昨年は2デイで開催されたツール・ド・ふくしまが、今年はレース部門を1デイに変え、UCIグランフォンド世界選手権の予選大会になるべく変貌する。今年9月7日(日)のツール・ド・ふくしまはプレ大会となるが、2026年にはニセコでの世界選手権の出場権を得られる予選大会になる。

これにより、福島で誕生した市民レーサーたちの公道ロードレースは新たなステージへと向かう。ふくしま復興サイクルシリーズ大会事務局から発表された資料をもとに、解説を含めながら紹介する。



ツール・ド・ふくしま2024を制したのはUCIグランフォンド世界選手権・年代別王者のジャージを着る高岡亮寛(Roppongi Express)だった photo:Satoru Kato

昨年は2日間・245kmで競う国内最大級の市民ステージレースとして開催されたツール・ド・ふくしま。福島県浜通り地域等15市町村を舞台としたレース部門は高岡亮寛(Roppongi Express)が、女子は木下友梨菜(Bellmare Racing Team)が勝利し、大盛況のうちに幕を閉じた。

2024年は2日間のステージレースとして開催されたツール・ド・ふくしま photo:Satoru Kato

昨年度は体制を一新、JCF公認レースにもなり、ツール・ド・おきなわやニセコクラシックに並ぶ市民レーサーの祭典となるべく初開催にこぎつけたツール・ド・ふくしまだったが、今年また大きく変化することに。

福島の震災からの復興をテーマに開催されてきたツール・ド・ふくしま photo:Satoru Kato

きっかけとなったのは2026年8月末に北海道ニセコで開催されるUCIグランフォンド世界選手権だ。日本と世界のホビーレーサーたちがしのぎを削り、目標とするそのレースに出場するには、予選となるレースを走り、上位フィニッシュすることで出場権を獲得しなければならない。つまり世界各国で開催されるUCIグランフォンドの予選大会に出場して出場枠を得ることでニセコの世界選手権に出場するというステップが必要だ。

ニセコクラシックは2026年にはUCIグランフォンド世界選手権となって開催されることになる photo:Satoru Kato

2026年にUCIグランフォンドとなるべく生まれ変わるツール・ド・ふくしまは、従来のニセコクラシックが果たしていた「世界への扉」の役割を担うことになるのだ。

2025年9月に開催される今年のツール・ド・ふくしまは、プレ大会としての位置づけで、1デイのレースとして距離やカテゴリー等はUCIグランフォンドのフォーマットに則り開催される。そして2026年には8月末にニセコでUCIグランフォンド世界選手権が開催されるが、来年は6月13〜14日(予定)に開催されるツール・ド・ふくしまが予選大会となることで、日本初となるGF世界選手権への出場権をかけて争われることになる。

2024年はデンマークで開催されたUCIグランフォンド世界選手権 ©UCI Gran Fondo World Series

つまり、日本人選手にとっては海外開催のUCIグランフォンド予選大会に出場しなくても、福島で開催されるツール・ド・ふくしまを走ることで、ニセコでのGF世界選への出場権を獲得できることになるのだ。

そして基本的には2027年以降もこの形態は継続し、ニセコクラシックとツール・ド・ふくしまがUCIグランフォンドのフォーマットに則った大会となる。つまり日本国内で2つのUCIグランフォンドが開催され、ともにグランフォンド世界選手権の予選大会になるのだ。

UCIグランフォンド世界選手権のメダルを目指す道が拓ける ©UCI Gran Fondo World Series

あらためて、UCIグランフォンドとは、UCIが「Cycling for All」カテゴリーに据える種目であり、UCIポイントを所有しない非プロレーサーによって争われるロードレースであり、実質的には「ホビーレーサーが挑戦できるロードレース」となる。

今回の変更はニセコクラシック主催者とツール・ド・ふくしま主催者間で調整を行い、さらに、ツール・ド・おきなわ主催者らにも相談しながら、この度の発表にこぎつけられたという。イベントの詳細は今後、段階的に発表されることになる。

プレ大会として今年9月6日(土)、7日(日)に開催するツール・ド・ふくしまは、レースとは別にサイクリング部門も同時開催する。会場は、レース部門と同様に太平洋に面した天神岬スポーツ公園(楢葉町)になる。こちらのエントリーはすでに開始されている。
レース部門のエントリー開始は5月29日(金)18時スタートを予定している。

