ドイツのワンデーレース、ADACクラシックスで劇的な逃げ切りが決まる。ローリー・タウンセンド(アイルランド、Q36.5プロサイクリング)がタイム差なしの0秒で集団を振り切り、キャリアハイとなるワールドツアー初勝利を掴んだ。

今シーズン初レースとなったクリストフ・ラポルト(フランス、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos
ヨーロッパ随一の港湾都市ハンブルクを舞台に「ADACクラシックス」が開催された。1996年に初開催され、コロナ禍による中止などを乗り越え今年28回目を迎えたこのレースは、エッシュボルン・フランクフルトと並ぶドイツのワールドツアーレース。昨年まではベーメル・サイクラシックスの名称で知られ、短い丘が連続するもののコース難易度は比較的低く、歴代優勝者にはスプリンターの名が連なる。
今大会にはジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)やヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)、ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)など世界トップのスピードマンたちが集結。また、ヴィスマ・リースアバイクは前回覇者オラフ・コーイ(オランダ)が体調不良で欠場したものの、ワウト・ファンアールト(ベルギー)をエースに据えた。また疲労感や体調不良を引き起こすサイトメガロウイルス感染から復帰し、今シーズン初レースとなったクリストフ・ラポルト(フランス)も出場した。

ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)ら4名がエスケープ photo:CorVos

複数のチームが先頭を牽引したプロトン photo:CorVos
レースが動くと、36歳のベテラン、ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)ら4名が逃げグループを形成。メイン集団は最大5分半のリードを許したが、やがてUAEチームエミレーツXRGやリドル・トレック、アルペシン・ドゥクーニンクなどエーススプリンターを擁するチームがペースコントロールを開始した。しかし、そのペースにツール・ド・フランスのマイヨヴェール(ポイント賞)獲得者であるミランが遅れ、フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)も落車するなど、有力選手たちが次々と脱落していった。
エーススプリンターを失ったリドル・トレックは、急坂でマティアス・ヴァチェク(チェコ)が加速して集団の人数を絞りにかかる。これをきっかけに集団はさらにペースアップし、逃げとのタイム差は一気に縮まる。しかし、逃げグループもここから粘りを見せ、オリヴェイラとヨハン・ヤコブス(スイス、グルパマFDJ)、ローリー・タウンセンド(アイルランド、Q36.5プロサイクリング)が先頭を維持したまま、集団と10秒差でラスト3kmに突入した。

集団の猛追を振り切り、フィニッシュしたローリー・タウンセンド(アイルランド、Q36.5プロサイクリング) photo:CorVos

劇的な逃げ切りを決めたローリー・タウンセンド(アイルランド、Q36.5プロサイクリング) photo:CorVos
スプリンターを擁するチームが背後から必死にスピードを上げて猛追する中、タウンセンドが残り200mからスプリントを開始。集団は先行していたオリヴェイラとヤコブスを飲み込み、最後に残ったタウンセンドに猛然と迫る。しかし、アイルランド王者はそのままフィニッシュに先着し、見事な逃げ切りで金星を挙げた。
ワールドツアーの大舞台でキャリアハイとなる劇的な逃げ切り勝利を飾ったタウンセンドは、レースをこう振り返る。「今日は逃げに乗ると心に決めていた。集団が迫っていることを感じ、チームカーからはそのタイム差を秒数単位で知られていた。すぐ後ろまで迫っているのは分かっていたが、残り1kmでその姿が見えた瞬間、少し自信が湧いてきたんだ。僕の方が一緒に逃げた2名よりもスプリントがあると分かっていたからね。最後はできる限りエアロポジションをとり、全力で踏み込んだ」。

表彰台でキャリアハイの勝利を喜ぶローリー・タウンセンド(アイルランド、Q36.5プロサイクリング) photo:CorVos
タウンセンドは2023年にボルトンエクイティース・ブラックスポークプロサイクリングでプロデビューした30歳。前チームの解散に伴い、現在のQ36.5プロサイクリングに移籍し、今年6月には自身2度目となるアイルランド国内王者に輝いていた。
なお、2位は集団スプリントの先頭を獲ったアルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット)で、ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)が3位に入り、表彰台に上がった。

