ブエルタ・ア・エスパーニャ第1週を締めくくる1級山岳フィニッシュで、ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)が残り10kmから独走。初の総合優勝に向け弾みをつける区間2勝目を挙げた。一方、トースタイン・トレーエン(ノルウェー、バーレーン・ヴィクトリアス)は37秒差でマイヨロホを守り抜いた。

ブエルタ1週目の最終日に臨むヴィンゲゴー photo:A.S.O. 
今季好調をキープするアウラール photo:A.S.O.

アルファロを出発した169名の選手たち photo:CorVos
8月31日(日)第9ステージ
アルファロ〜エスタンシオン・デ・エスクイ・デ・ヴァルデズカレイ 195.5km(丘陵/山頂フィニッシュ)
獲得標高差3,311m

第9ステージ アルファロ〜エスタンシオン・デ・エスクイ・デ・ヴァルデズカレイ image:A.S.O. 開幕地イタリアから4ヶ国を経て迎えたブエルタ1週目の最終日は、1級山岳ヴァルデズカレイ・スキー場(13.2km/平均5%)への頂上決戦。とはいえ195.5kmの大部分は平坦で、最終山岳も終盤は勾配が緩くなるため、大きなタイム差が生まれるほどの難易度ではないと見られた。
前日にジョージ・ベネット(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック)をはじめ3名が途中リタイアし、169名まで減った選手たちがスタートを切る。細かいアップダウンの地形にもかかわらず平均時速が45km/hに達するハイペースで幕を開けたレースは、50kmに及ぶアタック合戦の末、今季「引退も考えた」ほどの不調から復活したミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)ら5名がエスケープ。遅れてマイヨプントス(ポイント賞ジャージ)を着るマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)が合流を目指したが、綺麗にローテーションを回す先頭には届かなかった。
ブエルタ第9ステージで逃げた5名
ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)
アーチー・ライアン(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)
ケヴィン・ヴェルマーク(アメリカ、ピクニック・ポストNL)
リアム・スロック(ベルギー、ロット)
ミヒェル・ヘスマン(ドイツ、モビスター)

激しい序盤戦の末、形成された5名による逃げグループ photo:A.S.O.
晴天と雨が目まぐるしく入れ替わるなか、先頭の5名は最大3分弱のリードを築いた。一方のメイン集団はこの日もリドル・トレックが牽引し、アマヌエル・ゲブレイグザビエル(エリトリア)とダーン・ホーレ(オランダ)の2名がワールドクラスのペースメイクを披露。その狙いは中間スプリントを前に逃げ集団を引き戻すことだったが、先頭5名のペースがそれを阻んだ。
総合2位のヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)と2分33秒差で総合首位に立つトースタイン・トレーエン(ノルウェー、バーレーン・ヴィクトリアス)が、着慣れたマイヨロホ姿でカメラに笑顔を見せるシーンも。残り30km地点の中間スプリントでは、昨年12月31日の練習中に車と衝突し、膝の怪我でシーズン前半戦を治療とリハビリに費やしたスロックが先頭通過。ポイントは先頭5名まで与えられるため、1分13秒遅れで通過したプロトンは静かに通過した。

この日も長時間、プロトンを牽引したアマヌエル・ゲブレイグザビエル(エリトリア、リドル・トレック) photo:A.S.O. 
チーム総出でマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)の中間スプリントポイントを狙った photo:A.S.O.

最終1級山岳に入り、逃げを吸収したプロトン photo:A.S.O.
1級山岳ヴァルデズカレイ・スキー場(距離13.2km/平均5%)が近づくと、プロトンではデンマーク王者セーアン・クラーウアナスン(リドル・トレック)が総合エース、ジュリオ・チッコーネ(イタリア)のためにハイスピードで牽引した。そのため逃げとのタイム差が一気に縮まるなか、プロトンでは今年プロデビューした25歳、ヴィクター・ゲルナレック(フランス、アルケア・B&Bホテルズ)が単独落車する場面も。しかし素早くレースに復帰し、そして最終山岳に入った直後に逃げが吸収された。
再び一つに戻った集団のペースを、急勾配区間である残り11.3kmから一気に上げたのはマッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)だった。その背後にはヴィンゲゴーがつき、不意の動きに総合3位のジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)の反応が遅れる一方、チッコーネが唯一食らいつく。そして僅か300m足らずでジョーゲンソンが役割を終えると、ヴィンゲゴーが加速。今大会の総合優勝候補の筆頭が1週目の最終日で攻めに出た。