なお、プレレースとなる140kmクラスは現時点で以下のコースデータとなっている。

【ツール・ド・ふくしま2025(Granfondo2026 Pre race)】137km/2300m





以下、ふくしま復興サイクルシリーズ大会事務局が発表したプレスリリースで改めて2日間のイベント概要を紹介する。

福島から世界へ!
ツール・ド・ふくしま、UCI グランフォンド予選大会に向けて調整中


9月6日(土)、7日(日)の2日間、福島県浜通り地域で開催する自転車イベント「ツール・ド・ふくしま2025」。15市町村にまたがる国内最大級の規模で昨年初開催した本大会は、今年もロードレース部門とサイクリング部門で開催します。

昨年、2日間のステージレース形式で実施したロードレースは、高岡亮寛らアマチュアトップレーサーたちが多く参加しました。多くの関係各所のご協力のもと、福島復興を資する公道ロードレースとして、新たな歴史の一歩を刻むことができました。

現在、本大会は2026年大会に向けて、多くのアマチュアレーサーたちが目標とする「UCI グランフォンドワールドシリーズ」の国内予選大会としての開催を目指して、JCFを通して、UCIへの申請準備へと進んでいます。
2026年シーズンは、6月13日〜14日(日程は予定)に福島で実施する国内予選で世界大会の切符を獲得し、8月26-30日にニセコで開催される「グランフォンドワールドチャンピオンシップ(世界選手権)」を目指す流れになります。

つきましては、今年9月の「ツール・ド・ふくしま2025」は、2026年に向けたプレ大会として開催します。距離、カテゴリー等、UCIグランフォンドのレギュレーションに則り、9月7日(日)にワンデイレースとして実施します。

実施種目と参加条件は下記の通りです。

<種目>
グランフォンドふくしま140(137km / 2300mUP)
メディオフォンドふくしま80(80km / 1600mUP)
ロードレースふくしま50(47km / 750mUP)

<参加条件>
高校生以上。ロードレースふくしま50は中学生から参加できます。
JCF登録者、ならびにJCF未登録者。未登録者はエントリー時にJCF臨時登録費を行うことで参加できます。

今大会のメイン会場は、太平洋に面した天神岬スポーツ公園(楢葉町)です。最長距離の「グランフォンドふくしま140」は、距離137km、獲得標高差は2300mになります。スタートとフィニッシュ地点は天神岬スポーツ公園です。序盤はダイナミックなシーサイドルートの浜街道、そして国道6号線を北上します。その後、南相馬エリアへ入り、中盤から阿武隈高地の山間部へと舞台を移します。葛尾村、田村市そして大熊町へと実力を試される起伏のあるコースが待ち構えます。終盤まで小刻みな起伏が続く、グランフォンドに相応しいコースプロフィールになっています。

「メディオフォンドふくしま80」は、距離80kmで獲得標高差は1600mになります。多くの市民レーサーたちがチャレンジしやすいコースプロフィールで、スタート地点は、南相馬市の馬事公苑になります。「メディオフォンドふくしま140」の57km地点からスタートし、楢葉町の天神岬スポーツ公園へフィニッシュします。

最も短い距離で実施する「ロードレースふくしま50」は、葛尾村の「葛尾村復興交流館あぜりあ」からスタートし、他の2種目と同様に、楢葉町の天神岬スポーツ公園へフィニッシュします。

なお、来年2026年大会では「グランフォンドふくしま140」、「メディオフォンドふくしま80」がUCIグランフォンド予選対象レース(年代により異なる)になる予定です。

今回のUCIグランフォンド予選大会の実現に向けては、JCF(日本自転車競技連盟)はじめ、ニセコクラシック大会事務局と連携し調整を行なっています。また、市民レースとして不動の地位を築いている「ツール・ド・おきなわ」の大会事務局からもバックアップをいただきながら準備を進めています。今後も国内市民レースシーンの盛り上がりの一助になれるように、大会事務局一同、準備を進めて参ります。

今年9月6日(土)〜7日(日)開催の「ツール・ド・ふくしま」のレース部門のエントリー開始は 5月29日(木)を予定しています。「ツール・ド・ふくしま」は、地元新聞社の福島民報社が主催する「ふくしま復興サイクルシリーズ」最大のイベントです。大会サイトでは、エントリー開始に向けて順次情報を公開していきます。同時開催のサイクリング(ロングライド)部門の参加者受付は現在受付中です。

引き続き、公式サイトならびに公式SNSからの新着情報のご確認をお願いします。

ー ふくしま復興サイクルシリーズ大会事務局 ー