8月12日に開幕したポストノルド・ツアー・オブ・デンマーク初日、地元デンマークのマッズ・ピーダスン(リドル・トレック)が快勝。チームメイトのマティアス・スケルモースによる完璧なリードアウトからスプリントを制し、3度目の総合優勝へ向けて最高のスタートを切った。



ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:PostNord Tour of Denmark
マグナス・コルト(デンマーク、ウノエックス・モビリティ) photo:PostNord Tour of Denmark


デンマーク・ナショナルチームの一員として出場したヤコブ・フルサン photo:PostNord Tour of Denmark

今年最後のグランツール、ブエルタ・ア・エスパーニャの開幕を2週間後に控えた8月12日、北欧のデンマークにてポストノルド・ツアー・オブ・デンマーク(UCI2.Pro)が開幕した。今年6月にワールドツアーレースのコペンハーゲン・スプリントが初開催されたが、ステージレースとしては本大会がデンマーク最大を誇る。厳しい山岳ステージは登場せず、平坦と丘陵ステージに個人タイムトライアルを加えた構成のため、歴代の総合優勝者にはスピードと独走力を兼ね備えたマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)などの名が刻まれている。

出場メンバー125名の中には3度目の総合優勝を狙い、またブエルタへのコンディション調整も目論むピーダスンも名を連ねた。スプリンターではヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)がツール・ド・フランスでの落車リタイアを経て復帰レースとして臨んだほか、デンマークの次代を担う総合エース候補で、今年のアムステルゴールドレースを制したマティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック)も顔を揃えた。

8月12日に開幕したポストノルド・ツアー・オブ・デンマーク photo:PostNord Tour of Denmark

大会初日はバルト海に浮かぶボーンホルム島を巡る178.3kmの丘陵ステージ。終盤に3度設定された1級山岳は、とはいえ登坂距離1kmに満たない700mの急坂であり、ピュアスプリンターには厳しいレイアウトとなった。レースはヴィクトル・フェルクーイェ(ベルギー、フランダース・バロワーズ)ら6名が逃げを形成し、ピーダスンでの勝利を狙うリドル・トレックがメイン集団のペースコントロールを担った。

5名に減った逃げ集団は50秒のリードで1つ目の1級山岳に突入。するとプロトンではセーアン・クラーウアナスン(デンマーク、リドル・トレック)がアタックを仕掛ける。これは、集団スプリントだけでなく多様な攻撃パターンを持つリドル・トレックによる揺さぶりだったが、分裂したプロトンはすぐにクラーウアナスンを吸収。その後のピーダスンのアタックには、スロバキア王者ルカシュ・クビシュ(ユニベット・ティテマ・ロケッツ)だけが食らいつき、やがて3名が合流して新たな追走集団が形成された。

マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)のアタックにルカシュ・クビシュ(スロバキア、ユニベット・ティテマ・ロケッツ)が反応した photo: Lidl - Trek

先行する5名の逃げを同数の追走集団が追いかける展開となり、両者は合流して一つの集団となる。この精鋭集団にスケルモースとピーダスンという二枚看板を送り込んだリドル・トレックは、有利な状況のまま残り1km地点を通過。スプリントを避けたいフェルクーイェのアタックも、スケルモースが完璧に引き戻し、小集団によるスプリントをピーダスンが危なげなく制した。

集団スプリントを制したマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:PostNord Tour of Denmark

母国レースの開幕戦で勝利したマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo: Lidl - Trek

「文句なしの結果だ。(精鋭集団は)上手く協調ができ、スケルモースが素晴らしいリードアウトをしてくれた。デンマーク出身だから道の特性は把握しているが、大きな道から狭い小道に入ることが多く、集団はゴムバンドのように伸び縮みした。チームとして複数の勝ち筋を持てる、理想的かつ完璧な状況を作り出すことができた」と、大会通算5勝目を飾ったピーダスンは喜びを語った。
ポストノルド・ツアー・オブ・デンマーク2025第1ステージ
1位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) 4:03:45
2位 ルカシュ・クビシュ(スロバキア、ユニベット・ティテマ・ロケッツ)
3位 コンラ・ハウグステ(デンマーク、チーム・コロクイック)
4位 ニクラス・ラーセン(デンマーク、BHS・PLベトン・ボーネホルム)
5位 ウィリアム・ブルームレヴィ(デンマーク、ウノエックス・モビリティ)
個人総合成績
1位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) 4:03:35
2位 ルカシュ・クビシュ(スロバキア、ユニベット・ティテマ・ロケッツ) +0:04
3位 コンラ・ハウグステ(デンマーク、チーム・コロクイック) +0:05
4位 ユリウス・ヨハンセン(デンマーク、UAEチームエミレーツXRG) +0:08
5位 ニクラス・ラーセン(デンマーク、BHS・PLベトン・ボーネホルム) +0:10
その他の特別賞
ポイント賞 マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)
山岳賞 コンラ・ハウグステ(デンマーク、チーム・コロクイック)
ヤングライダー賞 コンラ・ハウグステ(デンマーク、チーム・コロクイック)
チーム総合成績 リドル・トレック
text:Sotaro.Arakawa
photo:PostNord Tour of Denmark