ロード世界選手権を2週間後に控えたグランプリ・シクリスト・ド・モンレアル(GPモンレアル)はレース中盤からアタックの乱打戦に。最終周回でアタックしたイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)とポール・セクサス(フランス、デカトロン・CMA CGM)が逃げ切りを決め、最後はデルトロがスプリント勝負を制した。

昨年限りでロードから引退したものの、世界選メンバー入りしたマイケル・ウッズ(カナダ、カナダナショナルチーム)や、ビッグネームの選手たちを先頭にスタートを待つ photo:GPCQM
9月13日(日)にカナダはケベック州の最大都市であるモンレアル(英語ではモントリオール)でグランプリ・シクリスト・ド・モンレアル(GPモンレアル)が開催。2日前のグランプリ・シクリスト・ド・ケベック(GPケベック)に続く秋のカナディアンワールドツアーレース2連戦であり、ケベックを優勝したレムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)を含むビッグスター勢が連戦に挑んだ。
コースはモントリオール大学とモンロイヤル公園を取り囲む13.4kmコースを16周する総距離214.4kmで、獲得標高は4,300mとケベックの2倍近くにまで及ぶ過酷なクライマーズレース。2週間後には全く同じコースでロード世界選手権が開催されるため、過去15回の歴史の中でも最も各選手の仕上がりぶりが注目される一戦となった。

序盤戦はうっすらと濡れたウェットコンディション。アタックの応酬が続いた photo:GPCQM
ぐずつく天候の下、逃げの先手を打ったのは2014年世界王者のミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、ネットカンパニー・イネオス)とオドネ・ホルテル(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)の2人。ここにカスパー・ピーダスン(デンマーク、スーダル・クイックステップ)ら7名が追いついて9名という大きな逃げグループが先行することとなった。
一時は3分程度のリードを得て逃げていたクフィアトコフスキたちだったものの、リドル・トレックが中心となったメイン集団のペースアップによってタイム差は一気に縮まり、100km以上を残して一旦レースは振り出しに戻る。ここからアタックと吸収、カウンターの応酬が続き、まずはアンドリュー・オーガスト(アメリカ、ネットカンパニー・イネオス)の加速によって2018年覇者のマイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)が早々に勝負権を失った。
GPケベックのゴールスプリント中にポール・セクサス(フランス、デカトロン・CMA CGM)と接触、落車したフアン・アユソ(スペイン、リドル・トレック)がメイン集団からアタックし、マイケル・レオナード(カナダ、EFエデュケーション・イージーポスト)やマキシミリアン・シャフマン(ドイツ、スーダル・クイックステップ)と共に逃げを打つ。攻めの姿勢を維持するEFはベン・ヒーリー(アイルランド)を合流させ、レオナードを発射台にしてアタック。ヒーリーは2023年優勝者であるアダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツXRG)とマキシム・ファンヒルス(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)をラスト25kmの登坂区間で引きちぎって独走したものの、それでも未だ超強力メンバーの多くが残る追走グループを引き離すには至らなかった。
ヒーリーを追いかけたのはUAEのイェーツとイサーク・デルトロ(メキシコ)、2025年覇者ブランドン・マクナルティ(アメリカ)、ケベック2位のジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)、ポール・セクサス(フランス、デカトロン・CMA CGM)、トーマス・ピドコック(イギリス、ピナレロ・ Q36.5プロサイクリング)、アフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス)という精鋭陣。他チームのアシストに進路を塞がれ、ローテーションも上手く回せなかったりと、何かとフラストレーションを溜めるエヴェネプールは45秒後ろのグループから追走し、残り1周回に入るタイミングでやっと合流したものの、ここでの消耗はあまりにも大きかった。

ラスト25km地点から独走したベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)だったが、逃げ切りは叶わず photo:GPCQM

追走グループに追いついたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:GPCQM
低いエアロポジションで逃げ続けるヒーリーに対して、追走グループから追走をかけたのはセクサスだった。コース中に4箇所ある中で最も勾配の厳しい登坂区間で一気に加速したセクサスは一気にヒーリーをぶち抜き、さらにセクサスを上回る勢いで追いついてきたデルトロと2人で逃げ体制を組み上げる。今年のツール・ド・フランスで総合表彰台とマイヨブランを激しく争った2人はローテーションを回し、脚が回らなくなった追走グループをぐいぐいと引き離していく。ラスト10kmで15秒だったタイム差は、ラスト1kmで1分弱にまで拡大。これからのロードレース界を担う2人の逃げ切りが決まった。
フィニッシュラインを見据えたスプリント勝負で有利に運んだのはデルトロ。セクサスの後ろから鋭く加速した一方、「フィニッシュまでどれくらいの距離なのか確認していて、彼に対する注意が落ちてしまった」と悔やむセクサスは反応が遅れ、スリップストリームにも入れず離されてしまう。一瞬でリードを築いたメキシコ王者は残り50mでサドルに座り、最後は脚を緩めて「闘牛士のポーズ」を披露。世界選手権2週間前の本番コースで行われた予行演習レースを鮮やかに制した。

