ウィリエールが新型グラベルバイク「Rave SLR ID2」を発表した。今作はレースユースを前提とした開発が行われ、従来モデル比で8.9%の空気抵抗削減を実現。他にも最大52mm幅のタイヤに対応するクリアランスやレーシングジオメトリーを採用していることが特徴だ。



ウィリエール Rave SLR ID2 (c)Wilier

ウィリエールのグラベルバイク、Rave SLRは、2021年のセレニッシマ・グラベルでアレクセイ・ルツェンコが優勝を飾って以来、様々なレースで勝利を重ねてきた。特に2022年にはイヴァール・スリックがアンバウンド・グラベルを制覇し、Rave SLRの性能を証明してみせた。

そんなRave SLRがフルモデルチェンジを果たし、Rave SLR ID2に進化する。第2世代となったこのグラベルマシンはピュアにグラベルレースでのパフォーマンスを追求した競技モデル。初代Rave SLRはオールロードのようにも使えるバーサタイルなバイクとして開発されていたが、年々過酷さが増すグラベル競技での要求に応えるための再設計が行われた。

風洞実験を行いエアロが煮詰められた (c)Wilier

グラベルレースでもレーススピードが増す傾向にあり、エアロダイナミクスへの要求が高くなっている。そこでウィリエールはロードバイクと同じようにRave SLR ID2のエアロダイナミクス開発をイノベーションラボのCFD解析から徹底的に実施。

コンピューターでの分析、プロトタイプでの風洞実験を緻密に行うことで、従来モデル比で8.9%の空気抵抗削減を実現した。これは35km/h走行時に5.3ワットの出力節約に相当し、350ワット平均出力で70km走行した場合、約54秒のタイム短縮効果をもたらすという。

ダウンチューブの上部は細く、下部はボトルを隠すような太さになった (c)Wilier

エアロの設計で注目のポイントは非常に薄いヘッドチューブとそこから繋がるダウンチューブだ。ダウンチューブの上部はヘッドのように細身のNACAプロファイル(翼断面)として、空気抵抗の低減を狙いつつ、下部に向かって幅広のカムテールへと変化させることでボトルを風から隠す構造となっている。

またフォークにはタイムトライアルバイクSupersonica SLRの開発で得た知見が採用されている。グラベルの太いタイヤとの組み合わせで最適な空気の流れを生み出すように設計されている。

スッキリとしたルックスなフロントエリア (c)Wilier

Rave SLR ID2のフレームには剛性と引っ張り強度がそれぞれ特性が異なる3つのカーボンファイバーが用いられている。これらを繊維の向き、レイヤーの重なりを計算して配置することで、狙った剛性を実現している。

今作ではレースバイクとしての反応性を高めるため、チェーンステーの強化を行なった。この結果、ボトムブラケットのねじれ剛性は235.2Nmから262.9Nmに増加しており、反応性は11.78%向上した。

反応性を高めるため、リアをコンパクトに作っている (c)Wilier

タイヤクリアランスは最大52mmまで対応。52mmタイヤでも6mmのクリアランスが確保されているため、最大幅のタイヤを装着しても泥づまりの心配も少なく、レース中のコンディション変化に左右されない走破性を獲得している。

52mmタイヤを装着した時でもレーシーなポジションとなる低スタック設計が行われていることも特徴。他にもリーチは長めという現代的なジオメトリーとしつつ、ホイールベースは短めで、リアをコンパクトに作ることで反応性を高めている。

レース用ながらストレージアイレットも備えられている (c)Wilier

Rave SLR ID2はフロントディレイラーの取り付け部を持たないフロントシングル専用設計となっている。過酷な環境で走行中のトラブルリスクを排除し、空力のマージナルゲイン、軽量化を同時に実現している。一方、最大52Tのチェーンリングにも対応できるため、高いギア比のセッティングも可能としている。

デザイン面では1990年代のアンダーグラウンドカルチャーとデジタルアイコンからインスピレーションを得た4色を用意している。レーザーのような「マットグリーン」、洗練されたジェットブラックの「グロスカーボン」、90年代を彷彿とさせるような「グロスパープル」、クリーム色と赤色のアクセントが映えるモダンレトロの「マットクリーム」は、それぞれ異なる個性を表現している。

ウィリエール Rave SLR ID2(グロスパープル) (c)Wilier

ウィリエール Rave SLR ID2(マットクリーム) (c)Wilier
ウィリエール Rave SLR ID2(グロスカーボン) (c)Wilier



日本国内ではフレームセット+S2ステム(税込715,000円)と、フレームセット+Zバー(税込825,000円)、完成車(価格未定)が販売予定だ。

レースのために開発されたRave SLR ID2 (c)Wilier



ウィリエール Rave SLR ID2
フレーム重量:990g
仕様:UDHドロップアウト、ケーブル完全内装
最大チェーンリング:52T
タイヤクリアランス:最大52mmのタイヤ
サイズ:XS、S、M、L、XL、XXL
カラー:マットグリーン、グロスカーボン、グロスパープル、マットクリーム
価格:税込715,000円(フレームセット+S2ステム)、税込825,000円(フレームセット+Zバー)

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