イタリアンタイヤブランドであるヴィットリアが手掛けるエントリーモデルのZAFFIROシリーズ。耐摩耗、耐パンクに優れる新しいエントリーモデルの「ZAFFIRO EVO」をCW編集部員の高木が1,000kmの実走テストを通してインプレッションしていく。



ヴィットリア ZAFFIRO EVO photo:Michinari TAKAGI

イタリアの老舗タイヤブランド、ヴィットリア。しなやかかつ軽快な乗り味で、プロやアマチュア問わず多くのサイクリストから愛されるレーシングタイヤ「CORSA」シリーズを筆頭に、セカンドモデル「RUBINO」やエントリーモデル「ZAFFIRO」などの様々なロードタイヤをラインアップしている。

そんな豊富なラインアップの中でもロングセラーのエントリーモデルであるZAFFIROシリーズの折り畳みモデル、『ZAFFIRO PRO』が、よりパフォーマンスを向上した『ZAFFIRO EVO』としてモデルチェンジを果たし、登場した。

センタースリックでサイドに網目状のタイヤパターン photo:Michinari TAKAGI

ZAFFIRO EVOは日々のハードなトレーニングや、毎日の通勤・通学、タフなロングライドを想定し、摩耗に強く、ガラス片や異物を踏んでもパンクしにくい頑丈さが最大の特徴。そのために、耐久性に優れた60TPIのナイロンケーシングを採用し、過酷な使用環境においても劣化しづらい耐久性を実現した。

走りに大きな影響を与えるコンパウンドにはヴィットリアの代名詞である先進素材「グラフェン」を配合。グラフェンの効果によって、転がり抵抗が低く、長距離を走っても摩耗しづらい特性と、コーナーリングや制動時などにはしっかりと路面をグリップするという、相反する性能を両立している。

フックレスリムにも対応した頑丈なビード photo:Michinari TAKAGI

タイヤのセンター部分には、フラッグシップモデルであるCORSAからインスパイアされた縦溝パターンを採用し、直進時の転がりの軽さと安定性に貢献。サイドには網目状のパターンを施すことで、グリップ性能を高めている。

新ETRTO規格に対応したサイズは700x23Cと25C、28C、30C、32Cの5サイズが展開され、使用用途に応じたタイヤ選びが可能となっている。なお、700x28C以上はフックレスリムに対応していることもポイントだ。

カラーはブラックとブラック/タンの2色をラインアップしている。 重量はカラーとタイヤ幅で異なるが、スタンダードになりつつある28Cではオールブラックが280g、ブラック/タンが270gとなっている。価格は3,993円(税込)。

それでは、インプレッションに移っていこう。



―編集部インプレッション

ヴィットリア ZAFFIRO EVOをテストするのはCW編集部員の高木 photo:Naoki Yasuoka

今回、ヴィットリア ZAFFIRO EVOをテストするのはCW編集部員の高木。これまで、ワールドツアーや国内レースでも使用率が高いフラッグシップの「CORSA PRO」、第5世代に進化を遂げたセカンドグレード「RUBINO」、耐久性に優れたオールシーズンタイヤである「RIDEARMOR」など様々なヴィットリアのタイヤをテストしてきた。

今回発表された「ZAFFIRO EVO」は23Cから32Cまで豊富なサイズが展開されて、どのタイヤ幅をテストするかは悩ましいところだが、近年のメインストリームである28Cをチョイス。ちょうどZAFFIRO EVOの5つのラインアップの中でも真ん中の設定でもある。

700x23Cから25C、28C、30C、32Cまで多くのタイヤ幅がラインアップされるが、今回は28Cをテストしていく photo:Michinari TAKAGI

エントリーグレードには固めのタイヤが多いなか、ZAFFIRO EVOを実際に手に取ると想像よりもしなやかなで柔らかい感触。CORSA PROやRUBINOといった上位グレードで感じられるヴィットリアの良さは、このZAFFIRO EVOにも引き継がれているようだ。実際、取り付け作業もスムーズに行え、出先でのパンク修理も心配無用。

28Cのオールブラックの重量は実測値で261g、とカタログスペックより約10gほど軽いのは嬉しい誤算。もちろん、上位モデルと比較してしまうと重量は嵩むが、トレーニングやデイリーユースを主目的に置いている以上、そこまで求めるのは酷というもの。気になるようであれば、安価で軽量なTPUチューブを組み合わせると良いのではないだろうか。

