集団スプリントで決着したジロ・デ・イタリア第21ステージは、オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)が圧巻勝利。チームメイトであるサイモン・イェーツ(イギリス)の総合優勝に華を添え、チーム3勝目をもたらした。

ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂の前を通過する159名の選手たち photo:RCS Sport
3週間に及んだジロ・デ・イタリアの最終日は、今年も首都ローマで締めくくられる。前日のフィニッシュ地点から飛行機で移動してきた選手たちは、連日よりも遅い現地時間の午後3時半にスタート。そこから3週間に渡る戦いを互いに労いながら、パレード走行を楽しむ。
143kmのコースはアクチュアルスタートを前に、バチカン市国を経由する。その後はティレニア海沿岸部を経由してからローマの中心地へと向かっていくレイアウト。市街地に戻ってからは9.5kmコースを8周。残り250m地点に勾配5%が登場する最終ストレートは350mの直線路だ。
スタート地点の集団先頭に並んだのは、前日に行われたフィネストレ峠の山岳決戦で総合首位に立ったサイモン・イェーツ(イギリス)を擁するヴィスマ・リースアバイク。マリアローザを着用するイェーツはバイクやヘルメットまでピンク色に染め上げ、チームメイトたちは黒ベースにピンクの差し色の入ったジャージ姿で登場した。そしてスタート前に、昨年末に引退したロベルト・ヘーシンク(オランダ)の妻であり、亡くなったデイジー氏への黙祷が捧げられた。

ヴィスマ・リースアバイクをはじめ、黙祷を捧げる選手たち photo:CorVos

レオ14世と握手するサイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos 
レオ14世の見送りを受ける選手たち photo:RCS Sport
そして走り出した159名の選手たちがヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂の前を通過し、バチカン市国に入国して一度脚を止める。マリアローザのイェーツら4賞ジャージを纏った選手たちが、5月8日に就任したばかりであるローマ教皇レオ14世に挨拶。その後レオ14世に見送られながら選手たちはローマへと戻り、そしてまずは3週間に渡る戦いを労いあった。
イェーツは双子の兄弟であるアダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツXRG)と肩を組み、ファンやカメラマンの期待に応える。また前日にマリアローザを失いながらも初出場のジロで総合2位、そしてマリアビアンカ(ヤングライダー賞ジャージ)を獲得したイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)がオフィシャルカーに乗るヴィンチェンツォ・ニバリと言葉を交わすシーンも。

マリアローザのイェーツと、黒ベースにピンクの入った特別ジャージを纏うヴィスマ・リースアバイク photo:CorVos

アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツXRG)と肩を組むサイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) photo:RCS Sport 
長期に渡りイサーク・デルトロ(メキシコ)がマリアローザを纏い、リーダーチームとしてレースを進めたUAEチームエミレーツXRG photo:CorVos

区間6勝と大活躍したリドル・トレック photo:CorVos
ステージ優勝した初日から最後までマリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)を守り続けたマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)は、チームメイトと横一列に並び肩を組む。ピーダスン自身は区間4勝を飾り、チームは総合エースのジュリオ・チッコーネ(イタリア)をリタイアで欠きながらも、ダーン・ホーレ(オランダ)は個人タイムトライアルで勝利。またカルロス・ベローナ(スペイン)も逃げ切り勝利を収めるなど、区間6勝する大成功の大会となった。
ワールドチームから降格の危機に瀕しながらも、今シーズン躍動するXDSアスタナからはロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア)が大差でマリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)を獲得。第16ステージではクリスティアン・スカローニ(イタリア)とフォルトゥナートがワンツーフィニッシュを決めるなど、ジロでもその活躍は健在だった。

コロッセオの前を通るサイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) photo:RCS Sport
そして最初の中間スプリント(35.2km地点)を前に、レースが本格的に始まると今大会何度も逃げに乗り、大会を盛り上げたマルティン・マルチェルージ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)と、中間スプリント賞を獲得したドリース・デボント(ベルギー、デカトロンAG2Rラモンディアール)が飛び出す。しかしこれは決まらず、ヴィスマ・リースアバイクが牽引する集団からマイケル・ヘップバーン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)がアタックした。
これをきっかけに6名による逃げグループが形成され、プロトン唯一のローマ出身者であるマルチェルージもこれに乗る。しかし、もちろん逃げ切りが許されるほどのリードは与えられず、今年初導入された最後のレッドブルKMはヘップバーンが先頭通過。逃げからは一人、また一人と遅れ、最終周回に入った残り6km地点で全員が吸収され、勝負は集団スプリントへ。

先頭で踏み込むオラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos
大観衆の待つ最終ストレートに先頭で入ったのは、初出場で第9ステージを制したワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)だった。その背後からエーススプリンターであるオラフ・コーイ(オランダ)が飛び出し、右横にマッテオ・モスケッティ(イタリア、Q36.5プロサイクリング)、さらに隣にカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)が並ぶ。しかし僅かに左に曲がるコースのイン側、最短距離を進んだコーイが、そのままフィニッシュラインに飛び込んだ。

