レース中盤に発生した落車により一時中断し、総合成績へのタイム変動がなかったジロ・デ・イタリア第6ステージ。集団スプリントでカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)が先着し、チームワークを勝利に繋げた。

笑顔のファンアールトとアッフィニ photo:RCS Sport 
ピザにかぶりつくプロウライト photo:RCS Sport

マリアローザを着用するマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:RCS Sport

ジロ・デ・イタリア2025第6ステージ コースプロフィール photo:RCS Sport イタリア本土に上陸してから3日間連続の平坦ステージは、この日がその最終日。ジロ・デ・イタリア第6ステージは内陸のポテンツァから、イタリア第3の都市ナポリを目指す227kmで争われた。今大会の最長コースは序盤に2級山岳を越え、中盤にも丘や3級山岳が設定。しかしフィニッシュまで約82kmの平坦路が続くため、集団スプリントが濃厚と見られた。
今大会第1週のスプリントステージはこれが最後のため、スピードマンたちもモチベーション高く臨むレースは現地時間午前11時50分にスタート。スプリンターのいないイネオス・グレナディアーズが積極的に動くなか、逃げ形成の動きが見られたが、メイン集団からもアタックが掛かるなど何度もシャッフルされる。そして35kmほど進み、ようやくタコ・ファンデルホールン(オランダ、アンテルマルシェ・ワンティ)とエンゾ・パレニ(フランス、グルパマFDJ)2名の逃げに落ち着いた。

179名がポテンツァをスタートした photo:RCS Sport

先行する2名に合流したロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ) photo:RCS Sport
しかし登坂距離19.9kmと長い2級山岳に入り、ヴィスマ・リースアバイクの牽引するプロトンからはルーカス・ハミルトン(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)がアタック。それに山岳ポイントを加算したいマリアアッズーラを着るロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ)が反応する。そしてハミルトンを置き去りにしたフォルトゥナートは先頭の2名に合流し、頂上の先頭通過(18点獲得)に成功した。
この日最大の目標を達成したフォルトゥナートはメイン集団へと戻っていき、この頃から雨が選手と路面を濡らし始める。続く中間スプリントでは、25歳の誕生日を迎えたイェンセン・プロウライト(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)がカーデン・グローブス(オーストラリア)のために3位通過でライバルのポイント獲得のチャンスを潰す。その後は逃げの2名をヴィスマが牽引するプロトンが追う、静かな展開のままレースは進行した。

雨の中、プロトンはアルペシン・ドゥクーニンクが先導した photo:RCS Sport

大規模落車により一時レースは中断した photo:CorVos
2021年以来のステージ優勝を目指すファンデルホールンと22歳の若手パレニは、1分16秒のリードで3級山岳をクリアする。その後はフィニッシュまで続く平坦路を進むのみ。しかし、下り区間に差し掛かるとプロトンで大規模な落車が発生した。
濡れた路面にタイヤを滑らせたのはジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)だった。集団前方での落車だったため、後続選手たちも多数が巻き込まれる事態に。それにはマリアローザを着用するマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)やリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)など有力選手も巻き込まれ、多くが落車する混沌とした状況に陥った。
脳震盪の症状が見られたヒンドレーは自らの脚で救急車に乗り込み、そのチームメイトであるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)はレース主催者と話し合う。そして協議の結果、レッドブルKMとフィニッシュ地点のポイント及びボーナスタイムは与えられず、またフィニッシュ地点でのタイム差も総合順位には加算されないことが決定した。

