10月4日(日)に神奈川県小田原市のアネスト岩田ターンパイク箱根で開催された「箱根ヒルクライム 2026」でQNリーグのシリーズ第6戦が併催された。中学生クラスは木村孔南(56サイクル)が、女子チャンピオンクラスは山根菜穂(TEAM CSM)が優勝した。QNリーグ主催者からのレポートで紹介する。



中学生および女子チャンピオンクラスを含む第1組でスタートする選手達 photo: k.kazuma

頂上は風が強く雲が残るものの、朝から雨の降っていない良好なコンディションのなか、リーグ第6戦「箱根ヒルクライム 2026」が10月4日(日)神奈川県小田原市のアネスト岩田ターンパイク箱根で開催された。

このコースは普段、自転車では走行できない「アネスト岩田ターンパイク箱根」を、レース当日のみ特別に閉鎖して開催される大会。距離は13.4kmで平均勾配は7.2%という、日本国内で開催されているヒルクライムレースのなかでも、かなり走り応えある登坂コースで、見通しの良い直線の急勾配が続くのが特徴。

スタート前の下山出発を待つ隊列。雲間からきれいな富士山がのぞめた photo:QNリーグ事務局

そのため、後続を引き離したとしても、なかなか視界から消えないので、ペース配分や折れないメンタルがポイントになる。スタートから約10km 地点までは斜度がきつい一方、途中に勾配が緩む区間や下り区間があるため、ずっと同じギヤ・同じ力で踏むのではなく、勾配に応じてギヤ比やケイデンスを調整することがポイントとなる。またラストは最高地点から、少し下ってからの登りゴールとなるので接戦になりやすく、ゴールスプリントに持ち込まれることもある。

この大会の歴史は⻑く、2010年から2年開催された後、2年間の中断期間を経て地元の小田原市職員による呼びかけで2015年に復活。一般社団法人 GR サイクリングが主催・運営を引き継ぎ、自転車での地域活性を実現している。前日受付会場では、会場近くの宿泊施設・ヒルトン小田原リゾート&スパのチャリティー募金活動「クリスマストレイン」に協力。大会で集まった募金は「箱根ヒルクライム参加者一同」として寄付され、地域の子どもたちの遊びや教育、学習支援、地域貢献活動に使用される。

今回のキャラヒル部門・ゲストライダー達も参加者の皆さんと一緒にコースを駆け上った photo: QNリーグ事務局

QNリーグはこのような地元や子どもたちへの貢献活動にも熱心な大会に、2年前からQリーグとNリーグ中学生女子NWは「女子チャンピオン」、そしてNリーグの中学生男子Nは「中学生クラス」を対象レースとしている。なぜなら、女子チャンピオンクラスについては「QリーグやNリーグの中学生女子とともに走ることで女子チャンピオンクラスへの参戦をさらにうながし、ヒルクライムを得意とする女子選手達にとって目標大会の1つにしたい」、中学生クラスは「当初から男子中学生、そして高校生のクラスを設定しているので、今後も一層の充実を図りたい」と希求しているからである。

箱根ヒルクライムでは、気軽に自転車レースへチャレンジしやすいクラス設定を工夫している。脚力別や年齢別を筆頭に、体重別クラスや自転車の種別にした「鉄の漢クラス」に「e-bike クラス」、さらには小径車のクラスも。そして2021年からはアニメ、コミック、ゲームなどのコンテンツやキャラクターをモチーフにしたコスプレやサイクルジャージ着用、仮装を条件とした「キャラクターヒルクライム部門」も同時開催されている。

スタート地点に向かう参加者にはコスプレライダーの姿も photo:QNリーグ事務局

大会当日は、頂上付近は少し雲が残るものの秋らしい爽やかなコンディション。9月は雨続きであったが秋晴れとなり、スタート地点は汗ばむほどだった。ゴール地点のアネスト岩田スカイラウンジ前の集合場所に集まった参加者は、バイクとスタッフ自転車の安全管理誘導でブロックごとに分けられて、朝8時からの下山を開始してスタート地点に向かった。

