白地に赤水玉模様のマイヨアポワは山岳賞、純白のマイヨブランは25歳以下のヤングライダーたちが争い身に纏う。ツール・ド・フランスを彩る2つの特別賞ジャージと、その候補選手たちを紹介します。



昨年マイヨアポワ(山岳賞)を獲得したリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos

プロトンの中でも一際目立つマイヨブラン・ア・ポワ・ルージュ(略してマイヨアポワ)は、山岳最強クライマーの証。山岳賞が始まったのは1933年だが、特徴的な白地に赤の水玉模様が採用されたのは1975年のことで、ジャージスポンサーはフランスの大手スーパーチェーン「Eルクレール」が務める。

カテゴリー山岳に到達した順にポイントが加算され、その合計点で争われる山岳賞。4級山岳をトップ通過してもわずか1ポイントしか得られないため、いかに超級や1級山岳でポイントを積み重ねるかが重要になってくる。今大会は第18ステージのフィニッシュ地点である超級山岳ロズ峠に限り、超級山岳の2倍のポイント(トップ通過に40ポイント)が、アンリ・デグランジュ記念賞と共に与えられる。



カテゴリー山岳のポイント配分

超級山岳
 20pts, 15pts, 12pts, 10pts, 8pts, 6pts, 4pts, 2pts
1級山岳
 10pts, 8pts, 6pts, 4pts, 2pts, 1pt
2級山岳
 5pts, 3pts, 2pts, 1pt
3級山岳
 2pts, 1pt
4級山岳
 1pt



総合争いから脱落したオールラウンダーやその山岳アシストなど、様々な選手が目標を切り替えて狙ってくるため、予想が難しいこの賞。もちろん積極的に逃げに乗り、区間優勝と共にポイント獲得を狙う選手が上位につけるため、チームから逃げる自由を与えられたクライマーが有力候補となる。

マイヨアポワ候補に挙がるニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:So Isobe

総合優勝者によるマイヨアポワ獲得が3大会続いたものの、2023年にジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)、昨年はリチャル・カラパス(エクアドル)が獲得。2年連続でレース主催者の願いを叶えた。今年はチッコーネとカラパスが共に不出場のため、新たな着用者が現れるか、またもマイヨジョーヌ着用者が水玉模様も獲得してしまうのか。2023年に12日間に渡り着用したニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)が積極的な逃げから、再び着用するかにも注目だ。
歴代のマイヨアポワ受賞者
2024年 リチャル・カラパス(エクアドル)
2023年 ジュリオ・チッコーネ(イタリア)
2022年 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)
2021年 タデイ・ポガチャル(スロベニア)
2020年 タデイ・ポガチャル(スロベニア)
2019年 ロマン・バルデ(フランス)
2018年 ジュリアン・アラフィリップ(フランス)
2017年 ワレン・バルギル(フランス)
2016年 ラファウ・マイカ(ポーランド)
2015年 クリストファー・フルーム(イギリス)


2000年1月1日以降に生まれた25歳以下の選手が対象

初出場でマイヨブランを獲得したレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

1975年大会より始まったマイヨブラン(ヤングライダー賞)は、総合順位が最も良い25歳以下(今年の対象者は誕生日が2000年1月1日以降)の選手に送られる賞。今年もジャージスポンサーは眼鏡販売会社の「クリス」が務める。

2020年大会の第13ステージから2023年大会の最終日まで、実に4年間に渡りタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)が独占していたこのジャージ。昨年そのポガチャルが対象年齢を外れ、ついにレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) という新たな持ち主へと渡った。

レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:A.S.O.

ケヴィン・ヴォークラン(フランス、アルケアB&Bホテルズ) photo:CorVos

有力候補はもちろん昨年の総合3位かつ、パリ五輪2冠という称号を得て戻ってきたエヴェネプール。他には出場選手の中で2番目に若いレニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス)やオスカー・オンリー(イギリス、ピクニック・ポストNL)、レナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット)などに注目。また母国フランスの若手であり、前哨戦ツール・ド・スイスで総合2位に入ったケヴィン・ヴォークラン(アルケア・B&Bホテルズ)も有力だ。

ちなみに今大会の最年少は、2003年8月16日生まれの21歳イバン・ロメオ(スペイン、モビスター)で、最年長は現役ラストツールとなる39歳のゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)だ。
歴代のマイヨブラン獲得者(同年の総合成績)
2024年 レムコ・エヴェネプール(ベルギー) 総合3位
2023年 タデイ・ポガチャル(スロベニア) 総合2位
2022年 タデイ・ポガチャル(スロベニア) 総合2位
2021年 タデイ・ポガチャル(スロベニア) 総合1位
2020年 タデイ・ポガチャル(スロベニア) 総合1位
2019年 エガン・ベルナル(コロンビア) 総合1位
2018年 ピエール・ラトゥール(フランス) 総合13位
2017年 サイモン・イェーツ(イギリス) 総合7位
2016年 アダム・イェーツ(イギリス) 総合4位
2015年 ナイロ・キンタナ(コロンビア) 総合2位
2014年 ティボー・ピノ(フランス) 総合3位
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

最新ニュース(全ジャンル)