大リードでフィニッシュに飛び込むイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) photo:GPCQM

セクサスとのスプリントを制したイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) photo:GPCQM
「今日は人数をかけて攻めたし、チームの全員が本当に強かった。最後の逃げではアダムが、その後はブランドンがクイン・シモンズと逃げて、僕はその後ろで大きな動きを追うようにしたんだ。結果的に、僕たちにとって非常に良い状況になったよ。チームメイトは全員僕を勝たせるために動いてくれた。周りにこんな仲間がいてくれて本当に嬉しい」と喜ぶデルトロにとっては、ドイツツアーでの総合優勝に続く今季12勝目。うち10勝はワールドツアーでの勝利と、ビッグレースでの強さが際立っている。
「チームの全員に感謝しているよ。レース序盤は奇妙な状況で、他のチームの戦術がよく分からなかった。体調があまり良くなかったこともあって序盤は様子見していたけれど、彼らが支えてくれて、レース終盤で再びチャレンジできたんだ。常にベストを尽くそうと努力しているけれど、人間だから毎日が最高の状態とは限らない。今日はチームの仕事に対してできる限りの最高の結果で返したいと思ったんだ。ブランドン、アダム、フェリックス、フロリアン、ジョニー、ティムのおかげでこのレースに勝つことができた」と、デルトロはチームへの感謝を綴っている。

イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)がGPケベック初勝利 photo:GPCQM

デルトロの優勝に盛り上がるメキシコ人ファン photo:GPCQM 
マイケル・ウッズ(カナダ、カナダナショナルチーム)は同国最上位となる18位でフィニッシュ photo:GPCQM
追走グループの中で早駆けしたマクナルティが3位表彰台を獲得し、UAEは昨年のワンツーに続くワンスリーフィニッシュに成功。噛み合わなかったエヴェネプールも5位に入っており、コンディションそのものは上々の様子。ピドコックやチッコーネ、ヒーリーといった有力勢はトップ10フィニッシュしているほか、昨年限りで引退したものの、グラベルレースでの成績が買われて世界選手権メンバー入りしたマイケル・ウッズは過酷なレースをカナダ勢最上位となる18位で終えている。

9月13日(日)にカナダはケベック州の最大都市であるモンレアル(英語ではモントリオール)でグランプリ・シクリスト・ド・モンレアル(GPモンレアル)が開催。2日前のグランプリ・シクリスト・ド・ケベック(GPケベック)に続く秋のカナディアンワールドツアーレース2連戦であり、ケベックを優勝したレムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)を含むビッグスター勢が連戦に挑んだ。
コースはモントリオール大学とモンロイヤル公園を取り囲む13.4kmコースを16周する総距離214.4kmで、獲得標高は4,300mとケベックの2倍近くにまで及ぶ過酷なクライマーズレース。2週間後には全く同じコースでロード世界選手権が開催されるため、過去15回の歴史の中でも最も各選手の仕上がりぶりが注目される一戦となった。

ぐずつく天候の下、逃げの先手を打ったのは2014年世界王者のミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、ネットカンパニー・イネオス)とオドネ・ホルテル(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)の2人。ここにカスパー・ピーダスン(デンマーク、スーダル・クイックステップ)ら7名が追いついて9名という大きな逃げグループが先行することとなった。
一時は3分程度のリードを得て逃げていたクフィアトコフスキたちだったものの、リドル・トレックが中心となったメイン集団のペースアップによってタイム差は一気に縮まり、100km以上を残して一旦レースは振り出しに戻る。ここからアタックと吸収、カウンターの応酬が続き、まずはアンドリュー・オーガスト(アメリカ、ネットカンパニー・イネオス)の加速によって2018年覇者のマイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)が早々に勝負権を失った。
GPケベックのゴールスプリント中にポール・セクサス(フランス、デカトロン・CMA CGM)と接触、落車したフアン・アユソ(スペイン、リドル・トレック)がメイン集団からアタックし、マイケル・レオナード(カナダ、EFエデュケーション・イージーポスト)やマキシミリアン・シャフマン(ドイツ、スーダル・クイックステップ)と共に逃げを打つ。攻めの姿勢を維持するEFはベン・ヒーリー(アイルランド)を合流させ、レオナードを発射台にしてアタック。ヒーリーは2023年優勝者であるアダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツXRG)とマキシム・ファンヒルス(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)をラスト25kmの登坂区間で引きちぎって独走したものの、それでも未だ超強力メンバーの多くが残る追走グループを引き離すには至らなかった。
ヒーリーを追いかけたのはUAEのイェーツとイサーク・デルトロ(メキシコ)、2025年覇者ブランドン・マクナルティ(アメリカ)、ケベック2位のジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)、ポール・セクサス(フランス、デカトロン・CMA CGM)、トーマス・ピドコック(イギリス、ピナレロ・ Q36.5プロサイクリング)、アフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス)という精鋭陣。他チームのアシストに進路を塞がれ、ローテーションも上手く回せなかったりと、何かとフラストレーションを溜めるエヴェネプールは45秒後ろのグループから追走し、残り1周回に入るタイミングでやっと合流したものの、ここでの消耗はあまりにも大きかった。