この後、第1スタートとなる男子チャンピオン、男子高校生、そしてリーグ対象レースとなる女子チャンピオンと男子中学生の各クラスが9時30分に同時スタートした。今大会以降は大磯、しもふさと、平坦なクリテリウムレースが続いたので、坂が得意なクライマーにとっては最後のチャンスにもなる。中学生クラスの選手たちはチャンピオンクラス選手たちに喰らいつきハイペースな闘いとなった。

両手を広げてゴールした56サイクル木村孔南は昨年のリベンジに成功し優勝を果たした photo: k.kazuma

地元チーム SHONAN VERTEX 所属の金子が力強い走りで2位に入った photo:QNリーグ事務局

スタート地点の気温は高く、頂上に向かって雲が沸きながら上昇気流が発生していたこともあり、男子チャンピオンのトップが40分を切る好タイムでゴールするなか、中学生クラスのトップでゴールしたのは前回大会で2位だった木村孔南(56サイクル)。後続を2分以上引き離して堂々とした走りで優勝、タイムは43分52秒であった。木村に続く2位には金子璃愛夢(SHONAN VERTEX)、3位に現在リーグのポイントランキング2位につけている白須樹(TEAM YOUCAN)が入り、15ポイントを獲得した。

56サイクル 木村仁毘とのデッドヒートの末、表彰台の一角を獲得した YOU CAN 白須 photo: k.kazuma

5位のブラウ・ブリッツェン⻑谷川はヒルクライムレースでも成⻑を見せた photo:QNリーグ事務局
「ゴールまで連れて行ってくれた」というレバンテホープ森煌⻯(写真左)と健闘を称え合いながらゴールする佐谷 photo: k.kazuma


また、同ランキング3位につける⻑谷川誠(ブラウ・ブリッツェンU15)が、昨年大会でのタイムから約10分と大幅に短縮し5位となった。一方で現在ポイントリーダーである佐谷輝成(#1-PRIMERA-)はトップから大きく遅れて7位でのゴールだった。この結果により白須が94ポイントを積み上げ、佐谷は97ポイントとリーダー争いがわずか3ポイント差となり、ますます目が離せない状況となった。

Nリーグ・ポイントリーダー授与式に登壇した佐谷は少し悔しそうな表情をみせながらも、辛うじてポイントリーダーの座を守った労いの言葉に応えて「ありがとうございました」と感謝の言葉をまず述べた。続けて「自分のペースで踏むっていう感じだったんですけど。実力不足だったので10月から頑張ります」と苦しんだレース展開を語ってくれた。

中学生クラスの表彰。左から2位・金子、優勝の木村、3位・白須 photo:m.taguchi

若干、顔を曇らせながらもレースを振り返っていたポイントリーダー佐谷 photo: QNリーグ事務局

昨年はタイムを58分台から51分台と一気に縮めたことについては「自分のなかで目標としていたタイムには届かなかったのですが、昨年のタイムよりは良かったので、今の自分のなかでは力は出し切れたので・・・。あとは次の試合(第8戦の大磯クリテリウム)まで時間があるので、練習を積み重ねていきたいと思います」、「次はレースの表彰台にも立てるように頑張ります!」とリベンジを誓った。

中学生クラスのレースを終えた選手たちにも、今回の感想と次戦に向けた意気込みを聞いた。昨年も大会に出場していた4位の木村仁毘(56サイクル)は「今日は表彰台を目的にレースに挑みましたが、最後に負けてしまって悔しかったです。来年も優勝を目指して頑張るので、応援よろしくお願いします!」とリベンジ宣言。兄の木村孔南(56サイクル)は「今日は目標としていた優勝ができて、とても良いレースになりました」と溌剌と応えてくれた。

Nリーグ中学生男子N協賛の武田レッグウェアー株式会社・副賞目録を手にする佐谷 photo:m.taguchi

Nリーグ勢のなかではトップとなり表彰台を獲得した白須は「今日は表彰対象に入ることが目標だったので、達成できてうれしいです」と安堵の声を。ポイントリーダーを守った佐谷は「今日は目標にしていたタイムに届かなかったですが、去年よりは良いタイムになりました」と苦しいながらも上手くまとめた成果をアピール。

