スペシャライズドのエアロロードヘルメットの最新作、「S-Works Evade 4」をインプレッション。徹底的な風洞と熱解析テストを経て、前作から冷却性能を2.4%向上させた一着の実力に迫る。



スぺシャライズド S-WORKS EVADE 4 photo:Naoki Yasuoka

2013年に鮮烈なデビューを果たしたS-Works Evade。それまで軽さ、通気性、安全性という3要素で評価されてきたロード用ヘルメットの世界に、新たにエアロダイナミクスという尺度を持ち込み、以降のヘルメットの常識を書き換えた。

10年以上の歴史を誇る人気モデルが、遂に第4世代へと進化した。S-Works Evade 4、その最大の改善点となるのは、クーリング性能の向上だ。前作との比較において、2.4%も冷却効率を向上させた。

リアディフューザーは大型化され、より効率的な排気を実現 photo:Naoki Yasuoka

空力性能を損なうことなく冷却性能を向上させることは、すなわちEvadeが活躍するフィールドが更に広がることを意味する。ベンチレーションホールを多く備えた軽量モデルを今まで選択していたシチュエーション、例えばヒルクライムや気温の高い季節においても、Evadeのエアロダイナミクスの恩恵を受けやすくなる。

その性能を実現するために、スぺシャライズドはWinTunnelでの風洞テストに加え、100時間を超える空力・熱解析テストを実施。さらにレムコ・エヴェネプールをはじめとしたワールドツアーを走るライダーたちのフィードバックを基に開発が進められた。

シェル内側のエアチャネルも精密に設計されており、効果的な換気に貢献する photo:Naoki Yasuoka

シェルの形状自体に大きく変更が加えられており、ベンチレーションの形状とヘルメット表面の気流コントロールを最適化。頭頂部にはエアロを阻害しないよう設計された「NACAベント」、スムースな気流を維持するための細く長いサイドベントを設ける一方、、TT用ヘルメット「TT5」に着想を得たフラットトップとテールフィンを備えたシルエットによって、乱流を抑え込んでいる。

冷却性能を大幅に向上させるため、新たに実装されたのが「MouthPort」と名付けられた額部のエアインテーク。このMouthPortから取り込んだフレッシュエアをヘルメット内部の「4Dクーリングチャネル」を通し全体に行き渡らせ、後部のリアディフューザーから排気。

BOA社のヘルメット専用新型アジャスターとなるBOA FS2フィットシステムを搭載 photo:Naoki Yasuoka

前作よりも中央部のベンチレーションホールの面積は縮小しているが、より広範囲に風を送り込むエアフロー設計によって、効率的な換気を実現した。

フィット面では、アジア市場のライダーとともに開発を重ねた「Round Fit」を採用し、従来よりも深く安定して被れる設計に。加えてアジャスターにはBOA社の最新モデルとなる「BOA FS2フィットシステム」を搭載する。

インナーパッドと一体化したMips Air Node Proパッド photo:Naoki Yasuoka

新デザインの「Mips Air Node Proパッド」で、汗の流れをコントロールしながら、回転衝撃に対する保護性能も確保した。エアウェイ確保のためのリッジ形状はアイウェアのホールドも兼ねた実用的なデザインだ。

サイズはS、M、Lで、ラウンドフィットのMサイズの重量は約320g。カラーはホワイト/レッド、マットホワイト、マットブラックの3種類。価格は49,500円(税込)。

それでは、編集部員の高木によるインプレッションをお届けしよう。



編集部員の高木がスぺシャライズド S-WORKS EVADE 4をインプレッション photo:Naoki Yasuoka

スぺシャライズドのEvadeといえば、ロード用エアロヘルメットを語る上では欠かせない存在だ。その登場までも、エアロを優先したヘルメットはあったものの、重かったり、暑かったりで、日本の夏ではちょっと……という存在で、冬場のシクロクロスならちょうど良いよね、なんて扱いの時代もあった。

そんな時代にデビューしたEvadeはエアロでありながら、その見た目に反して冷却性能もしっかりと確保されていて、これならば実用に耐えうると感じさせてくれた。それ以降、レースにおいてはエアロモデルを選ぶ割合は増え、今ではほぼ全てのレースでエアロモデルを被っている。