低いエアロポジションで逃げ続けるヒーリーに対して、追走グループから追走をかけたのはセクサスだった。コース中に4箇所ある中で最も勾配の厳しい登坂区間で一気に加速したセクサスは一気にヒーリーをぶち抜き、さらにセクサスを上回る勢いで追いついてきたデルトロと2人で逃げ体制を組み上げる。今年のツール・ド・フランスで総合表彰台とマイヨブランを激しく争った2人はローテーションを回し、脚が回らなくなった追走グループをぐいぐいと引き離していく。ラスト10kmで15秒だったタイム差は、ラスト1kmで1分弱にまで拡大。これからのロードレース界を担う2人の逃げ切りが決まった。
フィニッシュラインを見据えたスプリント勝負で有利に運んだのはデルトロ。セクサスの後ろから鋭く加速した一方、「フィニッシュまでどれくらいの距離なのか確認していて、彼に対する注意が落ちてしまった」と悔やむセクサスは反応が遅れ、スリップストリームにも入れず離されてしまう。一瞬でリードを築いたメキシコ王者は残り50mでサドルに座り、最後は脚を緩めて「闘牛士のポーズ」を披露。世界選手権2週間前の本番コースで行われた予行演習レースを鮮やかに制した。


「今日は人数をかけて攻めたし、チームの全員が本当に強かった。最後の逃げではアダムが、その後はブランドンがクイン・シモンズと逃げて、僕はその後ろで大きな動きを追うようにしたんだ。結果的に、僕たちにとって非常に良い状況になったよ。チームメイトは全員僕を勝たせるために動いてくれた。周りにこんな仲間がいてくれて本当に嬉しい」と喜ぶデルトロにとっては、ドイツツアーでの総合優勝に続く今季12勝目。うち10勝はワールドツアーでの勝利と、ビッグレースでの強さが際立っている。
「チームの全員に感謝しているよ。レース序盤は奇妙な状況で、他のチームの戦術がよく分からなかった。体調があまり良くなかったこともあって序盤は様子見していたけれど、彼らが支えてくれて、レース終盤で再びチャレンジできたんだ。常にベストを尽くそうと努力しているけれど、人間だから毎日が最高の状態とは限らない。今日はチームの仕事に対してできる限りの最高の結果で返したいと思ったんだ。ブランドン、アダム、フェリックス、フロリアン、ジョニー、ティムのおかげでこのレースに勝つことができた」と、デルトロはチームへの感謝を綴っている。



追走グループの中で早駆けしたマクナルティが3位表彰台を獲得し、UAEは昨年のワンツーに続くワンスリーフィニッシュに成功。噛み合わなかったエヴェネプールも5位に入っており、コンディションそのものは上々の様子。ピドコックやチッコーネ、ヒーリーといった有力勢はトップ10フィニッシュしているほか、昨年限りで引退したものの、グラベルレースでの成績が買われて世界選手権メンバー入りしたマイケル・ウッズは過酷なレースをカナダ勢最上位となる18位で終えている。
グランプリ・シクリスト・ド・モンレアル2026結果
| 1位 | イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) | 5:13:16 |
| 2位 | ポール・セクサス(フランス、デカトロン・CMA CGM) | |
| 3位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG) | +0:27 |
| 4位 | クィン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック) | +0:30 |
| 5位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +0:35 |
| 6位 | トーマス・ピドコック(イギリス、ピナレロ・ Q36.5プロサイクリング) | +0:36 |
| 7位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) | |
| 8位 | ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
| 9位 | アフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス) | +0:39 |
| 10位 | レナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・アンテルマルシェ) |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
Amazon.co.jp