カンパニョーロより世界初のロード用13速ワイヤレス電動コンポーネントとしてデビューしたSUPER RECORD 13。より幅広く、細やかなギアレンジを実現すると同時に、サムシフターを復活させた新世代のグループセットの詳細を見て行こう。

カンパニョーロ SUPER RECORD 13 (c)Campagnolo Srl
ベテランサイクリストにとって、カンパニョーロのSUPER RECORDという名前は、特別な響きを伴うもの。純然たるレーシングパーツでありながら、まるで工芸品のような流麗なデザインで常に憧れの対象として君臨してきた。
そして10速以降、常に多段化の先陣を切ってきたカンパニョーロが、ついに2×13速のロード用ワイヤレスコンポーネントとして、新たな「SUPER RECORD13」を発表した。
より細やかで幅広いギアチョイスを可能とする13速プラットフォーム

13速化によって素早いシフト操作とギアジャンプの小型化を達成。大きなメリットを享受できる (c)Campagnolo Srl
カンパニョーロはSUPER RECORDの13速化にあたり、既に先行して13速化されていたグラベルコンポーネントEkarで得た知見を活用。スプロケットの歯の厚さ、そして歯と歯の間隔を狭めることで、13枚のギアを収めることに成功した。
この13速の為に専用フリーボディを必要としないことも特徴で、既存のN3Wフリーに装着可能。アダプターを介せば、よりトラディショナルなカンパニョーロ用のUDフリーにもセットできる。ホイール資産を損なうことなく、13速の世界へ足を踏み入れることを可能とした。

より細かなシフトチェンジ、より幅広いギアレンジを可能とする13速スプロケット (c)Campagnolo Srl
歯数構成は全4種。高速化するレースへ対応するトップ10Tが2種、残り2つが11Tスタートとなっている。もっともクロスレシオの10-29Tの構成では9枚目までが1T刻みとなっており、より滑らかで細やかなギア比選択を可能に。勾配や風など、そのシーンに合わせて最適なギアを選択できることは、体力の温存、そして速さに直結するだろう。
それぞれの歯数構成は下記の通り。
10-29T: 10/11/12/13/14/15/16/17/18/20/23/26/29
10-33T: 10/11/12/13/14/15/16/18/20/23/26/29/33
11-32T: 11/12/13/14/15/16/17/18/20/23/26/29/32
11-36T: 11/12/13/14/15/16/18/20/23/26/29/32/36

最小45/29Tから最大55/39Tまで7種類の歯数構成が用意されている (c)Campagnolo Srl
新たなスプロケットに合わせ、クランクセットも一新されている。最小45/29Tから最大55/39Tまで7種類の歯数構成が用意されている。詳細な歯数構成は下記の通り。
45/29T、48/32T、50/34T、52/36T、53/39T、54/39T、55/39T
これらの組み合わせにより、ギア比は最大5.5倍(55x10T)、最小約0.8倍(29x36T)を実現。超高速のタイムトライアルから、グラベルユースまでもカバーするギアバリエーションが用意された。

カンパニョーロの誇るHPPMもラインアップ (c)Campagnolo Srl
チェーンリングには、長期にわたり耐久性を維持する新たな表面処理と、変速時にチェーンとの噛み合わせを速くするように設計された新たな歯先形状が与えられている。
クランク長は165mm、170mm、172.5mm、175mmの4種類をラインアップ。これまで同様ウルトラトルクシステムを採用し、軽量かつ高剛性なチタンアクスルによって高いパワー伝達効率を実現している。また、スタンダードモデルに加え、パワーメーター搭載モデルも用意されており。カンパニョーロの誇るHPPMは、0.005 秒(ミリ秒)ごとの計測による高い精度を可能とした。
一新されたディレイラー。世界最速の変速スピードを実現。

フロントディレイラーは新設計のカーボンプレートにより、大きなキャパシティを実現 (c)Campagnolo Srl
前後ディレイラーも一新されている。前作のSUPER RECORDワイヤレスと互換性を有するのはバッテリーのみとされ、完全新規設計に。フロントディレイラーは新たな形状のカーボンブレードによって、チェーンとのコンタクト範囲を拡大。これにより29Tから55Tまでをカバーする広いキャパシティを獲得した。
さらに全体の形状を見直すことで、よりワイドなタイヤクリアランスを実現。一新された工学的設計によって、大きなチェーンテンションが掛かった状態でも、滑らかな動作を可能としている。
再設計されたリアディレイラーは前作よりも大幅にスリムな形状に。前作比で25%も横方向への張り出しを少なくしたロープロファイルなデザインに。審美的な観点だけでなく、バイクを倒した際などにディレイラーがダメージを受けるリスクも低減している。

前作よりもシャープなデザインとなったリアディレイラー (c)Campagnolo Srl 
張り出しを抑えるロープロファイルデザインとなった (c)Campagnolo Srl 
プーリーもそれぞれ新設計に。 (c)Campagnolo Srl
新たなスプロケット形状に最適化されたチェーン軌道を実現し、よりスムーズな変速に貢献。トップギアからローギアまでのシフトアップは2.4秒(従来は3.3秒)、ローギアからトップギアまでのシフトダウンは1.9秒(従来は3.6秒)と、大幅な変速速度の向上を果たしたこのSUPER RECORD 13は「世界最速」の変速スピードを実現したとカンパニョーロは胸を張る。
プーリーは14Tへと大径化され、ガイドプーリーとテンションプーリーの役割に応じた設計を施している。ガイドプーリーにはセラミックベアリングが奢られ、抵抗を極限まで減らすことでチェーン動作の精度を高めている。テンションプーリーは耐久性を重視し、長距離を走った際にも効率的な性能を発揮するよう設計されているという。トラディショナルなハンガーにリンクを介して取り付けるほか、UDHに対応するドロップアウトも純正で用意されている。
サムシフターを復活させたエルゴパワー。3レバーで多彩なセッティングを可能に

再設計されたエルゴパワー。カンパニョーロの魅力の核となるパーツでもある。 (c)Campagnolo Srl
カンパニョーロユーザーにとって、エルゴパワーは特別な存在。握りやすいブラケット形状、官能的な操作感など、多くのファンを虜にしてきたエルゴパワーが、その魅力を増して登場した。
もっとも大きなトピックは、サムシフターの復活だろう。前作のSUPER RECORD WRLで廃止されたブラケット内側のレバーが、再び帰ってきた。EPSの時代とはまた異なるレバー形状に再設計されており、ブラケットポジションでも、ドロップポジションでも的確かつスムースに操作可能に。

エルゴパワーにはサムシフターが復活。前作の上下2分割スイッチを廃止した (c)Campagnolo Srl
また、ブラケット上部に新たにスマートボタンが追加されており、ブレーキレバー内側のシフトレバーとあわせ、3つのスイッチが配置されることとなった。このスマートボタンは自由にカスタム可能で、変速操作だけでなく、Bluetoothを通じてサイクルコンピューターやスマートフォンなど、他の適合するデバイスの操作にも活用できる。
ブラケットのデザイン自体も刷新され、コントロール性を大幅に向上。ブラケット上部にフラットな面を広くとることで、ハンドルバーとスムースに繋がるような握り心地を実現した。ブレーキレバーは握りこんだ際にもブラケット下側の指と干渉しづらい形状にされると同時に、ピボット位置を最適化することでよりパワフルかつリニアなブレーキフィールをもたらした。

アプリとの連携も深化。より使いやすく、多機能に。 (c)Campagnolo Srl
既に評価の高いブレーキキャリパーは、6gの軽量化を実現。鍛造アルミのキャリパー本体、そして取付ボルトをチタンとすることでこのダイエットを成功させた。ブレーキパッドはオーガニックとシンタードの2種を用意。定評のあるディスクローターは140mmと160mmの2種がラインアップされる。独自のフローティング3Cスロットによって熱変形を抑え、いかなる状況でも確実で正確な制動力を発揮する。
13速化だけでなく、あらゆる面で性能に磨きをかけたSUPER RECORD13。しかし、カンパニョーロはこれを単なるロード向けグループセットとしてではなく、次世代の「プラットフォーム」として位置づけている。今回のロードモデルはその嚆矢に過ぎず、2025年9月以降に追加のラインナップを発表予定とのこと。SUPER RECORDの世界を拡張する今後の動きにも注視していきたい。
カンパニョーロ SUPER RECORD 13
発売開始: 2025 年 6 月
税込価格:
スタンダードバージョン: 781,000 円~
パワーメーター付バージョン: 992,000 円~

ベテランサイクリストにとって、カンパニョーロのSUPER RECORDという名前は、特別な響きを伴うもの。純然たるレーシングパーツでありながら、まるで工芸品のような流麗なデザインで常に憧れの対象として君臨してきた。
そして10速以降、常に多段化の先陣を切ってきたカンパニョーロが、ついに2×13速のロード用ワイヤレスコンポーネントとして、新たな「SUPER RECORD13」を発表した。
より細やかで幅広いギアチョイスを可能とする13速プラットフォーム

カンパニョーロはSUPER RECORDの13速化にあたり、既に先行して13速化されていたグラベルコンポーネントEkarで得た知見を活用。スプロケットの歯の厚さ、そして歯と歯の間隔を狭めることで、13枚のギアを収めることに成功した。
この13速の為に専用フリーボディを必要としないことも特徴で、既存のN3Wフリーに装着可能。アダプターを介せば、よりトラディショナルなカンパニョーロ用のUDフリーにもセットできる。ホイール資産を損なうことなく、13速の世界へ足を踏み入れることを可能とした。

歯数構成は全4種。高速化するレースへ対応するトップ10Tが2種、残り2つが11Tスタートとなっている。もっともクロスレシオの10-29Tの構成では9枚目までが1T刻みとなっており、より滑らかで細やかなギア比選択を可能に。勾配や風など、そのシーンに合わせて最適なギアを選択できることは、体力の温存、そして速さに直結するだろう。
それぞれの歯数構成は下記の通り。
10-29T: 10/11/12/13/14/15/16/17/18/20/23/26/29
10-33T: 10/11/12/13/14/15/16/18/20/23/26/29/33
11-32T: 11/12/13/14/15/16/17/18/20/23/26/29/32
11-36T: 11/12/13/14/15/16/18/20/23/26/29/32/36

新たなスプロケットに合わせ、クランクセットも一新されている。最小45/29Tから最大55/39Tまで7種類の歯数構成が用意されている。詳細な歯数構成は下記の通り。
45/29T、48/32T、50/34T、52/36T、53/39T、54/39T、55/39T
これらの組み合わせにより、ギア比は最大5.5倍(55x10T)、最小約0.8倍(29x36T)を実現。超高速のタイムトライアルから、グラベルユースまでもカバーするギアバリエーションが用意された。

チェーンリングには、長期にわたり耐久性を維持する新たな表面処理と、変速時にチェーンとの噛み合わせを速くするように設計された新たな歯先形状が与えられている。
クランク長は165mm、170mm、172.5mm、175mmの4種類をラインアップ。これまで同様ウルトラトルクシステムを採用し、軽量かつ高剛性なチタンアクスルによって高いパワー伝達効率を実現している。また、スタンダードモデルに加え、パワーメーター搭載モデルも用意されており。カンパニョーロの誇るHPPMは、0.005 秒(ミリ秒)ごとの計測による高い精度を可能とした。
一新されたディレイラー。世界最速の変速スピードを実現。

前後ディレイラーも一新されている。前作のSUPER RECORDワイヤレスと互換性を有するのはバッテリーのみとされ、完全新規設計に。フロントディレイラーは新たな形状のカーボンブレードによって、チェーンとのコンタクト範囲を拡大。これにより29Tから55Tまでをカバーする広いキャパシティを獲得した。
さらに全体の形状を見直すことで、よりワイドなタイヤクリアランスを実現。一新された工学的設計によって、大きなチェーンテンションが掛かった状態でも、滑らかな動作を可能としている。
再設計されたリアディレイラーは前作よりも大幅にスリムな形状に。前作比で25%も横方向への張り出しを少なくしたロープロファイルなデザインに。審美的な観点だけでなく、バイクを倒した際などにディレイラーがダメージを受けるリスクも低減している。



新たなスプロケット形状に最適化されたチェーン軌道を実現し、よりスムーズな変速に貢献。トップギアからローギアまでのシフトアップは2.4秒(従来は3.3秒)、ローギアからトップギアまでのシフトダウンは1.9秒(従来は3.6秒)と、大幅な変速速度の向上を果たしたこのSUPER RECORD 13は「世界最速」の変速スピードを実現したとカンパニョーロは胸を張る。
プーリーは14Tへと大径化され、ガイドプーリーとテンションプーリーの役割に応じた設計を施している。ガイドプーリーにはセラミックベアリングが奢られ、抵抗を極限まで減らすことでチェーン動作の精度を高めている。テンションプーリーは耐久性を重視し、長距離を走った際にも効率的な性能を発揮するよう設計されているという。トラディショナルなハンガーにリンクを介して取り付けるほか、UDHに対応するドロップアウトも純正で用意されている。
サムシフターを復活させたエルゴパワー。3レバーで多彩なセッティングを可能に

カンパニョーロユーザーにとって、エルゴパワーは特別な存在。握りやすいブラケット形状、官能的な操作感など、多くのファンを虜にしてきたエルゴパワーが、その魅力を増して登場した。
もっとも大きなトピックは、サムシフターの復活だろう。前作のSUPER RECORD WRLで廃止されたブラケット内側のレバーが、再び帰ってきた。EPSの時代とはまた異なるレバー形状に再設計されており、ブラケットポジションでも、ドロップポジションでも的確かつスムースに操作可能に。

また、ブラケット上部に新たにスマートボタンが追加されており、ブレーキレバー内側のシフトレバーとあわせ、3つのスイッチが配置されることとなった。このスマートボタンは自由にカスタム可能で、変速操作だけでなく、Bluetoothを通じてサイクルコンピューターやスマートフォンなど、他の適合するデバイスの操作にも活用できる。
ブラケットのデザイン自体も刷新され、コントロール性を大幅に向上。ブラケット上部にフラットな面を広くとることで、ハンドルバーとスムースに繋がるような握り心地を実現した。ブレーキレバーは握りこんだ際にもブラケット下側の指と干渉しづらい形状にされると同時に、ピボット位置を最適化することでよりパワフルかつリニアなブレーキフィールをもたらした。

既に評価の高いブレーキキャリパーは、6gの軽量化を実現。鍛造アルミのキャリパー本体、そして取付ボルトをチタンとすることでこのダイエットを成功させた。ブレーキパッドはオーガニックとシンタードの2種を用意。定評のあるディスクローターは140mmと160mmの2種がラインアップされる。独自のフローティング3Cスロットによって熱変形を抑え、いかなる状況でも確実で正確な制動力を発揮する。
13速化だけでなく、あらゆる面で性能に磨きをかけたSUPER RECORD13。しかし、カンパニョーロはこれを単なるロード向けグループセットとしてではなく、次世代の「プラットフォーム」として位置づけている。今回のロードモデルはその嚆矢に過ぎず、2025年9月以降に追加のラインナップを発表予定とのこと。SUPER RECORDの世界を拡張する今後の動きにも注視していきたい。
カンパニョーロ SUPER RECORD 13
発売開始: 2025 年 6 月
税込価格:
スタンダードバージョン: 781,000 円~
パワーメーター付バージョン: 992,000 円~
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