28Cのオールブラックでは実測値は261g photo:Michinari TAKAGI

さて、今回は耐久性にフォーカスを当てたタイヤということで、1,000kmほど乗り込んでみた。ヴィットリアのZAFFIROと言えば、不動のエントリーモデル。完成車についてくるタイヤで、別に悪くはないけど、次は上位グレードのタイヤに交換したい、といった立ち位置というイメージを持つベテランライダーは多いだろう。

かくいう私もその一人で、正直走行性能については、そこまで期待していなかった。安全性に直結するグリップがある程度確保されていれば文句は無い、というくらいのスタンスで走り出したのだが、その先入観は一漕ぎすると粉々に。

転がりの軽さのおかげで、激坂でもスムーズに登っていける photo:Naoki Yasuoka

ゼロ発進からもスムーズな加速感で、後ろに引っ張られるような抵抗は皆無。30~40km/hの高速域でも気持ちよく転がり、スピードを保ちやすい。ハイエンドモデルのCORSA PROやセカンドグレードのRUBINOの走りの良さに、確かにこのZAFFIRO EVOも連なっているのだと納得できるフィーリングだ。ヒルクライムでは重量面の影響もあり、初動で重さを感じてしまう場面もあったが、一旦進み始めてしまえば転がりの軽さのおかげでスムーズに登っていくことができる。

これだけ転がりが軽いと、むしろグリップが不安になってくるもの。高耐久モデルという位置付けもあり、耐摩耗性に優れた硬質なラバーを使用することで走りの軽さを実現しているのであれば、トレードオフとしてグリップが抑えられている可能性もある。

しかし、そんな穿った予想もZAFFIRO EVOには通用しなかった。CORSA譲りのグラフェンコンパウンドの効果なのだろうか、ハイスピードな峠の下りでも、不安を感じるようなシーンはゼロ。ヴィットリアらしいしなやかなサイドウォールとの相乗効果もあり、グリップ感をしっかりと感じ取れる、安心感のある乗り味だ。

1000km走行後のリアタイヤだが、摩耗は遅く、耐久性に優れている photo:Michinari TAKAGI

空気圧に関しても触れておこう。筆者は現在体重が59kgで、チューブレスでは3.8~4.5barの範囲で空気圧を微調整している。ちなみにZAFFIRO EVO 28Cは最大空気圧がフックドリムで7.0bar(101psi)、フックレスでは5.0bar(72psi)とタイヤサイドに示してある。今回のテストホイールはフックドリムのシマノ ULTEGRAであり、チューブレスより高圧になるクリンチャーということを考慮して4.0~7.0barの範囲で様々な空気圧を試していった。その結果、ドライでは5.0bar、ウェットでは4.5barがサイドウォールの腰砕け感がなく、コントロール性とグリップ力、そして転がり感のバランスが良いと感じた。

そして、このタイヤが主眼とする耐久性について。計1,000kmを超えるトレーニングや通勤ライドなどで、日常的にハードなライド環境で使用してきたが、タイヤの摩耗は遅く、センターが平らになったり、傷やヒビが入ることも無かった。もちろんパンクもゼロ。

ZAFFIRO EVOは耐久性や耐パンク性に優れ、トレーニングや通勤通学で日常的に自転車に乗るサイクリストにお勧めできるタイヤ photo:Naoki Yasuoka

この調子で行けば、3,000km程度は余裕で使い続けられることは間違いなさそう。体重や普段走るコースの路面状況にもよるだろうが、かなりの長距離をこなすことが出来るのではないだろうか。

エントリーモデルという位置付けながら、これまでのシリーズとは一線を画する走りを実現した最新世代のZAFFIRO。これだけの性能があれば、シリアスライダーのトレーニング用タイヤとしても必要十分。もちろんレースではより高性能なハイエンドモデルを履きたいが、前後セットで3万円を超えるタイヤを普段のライドから擦り減らすのはハードルが高い。長時間のトレーニングを積むライダーにとってメリハリをつけたタイヤ運用は、以前より現実的な選択となっている。そんな需要にピッタリハマるのが、このZAFFIRO EVOだ。



ヴィットリア ZAFFIRO EVO
タイプ:クリンチャー(チューブタイプ)/フォールディング
コンパウンド:Graphene配合
ケーシング:ナイロン 60TPI
リム対応:フックレスリム対応(700x28c以上)
カラー/サイズ(重量): 700×23c All Black(230g) 700×25c All Black(250g)/Black/Tan(240g) 700×28c All Black(280g)/Black/Tan(270g) 700×30c All Black(300g) 700×32c All Black(320g)
価格:3,993円(税込)
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