ABUSの中核エアロヘルメット「GAMECHANGER 2.0」に、日本人ライダーの声に応える形でラウンドフィットモデルが加わっている。ユーロフィットでは合わせづらかった丸型の頭部形状に対応することで、より幅広い層にエアロヘルメットの性能を届ける選択肢をテストした。

ABUS GAMECHANGER 2.0 RF(右)、左はグローバルフィット
錠前やケーブルロックなど防犯機器のメーカーとして知名度を築いてきた一方、近年は自転車用ヘルメットの分野でも存在感を強めているのがABUS(アブス)だ。ドイツで創業した老舗セキュリティブランドは、開発から製造までをイタリアの自社工場で一貫して手がける体制を敷き、ヘルメット市場においても高い品質評価を獲得している。
ロード用ラインアップでは、ワールドチームとの共同開発を重ねてきたエアロヘルメット「GAMECHANGER」シリーズが定番レースモデルとして位置づけられている。その2世代目にあたるGAMECHANGER 2.0は、初代モデルからエアロダイナミクスと冷却性能の両面をアップデート。現在ピナレロQ36.5の選手たちがレースで着用している。

ヘルメット上部にエアロと通気性を両立するエアロブレードが備えられている

エアロブレードの隙間から風が内側に導かれる
高速レースでの空気抵抗低減を狙うGAMECHANGER 2.0は、後部のカムテール形状は初代モデルより11%延長された。さらにヘルメット上部には、グリッド構造のプレート「エアロブレード」が配置され、速度域が低い場面ではエアインテークとして機能する一方、スプリントなどで前傾姿勢が深くなると空気の流入を抑える形状となっており、状況に応じてエアロ効果を最大化する。また、頭を8度伏せることで、時速46〜52kmという高速域での空力性能を磨き上げている。この結果、初代モデルとの比較で空力効果は約2〜5%向上したとされる。
エアロブレードが象徴するように通気性面でも妥協なく作り込まれている。額部分に設けられた横長のベンチレーションホールは空気の流入量を32%改善したとされ、取り込まれた風は深い溝を通って排気口まで直接流れる。積極的に風が排出される設計もあり、内部の空気流量は20%増加し、頭部にこもりがちな熱を継続的に逃がすことで冷却性能を高めている。

額部分の通気口は溝に直結しており、頭上を風が駆け抜ける 写真はグローバルフィットのポーラーホワイト
非常に優れた性能を有しながらも、GAMECHANGER 2.0はこれまでグローバル共通のフィッティングで展開されてきたことから、横幅がタイトに感じるという声が一部のライダーから寄せられていたのも実情だった。
一般的に、ヨーロッパの人の頭部は正面から見ると比較的丸みが少なく、上から見ると前後に長い楕円形に近い傾向があるとされる。対してアジア圏、とりわけ日本人の頭部は、正面から見るとハチが張った形状で、上から見ると丸型に近いといわれる。この違いにより、ヨーロッパ基準で設計されたヘルメットをかぶった際に、こめかみやハチ部分に圧迫感を覚えるケースが少なくなかった。GAMECHANGER 2.0のラウンドフィット(RF)モデルは、こうした頭部形状の差を踏まえて新設計された選択肢である。

左がラウンドフィット、右がグローバルフィット(Lサイズ)。ラウンドフィットの帽体形状が丸みを帯びており、グローバルフィットは横幅が狭め

左がラウンドフィット、右がグローバルフィット。頭頂部の形状も異なっている
ラウンドフィットモデルは、従来モデルの楕円形フィッティングから、より円形で幅の広い設計へと変更が加えられている。単純に横幅を拡張するだけでなく縦幅も同時に調整することで、被った際にいわゆるキノコ頭のようなシルエットにならないよう配慮されている点も特徴だ。サイクルモードをはじめとする展示会では発売前から試着の機会が設けられ、多くのライダーから好意的な評価を集めてきたという。
もちろん安全性能面では、JCF公認およびCE EN1089規格に適合しており、レース使用を前提とした基準を満たしている。ラインアップにはより高い保護性能を備えたMIPS搭載モデルも用意され、用途や好みに応じて選択できる構成となっている。
そんなラウンドフィットモデルをテスト。グローバルフィットとラウンドフィットを着用し比べ、実際にかぶった際の印象を確かめた。

「しっかりとフィットしたヘルメットは安全と安心感がある」高木三千成(シクロワイアード編集部)
GAMECHANGER 2.0のラウンドフィットモデルは、フィット感に関しては抜群にいいです。普段はMETとカスクならMサイズ、POCはグローバルフィットでL、アジアンフィットでMサイズ、カブトであればS/Mサイズで、ブランドによって選ぶサイズはまちまちですが、ABUSのラウンドフィットは各ブランドのM/L相当という印象でした。
頭周りは58cmあって、実はここが一番サイズ選びで悩むところなんです。ヘルメットはSサイズは入らないけど、MかLかどちらか。そんなサイズ選びをしていたのですが、このラウンドフィットはゆるすぎることもキツすぎることもなく、まさにジャストサイズの被り心地でした。
今回、グローバルフィットのモデルも試したんですが、Mサイズだと頭頂よりやや外側の二点にヘルメットが強く当たって、違和感が拭えないんですよね。Lにすればその違和感は多少和らぐものの、当たっている部分は変わらず、違和感が薄らぐ程度。Lはサイズとしては着用できる大きさなので、実際に着用し比べてみて選んでも良さそうです。

