MTBレジェンドの山本幸平が自身初のグラベルレースに出場。しかも南アフリカで開催される7日間の過酷なステージレース「Gravel Burn(グラベルバーン)」に挑戦した。目指すは年代別カテゴリーの優勝。7日間に渡る壮大な体験を、帯同サポートした高畠氏がレポートする。
スタート前のトラブル、体調不良、苦しい序盤戦...。それでも最後にはグラベルの魅力に惹き込まれていった7日間。MTBでオリンピック4大会出場、アジアチャンピオン10回、全日本選手権12回優勝の山本幸平が見せたベテランならではの強さとは。

グラベルバーンに出場する山本幸平 photo:Kazuaki Takabatake
2026年10月25日〜31日。南アフリカ東ケープ州の壮大な大自然を舞台に開催された7日間のグラベルステージレース「Nedbank Gravel Burn 2026」。 ”グラベルバーン”とは、Cape Epic 創設者ケビン・ヴァーマーク氏が立ち上げたフルサポート型の個人戦グラベルステージレースだ。プロとアマチュアが同じコースを走り、ステージごとに移動しながら Burn Camp で生活する形式の大会で、試走イベント「Trial Burn」を経て、2025年10月に第1回大会が開催。今年が第2回大会となる。

前日のシェイクアウトライド(試走)で路面の感覚を掴むエントラントたち ©Gravel Burn
グレート・カルーの乾燥した大地から、野生動物が暮らすシャムワリ私営自然保護区まで距離約750kmに及ぶ過酷なレース。7日間の各ステージは距離約90〜140km。長いグラベルロード、吹きさらしの平原、厳しい登り。刻々と変化する路面がライダーを待ち受ける。

大自然のなかのブリーフィング ©Gravel Burn
大会はグラベルバイク専用の個人戦であり、プロとアマチュアが同じコースと Burn Camp を共有する。個人専属のサポートクルーは認められず、すべての参加者に同じレベルの技術・運営サポートが提供される。日中は激しく競い合い、夜はキャンプでの宿泊。カテゴリーを越えて火を囲み、その日の体験を語り合う。この一体感こそが Gravel Burn の大きな特徴だ。

参加者受付に登場したのはトーマス・フリクシュネヒト! ©Gravel Burn
世界各国からトップライダーが集結した。その中に、日本のMTB界を長年牽引してきた山本幸平の姿があった。オリンピック4大会出場、アジアチャンピオン、そしてMTB全日本選手権12回優勝。数々の実績を持つ山本にとっても今回が初めてのグラベルステージレースへの参戦。男子40〜44歳カテゴリーでの挑戦だ。

グラベルバーンの大規模なキャンプ地 ©Gravel Burn
「参加者が 7 日間をともに過ごし、同じキャンプで生活するステージレースだと知った瞬間、これはまさに自分が探し求めていた挑戦だと思った。僕にとってまったく新しい旅。自分自身のため、そして応援してくれるすべての人のために、年代別カテゴリーで優勝することが目標だ」と山本は語った。しかし、今回の遠征はスタートラインに立つ前から波乱の連続となった。

スタート前にはサインが義務付けられる ©Gravel Burn
スタート前から続いたトラブル
大会開幕2日前の10月23日、山本は香港での航空便乗り継ぎトラブルによって予定の便に乗れず、急きょシンガポール経由で南アフリカへ向かうことに。現地到着は丸一日遅れとなった。さらに、レース用バイクと荷物の到着も遅延。大会主催者にも協力を求め、万一に備えてスペアバイクの確保を模索するなど、慌ただしい対応に追われた。結局、山本と合流できたのはレース前日の24日早朝だった。

メディアのインタビューを受ける山本幸平 photo:Kazuaki Takabatake
長時間の移動で疲労が蓄積するなか、バイクの準備や受付を済ませ、さらに車で約3時間かけてスタート地点のGraaff-Reinetへ。
本来なら身体を休め、レースに備えるべき時間が、移動と準備に費やされてしまった。それでも山本は、さすがに数々の海外レースを経験してきたベテラン。落ち着いた様子で翌日のスタートを迎えた。
苦難の序盤戦|第1〜4ステージ