歴代のEvadeシリーズは全て被ってきたという高木の目に最新作はどう映るのか photo:Naoki Yasuoka

時代を切り拓いた名作として、常にEvadeは一度は被ることにしてきた。その最新作となるS-Works Evade 4、一見すると初代や第2世代に近いデザインへと先祖返りしたようにも見えた。

しかし、実際に被ってみると、これまでのどのモデルとも違う深い被り心地が印象的。依然は耳とシェルの間に空間が空いているような感覚だったが、今作ではより広範囲に頭を保護してくれるような安心感のある被り心地になっている。

精密な操作感で細かくフィットを調整可能 photo:Naoki Yasuoka

サイドベンチレーションホールのリッジ形状はアイウェアのホールドも兼ねている photo:Naoki Yasuoka
ディバイダーから上は細身となるストラップ photo:Naoki Yasuoka



実際の保護性能について検証することは難しいが、守られている感覚が強いのは、特にレーサーにとっては重要だ。エアロ化によってレーススピードも速くなっている以上、ヘルメットのプロテクション性能も高くなって然るべきだろう。

Mipsと一体化したパッドは、良い意味でMips搭載モデルらしくない被り心地。BOA社による最新作だというアジャスターも、しっかりとした造りと細かなノッチを刻むBOAダイヤルならではの調整力を備えている。これらの造りが合わさって、フィッティングに関しても一段レベルが上がったようにも感じた。。

細かな部分では、耳周辺のあご紐の二又となっている部分が細くなっており、アイウェアを装着した際の着用感も非常にナチュラル。多少の軽量化も望めそうで、こういった細部へのこだわりは、スぺシャライズドの開発力を改めて感じる部分でもある。

前作よりも頭の周りの空気の流れが良くなっている。 photo:Naoki Yasuoka


実際に走ってみると、前作よりも頭の周りの空気の流れが良くなっているように感じる。長めのテール部のデザインも相まって、高速域で巡航した際のエアロダイナミクスはトップレベル。

今回のモデルチェンジの核心とも言えるクーリング性能についても、確かに進歩が感じられた。前作では、メインとなる気流がヘルメットの中央部に存在していたのに対し、Evade 4ではより広範囲に空気が流れるようになっている。

ベンチレーションホールそれぞれの大きさは縮小されている一方で、新たに設けられた額のダクトが幅広く空気を取り込んでいるのだろう。額からこめかみにかけて、全周に風の太い流れが当たっている感覚が強い。

登りでもその空冷性能はしっかりと感じ取れる。これまでよりも更に活躍の場が広がった photo:Naoki Yasuoka

非常に効率的に換気してくれ、かなりの低速域においてもその効果は感じられるほど。こういったエアフローによる冷却設計はある程度の速度が前提条件であると思っていたけれど、ことEvade 4に限ってはヒルクライムでも問題なくこなせるほど、優れた冷却効果を実現している。

もちろん、低速域においてはPrevailのようなベンチレーションホールの大きな軽量モデルの方が涼しく感じるというのは事実ではある。ただ、Evade 4であればその差はかなり縮まっていて、実用上問題の無いレベルに到達している。

スぺシャライズド S-WORKS EVADE 4 photo:Naoki Yasuoka

一つ付け加えると、ホールの少ないEvade 4は炎天下においては逆に暑く感じづらいという側面もある。直射日光が頭を直接灼くことを防いでくれるので、ジリジリとした熱から守ってくれるのだ。

一方で、少しでも速く走りたい、エアロの恩恵を受けたいという気持ちが僅かでもあるのであれば、S-Works Evade 4は間違いない選択となるはず。エアロロードが山岳にも活躍の場を広げているように、Evade 4はほぼ全てのシチュエーションをカバーしてくれるだろう。



スペシャライズド S-Works Evade 4
カラー:ホワイト/レッド、マットホワイト、マットブラック
サイズ:Round S、Round M、Round L
参考重量:約280g(CE-Mサイズ)、約320g(Round Fit-Mサイズ)
価格:49,500円(税込)
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