再開したレースで、プロトンを牽引するヴィスマ・リースアバイク photo:RCS Sport
再スタート後もメイン集団の牽引はヴィスマ・リースアバイクとアルペシン・ドゥクーニンクが担当した。ナポリの市街地に突入し、落車の影響からかピーダスンは集団後方に下がっていく。残り10kmを切った時点で逃げとプロトンのタイム差は30秒を割り込み、残り2.6km地点でゼロになった。
短い石畳区間を抜け、残り1kmのバナーの手前では、牽引するアルペシンからプロウライトがアタックを試みる。この動きを利用したワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)が先頭に立ったものの、ポルティ・ビジットマルタのトレインが引き戻す。そしてイレギュラーな展開に人数が絞られた集団から、マッテオ・モスケッティ(イタリア、Q36.5プロサイクリング)が先に踏み込んだ。
僅かに左に曲がる最終ストレートの内側でスプリントするモスケッティ。その背後に迫る選手たちに対し、グローブスが右側の広いスペースでスプリントを開始する。その圧巻のスピードは背後にライバルたちをつけさせることなく、グローブスがフィニッシュラインを駆け抜けた。

圧巻のスプリントから勝利したカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

ジロ通算2勝目を飾ったカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:RCS Sport
2023年以来となる通算ジロ2勝目と共に、念願の今シーズン初勝利を手に入れたグローブス。「怪我のため今季は勝利を逃し続けていた。だから今日、初勝利を飾ることができて肩の荷が下りた気持ちだよ。濡れた路面はとても滑りやすく、残り2kmからは石畳区間もあったので、集団前方にい続けることが重要だった。そしてチームメイトが素晴らしい働きを見せてくれた」と、レース後に涙を流したグローブスはそう語った。
モスケッティはオラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)をフェンス際に追いやったとして8位から176位に降格処分が下される。そしてこの日は、2022年の総合優勝者かつログリッチの重要な山岳アシストであるヒンドレーに加え、第3ステージで山羊に体当たりされたディオン・スミス(ニュージーランド、アンテルマルシェ・ワンティ)とユーリ・ホルマン(ドイツ、アルペシン・ドゥクーニンク)の3名がリタイアしている。




今大会第1週のスプリントステージはこれが最後のため、スピードマンたちもモチベーション高く臨むレースは現地時間午前11時50分にスタート。スプリンターのいないイネオス・グレナディアーズが積極的に動くなか、逃げ形成の動きが見られたが、メイン集団からもアタックが掛かるなど何度もシャッフルされる。そして35kmほど進み、ようやくタコ・ファンデルホールン(オランダ、アンテルマルシェ・ワンティ)とエンゾ・パレニ(フランス、グルパマFDJ)2名の逃げに落ち着いた。


しかし登坂距離19.9kmと長い2級山岳に入り、ヴィスマ・リースアバイクの牽引するプロトンからはルーカス・ハミルトン(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)がアタック。それに山岳ポイントを加算したいマリアアッズーラを着るロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ)が反応する。そしてハミルトンを置き去りにしたフォルトゥナートは先頭の2名に合流し、頂上の先頭通過(18点獲得)に成功した。
この日最大の目標を達成したフォルトゥナートはメイン集団へと戻っていき、この頃から雨が選手と路面を濡らし始める。続く中間スプリントでは、25歳の誕生日を迎えたイェンセン・プロウライト(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)がカーデン・グローブス(オーストラリア)のために3位通過でライバルのポイント獲得のチャンスを潰す。その後は逃げの2名をヴィスマが牽引するプロトンが追う、静かな展開のままレースは進行した。


2021年以来のステージ優勝を目指すファンデルホールンと22歳の若手パレニは、1分16秒のリードで3級山岳をクリアする。その後はフィニッシュまで続く平坦路を進むのみ。しかし、下り区間に差し掛かるとプロトンで大規模な落車が発生した。
濡れた路面にタイヤを滑らせたのはジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)だった。集団前方での落車だったため、後続選手たちも多数が巻き込まれる事態に。それにはマリアローザを着用するマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)やリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)など有力選手も巻き込まれ、多くが落車する混沌とした状況に陥った。
脳震盪の症状が見られたヒンドレーは自らの脚で救急車に乗り込み、そのチームメイトであるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)はレース主催者と話し合う。そして協議の結果、レッドブルKMとフィニッシュ地点のポイント及びボーナスタイムは与えられず、またフィニッシュ地点でのタイム差も総合順位には加算されないことが決定した。