Stage1 コース上には渡渉区間も登場する ©Gravel Burn
第1ステージは90km・獲得標高1,450m。序盤の長い登りで集団が分裂し、山本は追走グループでレースを進めたものの、残り約20kmで脚の痙攣に見舞われた。長時間移動による疲労と睡眠不足、さらに南アフリカ入り前に患った風邪からも完全には回復しておらず、万全とは程遠いコンディションだった。それでも粘り強く走り切り、年代別5位でフィニッシュ。

Stage1 乾いた大地とサボテンがグラベルライダーを迎える ©Gravel Burn
しかし、初めてのグラベルレースではMTBとの違いにも戸惑いを感じていた。テクニカルな下りなどで脚を休めることができるMTBとは異なり、グラベルではほぼ常にペダルを踏み続けなければならない。世界の舞台で長年戦ってきた山本にとっても、新たな挑戦だった。

Stage2 山岳地を遠望しながら進む ©Gravel Burn

グラベルバイクならではの腕の疲労感を訴える山本幸平 photo:Kazuaki Takabatake
続く第2ステージでも脚の痙攣に苦しみながら年代別4位に入り、総合順位を4位へ上げたものの、第3ステージでは前夜からの胃腸の不調が追い打ちをかけた。大会最長となる137kmを走り切ること自体が目標となり、総合順位も5位へ後退。初めの3日間は、順位を争う以前に、自分の身体との戦いだった。

Stage3 乾いた大地へと進んでいく ©Gravel Burn

Stage4 エイジごとのグループでスタートに備える ©Gravel Burn
しかし、第4ステージでようやく転機が訪れる。前夜に十分な睡眠が取れたことで体調が改善し、序盤から自らアタックを仕掛けるなど積極的な走りを見せた。結果こそ年代別6位だったが、フィニッシュ後には印象的な言葉が聞かれた。
「ようやくグラベルバイクで走ることが楽しくなってきました」
苦しみ続けた序盤を乗り越え、少しずつグラベル特有の走り方を理解し始めた山本。ようやく本来の姿が戻りつつあった。

キャンプ地では豪華ディナーが振る舞われる ©Gravel Burn 
焚き火を囲む参加者。日中は灼熱だが、夜は冷え込む ©Gravel Burn

夜のキャンプ地は賑やかだ ©Gravel Burn
復活の第5・6ステージ|再び火がついたレーサー魂
第5ステージは128km。山本は当初、無理をせずにリラックスして走るつもりだったが、いざレースが始まると持ち前の負けず嫌いな性格が顔を出した。先頭集団で積極的にレースを進め、結果は年代別4位。優勝者からわずか3分18秒差という好走を見せた。

サバンナの向こうからキリンが眺めている ©Gravel Burn
そして迎えた第6ステージ。グワニシからシャムワリへ向かう76kmの「Gravel Safari」では、さらに復調を印象づけた。序盤から先頭集団に入り、途中の登りで一度は遅れながらも、冷静に追いつき、最後まで優勝争いに加わった。そしてフィニッシュは優勝者からわずか1秒差。年代別ステージ3位。ついに今大会初の表彰台を獲得した。総合順位も5位から4位へ浮上。

砂塵を巻き上げて進むグループ ©Gravel Burn
スタート前のトラブルから始まり、風邪や胃腸の不調、脚の痙攣と戦い続けた山本が、ここにきて本来の強さを取り戻した。体調の回復だけではない。日を追うごとにグラベルバイクにも慣れ、その走りは以前より自然で力強いものになっていた。

Stage6 夜にナイトレースが行われた ©Gravel Burn

愉快なコスチュームで夜のレースを楽しむ ©Gravel Burn 
炎の灯りでクリテリウムだ ©Gravel Burn
最終第7ステージ|グラベルの世界に溶け込んだ7日間

いよいよ最終ステージだ。カテゴリーごとにスタートしていく ©Gravel Burn

住民が住む宅地を進むグループ ©Gravel Burn
最終日は、野生動物が暮らすシャムワリ私営自然保護区を舞台とする59.5kmの周回コース。山本はカテゴリー上位5選手による先頭集団でレースを進め、後半は総合順位を争うライバルたちとの駆け引きが続いた。最後まで集中した走りを見せ、年代別ステージ4位でフィニッシュ。