残り11.3kmから早くも仕掛けたヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos
シッティングのままハイテンポで脚を回すヴィンゲゴーに対し、チッコーネは残り10.3kmで引き離されてしまう。後続ではアルメイダとフェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアール)、そしてグランツールで総合初挑戦のトーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング)の3名が追走集団を形成。アルメイダの猛追にガルが遅れるなか、軽快に脚を回すピドコックは食らいつく。そして後方ではトレーエンが、マイヨロホ保持のために懸命に脚を回した。

雨のなか、単独先頭でフィニッシュを目指すヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.
フィニッシュラインの引かれた頂上まで残り5kmの手前で、先頭を行くヴィンゲゴーとアルメイダ&ピドコックとの差は25秒。再び雨が選手たちを濡らすなか、アルメイダによる先頭交代に応じたピドコックも前に出てペースを作る。その結果ヴィンゲゴーとの差は30秒から拡がることはなく、しかし、ここから縮まることもなかった。
そして残り11.3km地点でアタックし、10.3kmの独走を決めたヴィンゲゴーが悠々とフィニッシュに到着。両手を広げ、第2ステージに続く今大会2勝目を手に入れた。

今大会2勝目でブエルタ1週目を締めくくったヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

区間2勝目を手に入れたヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.
1週目の最終日を見事な登坂アタックからの独走で締めくくったヴィンゲゴーは、「今日は調子がとても良く、それは最終山岳に入っても続いたので、チームにスピードアップするよう伝えた。彼らは本当に素晴らしい走りを見せてくれた。その走りを勝利に繋げることができて嬉しいし、彼らなくしてこの勝利はなかった」と、プロ通算40勝目を喜んだ。
24秒遅れの区間2位にはピドコックが入り、6秒のボーナスタイムを加算。区間3位はアルメイダで、区間4位は追走集団から遅れながらも単騎で粘ったガルが1分2秒差でフィニッシュした。一方で、ヴィンゲゴーのアタックに食らいついたチッコーネは1分46秒遅れの区間7位とタイムを失った。
トレーエンは1分46秒遅れの5位集団のなかでフィニッシュ。その結果、37秒差でマイヨロホを守り、「今日は何とかうまく乗り切ることができた。いまはただ、夕食のハンバーガーが楽しみだよ」とコメント。選手たちはこの後、北東にあるパンプローナに移動し、1度目の休息日を迎える。

辛くもマイヨロホを守ったトースタイン・トレーエン(ノルウェー、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:A.S.O.



8月31日(日)第9ステージ
アルファロ〜エスタンシオン・デ・エスクイ・デ・ヴァルデズカレイ 195.5km(丘陵/山頂フィニッシュ)
獲得標高差3,311m

前日にジョージ・ベネット(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック)をはじめ3名が途中リタイアし、169名まで減った選手たちがスタートを切る。細かいアップダウンの地形にもかかわらず平均時速が45km/hに達するハイペースで幕を開けたレースは、50kmに及ぶアタック合戦の末、今季「引退も考えた」ほどの不調から復活したミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)ら5名がエスケープ。遅れてマイヨプントス(ポイント賞ジャージ)を着るマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)が合流を目指したが、綺麗にローテーションを回す先頭には届かなかった。
ブエルタ第9ステージで逃げた5名
ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)
アーチー・ライアン(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)
ケヴィン・ヴェルマーク(アメリカ、ピクニック・ポストNL)
リアム・スロック(ベルギー、ロット)
ミヒェル・ヘスマン(ドイツ、モビスター)

晴天と雨が目まぐるしく入れ替わるなか、先頭の5名は最大3分弱のリードを築いた。一方のメイン集団はこの日もリドル・トレックが牽引し、アマヌエル・ゲブレイグザビエル(エリトリア)とダーン・ホーレ(オランダ)の2名がワールドクラスのペースメイクを披露。その狙いは中間スプリントを前に逃げ集団を引き戻すことだったが、先頭5名のペースがそれを阻んだ。
総合2位のヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)と2分33秒差で総合首位に立つトースタイン・トレーエン(ノルウェー、バーレーン・ヴィクトリアス)が、着慣れたマイヨロホ姿でカメラに笑顔を見せるシーンも。残り30km地点の中間スプリントでは、昨年12月31日の練習中に車と衝突し、膝の怪我でシーズン前半戦を治療とリハビリに費やしたスロックが先頭通過。ポイントは先頭5名まで与えられるため、1分13秒遅れで通過したプロトンは静かに通過した。



