集団スプリントが濃厚と見られたジロ・デ・イタリア第15ステージで逃げ切り決まる。大都市ミラノでフレドリク・ドゥヴァーシュネス(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)が4名スプリントを制し、初出場のチームに初勝利をもたらした。
5月24日(日)第15ステージ
ヴォゲーラ〜ミラノ 157km(平坦)

ヴィンゲゴーを応援するファン photo:RCS Sport 
ガゼッタ紙で情報情報収集するファンデルリー photo:RCS Sport

前日勝者でマリアローザを纏うヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

ジロ・デ・イタリア第15ステージ image:RCS Sport 第109回ジロ・デ・イタリアの2週目を締めくくるのは、ヴォゲーラからミラノに向かう157kmの平坦路だ。ミラノに入ってからは16.3kmコースを4周し、幅の広い大通りを進んでいくレイアウト。予想はもちろん、前日の厳しい山岳ステージを耐えたピュアスプリンターたちによる競演だった。
前日勝者でマリアローザを纏うヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)を先頭にスタートした大会は、マルティン・マルチェルージ(イタリア、バルディアーニCSF・7サベール)をキッカケにアタック合戦が始まる。それにフレドリク・ドゥヴァーシュネス(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)とポルティ・ヴィジットマルタの2名が反応し、さらにアルペシン・プレミアテックも逃げに選手を送り込もうとしたものの、スーダル・クイックステップが集団をシャットアウト。その結果、4名の逃げをプロトンが追う典型的なスプリントステージの展開となった。
ジロ第15ステージで逃げた4名
マルティン・マルチェルージ(イタリア、バルディアーニCSF・7サベール)
マッティア・バイス(イタリア、ポルティ・ヴィジットマルタ)
ミルコ・マエストリ(イタリア、ポルティ・ヴィジットマルタ)
フレドリク・ドゥヴァーシュネス(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)

ポルティ・ヴィジットマルタが2名を入れた逃げ集団 photo:CorVos

ジロ初勝利に向け、プロトンの牽引を担当したユニベット・ローズ・ロケッツ photo:RCS Sport
49.5km地点に設定された中間スプリントではマルチェルージが先頭通過。残る1ポイントはプロトンで争われ、前日に1点差でポイント賞の首位に立ったジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG)を、マリアチクラミーノを奪われたポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)が抑え込む。その結果、両者は131ポイントで並んだが、この時点では総合順位でより上位につけるナルバエスが保持する権利を有した。
その後、川を挟んだ対岸を走るアマチュアサイクリストに「(プロトンの)追走者」という矢印がつけられるほど、レースは展開なく進行し、ひたすらに真北のミラノを目指して進んでいく。そして1周16.3kmのコースに入り、プロトンの牽引にはスーダル・クイックステップに加え、ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ)でチームとしてのグランツール初勝利を狙うユニベット・ローズ・ロケッツが加わる。1度目のフィニッシュ地点を通過した残り65.2km地点で、その差は2分4秒だったため、誰しもが集団スプリントでの決着を疑わなかった。
リドル・トレックも牽引に協力を開始したプロトンは、逃げとのタイム差を2分前後で保ち、周回コースを進んでいく。しかしミラノ市街地の路面は選手たちの身体が弾むほど荒れており、大集団の走行には危険と思われるフェンスなどの障害物も多かった。そのためマリアローザを着るヴィンゲゴーはコミッセール(審判員)の乗る車に近づき、選手たちから挙がった不満を代表して伝えた。その意見は認められ、通常であれば残り5km地点に設定される総合タイムの計測地点が、ラスト1周が始まる3度目のフィニッシュ地点(残り16.3km地点)に変更された。

コミッセールと交渉したヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

ミラノの市街地コースでもリードを維持したフレドリク・ドゥヴァーシュネス(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)ら逃げ集団 photo:CorVos

逃げとの差がなかなか縮まらないプロトン photo:CorVos
これによりスプリンターチームは、集団前方で総合エースを守りたいチームと位置を争わなくてよくなった。集団先頭はリドル・トレックやスーダル・クイックステップが代わる代わる牽引し、逃げとの差は最終ラップに入る手前、残り17.5km地点で1分を切る。総合系のチームが後ろに下がり、ここからスプリントに向け激しい位置取り争いが繰り広げられると思いきや、ここから逃げの4名が驚異的な粘りを見せる。
順調に1分を切ったタイム差だったが、プロトンはそれ以下にすることができない。逃げの4名は残り10km地点でも45秒差を保ち、徐々に焦りを覚えてきたスプリンターチームはリードアウト要員を牽引に送り、リドル・トレックはこの日の役割を終えたはずの総合9位、デレク・ジーウェスト(カナダ)まで牽引させる事態に。残り5kmのバナーでその差は27秒。そして結局、プロトンは逃げの4名を引き戻す事はできなかった。
バイスがスプリント力で勝るマエストリのために先頭で牽引しながら最終ストレートに突入。バイスの番手についていたドゥヴァーシュネスが後方の様子を伺いながら踏み始め、身体を振らない綺麗なスプリントを開始する。その背後からマエストリ、そしてマルチェルージが迫ったが、ドゥヴァーシュネスがフィニッシュラインに先着した。