再スタート後もメイン集団の牽引はヴィスマ・リースアバイクとアルペシン・ドゥクーニンクが担当した。ナポリの市街地に突入し、落車の影響からかピーダスンは集団後方に下がっていく。残り10kmを切った時点で逃げとプロトンのタイム差は30秒を割り込み、残り2.6km地点でゼロになった。
短い石畳区間を抜け、残り1kmのバナーの手前では、牽引するアルペシンからプロウライトがアタックを試みる。この動きを利用したワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)が先頭に立ったものの、ポルティ・ビジットマルタのトレインが引き戻す。そしてイレギュラーな展開に人数が絞られた集団から、マッテオ・モスケッティ(イタリア、Q36.5プロサイクリング)が先に踏み込んだ。
僅かに左に曲がる最終ストレートの内側でスプリントするモスケッティ。その背後に迫る選手たちに対し、グローブスが右側の広いスペースでスプリントを開始する。その圧巻のスピードは背後にライバルたちをつけさせることなく、グローブスがフィニッシュラインを駆け抜けた。


2023年以来となる通算ジロ2勝目と共に、念願の今シーズン初勝利を手に入れたグローブス。「怪我のため今季は勝利を逃し続けていた。だから今日、初勝利を飾ることができて肩の荷が下りた気持ちだよ。濡れた路面はとても滑りやすく、残り2kmからは石畳区間もあったので、集団前方にい続けることが重要だった。そしてチームメイトが素晴らしい働きを見せてくれた」と、レース後に涙を流したグローブスはそう語った。
モスケッティはオラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)をフェンス際に追いやったとして8位から176位に降格処分が下される。そしてこの日は、2022年の総合優勝者かつログリッチの重要な山岳アシストであるヒンドレーに加え、第3ステージで山羊に体当たりされたディオン・スミス(ニュージーランド、アンテルマルシェ・ワンティ)とユーリ・ホルマン(ドイツ、アルペシン・ドゥクーニンク)の3名がリタイアしている。
ジロ・デ・イタリア2025第6ステージ結果
1位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 4:59:52 |
2位 | ミラン・フレティン(ベルギー、コフィディス) | |
3位 | ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ) | |
4位 | マックス・カンター(ドイツ、XDSアスタナ) | |
5位 | ジョヴァンニ・ロナルディ(イタリア、ポルティ・ビジットマルタ) | |
6位 | マイケル・ゼイラート(オランダ、チューダー・プロサイクリング) | |
7位 | マルティン・マルチェルージ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ) | |
8位 | ルカ・モッツァート(イタリア、アルケア・B&Bホテルズ) | |
9位 | マテウジュ・ゴヴェカル(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
10位 | オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | 20:11:44 |
2位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +0:17 |
3位 | マティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック) | +0:24 |
4位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG) | +0:31 |
5位 | イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) | +0:32 |
6位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) | +0:35 |
7位 | マックス・プール(イギリス、ピクニック・ポストNL) | +0:43 |
8位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +0:44 |
9位 | マイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダー・プロサイクリング) | +0:46 |
10位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +0:50 |
マリアチクラミーノ(ポイント賞)
1位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | 141pts |
2位 | オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) | 55pts |
3位 | カスペル・ファンウーデン(オランダ、ピクニック・ポストNL) | 50pts |
マリアアッズーラ(山岳賞)
1位 | ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ) | 49pts |
2位 | シルヴァン・モニケ(ベルギー、コフィディス) | 20pts |
3位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | 12pts |
マリアビアンカ(ヤングライダー賞)
1位 | マティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック) | 20:12:08 |
2位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) | +0:08 |
3位 | イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) | +0:11 |
チーム総合成績
1位 | リドル・トレック | 60:36:32 |
2位 | UAEチームエミレーツXRG | +0:07 |
3位 | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +0:15 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, RCS Sport
photo:CorVos, RCS Sport
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