ミュール・ド・ブルターニュでの激戦を終え、ステージを制し、マイヨジョーヌに返り咲いたタデイ・ポガチャルは「完璧な展開だった」とチームを讃えた。僅差で敗れたヴィンゲゴーや手応えを語ったエヴェネプールなど、ツール7日目を選手たちの言葉で振り返る。



ステージ優勝&マイヨジョーヌ&マイヨヴェール タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)

集団スプリントを制したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

この勝利がとても嬉しい。僕らはほぼ完璧な走りを見せた。不運にも落車してしまったジョアン(アルメイダ)の無事を祈る。もし彼がレースを続けられなくなってしまったのなら、この勝利を彼に捧げたい。彼の無事を心から願っているよ。

今日の終盤は僕とマチュー(ファンデルプール)が良く知った(2021年に勝利を争った)レイアウトだった。共にこの象徴的な登りでの勝利を狙い、残念ながら彼は昨日の疲れもあり、リマッチとはならなかった。僕らとしてはプラン通りにレースが進み、信じられない勝利となった。

再びマイヨジョーヌに袖を通したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

チームメイト全員が完璧な走りを見せてくれた。今日は暑く、身体を冷やすことに注力した。それにスピードが速く、厳しいレースとなった。そしてチームは僕を最終山岳の麓まで良い位置で導いてくれた。本来ならばそこにジョアンがいればよかったのだが、代わりにジョニー(ナルバエス)が最終盤で前に出た。そのおかげで最後のスプリントまで展開を落ち着かせてくれた。僕にとって完璧な展開だったよ。

ステージ2位&総合4位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)

ミュール・ド・ブルターニュで牽引するサイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

今日は調子がよく、チームメイトの素晴らしい走りのおかげで、今日もトラブルに巻き込まれることはなかった。2位は満足の結果。もっと上を狙えたかもしれないけれどね。ツール1週目は、何度か総合争いが繰り広げられた本当に厳しい戦いとなっている。これから待ち受ける山岳ステージが楽しみだ。なぜなら僕には強いチームがいる。全力で挑みたい。

ステージ3位&総合7位 オスカー・オンリー(イギリス、ピクニック・ポストNL)

最後の登りでは、あまり戦略的なことを考えて走っていなかった。調子が良ければ極限状態でも自然と正しい判断ができるもの。先頭の3名(ポガチャル、ヴィンゲゴー、エヴェネプール)の動きに駆け引きはあったけど、その後ろは皆、(登りの)序盤から既に限界だった。彼らがとにかくすごいスピードで入っていった。最後はスプリント勝負になり、3位という結果には満足している。

ステージ6位&マイヨブラン(ヤングライダー賞) レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)

最後にスプリントする力はなかったが、ティム・ウェレンスが加速後、先頭集団に入ることができた。自分が出来る走りはしたし、最善の結果を狙うことができた。ヴィスマが最初の登り(ミュール・ド・ブルターニュ)でペースを上げたのに、最後に何もしなかったことは不思議に思った。ただ、タデイ(ポガチャル)が前を牽引するウェレンスに「行け」と叫び、彼の役割が終わったあと、タデイの背後につくことができた。

今日だけで12秒差がついたが、重要なのは自分の調子が右肩上がりだということ。今日も世界最高のクライマーである2名についていくことができた。それは僕の調子が上がっている証拠。だから自信がついてきているし、このレベルを維持したい。

最終山岳で遅れたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)

マイヨジョーヌを纏うマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:A.S.O.

ミュール・ド・ブルターニュは厳しい登り。4年前にここで勝てたことを誇りに思うほどだ。今日は1度目の登坂でも遅れそうになった。4年前と違うのは、あの日が大会2日目だったということ。先頭集団に食らいつくには絶好調でないと難しい。今日はそうではなかった。

2週目以降のコースレイアウトはまだ確認していない。既に成功のツールとなっているが、もちろん2週目も3週目も、ステージ優勝を狙いに行く。

逃げに乗ったゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)

55kmのアタック合戦を経て、形成された5名の逃げグループ photo:CorVos

逃げを目指した激しい戦いが繰り広げられ、良いサイズの集団ならば自分も乗ろうとトライした。UAEとアルペシンがレース展開をコントロールしようとして、僕ら5名は抗ったのだが上手くはいかなかった。

あまり逃げに乗ることはないので、いつもとは違った気持ちがした。昨年も2度逃げたが、その時は逃げ切った集団に入ったからね。チームに前向きな雰囲気を吹き込むために逃げた。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.