ツール・ド・熊野を象徴する最終「太地半島周回コース」でドゥシャン・ラヨビッチ(セルビア)が区間2勝目。マーク・スチュワート(イギリス)が首位を守り、ソリューションテック・ヴィーニファンティーニが力を見せつける結果となった。



くじら浜公園を出発。パレードランを経て最終ステージのリアルスタートが切られた photo:Satoru Kato

ツール・ド・熊野を締めくくるのは「くじらの町」として知られる太地町(たいじまち)の「太地半島周回コース」。太地湾に面した1周10.5kmアップダウンコースは、熊野山岳と並んでツール・ド・熊野を象徴する色鮮やかな沿道風景が魅力。この周回コースを10周する104.3kmコースが舞台だ。

前日に総合首位に浮上したマーク・スチュワート(イギリス、ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)や、山岳賞を確定させたニコロ・ガリッボ(イタリア、JCLチーム右京)らを先頭に、パレードランが9時50分にくじら浜公園を出発。リアルスタートが切られるとすぐ安原大貴(マトリックスパワータグ)が飛び出した。

積極的にアタックを繰り返す今村駿介(ワンティ・NIPPO・リユーズ) photo:Satoru Kato
ステージ優勝に燃えるニコロ・ガリッボ(イタリア、JCLチーム右京)が逃げグループにジャンプ photo:Satoru Kato


晴天の太地湾沿いを登る集団 photo:Satoru Kato

安原が捕まったカウンターでは総合2位マティアス・ブレグノイ(デンマーク、トレンガヌサイクリングチーム)や総合3位の岡篤志(宇都宮ブリッツェン)や総合4位ベンジャミ・プラデス(スペイン、VC FUKUOKA)、前日にステージ優勝を逃したガリッボらが積極的に動く展開に。穏やかな太地湾沿いの風景とは全く異なる緊張感のあるレース序盤戦となった。

4周目にようやく生まれた逃げに乗ったのは、第2ステージで逃げ切った今村駿介(ワンティ・NIPPO・リユーズ)とトマ・ルバ(フランス、キナンレーシング)、レオネル・キンテロ(コロンビア、ヴィクトワール広島)、入部正太朗(シマノレーシング)という4名で、遅れてガリッボも合流。4名だけに減ったソリューションテックが中心となって牽引するメイン集団から、およそ1分のリードを得て逃げ続けた。

入部正太朗(シマノレーシング)やニコロ・ガリッボ(イタリア、JCLチーム右京)らが逃げグループを形成。1分リードで逃げ続けた photo:Satoru Kato

ペースを上げて逃げ続ける今村、ガリッボ、ルバ photo:Satoru Kato
ステージ優勝に燃えるガリッボは逃げを継続。しかしフィニッシュは遠かった photo:Satoru Kato


ラヨビッチのために牽引を続ける新城幸也(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ) photo:Satoru Kato

暫く平穏な展開のまま距離を消化し、メイン集団先頭をソリューションテック・ヴィーニファンティーニの新城幸也とダヴィデ・バルダッチーニ(イタリア)、沢田時(宇都宮ブリッツェン)、南和人(愛三レーシングチーム)が牽いて後半戦へ。残り2周回に入るとステージ優勝に燃えるガリッボがアタックし、ルバと今村を引き連れて逃げを継続した。

足並みを揃える3名だったが、スピードを上げ続けるメイン集団は15秒差まで縮めて最終周回へ。ガリッボは更なるアタックで独走に持ち込んだものの、迫る集団を振り切るには至らない。底力を見せつけるソリューションテックが位置取り争いを有利に進め、ドゥシャン・ラヨビッチ(セルビア、ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)が発進。キム・ユロ(韓国、LXサイクリングチーム)との接戦を制して右手を突き上げた。

ドゥシャン・ラヨビッチ(セルビア、ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)が接戦スプリントをリード photo:Satoru Kato

ハンドル投げの僅差の勝負を制したドゥシャン・ラヨビッチ(セルビア、ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ) photo:Satoru Kato

和歌山クリテリウムと第1ステージに続き、ラヨビッチがダメ押しの今大会1+2勝目をマーク。リーダージャージを着るスチュワートがもステージ3位に入り、第25代ツール・ド・熊野総合チャンピオンに輝いた。ソリューションテックはクリテリウム+区間3勝、総合優勝、ポイント賞と唯一のUCIプロチームとしてその力を見せつけた。

絶えずアタック合戦が続くスピーディーな展開だったものの、総合上位勢はほぼ全員集団フィニッシュしたため順位変動はなし。昨年覇者の岡篤志(宇都宮ブリッツェン)は日本人トップとなる総合3位に。小石祐馬(JCLチーム右京)は総合6位、織田聖(マトリックスパワータグ)は総合9位、橋川丈(愛三工業レーシングチーム)が総合10位で1日+4日間の戦いが幕を閉じた。

ドゥシャン・ラヨビッチ(セルビア、ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)が今大会3勝目を獲得 photo:Satoru Kato

個人総合成績:マーク・スチュワート(イギリス、ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)が優勝 photo:Satoru Kato

山岳賞を獲得したニコロ・ガリッボ(イタリア、JCLチーム右京) photo:Satoru Kato
総合5位のソーレン・ケイエ(オランダ、ワンティ・NIPPO・リユーズ)がヤングライダー賞を獲得 photo:Satoru Kato



ツール・ド・熊野2025 第4ステージ
1位 ドゥシャン・ラヨビッチ(セルビア、ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ) 2:28:12
2位 キム・ユロ(韓国、LXサイクリングチーム)
3位 マーク・スチュワート(イギリス、ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)
4位 織田聖(マトリックスパワータグ)
5位 ニコロ・ガリッボ(イタリア、JCLチーム右京)
6位 ドックス・ジル(ベルギー、ワンティ・NIPPO・リユーズ)
7位 マティアス・ブレグノイ(デンマーク、トレンガヌサイクリングチーム)
8位 孫崎大樹(ヴィクトワール広島)
9位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)
10位 ヴァディム・プロンスキー(カザフスタン、トレンガヌ・サイクリングチーム)
個人総合成績
1位 マーク・スチュワート(イギリス、ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ) 11:06:20
2位 マティアス・ブレグノイ(デンマーク、トレンガヌサイクリングチーム) +0:08
3位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +0:48
4位 ベンジャミ・プラデス(スペイン、VC福岡) +0:55
5位 ソーレン・ケイエ(オランダ、ワンティ・NIPPO・リユーズ)
6位 小石祐馬(JCLチーム右京)
7位 バッサイカン・テグシュバヤール (モンゴル、ルージャイ・インシュランス) +0:58
8位 ヴァディム・プロンスキー(カザフスタン、トレンガヌ・サイクリングチーム) +0:59
9位 織田聖(マトリックスパワータグ)
10位 橋川丈(愛三工業レーシングチーム)
その他の特別賞
ポイント賞 ドゥシャン・ラヨビッチ(セルビア、ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)
山岳賞 ニコロ・ガリッボ(イタリア、JCLチーム右京)
チーム総合成績 トレンガヌ・サイクリングチーム
photo:Satoru Kato