最終日スプリントを制したオラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

今大会2勝目を飾ったオラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos
ファンアールトによる盤石のリードアウトを、圧巻のスピードで勝利に繋げたコーイ。「これ以上美しいジロの終わり方はない。サイモンが総合優勝を決めた素晴らしい結果に、チーム3勝目で華を添えることができた。僕を完璧な位置へと導いてくれたエドアルド(アッフィニ)とワウト(ファンアールト)に感謝したい。ローマで勝てるなんて信じられないし、一生忘れられない瞬間となった」と、第12ステージに続く今大会2勝目をコーイはそう喜んだ。

総合優勝を確定させ、笑顔を見せるサイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos
そしてマリアローザを着てフィニッシュしたイェーツは総合優勝を決めた。「選手キャリアで最も重要な瞬間の1つ。長年の努力の結晶だ。これまでいくつか勝利は経験してきたが、これほどのものはない。チームメイトに囲まれながら表彰台に立った瞬間、ジロで総合優勝した実感がようやく湧いてきた。信じられないほど特別な気持ちであると共に、胸いっぱいになるほどの誇りを感じている」と、2018年大会で逃したマリアローザを7年越しに掴んだイェーツは語った。
区間2位はグローブスで、3位はモスケッティ。ツアー・オブ・ジャパンでも活躍したルーク・ランパーティ(アメリカ、スーダル・クイックステップ)は5位に入り、元マトリックスパワータグのオールイス・アウラール(ベネズエラ、モビスター)は8位入賞。アウラールは今大会勝利こそなかったものの、初出場のジロで2度の3位を含む、6度目のトップ10入りとその実力を見せた。

チームとして区間3勝と総合優勝に輝いたヴィスマ・リースアバイク photo:CorVos

ジロ・デ・イタリア2025総合表彰台:2位イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) 、1位サイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)、3位リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:RCS Sport

トロフェオ・センツァフィーネに口づけをするサイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) photo:RCS Sport

3週間に及んだジロ・デ・イタリアの最終日は、今年も首都ローマで締めくくられる。前日のフィニッシュ地点から飛行機で移動してきた選手たちは、連日よりも遅い現地時間の午後3時半にスタート。そこから3週間に渡る戦いを互いに労いながら、パレード走行を楽しむ。
143kmのコースはアクチュアルスタートを前に、バチカン市国を経由する。その後はティレニア海沿岸部を経由してからローマの中心地へと向かっていくレイアウト。市街地に戻ってからは9.5kmコースを8周。残り250m地点に勾配5%が登場する最終ストレートは350mの直線路だ。
スタート地点の集団先頭に並んだのは、前日に行われたフィネストレ峠の山岳決戦で総合首位に立ったサイモン・イェーツ(イギリス)を擁するヴィスマ・リースアバイク。マリアローザを着用するイェーツはバイクやヘルメットまでピンク色に染め上げ、チームメイトたちは黒ベースにピンクの差し色の入ったジャージ姿で登場した。そしてスタート前に、昨年末に引退したロベルト・ヘーシンク(オランダ)の妻であり、亡くなったデイジー氏への黙祷が捧げられた。



そして走り出した159名の選手たちがヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂の前を通過し、バチカン市国に入国して一度脚を止める。マリアローザのイェーツら4賞ジャージを纏った選手たちが、5月8日に就任したばかりであるローマ教皇レオ14世に挨拶。その後レオ14世に見送られながら選手たちはローマへと戻り、そしてまずは3週間に渡る戦いを労いあった。
イェーツは双子の兄弟であるアダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツXRG)と肩を組み、ファンやカメラマンの期待に応える。また前日にマリアローザを失いながらも初出場のジロで総合2位、そしてマリアビアンカ(ヤングライダー賞ジャージ)を獲得したイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)がオフィシャルカーに乗るヴィンチェンツォ・ニバリと言葉を交わすシーンも。




ステージ優勝した初日から最後までマリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)を守り続けたマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)は、チームメイトと横一列に並び肩を組む。ピーダスン自身は区間4勝を飾り、チームは総合エースのジュリオ・チッコーネ(イタリア)をリタイアで欠きながらも、ダーン・ホーレ(オランダ)は個人タイムトライアルで勝利。またカルロス・ベローナ(スペイン)も逃げ切り勝利を収めるなど、区間6勝する大成功の大会となった。
ワールドチームから降格の危機に瀕しながらも、今シーズン躍動するXDSアスタナからはロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア)が大差でマリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)を獲得。第16ステージではクリスティアン・スカローニ(イタリア)とフォルトゥナートがワンツーフィニッシュを決めるなど、ジロでもその活躍は健在だった。