プロトンを振り切り、真っ先にスプリントを開始したフレドリク・ドゥヴァーシュネス(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) photo:CorVos

金星を挙げたフレドリク・ドゥヴァーシュネス(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) photo:CorVos
誰しもが集団スプリントと思ったステージで、まさかの逃げ切りを決めたドゥヴァーシュネス。「ともに逃げたイタリア人の3名はとても協力的だったし、逃げ切り勝利するのは得意だから自信があった。勝利を意識したのは残り5km地点ぐらい。だけど重要なのは何をするかで、その結果何が起きるかまでは考えないようにすることが大事なんだ。チームには冗談で『スプリントステージでプロトンを騙してやる』と言っており、それを実現できた。本当に素晴らしいよ」とレースを振り返り、そしてジロ初出場でステージ優勝をもたらしたことを喜んだ。
ドゥヴァーシュネスは2022年にウノエックスでプロデビューした29歳で、これがプロ7勝目。2025年のティレーノ〜アドリアティコ第5ステージでは同様に逃げ切り勝利を飾っており、グランツールでの初勝利もまた、得意の逃げ切りから掴むこととなった。

表彰式で雄叫びを挙げたフレドリク・ドゥヴァーシュネス(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) photo:CorVos

マリアローザを着て第2休息日を迎えるヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos
57秒遅れでやってきたプロトンによる5位争いは、マニエがフルーネウェーヘンらを退けて先着。そのため18ポイントを加算し、前日に失ったマリアチクラミーノを1日で奪還した。なお、逃げ切りを許した原因については「周回コースがテクニカルだったため、逃げに有利だった」としながらも「ラスト20kmをあれだけ高速で走ったのにもかかわらず、なぜ逃げを捉えられなかったのかを説明するのは難しい」と語っている。
また、追走に尽力したマキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、リドル・トレック)は逃げ切りを許した一因としてモーターバイクの存在を指摘。逃げ集団を映すカメラバイクが近くで撮影したため、逃げ集団の風よけになり、そのスピードを押し上げていたと主張している。
5月24日(日)第15ステージ
ヴォゲーラ〜ミラノ 157km(平坦)




前日勝者でマリアローザを纏うヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)を先頭にスタートした大会は、マルティン・マルチェルージ(イタリア、バルディアーニCSF・7サベール)をキッカケにアタック合戦が始まる。それにフレドリク・ドゥヴァーシュネス(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)とポルティ・ヴィジットマルタの2名が反応し、さらにアルペシン・プレミアテックも逃げに選手を送り込もうとしたものの、スーダル・クイックステップが集団をシャットアウト。その結果、4名の逃げをプロトンが追う典型的なスプリントステージの展開となった。
ジロ第15ステージで逃げた4名
マルティン・マルチェルージ(イタリア、バルディアーニCSF・7サベール)
マッティア・バイス(イタリア、ポルティ・ヴィジットマルタ)
ミルコ・マエストリ(イタリア、ポルティ・ヴィジットマルタ)
フレドリク・ドゥヴァーシュネス(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)


49.5km地点に設定された中間スプリントではマルチェルージが先頭通過。残る1ポイントはプロトンで争われ、前日に1点差でポイント賞の首位に立ったジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG)を、マリアチクラミーノを奪われたポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)が抑え込む。その結果、両者は131ポイントで並んだが、この時点では総合順位でより上位につけるナルバエスが保持する権利を有した。
その後、川を挟んだ対岸を走るアマチュアサイクリストに「(プロトンの)追走者」という矢印がつけられるほど、レースは展開なく進行し、ひたすらに真北のミラノを目指して進んでいく。そして1周16.3kmのコースに入り、プロトンの牽引にはスーダル・クイックステップに加え、ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ)でチームとしてのグランツール初勝利を狙うユニベット・ローズ・ロケッツが加わる。1度目のフィニッシュ地点を通過した残り65.2km地点で、その差は2分4秒だったため、誰しもが集団スプリントでの決着を疑わなかった。
リドル・トレックも牽引に協力を開始したプロトンは、逃げとのタイム差を2分前後で保ち、周回コースを進んでいく。しかしミラノ市街地の路面は選手たちの身体が弾むほど荒れており、大集団の走行には危険と思われるフェンスなどの障害物も多かった。そのためマリアローザを着るヴィンゲゴーはコミッセール(審判員)の乗る車に近づき、選手たちから挙がった不満を代表して伝えた。その意見は認められ、通常であれば残り5km地点に設定される総合タイムの計測地点が、ラスト1周が始まる3度目のフィニッシュ地点(残り16.3km地点)に変更された。



