ヴィンゲゴーの、ファンアールトの、イェーツの走りを支える"勝てる"ホイール
「謎のホイール」から、一躍「勝てるホイールへ」。ヨナス・ヴィンゲゴーやワウト・ファンアールト、サイモン・イェーツを擁するヴィスマ・リースアバイクの走りを支えるホイールが新進気鋭の「Reserve Wheels(リザーブホイール)」だ。


「TURBULENT AERO(タービュレント・エアロ)」と名付けられた超ワイドな前後異形カーボンリムが目をひくものの、対照的にハブやスポークは奇をてらわない質実剛健な設計が特徴。ロードホイールに参入して日が浅いにも関わらず、プロ選手の要求に応える多種多様な製品バリエーションを誇る。押し出しの少ないロゴデザインのシンプルなカーボンホイールには、ノウハウ豊富なエンジニア集団による「世界最速のバイクを作る」ための熱意が宿っている。
本章ではヴィスマと共に躍進を遂げるリザーブホイールを総力特集。高品質・高性能を叶えるブランドヒストリーと共に、軽量クライミングモデルの「34|37 TA」と、平坦から山岳まで幅広く使えるオールラウンドモデル「42|49 TA」のインプレッションを中心に、その魅力をお伝えしていきたいと思う。
トップブランドのノウハウがもたらす高性能
「リザーブホイール」の名が世に知れ渡ったのは、ヴィスマとのオフィシャルパートナーシップを交わした2023年だろう。しかしそれ以前からヴィスマに対してはタイムトライアル用ホイールをサポートしてきたし、マリアンヌ・フォス擁する同女子チームに関してはロードホイールを含めてフル体制で支えてきた。


さらに過去を振り返れば、MTB、特にダウンヒル系カルチャーからの評価を得て、2021年には生ける伝説グレッグ・ミナーの8年越しのDH世界王者戴冠をサポートするなど、新興ブランドながらその戦歴は枚挙に暇(いとま)がない。
その理由は、リザーブがMTBトップブランドとして知られるサンタクルズによって興されたブランドだからだ。完成車に投入するホイール性能に満足できなかったことから自社開発を決め、「市場で最も耐久性に優れ、重量剛性比に優れるカーボンホイールを作る」を合言葉に2014年に創業。2017年には当時まだ他になかった生涯保証付きのMTB用カーボンホイールをリリースし、2019年にはグラベルホイールの発表へと繋げている。
ロードホイール開発に着手したのは同じ2019年だ。サンタクルズと同じPONグループ傘下のサーヴェロとのタッグを得て、同社が長年培ってきたエアロテクノロジーが合流。2ブランドのノウハウが活きたロードホイールは、デビューするやいなや優秀な評価に後押しされてラインナップ拡充を遂げてきた。
タービュレント・エアロ・テクノロジー:リアルデータを徹底研究
我々ロードユーザーが知るべきリザーブの取り組みが「タービュレント(乱流)エアロ・テクノロジー」と呼ばれるものだ。ざっくりと説明するならば「実際の風の状態をキャプチャし、それを風洞で再現して、より高速で安定したホイールを作るというもの」だ。
一定条件の風しか再現できない風洞には飽き足らず、実世界での風を把握して製品開発に活かすために、航空業界で使用される高周波プローブで乱流データを計測するスクーターを製作。気温、気圧、気圧、風速、風向など、さまざまな情報を長期に渡ってアメリカとヨーロッパで収集したという。



独自制作したソフトで仮説を検証するためのデータ分析を行い、導き出されたプロトタイプを3Dプリンタで製作し、実験を経て製品へとフィードバックするという、他ブランドとは違う徹底的な研究開発を行なった。結果的に、軽量モデルから平坦用のディープリムモデルまで、全てが前後で異なるリムハイト、異なる内幅、異なるリム形状という、他ブランドとは一線を画するデザインに。あらゆる状況下でも安定性に優れ、なおかつ軽いというアドバンテージを得るに至っている(タービュレント・エアロ・テクノロジーについての詳細は公式サイトの特集ページ(日本語)を参照のこと)。
リザーブ ロードホイールラインナップ

リザーブのロードラインナップの中でも主力となるのが、山岳用軽量モデルの「34|37 TA」と、ヴィスマのメインホイールとして愛用される「42|49 TA」と「52|63 TA」という3種類。昨年秋には「34|37」がモデルチェンジによって「TA」表記のつく最新モデルに代替わりし、「42|49 TA」は先代に当たる「40|44」からリムハイトを増したにも関わらず軽量化を果たしている。
上記の3モデルに加え、シクロクロスとヒルクライム用の決戦用チューブラーホイールである「36|39 Tubular」や、タイムトライアル/トライアスロン用の「77|Disc TA」、平坦用の「77|88 TA」がその脇を固める、隙のないラインナップを誇っている。