そして最初の中間スプリント(35.2km地点)を前に、レースが本格的に始まると今大会何度も逃げに乗り、大会を盛り上げたマルティン・マルチェルージ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)と、中間スプリント賞を獲得したドリース・デボント(ベルギー、デカトロンAG2Rラモンディアール)が飛び出す。しかしこれは決まらず、ヴィスマ・リースアバイクが牽引する集団からマイケル・ヘップバーン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)がアタックした。
これをきっかけに6名による逃げグループが形成され、プロトン唯一のローマ出身者であるマルチェルージもこれに乗る。しかし、もちろん逃げ切りが許されるほどのリードは与えられず、今年初導入された最後のレッドブルKMはヘップバーンが先頭通過。逃げからは一人、また一人と遅れ、最終周回に入った残り6km地点で全員が吸収され、勝負は集団スプリントへ。

大観衆の待つ最終ストレートに先頭で入ったのは、初出場で第9ステージを制したワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)だった。その背後からエーススプリンターであるオラフ・コーイ(オランダ)が飛び出し、右横にマッテオ・モスケッティ(イタリア、Q36.5プロサイクリング)、さらに隣にカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)が並ぶ。しかし僅かに左に曲がるコースのイン側、最短距離を進んだコーイが、そのままフィニッシュラインに飛び込んだ。


ファンアールトによる盤石のリードアウトを、圧巻のスピードで勝利に繋げたコーイ。「これ以上美しいジロの終わり方はない。サイモンが総合優勝を決めた素晴らしい結果に、チーム3勝目で華を添えることができた。僕を完璧な位置へと導いてくれたエドアルド(アッフィニ)とワウト(ファンアールト)に感謝したい。ローマで勝てるなんて信じられないし、一生忘れられない瞬間となった」と、第12ステージに続く今大会2勝目をコーイはそう喜んだ。

そしてマリアローザを着てフィニッシュしたイェーツは総合優勝を決めた。「選手キャリアで最も重要な瞬間の1つ。長年の努力の結晶だ。これまでいくつか勝利は経験してきたが、これほどのものはない。チームメイトに囲まれながら表彰台に立った瞬間、ジロで総合優勝した実感がようやく湧いてきた。信じられないほど特別な気持ちであると共に、胸いっぱいになるほどの誇りを感じている」と、2018年大会で逃したマリアローザを7年越しに掴んだイェーツは語った。
区間2位はグローブスで、3位はモスケッティ。ツアー・オブ・ジャパンでも活躍したルーク・ランパーティ(アメリカ、スーダル・クイックステップ)は5位に入り、元マトリックスパワータグのオールイス・アウラール(ベネズエラ、モビスター)は8位入賞。アウラールは今大会勝利こそなかったものの、初出場のジロで2度の3位を含む、6度目のトップ10入りとその実力を見せた。



ジロ・デ・イタリア2025第21ステージ結果
1位 | オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) | 3:12:19 |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | |
3位 | マッテオ・モスケッティ(イタリア、Q36.5プロサイクリング) | |
4位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | |
5位 | ルーク・ランパーティ(アメリカ、スーダル・クイックステップ) | |
6位 | マックス・カンター(ドイツ、XDSアスタナ) | |
7位 | フィリッポ・バロンチーニ(イタリア、UAEチームエミレーツXRG) | |
8位 | オールイス・アウラール(ベネズエラ、モビスター) | |
9位 | エンリーコ・ザノンチェッロ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ) | |
10位 | ジョヴァンニ・ロナルディ(イタリア、ポルティ・ビジットマルタ) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) | 82:31:01 |
2位 | イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) | +3:56 |
3位 | リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) | +4:43 |
4位 | デレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック) | +6:23 |
5位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +7:32 |
6位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +9:28 |
7位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | +12:42 |
8位 | エイネル・ルビオ(コロンビア、モビスター) | +13:05 |
9位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG) | +13:36 |
10位 | マイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダー・プロサイクリング) | +14:27 |
マリアチクラミーノ(ポイント賞)
1位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | 295pts |
2位 | オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) | 185pts |
3位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 127pts |
マリアアッズーラ(山岳賞)
1位 | ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ) | 355pts |
2位 | クリスティアン・スカローニ(イタリア、XDSアスタナ) | 201pts |
3位 | ニコラ・プロドム(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) | 107pts |
マリアビアンカ(ヤングライダー賞)
1位 | イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) | 82:34:57 |
2位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +5:32 |
3位 | マックス・プール(イギリス、ピクニック・ポストNL) | +14:19 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツXRG | 247:53:24 |
2位 | XDSアスタナ | +58:40 |
3位 | バーレーン・ヴィクトリアス | +1:15:37 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, RCS Sport
photo:CorVos, RCS Sport
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