やや前傾した姿勢でも通気性とエアロを両立する
ラウンドフィットはピンポイントでストレスがかかることなく、頭全体にふわっと乗っている印象です。グローバルフィットとの被り心地の差は大きく、接触する部分が面で当たって圧力が分散されているため、長時間のライドでも快適さが維持されます。
額周りも同様で、こめかみが強く当たることもなく、額の形にきれいにフィットしている感覚がありました。グローバルフィットだとこめかみの二点が当たる一方で、額の中央にはスペースが空いてしまうんですが、ラウンドフィットはそこがぴったり埋まっています。しっかりとしたフィットがあるとヘルメットに守られている感覚も強く、安心してライドに集中できます。ストレスフリーに乗りたいならラウンドフィット一択だと感じました。

開口部は大きく、効率的に風を取り込む
性能面では、走り出してすぐに涼しいというタイプではなく、10km/hを超えたあたりから、上部のベンチレーション部分をしっかり風が抜けていくのがわかる、というタイプの涼しさでした。見た目はベンチレーションが最小限のエアロヘルメットで、通気口もそこまで大きくは見えないんですが、実際に被ってみると想像以上に涼しい。通気性に関してはかなり優秀だと思います。
停車時に熱がこもりやすいのがこの手のヘルメットの弱点になりがちですが、上部のメッシュのおかげか熱で不快ということはありませんでした。真夏だと流石に暑さを感じる場面もあると思いますが、白系のカラーを選べば多少はやわらげられるはずです。

ストレスなく、頭を包み込むようなフィットとなっている
速度が上がるほど風量も増えて涼しさは増していきますが、スプリントで頭を俯けると上部のメッシュパーツ部分の開口部から取り込まれる風が完全にシャットアウトされて「あ、止まった」とわかります。裏を返せば真っ直ぐ前を向いている時や、やや俯いているときはベンチレーションが機能しているということ。
加えて低速域から涼しいので、ヒルクライムのような場面でも思ったより熱くならず快適でした。速度域の高いヒルクライムレースでも十分通用すると思います。トッププロのステージレーサーたちが夏のレースでもずっとこれを被り続けているのを見ていますが、実際に被ってみるとその理由がよくわかる、誰にでも使いやすいヘルメットだと感じました。

ABUS GAMECHANGER 2.0 RF
ABUS GAMECHANGER 2.0 RF
カラー:SHINY WHITE、FLIPFLOP PURPLE、POLAR WHITE、RACE GREY、VELVET BLACK
価格:44,880円(税込)
ABUS GAMECHANGER 2.0 RF MIPS
カラー:SHINY WHITE、VELVET BLACK
価格:49,940円(税込)

錠前やケーブルロックなど防犯機器のメーカーとして知名度を築いてきた一方、近年は自転車用ヘルメットの分野でも存在感を強めているのがABUS(アブス)だ。ドイツで創業した老舗セキュリティブランドは、開発から製造までをイタリアの自社工場で一貫して手がける体制を敷き、ヘルメット市場においても高い品質評価を獲得している。
ロード用ラインアップでは、ワールドチームとの共同開発を重ねてきたエアロヘルメット「GAMECHANGER」シリーズが定番レースモデルとして位置づけられている。その2世代目にあたるGAMECHANGER 2.0は、初代モデルからエアロダイナミクスと冷却性能の両面をアップデート。現在ピナレロQ36.5の選手たちがレースで着用している。


高速レースでの空気抵抗低減を狙うGAMECHANGER 2.0は、後部のカムテール形状は初代モデルより11%延長された。さらにヘルメット上部には、グリッド構造のプレート「エアロブレード」が配置され、速度域が低い場面ではエアインテークとして機能する一方、スプリントなどで前傾姿勢が深くなると空気の流入を抑える形状となっており、状況に応じてエアロ効果を最大化する。また、頭を8度伏せることで、時速46〜52kmという高速域での空力性能を磨き上げている。この結果、初代モデルとの比較で空力効果は約2〜5%向上したとされる。
エアロブレードが象徴するように通気性面でも妥協なく作り込まれている。額部分に設けられた横長のベンチレーションホールは空気の流入量を32%改善したとされ、取り込まれた風は深い溝を通って排気口まで直接流れる。積極的に風が排出される設計もあり、内部の空気流量は20%増加し、頭部にこもりがちな熱を継続的に逃がすことで冷却性能を高めている。

