ラストに1級山岳が設定されたツール・ド・スイス第5ステージで、粘り強さを見せたオスカー・オンリー(イギリス、ピクニック・ポストNL)が勝利。ヴォークランが総合首位に経ち、区間2位だったアルメイダは総合順位を3位まで上げている。

スタートを待つジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)ら photo:Tour de Suisse

ジーノ・メーダー(スイス)の記念碑 photo:Tour de Suisse ツール・ド・スイス(UCIワールドツアー)第5ステージは、今大会のクイーンステージ(最難関ステージ)と目される山頂フィニッシュだ。序盤から標高2,000mを越える1級山岳を越え、谷挟んで再び2,000m級の1級山岳を登坂。その後40kmにわたる下りを経て、1級山岳カスタネーダ(距離4.4km/平均9.8%/最大15.6%)の激坂を2度登坂する。フィニッシュ地点は1級山岳の頂上ではなく、そこから更に1.8km登った先だ。
この日は2年前の大会でジーノ・メーダー(スイス)が落車し、命を落としたアルブラ峠の近く、ラ・プントがスタート地点となった。事故現場には記念碑が設置され、スタート前に行われた除幕式には出場中の選手たちが出席。厳かな雰囲気のなか、午後12時にレースは開始された。
激しいアタック合戦の末、逃げを打ったのはアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)を含む5名。その中には2日連続でニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)が入り、今年のジロ・デ・イタリアでマリアアッズーラ(山岳賞)を獲得したロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ)やペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)の姿も。1つ目、そして2つ目の1級山岳はウラソフが先頭通過し、山岳賞獲得への意欲を見せた。

ツール・ド・スイス第5ステージ image:Tour de Suisse

晴天に恵まれたツール・ド・スイス第5ステージ photo:CorVos
逃げのリードを最大3分半に抑え、2分前後でメイン集団を牽引したのはUAEチームエミレーツXRG。その狙いはもちろん総合エースであるジョアン・アルメイダ(ポルトガル)での2日連続勝利と、総合順位のジャンプアップだ。順調にローテーションを回しながら進む逃げグループは、1度目の1級山岳カスタネーダ(距離4.5km/平均9.8%)に1分18秒のアドバンテージで突入した。
最大勾配15.6%の急坂ではビルバオがハイペースで登坂し、それにウラソフ以外は遅れてしまう。頂上ではここもウラソフが先頭を取るなか、プロトンからは総合首位のロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ)が遅れ、アルメイダや総合3位ジュリアン・アラフィリップ(フランス、チューダー・プロサイクリング)など6名に絞られる。先頭2名は下りと平坦路でパウレスが合流したものの、登りに入る手前でモビスターが先導するプロトンに吸収された。

オスカー・オンリー(イギリス、ピクニック・ポストNL)に食らいつくアラフィリップ photo:CorVos

オスカー・オンリー(イギリス、ピクニック・ポストNL)に追いついたジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos
集団先頭でアシストを2名並べ、ハイペースでライバルたちに攻撃を仕掛けたのは、フェリックス・ガル(オーストリア)を擁するデカトロンAG2Rラモンディアールだった。人数が徐々に絞られていくなか、残り4.4kmでアラフィリップのアタックからステージ優勝争いが始まる。それにオスカー・オンリー(イギリス、ピクニック・ポストNL)が反応し、加速するとアラフィリップを引き離し、単独先頭に立った。
快調に脚を回すオンリーに、1級山岳の頂上まで残り500mの地点でアルメイダが追いつき、そのまま頂上を先頭通過。その後アルメイダが高出力で踏み続けたものの、食らいついたオンリーがフィニッシュ手前でアタックし、迫るアルメイダを退けて勝利した。

アルメイダを振り切り、勝利したオスカー・オンリー(イギリス、ピクニック・ポストNL) photo:CorVos
これが今季チーム4勝目と不調に喘ぐピクニック・ポストNLに、貴重なワールドツアーでのステージ優勝をもたらしたオンリー。「今日の勝利は自分自身はもちろん、チームやチームメイトにとっても嬉しいこと。今日も変わらずチームは素晴らしい仕事をしてくれた。だからこうやって結果で恩返しができて嬉しい」と、22歳のオンリーはプロ2勝目をそう喜んだ。
グレゴワールが約7分遅れでフィニッシュしたため、57秒遅れの区間4位だったケヴィン・ヴォークラン(フランス、アルケア・B&Bホテルズ)が総合首位に浮上。区間2位アルメイダは39秒遅れの総合7位から2位にジャンプアップしている。