Stage7 完走の歓喜に包まれてフィニッシュへと向かう ©Gravel Burn 
Stage7 フィニッシュ! ワゥー! ©Gravel Burn

原住民の応援を受けながらフィニッシュする Stage7 ©Gravel Burn
山本は7日間の総合タイム21時間13分09秒、男子40〜44歳カテゴリー総合4位で初めてのGravel Burnを完走した。

アルパカがグラベルレーサーの集団を迎える ©Gravel Burn
レース中にはキリンやゾウ、スプリングボックなどの野生動物にも遭遇。初日はグラベル特有の走り方に戸惑い、体調不良に苦しんでいた山本だったが、最終日には世界のトップライダーたちと競い合いながら、南アフリカの大自然を駆け抜けていた。
もはや初めてグラベルに挑戦している選手には見えなかった。7日間を通じて少しずつ競技のリズムをつかみ、最後にはグラベルという新しい世界に自然と溶け込んでいたように感じられた。
逆境で見せた真の強さ
最終結果は総合4位。表彰台にはあと一歩届かなかった。しかし、今回の挑戦を順位だけで評価することはできない。
スタート直前の移動トラブル、バイクの到着遅延、風邪からの回復途中での参戦、脚の痙攣、そして胃腸の不調。これだけの悪条件が重なりながらも、山本は7日間すべてを走り抜き、後半にはステージ3位という結果を残した。

キャンプ地で参加者と歓談する。話題はレース以外にも様々だ ©Gravel Burn
改めて感じたのは、世界の舞台で長年戦い続けてきた選手の底力だ。厳しい状況でも冷静さを失わず、身体の状態を見極めながら戦い続け、最後には勝負できるところまで自分を立て直す。アジアチャンピオン、12度の全日本チャンピオン、そして4大会のオリンピックを経験してきた山本幸平だからこそ見せられた姿だったのだと思う。

Stage7 原住民に迎えられる感動的なフィニッシュ ©Gravel Burn
一方で、グラベルという新しい競技に対しては、世界を知るチャンピオンも一人の挑戦者だった。初日は戸惑い、苦しみ、そしてステージを重ねるごとに学び、適応していく。最後にはグラベル競技そのものを楽しむようになっていた。本当に強い選手とは、順調なときに速く走れるだけではない。思いどおりにいかない状況でも諦めず、最後まで戦い抜ける選手なのだろう。

栄光のGravel Burnの完走メダル ©Gravel Burn
山本幸平の初めてのGravel Burnは、総合4位という結果とともに、新たな可能性を感じさせる挑戦となった。そして何より印象的だったのは、苦しみ続けた序盤とは対照的に、最後にはグラベルの大地を走ることを楽しんでいたことだ。さすがMTBのアジアチャンピオン。さすが全日本チャンピオン。そして、さすが4大会のオリンピックを戦い抜いた男。山本幸平の新たなグラベルへの挑戦は、まだ始まったばかりなのかもしれない。
Nedbank Gravel Burn 2026|山本幸平 最終成績
カテゴリー: 男子40〜44歳
最終総合順位: 4位
総合タイム: 21時間13分09秒
ステージ成績: 5位 → 4位 → 5位 → 6位 → 4位 → 3位 → 4位
ベストリザルト: 第6ステージ3位(優勝者から1秒差)
現地取材・写真とレポート:高畠和明/Kazuaki Takabatake
スタート前のトラブル、体調不良、苦しい序盤戦...。それでも最後にはグラベルの魅力に惹き込まれていった7日間。MTBでオリンピック4大会出場、アジアチャンピオン10回、全日本選手権12回優勝の山本幸平が見せたベテランならではの強さとは。

2026年10月25日〜31日。南アフリカ東ケープ州の壮大な大自然を舞台に開催された7日間のグラベルステージレース「Nedbank Gravel Burn 2026」。 ”グラベルバーン”とは、Cape Epic 創設者ケビン・ヴァーマーク氏が立ち上げたフルサポート型の個人戦グラベルステージレースだ。プロとアマチュアが同じコースを走り、ステージごとに移動しながら Burn Camp で生活する形式の大会で、試走イベント「Trial Burn」を経て、2025年10月に第1回大会が開催。今年が第2回大会となる。

