スプリンターたちのツール・ド・フランス前哨戦である5日間のバロワーズ・ベルギーツアーが閉幕。最終日のスプリントを制したヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・プレミアテック)が、自身初となる総合優勝にも輝き、ツールに向けて好調ぶりをアピールした。



母国ベルギーでのツール・ド・フランスの前哨戦に臨んだヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・プレミアテック) photo:CorVos

タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)が区間3勝で総合優勝したツール・ド・スイスと時を同じく、6月17日から21日までの5日間にわたり行われたバロワーズ・ベルギーツアー(UCI2.Pro)。その名の通り自転車大国ベルギーを舞台にしたステージレースで、初開催は1908年。ステージレースではツールに次いで世界で2番目に古い、歴史深い大会だ。

その特徴は山岳が登場しないこと。そのためスプリンターたちがツール・ド・フランスの前哨戦として使い、今大会もヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・プレミアテック)やティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)、オラフ・コーイ(オランダ、デカトロンCMA CGM)とツールに出場するスピードマンが勢揃い。連日、白熱のスプリントが繰り広げられた。

初日スプリントを制したビニヤム・ギルマイ(エリトリア、NSNサイクリングチーム) photo:CorVos

初日は2箇所の未舗装路区間が含まれたコースを4周する188.3kmで争われた。フアン・モラノ(コロンビア)が途中棄権し、エーススプリンターを失ったUAEチームエミレーツXRGからは、ルネ・ヘレホーツ(ベルギー)が終盤に単独アタック。これは最終ストレートで引き戻されると、XDSアスタナのリードアウトからマックス・カンター(ドイツ)が好位置からスプリントを開始。しかし勝ったのは、コース真ん中でトップスピードに乗ったビニヤム・ギルマイ(エリトリア、NSNサイクリングチーム)だった。

2日目はよりピュアスプリンターたちの戦いとなった。この日もXDSアスタナが集団先頭に人数を固めたが、連続するコーナーで崩壊。エースたちが自ら位置取りを強いられる混沌のスプリントで、真っ先にメルリールがスプリントを開始した。前日2位だったメルリールのスピードはフィニッシュ手前から始まる緩斜面でも落ちることなく、迫るコーイを退け、勝利した。

2日目の登りスプリントを制したティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

3日目は6つの丘を越える、今大会のクイーンステージといえるレイアウト。そのためピュアスプリンターは遅れ、唯一フィリプセンが精鋭集団に残る。フィニッシュ手前の登りではトーン・アールツ(ベルギー、ロット・アンテルマルシェ)が先行するものの、集団に飲み込まれ、アレックス・アランブル(スペイン、コフィディス)が接戦の登坂スプリントを制した。

4日目は典型的な集団スプリントで決着した。先にスプリントしたソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)を後続の選手たちが抜いていき、4名がハンドルを投げる接戦を、コーイが制した。今年ヴィスマ・リースアバイクから加入したものの、ウイルス感染による体調不良が続いたコーイが、今年3勝目を挙げた。

大会最終日は数多くのアタックが巻き起こった。しかし終盤のヨナス・アブラハムセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)によるアタックも捕まり、勝負は集団スプリントへ。緩い最終右コーナーを抜け、コース左側でもがいたフィリプセンが勝利した。

最終日スプリントで先着したヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・プレミアテック) photo:CorVos

自身初となるステージレースの総合優勝に輝いたヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・プレミアテック) photo:CorVos

この結果、ボーナスタイムを加算し、自身初となるステージレースの総合優勝にも輝いたフィリプセン。「母国ベルギーで勝利とともに総合優勝できて誇りに思う」と語り、またマチュー・ファンデルプール(オランダ)とともに臨む大一番を前に「ツール・ド・フランスに向けた準備はほとんど終わっている。あとはフレッシュさと良い脚を取り戻し、可能な限りベストな状態に仕上げていきたい」と意気込んだ。
バロワーズ・ベルギーツアー2026
第1ステージ
1位 ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、NSNサイクリングチーム) 4:05:50
2位 ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
3位 マックス・カンター(ドイツ、XDSアスタナ)
第2ステージ
1位 ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) 4:18:31
2位 オラフ・コーイ(オランダ、デカトロンCMA CGM)
3位 ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・プレミアテック)
第3ステージ
1位 アレックス・アランブル(スペイン、コフィディス) 4:07:28
2位 ルイス・アスキー(イギリス、NSNサイクリングチーム)
3位 カルロス・カナル(スペイン、モビスター)
第4ステージ
1位 オラフ・コーイ(オランダ、デカトロンCMA CGM) 4:07:42
2位 ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
3位 ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・プレミアテック)
第5ステージ
1位 ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・プレミアテック) 4:04:17
2位 イェノ・ベルクムース(ベルギー、ロット・アンテルマルシェ)
3位 マックス・カンター(ドイツ、XDSアスタナ)
個人総合成績
1位 ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・プレミアテック) 20:43:26
2位 イェノ・ベルクムース(ベルギー、ロット・アンテルマルシェ) +0:05
3位 アレックス・アランブル(スペイン、コフィディス) +0:09
その他の特別賞
ポイント賞 ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・プレミアテック)
ヤングライダー賞 エクトル・アルバレス(スペイン、リドル・トレック)
チーム総合成績 アルペシン・プレミアテック
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos