スプリンターが躍動したジロ・デ・イタリア第12ステージ。ファンアールトの盤石なリードアウトを受けたオラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)が、昨年に続くジロ通算2勝目を手に入れた。



最後のグランツールを走るバルデ photo:RCS Sport
マリアローザにジレを合わせたデルトロ photo:RCS Sport


リードアウトが期待されたワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

グランツールで恒例になっている4賞ジャージによるセルフィー photo:RCS Sport
モデナの街をスタートする171名の選手たち photo:RCS Sport


第108回ジロ・デ・イタリアはちょうど1週間振りの平坦ステージを迎えた。フェラーリやマセラティで有名なモデナから、U字を描くようにヴィアダーナに至るコースは172km。途中に2つの3級山岳を越えるものの、どちらもピュアスプリンターを退けるほどではない。その後は残り26.6km地点で1度フィニッシュラインを越え、平坦路なコースを一周。残り500mの最終コーナーを抜け、スプリントバトルの舞台は幅8mの舗装路だ。

逃げ切りの可能性が低いステージで、逃げを目指す動きは予想以上に活発だった。しかしヴィスマ・リースアバイクとアルペシン・ドゥクーニンクがメイン集団に蓋をした結果、マヌエーレ・トロッツィ(VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)を含む3名のエスケープによって沈静化。地元イタリア出身者3名によって形成された逃げが、早くも3分近いのリードを得た。

ジロ第12ステージで逃げた3名
ジョスエ・エピス(イタリア、アルケア・B&Bホテルズ)
アンドレア・ピエトロボン(イタリア、ポルティ・ビジットマルタ)
マヌエーレ・トロッツィ(VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)

アンドレア・ピエトロボン(イタリア、ポルティ・ビジットマルタ)ら3名による逃げグループ photo:RCS Sport

プロトンで走るプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:RCS Sport

逃げグループが1つ目の3級山岳に差し掛かる頃、雨が路面と選手たちを濡らし始める。3級山岳の先頭は、これが今大会4度目の逃げとなるトロッツィが先頭通過。その下りでスピードの上がらないトロッツィが遅れるシーンもありながらも、無事先頭に2名に合流した。

一方のメイン集団では、ジミー・ヤンセンス(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)とステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)が、逃げに対し3分以上のリードを許さないタイトなコントロールを披露した。残り112.5km地点に設定された中間スプリントでは、イタリア北部のヴェネト州ベッルーノ出身のピエトロボンがトップを獲る。プロトンではマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)が争うことなく4番手通過して3ポイントを加算。マリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)のリードを僅かに拡げた。

ジレを脱ぎ、マリアローザを披露したイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) photo:RCS Sport

2つ目の3級山岳もトロッツィが先頭通過し、この時点でプロトンとの差は1分22秒まで縮まる。その後の平坦路でピーダスンが集団から遅れるシーンも。しかし共に遅れた選手たちと協力して集団復帰を果たすと、続く2つ目の中間スプリントではしっかりと4番手通過を果たしている。

ヴィスマとアルペシンが変わらずペースを作るプロトンは、サム・ベネット(アイルランド)を擁するデカトロンAG2Rラモンディアールも牽引に加わる。すると一気に逃げ集団とのタイム差は縮まっていき、エピスとトロッツィを捉える一方、プロトンの眼前でピエトロボンが一人粘る。その結果、ボーナスタイムが設定されたレッドブルKM(残り32.9km)をピエトロボンは先頭通過し、マリアローザを着るイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)が3番手通過でボーナスタイム2秒を加算した。

デカトロンAG2Rラモンディアールも積極的に集団牽引に加わる photo:RCS Sport

粘りを見せたピエトロボンは1度目のフィニッシュ地点で吸収され、スプリントバトルに向けて集団の緊張感は高まっていく。スプリンターチームと総合系のチームが共に集団前方に上がろうとポジションを争いながら、ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)を先頭に残り500mの最終コーナーをクリア。ハイスピードの牽引からオラフ・コーイ(オランダ)が発射される前に、カスペル・ファンウーデン(オランダ、ピクニック・ポストNL)が先にスプリントを開始した。

先手を取られたコーイはファンウーデンの背後につき、その左側ではカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)とピーダスンが横並びでもがく。そして選手たちが横並びにフィニッシュする中、先頭でラインを越えたのはコーイだった。

スプリント勝利したオラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

ジロ通算2勝目をゲットしたオラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:RCS Sport

ファンアールトのリードアウトからトップスピードの差を見せつけ勝利したコーイ。「ようやく掴んだステージ優勝は最高に気持ちがいい。完璧じゃなかった前回(第4ステージ)から一転、全てがハマったスプリントとなった。チームメイトによるハードワークを勝利で報いることができて嬉しい。この結果が、さらなる勝利への渇望を掻き立ててくれる」とコメント。これが昨年に続きジロで2勝目、またプロ通算40勝目となった。

2位にはファンウーデン、3位は昨年からスプリント力を発揮しているベン・ターナー(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が入る。4位はピーダスンで、第6ステージを制したカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)は5位だった。

表彰台で勝利を喜ぶオラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos
ジロ・デ・イタリア2025第12ステージ結果
1位 オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) 3:55:40
2位 カスペル・ファンウーデン(オランダ、ピクニック・ポストNL)
3位 ベン・ターナー(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
4位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)
5位 カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)
6位 ミラン・フレティン(ベルギー、コフィディス)
7位 マックス・カンター(ドイツ、XDSアスタナ)
8位 ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)
9位 マテウジュ・ゴヴェカル(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)
10位 マッテオ・モスケッティ(イタリア、Q36.5プロサイクリング)
マリアローザ 個人総合成績
1位 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) 42:42:39
2位 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) +0:33
3位 アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) +1:09
4位 サイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) +1:11
5位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +1:26
6位 リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) +1:58
7位 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) +2:11
8位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG) +2:18
9位 アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツXRG) +2:35
10位 テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)
マリアチクラミーノ(ポイント賞)
1位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) 177pts
2位 オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) 105pts
3位 カスペル・ファンウーデン(オランダ、ピクニック・ポストNL) 85pts
マリアアッズーラ(山岳賞)
1位 ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ) 157pts
2位 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) 54pts
3位 マヌエーレ・トロッツィ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ) 50pts
マリアビアンカ(ヤングライダー賞)
1位 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) 42:42:39
2位 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) +0:33
3位 アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) +1:09
チーム総合成績
1位 UAEチームエミレーツXRG 128:04:15
2位 バーレーン・ヴィクトリアス +20:30
3位 リドル・トレック +22:11
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, RCS Sport

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