ブラウ・ブリッツェンの仲良し3人組からもコメントをもらった。昨年の10位から5位にジャンプアップしタイムも更新した⻑谷川は「今回はNリーグの中で(ポイントランキングの)順位を守るために走っていたので、(ランキング順位)前の2人(リーダーの佐谷と2位の白須)とのポイント差が開かないように頑張れました」と今後につながる落ち着いた判断を教えてくれた。

佐谷に続く8位となった宗息吹は「今日のレースは頑張りたいと思って、頑張れたのでよかったです」とコメント、11位の斎藤時成「今日は途中で集団から離れてしまったので、次は離れないように頑張ります!」と昨年エントリーしていたものの出走できず、今回が初参戦となった大会の厳しさを教えてくれた。

レース後に中学生クラスレースで健闘を見せた選手たちからコメントをいただいた photo:QNリーグ事務局

ブラウ・ブリッツェン宗のコメントに笑顔があふれる。Nリーグ活動を通じてチームを越えた交流も生まれているようだ photo:QNリーグ事務局

※男子中学生クラス上位メンバーのインタビュー動画はこちらから見られます。
https://youtu.be/DsqYuNiGfY4



高校生クラスで2位に入った昨シーズンNリーグ総合ポイントリーダー柬理 日楠詩は現在、高校1年生 photo:QNリーグ事務局
現ポイントリーダー佐谷(左)と前ポイントリーダーの柬理(右)。先輩・後輩としても交流があるようだ photo:QNリーグ事務局


女子チャンピオンは山根菜穂(TEAM CSM)が1時間5分で優勝、2位はポイントリーダーの増輪寧々羽(Team 一匹狼)となった。

力強いペダリングでゴールラインに飛び込む TEAM CSM 山根が優勝 photo:QNリーグ事務局
スタートから暑さに苦しんだ Team 一匹狼の増輪だが、無事に2位となった photo:QNリーグ事務局


初めてアメジストジャージを獲得したのが第3戦のあぶくま洞ヒルクライム、そしてアメジストジャージを守ったのも箱根ヒルクライムと得意のヒルクライムで実力を発揮した増輪は、ポイントリーダー授与式で「箱根ヒルクライムは初出場なのですが結構、坂が凄くていつになったらゴールできるんだろう!と、ちょっと気が遠くなりそうなタフなコースでした」と厳しい展開となったレースを振り返った。

女子チャンピオンクラスの表彰。左から2位・増輪、優勝の山根 photo:m.taguchi
苦しかったレース展開を語るTeam 一匹狼の増輪 photo: QNリーグ事務局


「走っているとだんだん暑くなっちゃって、息が苦しくなってしまってコンディションを整えながら走るのが難しかった」ともコメント。この後のリーグ戦はクリテリウムレースが続くが「クリテリウムの経験が少ないのですが、完走を目指してポイントを積み上げていきたいです」と意気込みをみせた。

さらに増輪のポイント獲得により、QリーグとNリーグ中学生女子NWの同チームで獲得した合計ポイントで競う女子チームランキングにおいても、2位チームとのポイント差を31ポイントまで広げ、Team 一匹狼がトップの座を安泰することに成功している。こちらも最終戦まで、その座を守れるか注目したい。

自身の走りで所属チームTeam 一匹狼の女子チームランキング首位をキープした増輪はアスリチューンの賞品目録を手に笑顔を見せた photo:m.taguchi

非常にタフな展開となった今大会。普段のレースとは異なる⻑い登坂コースで得た経験を、次のレースにどう生かしていくのか?がポイントとなるだろう。続く第7戦「そうまタイムトライアル」が開催キャンセルとなったため、次戦は第8戦・11月15日(日)に開催の「大磯クリテリウム第2戦」となる。

クリテリウムにありがちな集団スプリントの展開になった場合、ライバルをマークするだけではポイント制であるリーグのリーダージャージを守り切るのは難しくなってくる。「攻撃は最大の防御なり」と言う言葉もある。選手たちにはライバルの動きを警戒するだけでなく自らレース積極的に攻撃してレースを動かす走りを今後も期待したい。

ダイナミックで素晴らしい景観の芦ノ湖を背景に表彰式がおこなわれた photo: k.kazuma

レポート概要
写真撮影:k.kazuma、m.taguchi、QNリーグ事務局
テキスト:須藤むつみ(QNリーグ事務局)
協力:一般社団法人GRサイクリング
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