ヨーロッパ随一の港湾都市ハンブルクを舞台に「ADACクラシックス」が開催された。1996年に初開催され、コロナ禍による中止などを乗り越え今年28回目を迎えたこのレースは、エッシュボルン・フランクフルトと並ぶドイツのワールドツアーレース。昨年まではベーメル・サイクラシックスの名称で知られ、短い丘が連続するもののコース難易度は比較的低く、歴代優勝者にはスプリンターの名が連なる。
今大会にはジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)やヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)、ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)など世界トップのスピードマンたちが集結。また、ヴィスマ・リースアバイクは前回覇者オラフ・コーイ(オランダ)が体調不良で欠場したものの、ワウト・ファンアールト(ベルギー)をエースに据えた。また疲労感や体調不良を引き起こすサイトメガロウイルス感染から復帰し、今シーズン初レースとなったクリストフ・ラポルト(フランス)も出場した。


レースが動くと、36歳のベテラン、ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)ら4名が逃げグループを形成。メイン集団は最大5分半のリードを許したが、やがてUAEチームエミレーツXRGやリドル・トレック、アルペシン・ドゥクーニンクなどエーススプリンターを擁するチームがペースコントロールを開始した。しかし、そのペースにツール・ド・フランスのマイヨヴェール(ポイント賞)獲得者であるミランが遅れ、フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)も落車するなど、有力選手たちが次々と脱落していった。
エーススプリンターを失ったリドル・トレックは、急坂でマティアス・ヴァチェク(チェコ)が加速して集団の人数を絞りにかかる。これをきっかけに集団はさらにペースアップし、逃げとのタイム差は一気に縮まる。しかし、逃げグループもここから粘りを見せ、オリヴェイラとヨハン・ヤコブス(スイス、グルパマFDJ)、ローリー・タウンセンド(アイルランド、Q36.5プロサイクリング)が先頭を維持したまま、集団と10秒差でラスト3kmに突入した。


スプリンターを擁するチームが背後から必死にスピードを上げて猛追する中、タウンセンドが残り200mからスプリントを開始。集団は先行していたオリヴェイラとヤコブスを飲み込み、最後に残ったタウンセンドに猛然と迫る。しかし、アイルランド王者はそのままフィニッシュに先着し、見事な逃げ切りで金星を挙げた。
ワールドツアーの大舞台でキャリアハイとなる劇的な逃げ切り勝利を飾ったタウンセンドは、レースをこう振り返る。「今日は逃げに乗ると心に決めていた。集団が迫っていることを感じ、チームカーからはそのタイム差を秒数単位で知られていた。すぐ後ろまで迫っているのは分かっていたが、残り1kmでその姿が見えた瞬間、少し自信が湧いてきたんだ。僕の方が一緒に逃げた2名よりもスプリントがあると分かっていたからね。最後はできる限りエアロポジションをとり、全力で踏み込んだ」。

タウンセンドは2023年にボルトンエクイティース・ブラックスポークプロサイクリングでプロデビューした30歳。前チームの解散に伴い、現在のQ36.5プロサイクリングに移籍し、今年6月には自身2度目となるアイルランド国内王者に輝いていた。
なお、2位は集団スプリントの先頭を獲ったアルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット)で、ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)が3位に入り、表彰台に上がった。
ADACクラシックス2025結果
1位 | ローリー・タウンセンド(アイルランド、Q36.5プロサイクリング) | 4:24:06 |
2位 | アルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット) | |
3位 | ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ) | |
4位 | ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | |
5位 | ダニー・ファンポッペル(オランダ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | |
6位 | フレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
7位 | アントニオ・モルガド(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) | |
8位 | ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ) | |
9位 | マティス・ルーヴェル(フランス、イスラエル・プレミアテック) | |
10位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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