1級山岳ヴァルデズカレイ・スキー場(距離13.2km/平均5%)が近づくと、プロトンではデンマーク王者セーアン・クラーウアナスン(リドル・トレック)が総合エース、ジュリオ・チッコーネ(イタリア)のためにハイスピードで牽引した。そのため逃げとのタイム差が一気に縮まるなか、プロトンでは今年プロデビューした25歳、ヴィクター・ゲルナレック(フランス、アルケア・B&Bホテルズ)が単独落車する場面も。しかし素早くレースに復帰し、そして最終山岳に入った直後に逃げが吸収された。
再び一つに戻った集団のペースを、急勾配区間である残り11.3kmから一気に上げたのはマッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)だった。その背後にはヴィンゲゴーがつき、不意の動きに総合3位のジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)の反応が遅れる一方、チッコーネが唯一食らいつく。そして僅か300m足らずでジョーゲンソンが役割を終えると、ヴィンゲゴーが加速。今大会の総合優勝候補の筆頭が1週目の最終日で攻めに出た。

シッティングのままハイテンポで脚を回すヴィンゲゴーに対し、チッコーネは残り10.3kmで引き離されてしまう。後続ではアルメイダとフェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアール)、そしてグランツールで総合初挑戦のトーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング)の3名が追走集団を形成。アルメイダの猛追にガルが遅れるなか、軽快に脚を回すピドコックは食らいつく。そして後方ではトレーエンが、マイヨロホ保持のために懸命に脚を回した。

フィニッシュラインの引かれた頂上まで残り5kmの手前で、先頭を行くヴィンゲゴーとアルメイダ&ピドコックとの差は25秒。再び雨が選手たちを濡らすなか、アルメイダによる先頭交代に応じたピドコックも前に出てペースを作る。その結果ヴィンゲゴーとの差は30秒から拡がることはなく、しかし、ここから縮まることもなかった。
そして残り11.3km地点でアタックし、10.3kmの独走を決めたヴィンゲゴーが悠々とフィニッシュに到着。両手を広げ、第2ステージに続く今大会2勝目を手に入れた。


1週目の最終日を見事な登坂アタックからの独走で締めくくったヴィンゲゴーは、「今日は調子がとても良く、それは最終山岳に入っても続いたので、チームにスピードアップするよう伝えた。彼らは本当に素晴らしい走りを見せてくれた。その走りを勝利に繋げることができて嬉しいし、彼らなくしてこの勝利はなかった」と、プロ通算40勝目を喜んだ。
24秒遅れの区間2位にはピドコックが入り、6秒のボーナスタイムを加算。区間3位はアルメイダで、区間4位は追走集団から遅れながらも単騎で粘ったガルが1分2秒差でフィニッシュした。一方で、ヴィンゲゴーのアタックに食らいついたチッコーネは1分46秒遅れの区間7位とタイムを失った。
トレーエンは1分46秒遅れの5位集団のなかでフィニッシュ。その結果、37秒差でマイヨロホを守り、「今日は何とかうまく乗り切ることができた。いまはただ、夕食のハンバーガーが楽しみだよ」とコメント。選手たちはこの後、北東にあるパンプローナに移動し、1度目の休息日を迎える。

ブエルタ・ア・エスパーニャ2025第9ステージ結果
1位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | 4:32:10 |
2位 | トーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング) | +0:24 |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) | |
4位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアール) | +1:02 |
5位 | ラウル・ガルシア(スペイン、アルケア・B&Bホテルズ) | +1:46 |
6位 | マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) | |
7位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) | |
8位 | マルケル・ベロキ(スペイン、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
9位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | |
10位 | ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ) | |
17位 | トースタイン・トレーエン(ノルウェー、バーレーン・ヴィクトリアス) |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | トースタイン・トレーエン(ノルウェー、バーレーン・ヴィクトリアス) | 33:35:46 |
2位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:37 |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) | +1:15 |
4位 | トーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング) | +1:35 |
5位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアール) | +2:14 |
6位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) | +2:42 |
7位 | ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ) | +2:47 |
8位 | マッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) | +2:49 |
9位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +2:53 |
10位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | 120pts |
2位 | イーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック) | 111pts |
3位 | ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | 105pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツXRG) | 34pts |
2位 | ルイス・フェルヴァーケ(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 23pts |
3位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) | 20pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | 33:38:39 |
2位 | マシュー・リッチテッロ(アメリカ、イスラエル・プレミアテック) | +0:27 |
3位 | ラウル・ガルシア(スペイン、アルケア・B&Bホテルズ) | +0:46 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツXRG | 99:56:42 |
2位 | ヴィスマ・リースアバイク | +6:24 |
3位 | XDSアスタナ | +14:15 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos
photo:Unipublic, CorVos
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