モデル名はいずれも前後リムハイトを表しているという分かりやすさで、ほとんどのモデルが予算に応じてDTスイス製のハブのグレードを指定可能だ。ハブは最軽量モデルのDT180、ヴィスマも通常使用するDT240、そしてDT350という同社の面ラチェット採用モデル3種類から選ぶことができる(3つ爪ラチェットの廉価モデルであるDT370ハブが採用されていないことからも、高性能ホイールにこだわる姿勢が垣間見れる)。スポークは定評あるサピムのCX-Rayで、こだわりのホイールビルドを目指すユーザーに向けたリム単体販売も行われている。
34|37 TA

昨年秋にモデルチェンジが行われた「34|37 TA」は、2024年ツール・ド・フランス第11ステージでのヨナス・ヴィンゲゴーのステージ優勝を支えた軽量モデル。前34mm(内幅22.8mm)、後37mm(内幅22mm)というリムハイトはそのままにリム1本あたり30g軽量化され、かつ風洞実験では4g高速化を達成した意欲作だ。DT180ハブを組み合わせた場合のペア重量は1200gという驚きの軽さを誇る。
項目 | 仕様 | |
---|---|---|
ホイールサイズ | 700c | |
推奨タイヤ寸法 | 28~38mm | |
スポーク数 | 24 | |
ハブ間隔 | 12 x 100mm / 12 x 142mm | |
フリーハブオプション | XDR、HG-EV | |
Discスタイルオプション | センターロック | |
フロント(34 TA) | ERD: 571mm / 内幅: 22.8mm / 外幅: 29.8mm / 深さ: 34mm / 重量: 335g | |
リア(37 TA) | ERD: 565mm / 内幅: 22mm / 外幅: 29.5mm / 深さ: 37mm / 重量: 355g | |
モデル | 重量 | 価格 |
Reserve 34/37 TA (DT 180) | 1200g | 471,900円(税込) |
Reserve 34/37 TA (DT 240) | 1220g | 383,900円(税込) |
Reserve 34/37 TA (DT 350) | 1280g | 295,900円(税込) |
Reserve 34 TA Rim-Only | 335g | 137,500円(税込) |
Reserve 37 TA Rim-Only | 355g | 137,500円(税込) |
42|49 TA

34|37 TAと同じく昨年秋にモデルチェンジしたオールラウンドホイールが「42|49 TA」だ。前モデルである「40|44」からリムハイトを増しているにも関わらず軽量化を達成した意欲作であり、DT180ハブを装備した完組みホイールでペア1341gという圧倒的な軽さを誇る。モデル名通りリムハイトは前42mm、後49mmとエアロと汎用性に優れた設計で、内幅は前25.4mm、後24.8mm。
項目 | 仕様 | |
---|---|---|
ホイールサイズ | 700c | |
推奨タイヤ寸法 | 29~40mm | |
スポーク数 | 24 | |
ハブ間隔 | 12 x 100mm / 12 x 142mm | |
フリーハブオプション | XDR、HG-EV | |
Discスタイルオプション | センターロック | |
フロント(42 TA) | ERD: 556mm / 内幅: 25.4mm / 外幅: 34.4mm / 深さ: 42mm / 重量: 375g | |
リア(49 TA) | ERD: 542mm / 内幅: 24.8mm / 外幅: 32.1mm / 深さ: 49mm / 重量: 415g | |
モデル | 重量 | 価格 |
Reserve 42/49 TA (DT 180) | 1341g | 471,900円(税込) |
Reserve 42/49 TA (DT 240) | - | 383,900円(税込) |
Reserve 42/49 TA (DT 350) | 1489g | 295,900円(税込) |
Reserve 42 TA Rim-Only | 375g | 137,500円(税込) |
Reserve 49 TA Rim-Only | 415g | 137,500円(税込) |
52|63 TA