グレート・カルーの乾燥した大地から、野生動物が暮らすシャムワリ私営自然保護区まで距離約750kmに及ぶ過酷なレース。7日間の各ステージは距離約90〜140km。長いグラベルロード、吹きさらしの平原、厳しい登り。刻々と変化する路面がライダーを待ち受ける。

大会はグラベルバイク専用の個人戦であり、プロとアマチュアが同じコースと Burn Camp を共有する。個人専属のサポートクルーは認められず、すべての参加者に同じレベルの技術・運営サポートが提供される。日中は激しく競い合い、夜はキャンプでの宿泊。カテゴリーを越えて火を囲み、その日の体験を語り合う。この一体感こそが Gravel Burn の大きな特徴だ。

世界各国からトップライダーが集結した。その中に、日本のMTB界を長年牽引してきた山本幸平の姿があった。オリンピック4大会出場、アジアチャンピオン、そしてMTB全日本選手権12回優勝。数々の実績を持つ山本にとっても今回が初めてのグラベルステージレースへの参戦。男子40〜44歳カテゴリーでの挑戦だ。

「参加者が 7 日間をともに過ごし、同じキャンプで生活するステージレースだと知った瞬間、これはまさに自分が探し求めていた挑戦だと思った。僕にとってまったく新しい旅。自分自身のため、そして応援してくれるすべての人のために、年代別カテゴリーで優勝することが目標だ」と山本は語った。しかし、今回の遠征はスタートラインに立つ前から波乱の連続となった。

スタート前から続いたトラブル
大会開幕2日前の10月23日、山本は香港での航空便乗り継ぎトラブルによって予定の便に乗れず、急きょシンガポール経由で南アフリカへ向かうことに。現地到着は丸一日遅れとなった。さらに、レース用バイクと荷物の到着も遅延。大会主催者にも協力を求め、万一に備えてスペアバイクの確保を模索するなど、慌ただしい対応に追われた。結局、山本と合流できたのはレース前日の24日早朝だった。

長時間の移動で疲労が蓄積するなか、バイクの準備や受付を済ませ、さらに車で約3時間かけてスタート地点のGraaff-Reinetへ。
本来なら身体を休め、レースに備えるべき時間が、移動と準備に費やされてしまった。それでも山本は、さすがに数々の海外レースを経験してきたベテラン。落ち着いた様子で翌日のスタートを迎えた。
苦難の序盤戦|第1〜4ステージ

第1ステージは90km・獲得標高1,450m。序盤の長い登りで集団が分裂し、山本は追走グループでレースを進めたものの、残り約20kmで脚の痙攣に見舞われた。長時間移動による疲労と睡眠不足、さらに南アフリカ入り前に患った風邪からも完全には回復しておらず、万全とは程遠いコンディションだった。それでも粘り強く走り切り、年代別5位でフィニッシュ。

しかし、初めてのグラベルレースではMTBとの違いにも戸惑いを感じていた。テクニカルな下りなどで脚を休めることができるMTBとは異なり、グラベルではほぼ常にペダルを踏み続けなければならない。世界の舞台で長年戦ってきた山本にとっても、新たな挑戦だった。


続く第2ステージでも脚の痙攣に苦しみながら年代別4位に入り、総合順位を4位へ上げたものの、第3ステージでは前夜からの胃腸の不調が追い打ちをかけた。大会最長となる137kmを走り切ること自体が目標となり、総合順位も5位へ後退。初めの3日間は、順位を争う以前に、自分の身体との戦いだった。


しかし、第4ステージでようやく転機が訪れる。前夜に十分な睡眠が取れたことで体調が改善し、序盤から自らアタックを仕掛けるなど積極的な走りを見せた。結果こそ年代別6位だったが、フィニッシュ後には印象的な言葉が聞かれた。
「ようやくグラベルバイクで走ることが楽しくなってきました」
苦しみ続けた序盤を乗り越え、少しずつグラベル特有の走り方を理解し始めた山本。ようやく本来の姿が戻りつつあった。