この日は2年前の大会でジーノ・メーダー(スイス)が落車し、命を落としたアルブラ峠の近く、ラ・プントがスタート地点となった。事故現場には記念碑が設置され、スタート前に行われた除幕式には出場中の選手たちが出席。厳かな雰囲気のなか、午後12時にレースは開始された。
激しいアタック合戦の末、逃げを打ったのはアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)を含む5名。その中には2日連続でニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)が入り、今年のジロ・デ・イタリアでマリアアッズーラ(山岳賞)を獲得したロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ)やペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)の姿も。1つ目、そして2つ目の1級山岳はウラソフが先頭通過し、山岳賞獲得への意欲を見せた。


逃げのリードを最大3分半に抑え、2分前後でメイン集団を牽引したのはUAEチームエミレーツXRG。その狙いはもちろん総合エースであるジョアン・アルメイダ(ポルトガル)での2日連続勝利と、総合順位のジャンプアップだ。順調にローテーションを回しながら進む逃げグループは、1度目の1級山岳カスタネーダ(距離4.5km/平均9.8%)に1分18秒のアドバンテージで突入した。
最大勾配15.6%の急坂ではビルバオがハイペースで登坂し、それにウラソフ以外は遅れてしまう。頂上ではここもウラソフが先頭を取るなか、プロトンからは総合首位のロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ)が遅れ、アルメイダや総合3位ジュリアン・アラフィリップ(フランス、チューダー・プロサイクリング)など6名に絞られる。先頭2名は下りと平坦路でパウレスが合流したものの、登りに入る手前でモビスターが先導するプロトンに吸収された。


集団先頭でアシストを2名並べ、ハイペースでライバルたちに攻撃を仕掛けたのは、フェリックス・ガル(オーストリア)を擁するデカトロンAG2Rラモンディアールだった。人数が徐々に絞られていくなか、残り4.4kmでアラフィリップのアタックからステージ優勝争いが始まる。それにオスカー・オンリー(イギリス、ピクニック・ポストNL)が反応し、加速するとアラフィリップを引き離し、単独先頭に立った。
快調に脚を回すオンリーに、1級山岳の頂上まで残り500mの地点でアルメイダが追いつき、そのまま頂上を先頭通過。その後アルメイダが高出力で踏み続けたものの、食らいついたオンリーがフィニッシュ手前でアタックし、迫るアルメイダを退けて勝利した。

これが今季チーム4勝目と不調に喘ぐピクニック・ポストNLに、貴重なワールドツアーでのステージ優勝をもたらしたオンリー。「今日の勝利は自分自身はもちろん、チームやチームメイトにとっても嬉しいこと。今日も変わらずチームは素晴らしい仕事をしてくれた。だからこうやって結果で恩返しができて嬉しい」と、22歳のオンリーはプロ2勝目をそう喜んだ。
グレゴワールが約7分遅れでフィニッシュしたため、57秒遅れの区間4位だったケヴィン・ヴォークラン(フランス、アルケア・B&Bホテルズ)が総合首位に浮上。区間2位アルメイダは39秒遅れの総合7位から2位にジャンプアップしている。
ツール・ド・スイス2025第5ステージ結果
1位 | オスカー・オンリー(イギリス、ピクニック・ポストNL) | 4:33:28 |
2位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) | |
3位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアール) | +0:23 |
4位 | ケヴィン・ヴォークラン(フランス、アルケア・B&Bホテルズ) | +0:57 |
5位 | マシュー・リッチテッロ(アメリカ、イスラエル・プレミアテック) | +1:05 |
6位 | イラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +1:14 |
7位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、チューダー・プロサイクリング) | +1:22 |
8位 | レナード・ケムナ(ドイツ、リドル・トレック) | +1:46 |
9位 | フェリックス・グロスシャートナー(オーストリア、UAEチームエミレーツXRG) | +2:25 |
10位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック) | +2:38 |
個人総合成績
1位 | ケヴィン・ヴォークラン(フランス、アルケア・B&Bホテルズ) | 20:12:10 |
2位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、チューダー・プロサイクリング) | +0:29 |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) | +0:39 |
4位 | オスカー・オンリー(イギリス、ピクニック・ポストNL) | +1:21 |
5位 | レナード・ケムナ(ドイツ、リドル・トレック) | +1:44 |
6位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) | +2:16 |
7位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアール) | +2:20 |
8位 | パブロ・カストリーリョ(スペイン、モビスター) | +2:40 |
9位 | マシュー・リッチテッロ(アメリカ、イスラエル・プレミアテック) | +3:08 |
10位 | イラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +3:17 |
その他の特別賞
ポイント賞 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) |
山岳賞 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) |
ヤングライダー賞 | ケヴィン・ヴォークラン(フランス、アルケア・B&Bホテルズ) |
チーム総合成績 | イスラエル・プレミアテック |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, Tour de Suisse
photo:CorVos, Tour de Suisse
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