平坦や丘陵コースを中心に、ヴィスマのメインホイールとして愛用され勝利を量産するエアロホイールが「52|63 TA」だ。2023年デザイン&イノベーション賞を受賞した52|63 TAは、横風でも安定したハンドリングを叶える52mmハイトのフロントと、究極のエアロ性能を叶える63mmのリアを組み合わせた。内幅は前25mm/後24mmで、重量は50mm超ハイトカテゴリーで十分武器となるペア1576g(DT180ハブ使用時)。3大グランツール制覇・トリプルクラウン記念特別仕様モデルも発売後即完売となった。
項目 | 仕様 | |
---|---|---|
ホイールサイズ | 700c | |
推奨タイヤ寸法 | 28~35mm | |
スポーク数 | 24 | |
フロント(52 TA) | ERD: 537mm / 内幅: 25mm / 外幅: 35mm / 深さ: 52mm / 重量: 465g | |
リア(63 TA) | ERD: 515mm / 内幅: 24mm / 外幅: 34mm / 深さ: 63mm / 重量: 525g | |
モデル | 重量 | 価格 |
Grand Tour Triple Crown (3C) Special Edition | ||
Reserve 52|63 TA 3C (DT 180) | 1,576g | 467,500円(税込) |
通常デザイン | ||
Reserve 52|63 TAD (DT 180) | 1,576g | 434,500円(税込) |
Reserve 52|63 TAD (DT 240) | 1,606g | 365,200円(税込) |
Reserve 52|63 TAD (DT 350) | 1,660g | 280,500円(税込) |
Reserve 52 Rim-Only | 465g | 126,500円(税込) |
Reserve 63 Rim-Only | 525g | 126,500円(税込) |
36|39 Tubular

リザーブホイールのラインナップの中で異彩を放つのがこのチューブラーモデル「36|39 Tubular」。2023年のツール・ド・フランスでヴィンゲゴーを勝利に導くために開発・投入された超軽量モデルで、前36mm、後39mmリムによるペア重量は驚きの1166gを誇る(DT180ハブ使用時)。シクロクロスにも積極参戦するチームの決戦ホイールとしても使われ、今年はフェム・ファンエンペル(オランダ)による3年連続のシクロクロス世界チャンピオン獲得にも貢献している。山岳コースで、CXコースでライバルを突き放すには最高の選択肢となるだろう。
項目 | 仕様 | |
---|---|---|
ホイールタイプ | チューブラー | |
推奨タイヤ寸法 | チューブラーの35mmまで | |
スポーク数 | 24 | |
ハブ間隔 | 12 x 100mm / 12 x 142mm | |
フリーハブオプション | XDR、HG-EV | |
Discスタイルオプション | センターロック | |
フロント(36 Tubular) | ERD: 570mm / 内幅: 28mm / 外幅: 30mm / 深さ: 36mm | |
リア(39 Tubular) | ERD: 567mm / 内幅: 28mm / 外幅: 30mm / 深さ: 39mm | |
モデル | 重量 | 価格 |
Reserve 36|39 Tubular (DT 180) | 1,166g | 434,500円(税込) |
77|88 TA

タービュラント・エアロ(TA)テクノロジーを駆使して開発された平坦用スペシャルホイールが「77|88 TA」だ。前77mm(内幅25.5mm)/ 後88mm(内幅24.5mm)というリムプロファイルはタイムトライアルとトライアスロン用に研究開発されたもので、最大限の安定性、最小限の重量、最適化されたエアロダイナミクスを約束する。ハブはDT240のみで、ペア重量は1701g。
項目 | 仕様 | |
---|---|---|
ホイールサイズ | 700c | |
推奨タイヤ寸法 | 28~35mm | |
スポーク数 | 24 | |
ハブ間隔 | 12 x 100mm / 12 x 142mm | |
フリーハブオプション | XDR、HG-EV | |
Discスタイルオプション | センターロック | |
フロント(77) | ERD: 487mm / 内幅: 25.5mm(実測) / 外幅: 35.5mm(実測) / 深さ: 77mm | |
リア(88) | ERD: 466mm / 内幅: 24.5mm(実測) / 外幅: 34.5mm(実測) / 深さ: 88mm | |
モデル | 重量 | 価格 |
Reserve 77|88 (DT240) | 1,701g | 365,200円(税込) |
77|Disc TA

これぞプロ機材。ヴィスマのグランツール常勝に貢献するのがこのディープリム+ディスクホイールセット「Reserve 77|Disc TA」だ。ワウト・ファンアールト(ベルギー)のツール・ド・フランスステージ優勝を支えるなど、その性能は十二分に実証済み。ディスクホイールのハブは接合一体型で、内幅は前後共に22mm。適合タイヤは28mmまで。
項目 | 仕様 | |
---|---|---|
ホイールサイズ | 700c | |
スポーク数 | 24 | |
ハブ間隔 | 100mm / 142mm | |
フリーハブオプション | XDR、HG-EV | |
Discスタイルオプション | センターロック | |
フロント(77) | 内幅: 25.5mm(実測) / 外幅: 35.5mm(実測) / 深さ: 77mm / 推奨タイヤ: 28~35mm / 重量: 565g | |
リア(Disc) | 内幅: 22mm(実測) / 外幅: 30mm(実測) / 深さ: Infinity / 推奨タイヤ: 25~28mm / 重量: 1190g | |
モデル | 重量 | 価格 |
Reserve 77|Disc TA (DT 240) | 1,915g | 577,500円(税込) |
製作:シクロワイアード編集部 | 提供:ウインクレル