「残していた1度の力を勝利に使った」と語ったのは逆転勝利を飾ったエディ・ダンバー。2位のブイトラゴは「影が見えた瞬間、打ちのめされた」と悔しさを滲ませた。ブエルタ第19ステージの山岳バトルを選手たちの言葉で振り返る。



ステージ優勝 エディ・ダンバー(アイルランド、ピナレロQ36.5プロサイクリング)

残り350mでブイトラゴに追いつき、抜き去ったエディ・ダンバー(アイルランド、ピナレロQ36.5プロサイクリング) photo:CorVos

信じられない。今日、こんな結果になるとは思っていなかった。50〜60kmほど走ったところでチーム無線でも「今日は僕の日じゃない。調子が良くない」と言っていたくらいだ。それでも逃げに入ることになり、そこから少しずつ脚の感覚が良くなってきた。逃げにはチームメイトも2人いて、それが大きな助けになった。おかげで逃げの中でもずっと落ち着いて走ることができたし、平坦や下りで何か起きたとしても、余裕を持つことができた。2人とも本当に素晴らしい走りをしてくれた。特に終盤までトム(グローグ)が残ってくれたことは、とても大きかった。

今年は事故(モナコでシティバイクに乗車中、スクーターと衝突)の後、3ヶ月間まったく自転車に乗れなかった。だから、こうしてここにいられることも、ましてやステージ優勝を争えていることも想像していなかった。本当に信じられない。

怪我からの復活勝利を飾ったエディ・ダンバー(アイルランド、ピナレロQ36.5プロサイクリング) photo:CorVos

ああいう状況では、ブイトラゴと同じ脚があればいいのにと思うよ。彼のアタックは信じられないほど強烈だからね。だから僕は、自分の力をどこで使うか、より慎重になる必要があった。自分にはもう1度しか全力を出せないと分かっていたし、その1回をステージ優勝のために使いたかった。残り12kmほどの急勾配区間で彼らが仕掛けた時も、オーバーペースになって限界を超えないよう、自分のペースを守った。そこから追いつくことができたし、さらにトムが残っていたことも、僕らにとっては保険になった。

実はトムには「今日は君が勝つよ」と言っていたんだ。それくらい強そうに見えた。でも最終的には、人数を揃えていたことが僕らに大きく有利に働いた。最後の1kmは本当にあっという間だった。何が起きたのか、正直ほとんど覚えていないよ。

ステージ2位&マイヨモンターニャ サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)

先行するサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)に追いついたエディ・ダンバー(アイルランド、ピナレロQ36.5プロサイクリング) photo:A.S.O.

信じられなかった。アタックした時は本当に自信があったし、後ろを振り返ることもしなかった。でもダンバーの影が近づいてくるのが見えた瞬間、打ちのめされたよ。すべてを出し切っていたのに、また2位か、と思った。

逃げの中にはQ36.5の選手が3、4人いた。ダンバーはとても強い選手だし、それはこれまでにも証明されている。今日はどう戦うか、彼の中で完璧に思い描けていたんだと思う。僕にできるのは、彼を祝福することだけだ。

明日のことは分からない。まだ脚に何か残っていることを願う。今日は信じられないほど厳しい1日だったし、明日も非常にハードなステージになる。脚が最後まで持ってくれることを願うだけだ。

ステージ3位 トーマス・グローグ(イギリス、ピナレロQ36.5プロサイクリング)

最終1級山岳で先頭はエディ・ダンバー(アイルランド、ピナレロQ36.5プロサイクリング)ら4名に絞られる photo:A.S.O.

2023年に右膝蓋骨を粉砕骨折し、翌2024年には両肘を骨折。2度の大怪我を乗り越え、再びトップレベルで戦えるようになったことを受けて。

感情が込み上げている。エディ(ダンバー)とチームの素晴らしい勝利について話す前に、まずこうして健康な状態でここに立っていられることを、本当に恵まれているし、光栄なことだと思う。不思議な感覚だよ。フィニッシュラインを越えるのは僕だけど、ここまで来られたのは家族の支えや、幼い頃から恵まれてきた環境、そして周囲の素晴らしい人たちのおかげなんだ。

レースについて言えば、今日はエディのために走っていた。ブイトラゴがアタックした時には、僕が飛び出して差を埋めにいった。ただ、フィニッシュで勝ち切れるだけのトップスピードが自分に残っているという自信はなかった。どうやらエディも完全な自信があったわけではなかったみたいで、だから僕らで協力して走った。最後は彼がものすごい勢いで踏み込んで、そのまま勝つことができた。本当に最高だよ。

マイヨロホ エンリク・マス(スペイン、モビスター)

マイヨロホを保持したエンリク・マス(スペイン、モビスター) photo:A.S.O.

正直、序盤にあれだけアタックが続いたのは楽しかったよ。まさに激しい戦いだった。でも常に僕のそばにはチームメイトがいたし、全体としてはしっかりコントロールできていたと思う。

セップ(クス)とリッチー(カラパス)はかなり前に行きたがっていた。おそらくステージ優勝を狙っていたんだと思う。でも総合ではまだ僕らに近い位置にいるから、彼らの動きはコントロールする必要があった。チームは本当に素晴らしい走りをしてくれた。

残りは2日。レッドブル・ボーラ・ハンスグローエもかなり強く牽引していたけれど、途中でもう少しペースを上げたいと考え、僕らが前に出て自分たちのリズムで走った。そこにリッチーとフェリックス(ガル)も加わり、さらにペースを上げていった。

大きな勝負の日はあと1日。明日はブエルタでも最も厳しいステージの1つだと思う。だから、この3週間ずっとそうしてきたように、最後まで集中して走らなければならない。

総合5位&マイヨブランコ オスカー・オンリー(イギリス、ネットカンパニー・イネオス)

ヤコブ(オムルゼル)がアタックしても、特に心配はしていなかった。残り1kmを切っていたし、自分の調子も良かったからね。レッドブル・ボーラ・ハンスグローエがどんなプランだったのかは分からない。正直、あまり気にもしていなかった。自分の走りに集中していて、周りをそれほど見ていなかったんだ。明日もまた厳しい1日になる。でも、いいレースになりそうだ。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.
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