非常に優れた性能を有しながらも、GAMECHANGER 2.0はこれまでグローバル共通のフィッティングで展開されてきたことから、横幅がタイトに感じるという声が一部のライダーから寄せられていたのも実情だった。
一般的に、ヨーロッパの人の頭部は正面から見ると比較的丸みが少なく、上から見ると前後に長い楕円形に近い傾向があるとされる。対してアジア圏、とりわけ日本人の頭部は、正面から見るとハチが張った形状で、上から見ると丸型に近いといわれる。この違いにより、ヨーロッパ基準で設計されたヘルメットをかぶった際に、こめかみやハチ部分に圧迫感を覚えるケースが少なくなかった。GAMECHANGER 2.0のラウンドフィット(RF)モデルは、こうした頭部形状の差を踏まえて新設計された選択肢である。


ラウンドフィットモデルは、従来モデルの楕円形フィッティングから、より円形で幅の広い設計へと変更が加えられている。単純に横幅を拡張するだけでなく縦幅も同時に調整することで、被った際にいわゆるキノコ頭のようなシルエットにならないよう配慮されている点も特徴だ。サイクルモードをはじめとする展示会では発売前から試着の機会が設けられ、多くのライダーから好意的な評価を集めてきたという。
もちろん安全性能面では、JCF公認およびCE EN1089規格に適合しており、レース使用を前提とした基準を満たしている。ラインアップにはより高い保護性能を備えたMIPS搭載モデルも用意され、用途や好みに応じて選択できる構成となっている。
そんなラウンドフィットモデルをテスト。グローバルフィットとラウンドフィットを着用し比べ、実際にかぶった際の印象を確かめた。

GAMECHANGER 2.0のラウンドフィットモデルは、フィット感に関しては抜群にいいです。普段はMETとカスクならMサイズ、POCはグローバルフィットでL、アジアンフィットでMサイズ、カブトであればS/Mサイズで、ブランドによって選ぶサイズはまちまちですが、ABUSのラウンドフィットは各ブランドのM/L相当という印象でした。
頭周りは58cmあって、実はここが一番サイズ選びで悩むところなんです。ヘルメットはSサイズは入らないけど、MかLかどちらか。そんなサイズ選びをしていたのですが、このラウンドフィットはゆるすぎることもキツすぎることもなく、まさにジャストサイズの被り心地でした。
今回、グローバルフィットのモデルも試したんですが、Mサイズだと頭頂よりやや外側の二点にヘルメットが強く当たって、違和感が拭えないんですよね。Lにすればその違和感は多少和らぐものの、当たっている部分は変わらず、違和感が薄らぐ程度。Lはサイズとしては着用できる大きさなので、実際に着用し比べてみて選んでも良さそうです。

ラウンドフィットはピンポイントでストレスがかかることなく、頭全体にふわっと乗っている印象です。グローバルフィットとの被り心地の差は大きく、接触する部分が面で当たって圧力が分散されているため、長時間のライドでも快適さが維持されます。
額周りも同様で、こめかみが強く当たることもなく、額の形にきれいにフィットしている感覚がありました。グローバルフィットだとこめかみの二点が当たる一方で、額の中央にはスペースが空いてしまうんですが、ラウンドフィットはそこがぴったり埋まっています。しっかりとしたフィットがあるとヘルメットに守られている感覚も強く、安心してライドに集中できます。ストレスフリーに乗りたいならラウンドフィット一択だと感じました。

性能面では、走り出してすぐに涼しいというタイプではなく、10km/hを超えたあたりから、上部のベンチレーション部分をしっかり風が抜けていくのがわかる、というタイプの涼しさでした。見た目はベンチレーションが最小限のエアロヘルメットで、通気口もそこまで大きくは見えないんですが、実際に被ってみると想像以上に涼しい。通気性に関してはかなり優秀だと思います。
停車時に熱がこもりやすいのがこの手のヘルメットの弱点になりがちですが、上部のメッシュのおかげか熱で不快ということはありませんでした。真夏だと流石に暑さを感じる場面もあると思いますが、白系のカラーを選べば多少はやわらげられるはずです。

速度が上がるほど風量も増えて涼しさは増していきますが、スプリントで頭を俯けると上部のメッシュパーツ部分の開口部から取り込まれる風が完全にシャットアウトされて「あ、止まった」とわかります。裏を返せば真っ直ぐ前を向いている時や、やや俯いているときはベンチレーションが機能しているということ。
加えて低速域から涼しいので、ヒルクライムのような場面でも思ったより熱くならず快適でした。速度域の高いヒルクライムレースでも十分通用すると思います。トッププロのステージレーサーたちが夏のレースでもずっとこれを被り続けているのを見ていますが、実際に被ってみるとその理由がよくわかる、誰にでも使いやすいヘルメットだと感じました。

ABUS GAMECHANGER 2.0 RF
カラー:SHINY WHITE、FLIPFLOP PURPLE、POLAR WHITE、RACE GREY、VELVET BLACK
価格:44,880円(税込)
ABUS GAMECHANGER 2.0 RF MIPS
カラー:SHINY WHITE、VELVET BLACK
価格:49,940円(税込)
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