復活の第5・6ステージ|再び火がついたレーサー魂
第5ステージは128km。山本は当初、無理をせずにリラックスして走るつもりだったが、いざレースが始まると持ち前の負けず嫌いな性格が顔を出した。先頭集団で積極的にレースを進め、結果は年代別4位。優勝者からわずか3分18秒差という好走を見せた。

そして迎えた第6ステージ。グワニシからシャムワリへ向かう76kmの「Gravel Safari」では、さらに復調を印象づけた。序盤から先頭集団に入り、途中の登りで一度は遅れながらも、冷静に追いつき、最後まで優勝争いに加わった。そしてフィニッシュは優勝者からわずか1秒差。年代別ステージ3位。ついに今大会初の表彰台を獲得した。総合順位も5位から4位へ浮上。

スタート前のトラブルから始まり、風邪や胃腸の不調、脚の痙攣と戦い続けた山本が、ここにきて本来の強さを取り戻した。体調の回復だけではない。日を追うごとにグラベルバイクにも慣れ、その走りは以前より自然で力強いものになっていた。



最終第7ステージ|グラベルの世界に溶け込んだ7日間


最終日は、野生動物が暮らすシャムワリ私営自然保護区を舞台とする59.5kmの周回コース。山本はカテゴリー上位5選手による先頭集団でレースを進め、後半は総合順位を争うライバルたちとの駆け引きが続いた。最後まで集中した走りを見せ、年代別ステージ4位でフィニッシュ。



山本は7日間の総合タイム21時間13分09秒、男子40〜44歳カテゴリー総合4位で初めてのGravel Burnを完走した。

レース中にはキリンやゾウ、スプリングボックなどの野生動物にも遭遇。初日はグラベル特有の走り方に戸惑い、体調不良に苦しんでいた山本だったが、最終日には世界のトップライダーたちと競い合いながら、南アフリカの大自然を駆け抜けていた。
もはや初めてグラベルに挑戦している選手には見えなかった。7日間を通じて少しずつ競技のリズムをつかみ、最後にはグラベルという新しい世界に自然と溶け込んでいたように感じられた。
逆境で見せた真の強さ
最終結果は総合4位。表彰台にはあと一歩届かなかった。しかし、今回の挑戦を順位だけで評価することはできない。
スタート直前の移動トラブル、バイクの到着遅延、風邪からの回復途中での参戦、脚の痙攣、そして胃腸の不調。これだけの悪条件が重なりながらも、山本は7日間すべてを走り抜き、後半にはステージ3位という結果を残した。

改めて感じたのは、世界の舞台で長年戦い続けてきた選手の底力だ。厳しい状況でも冷静さを失わず、身体の状態を見極めながら戦い続け、最後には勝負できるところまで自分を立て直す。アジアチャンピオン、12度の全日本チャンピオン、そして4大会のオリンピックを経験してきた山本幸平だからこそ見せられた姿だったのだと思う。

一方で、グラベルという新しい競技に対しては、世界を知るチャンピオンも一人の挑戦者だった。初日は戸惑い、苦しみ、そしてステージを重ねるごとに学び、適応していく。最後にはグラベル競技そのものを楽しむようになっていた。本当に強い選手とは、順調なときに速く走れるだけではない。思いどおりにいかない状況でも諦めず、最後まで戦い抜ける選手なのだろう。

山本幸平の初めてのGravel Burnは、総合4位という結果とともに、新たな可能性を感じさせる挑戦となった。そして何より印象的だったのは、苦しみ続けた序盤とは対照的に、最後にはグラベルの大地を走ることを楽しんでいたことだ。さすがMTBのアジアチャンピオン。さすが全日本チャンピオン。そして、さすが4大会のオリンピックを戦い抜いた男。山本幸平の新たなグラベルへの挑戦は、まだ始まったばかりなのかもしれない。
Nedbank Gravel Burn 2026|山本幸平 最終成績
カテゴリー: 男子40〜44歳
最終総合順位: 4位
総合タイム: 21時間13分09秒
ステージ成績: 5位 → 4位 → 5位 → 6位 → 4位 → 3位 → 4位
ベストリザルト: 第6ステージ3位(優勝者から1秒差)
現地取材・写真とレポート:高畠和明/Kazuaki Takabatake
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