これによりスプリンターチームは、集団前方で総合エースを守りたいチームと位置を争わなくてよくなった。集団先頭はリドル・トレックやスーダル・クイックステップが代わる代わる牽引し、逃げとの差は最終ラップに入る手前、残り17.5km地点で1分を切る。総合系のチームが後ろに下がり、ここからスプリントに向け激しい位置取り争いが繰り広げられると思いきや、ここから逃げの4名が驚異的な粘りを見せる。
順調に1分を切ったタイム差だったが、プロトンはそれ以下にすることができない。逃げの4名は残り10km地点でも45秒差を保ち、徐々に焦りを覚えてきたスプリンターチームはリードアウト要員を牽引に送り、リドル・トレックはこの日の役割を終えたはずの総合9位、デレク・ジーウェスト(カナダ)まで牽引させる事態に。残り5kmのバナーでその差は27秒。そして結局、プロトンは逃げの4名を引き戻す事はできなかった。
バイスがスプリント力で勝るマエストリのために先頭で牽引しながら最終ストレートに突入。バイスの番手についていたドゥヴァーシュネスが後方の様子を伺いながら踏み始め、身体を振らない綺麗なスプリントを開始する。その背後からマエストリ、そしてマルチェルージが迫ったが、ドゥヴァーシュネスがフィニッシュラインに先着した。


誰しもが集団スプリントと思ったステージで、まさかの逃げ切りを決めたドゥヴァーシュネス。「ともに逃げたイタリア人の3名はとても協力的だったし、逃げ切り勝利するのは得意だから自信があった。勝利を意識したのは残り5km地点ぐらい。だけど重要なのは何をするかで、その結果何が起きるかまでは考えないようにすることが大事なんだ。チームには冗談で『スプリントステージでプロトンを騙してやる』と言っており、それを実現できた。本当に素晴らしいよ」とレースを振り返り、そしてジロ初出場でステージ優勝をもたらしたことを喜んだ。
ドゥヴァーシュネスは2022年にウノエックスでプロデビューした29歳で、これがプロ7勝目。2025年のティレーノ〜アドリアティコ第5ステージでは同様に逃げ切り勝利を飾っており、グランツールでの初勝利もまた、得意の逃げ切りから掴むこととなった。


57秒遅れでやってきたプロトンによる5位争いは、マニエがフルーネウェーヘンらを退けて先着。そのため18ポイントを加算し、前日に失ったマリアチクラミーノを1日で奪還した。なお、逃げ切りを許した原因については「周回コースがテクニカルだったため、逃げに有利だった」としながらも「ラスト20kmをあれだけ高速で走ったのにもかかわらず、なぜ逃げを捉えられなかったのかを説明するのは難しい」と語っている。
また、追走に尽力したマキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、リドル・トレック)は逃げ切りを許した一因としてモーターバイクの存在を指摘。逃げ集団を映すカメラバイクが近くで撮影したため、逃げ集団の風よけになり、そのスピードを押し上げていたと主張している。
ジロ・デ・イタリア2026第15ステージ結果
| 1位 | フレドリク・ドゥヴァーシュネス(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) | 3:03:18 |
| 2位 | ミルコ・マエストリ(イタリア、ポルティ・ヴィジットマルタ) | |
| 3位 | マルティン・マルチェルージ(イタリア、バルディアーニCSF・7サベール) | |
| 4位 | マッティア・バイス(イタリア、ポルティ・ヴィジットマルタ) | |
| 5位 | ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ) | +0:57 |
| 6位 | ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユニベット・ローズ・ロケッツ) | |
| 7位 | トビアスルンド・アンドレースン(デンマーク、デカトロンCMA CGM) | |
| 8位 | イーサン・ヴァーノン(イギリス、NSNサイクリングチーム) | |
| 9位 | ポール・ペンウェット(フランス、グルパマFDJユナイテッド) | |
| 10位 | ルカ・モッツァート(イタリア、チューダープロサイクリング) |
マリアローザ(個人総合成績)
| 1位 | ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | 59:12:56 |
| 2位 | アフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス) | +2:26 |
| 3位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM) | +2:50 |
| 4位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、ネットカンパニー・イネオス) | +3:03 |
| 5位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +3:43 |
| 6位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +4:22 |
| 7位 | マイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダープロサイクリング) | +4:46 |
| 8位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) | +5:22 |
| 9位 | デレク・ジーウェスト(カナダ、リドル・トレック) | +5:41 |
| 10位 | ダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア、ヴィスマ・リースアバイク) | +6:13 |
マリアチクラミーノ(ポイント賞)
| 1位 | ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ) | 145pts |
| 2位 | ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG) | 131pts |
| 3位 | ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) | 78pts |
マリアアッズーラ(山岳賞)
| 1位 | ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | 161pts |
| 2位 | ヤルディ・ファンデルリー(オランダ、EFエデュケーション・イージーポスト) | 77pts |
| 3位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) | 75pts |
マリアビアンカ(ヤングライダー賞)
| 1位 | アフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス) | 59:15:22 |
| 2位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +1:56 |
| 3位 | ダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア、ヴィスマ・リースアバイク) | +3:47 |
チーム総合成績
| 1位 | ヴィスマ・リースアバイク | 177:56:57 |
| 2位 | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +0:24 |
| 3位 | チューダープロサイクリング | +22:05 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, RCS Sport
photo:CorVos, RCS Sport
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