライコンディションで走ったターリングを上回ることができたんだ。この結果には本当に驚いているよ」と、リドルに今大会4勝目をもたらしたホーレは喜んだ。
2022年にプロデビューしたホーレは26歳のTTスペシャリスト。昨年は強豪ひしめくTTオランダ選手権で初優勝を飾り、3度目の出場となった今大会は、エーススプリンターであるマッズ・ピーダスン(デンマーク)のリードアウトとして区間3勝に大きく貢献していた。

プロ2勝目をジロで手に入れた ダーン・ホーレ(オランダ、リドル・トレック) photo:CorVos
総合トップ3に変動はなかったものの、ログリッチが総合10位から5位へジャンプアップ。ベルナルは総合争いから事実上脱落するなか、UAEは総合トップ10に4名(デルトロ、アユソ、マクナルティ、アダム・イェーツ)を送り込み、ジロ2週目を盤石の体制でスタートさせている。


レース当日の天候は雨のち曇り。早朝に降った雨によって試走中にプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)ら数名が落車するなか、第1出走者であるアレクサンダー・クリーガー(ドイツ、チューダー・プロサイクリング)がスタートする頃に路面はドライに。しかし晴れ間は最後までもたず、レース後半にスタートした総合上位勢がそのあおりを食う結果となった。
前半スタート組で好タイムを出したのはイーサン・ヘイター(イギリス、スーダル・クイックステップ)だった。今年イネオス・グレナディアーズから移籍したイギリスのロード王者は、マイケル・ヘップバーン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)のタイムを40秒更新する32分40秒でフィニッシュ。平均時速52.519kmのこのタイムが、長らく選手たちの目標タイムとなった。


第2ステージの個人TTで区間4位だったTTヨーロッパ王者のエドアルド・アッフィニ(イタリア、ヴィスマ・リースアバイク)はトップタイムに14秒及ばない。そして全体の42番目にTTオランダ王者であるダーン・ホーレ(リドル・トレック)がスタート。出場選手の中で最も身長の高い198cmのホーレは前半を抑えめで入り、後半にスピードを上げた結果32分30秒とヘイターを9秒上回った。
2日前の第9ステージで復活勝利を挙げたワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)は1分8秒遅れとまずまずのタイムでフィニッシュ。そして第2ステージを制し、優勝候補筆頭に挙げられたジョシュア・ターリング(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が走り出す。
8.4km地点の第1中間計測を、ホーレより17秒早いトップタイムで通過したイギリスTT王者。しかし1分先にスタートしたミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)に追いつき、コーナーで接触間近となるシーンも。それでリズムを崩したからか、ターリングは第2中間計測(20.5km地点)までで大きくタイムを失い、ホーレの6秒遅れでフィニッシュした。


チームメイトであるシモーネ・コンソンニとジョナタン・ミラン(共にイタリア)とTV通話しながら、ホットシートでその模様を見守ったホーレはホッと胸をなでおろす。そしていよいよ総合上位勢がスタート。走り出す直前に観客に手を振る余裕を見せたログリッチが飛び出し、2日前&当日の落車の影響を感じさせない滑り出しを見せた。
この頃から、それまでなんとかもっていた天候が悪化し、再び雨が降り始めた。それでも比較的ドライな状況の中走り終えることができたログリッチは1分14秒遅れ(区間17位)でフィニッシュ。総合7位のエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)は落車によりタイムを失う一方、サイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)は1分43秒遅れ(区間23位)と健闘。最終的にイェーツは総合順位を6位から4位まで上げることに成功した。

ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)がフィニッシュする頃に雨粒は大きくなっており、そんな不利なウェットコンディションの中、総合上位につけるUAEチームエミレーツXRGの2名、フアン・アユソ(スペイン)とイサーク・デルトロ(メキシコ)に出番が回ってきた。白のマリアビアンカ(ヤングライダー賞ジャージ)にグレーのビブショーツを合わせたアユソはコーナーを慎重にクリアしながら、トップから1分34秒遅れ、ログリッチから20秒遅れの区間22位でフィニッシュした。
そして、メキシコ人初のマリアローザ着用者となったデルトロがスタート。フレームとホイールのロゴをピンク色に染め上げたバイクで、アユソと同じく慎重なライン取り&スピードでコーナーをこなし、2分22秒遅れ(区間36位)でフィニッシュ。アユソに対する総合リードを25秒差で保ち、マリアローザを見事守り切った。


この結果ホーレが昨年のTTオランダ選手権に続く、プロキャリア2勝目をジロという大舞台で掴み取った。「信じられないよ。喜びの感情で胸がいっぱいだ。このステージでの勝利を狙っており、調子も良かった。だがまさか自分が勝てるとは思っていなかった。総合上位陣は雨の影響があったかもしれないが、同じくドライコンディションで走ったターリングを上回ることができたんだ。この結果には本当に驚いているよ」と、リドルに今大会4勝目をもたらしたホーレは喜んだ。
2022年にプロデビューしたホーレは26歳のTTスペシャリスト。昨年は強豪ひしめくTTオランダ選手権で初優勝を飾り、3度目の出場となった今大会は、エーススプリンターであるマッズ・ピーダスン(デンマーク)のリードアウトとして区間3勝に大きく貢献していた。

総合トップ3に変動はなかったものの、ログリッチが総合10位から5位へジャンプアップ。ベルナルは総合争いから事実上脱落するなか、UAEは総合トップ10に4名(デルトロ、アユソ、マクナルティ、アダム・イェーツ)を送り込み、ジロ2週目を盤石の体制でスタートさせている。
ジロ・デ・イタリア2025第10ステージ結果
1位 | ダーン・ホーレ(オランダ、リドル・トレック) | 32:30 |
2位 | ジョシュア・ターリング(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:06 |
3位 | イーサン・ヘイター(イギリス、スーダル・クイックステップ) | +0:09 |
4位 | マティア・カッタネオ(イタリア、スーダル・クイックステップ) | +0:22 |
5位 | エドアルド・アッフィニ(イタリア、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:24 |
6位 | ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツXRG) | +0:37 |
7位 | ルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) | +0:43 |
8位 | マルコ・フリーゴ(イタリア、イスラエル・プレミアテック) | +0:47 |
9位 | マイケル・ヘップバーン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) | +0:49 |
10位 | シャビエル・アスパレン(スペイン、Q36.5プロサイクリング) | +0:53 |
16位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | +1:08 |
17位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +1:14 |
22位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) | +1:34 |
36位 | イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) | +2:22 |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) | 34:11:37 |
2位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) | +0:25 |
3位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +1:01 |
4位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) | +1:03 |
5位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +1:18 |
6位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG) | +2:00 |
7位 | アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツXRG) | +2:06 |
8位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) | +2:07 |
9位 | リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) | +2:10 |
10位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | +2:27 |
マリアチクラミーノ(ポイント賞)
1位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | 153pts |
2位 | アレッサンドロ・トネッリ(イタリア、ポルティ・ビジットマルタ) | 59pts |
3位 | オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) | 55pts |
マリアアッズーラ(山岳賞)
1位 | ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ) | 98pts |
2位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) | 50pts |
3位 | ポール・ダブル(イギリス、ジェイコ・アルウラー) | 36pts |
マリアビアンカ(ヤングライダー賞)
1位 | イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) | 34:11:37 |
2位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) | +0:25 |
3位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +1:01 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツXRG | 102:30:35 |
2位 | ヴィスマ・リースアバイク | +12:54 |
3位 | リドル・トレック | +13:56 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, RCS Sport
photo:CorVos, RCS Sport
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