イタリアのセミクラシックレースでイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)の勢いが止まらない。連戦連勝、5日間で3勝をマークしている。



3人のスプリントで GPインドゥストリアを制したイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) (c)FCI

スペインでブエルタ・ア・エスパーニャが開催され、世界選手権を見据えるビッグネームがカナダ2連戦を控えて海をわたる一方、イタリアでは9月7日の「GPインドゥストリア・エ・アルティジャナート(UCI1.Pro)」を皮切りに秋のクラシックレース連戦が始まった。1週間でUCIのPro/1カテゴリーにランク付けされる名門レースが5回も連続し、こちらも世界選手権に向けた足慣らしとしてお馴染みだ。

多くのチームがメンバーを大きく入れ替えることなく臨む、言わば「丘陵レースのステージレース」。その中で若干21歳、5月のジロ・デ・イタリアでは総合優勝まであと一歩まで迫ったイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)の強さが際立っている。

雨のジロ・デッラ・トスカーナ を独走で制したイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) (c)FCI

ジロの後もツアー・オブ・オーストリアで5日間中ステージ3勝で総合優勝、スペインワンデーレース4連戦で2勝、ブエルタ・ア・ブルゴスで総合優勝と波に乗る21歳は、まず皮切りとなったGPインドゥストリアの終盤に逃げグループに単独ブリッジをかけ、最後は3人のスプリントで勝利。トスカーナの登りのシンボルでもあるモンテ・セッラを含む周回コースで争われたジロ・デッラ・トスカーナ(UCI1.1)では残り27km地点からアタックを仕掛けて独走。追いかけるリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)たちを振り切ってフィニッシュラインに飛び込んだ。

さらにデルトロは、その好調ぶりを9月11日(木)開催のグランプレミオ・チッタ・ディ・ペッチョリ・コッパ・サバティーニ(UCI1.Pro)でも発揮する。小さな丘と登坂がノコギリの歯のように続く200kmレースで、終盤の精鋭グループからバンジャマン・トマ(フランス、コフィディス)のアタックに乗じて抜け出し、最後はトマのアタックを封じ込めてスプリント勝利。実に5日間で3戦3勝という圧倒的な強さでレースを制圧している。

「今週イタリアで3勝を挙げて終えることができて最高の気分だ。最後でもまだしっかり脚が残っていたし、チャンスを掴んだ瞬間に全力を尽くしたんだ。正直スプリントでは自信が無かったけれど、チームはポジション取り、守備、そして最終盤まで、僕が全力を出せるように万全の体制を整えてくれた。シーズン終盤はイタリアで頻繁にレースに出場するつもりだよ」と話している。

デルトロはこの後13日(土)開催のメモリアル・パンターニをスキップし、14日(日)に開催されるトロフェオ・マッテオッティにも参戦予定。更なる勝ち星を重ねるかに注目だ。
9月7日(日) GPインドゥストリア・エ・アルティジャナート(UCI1.Pro)結果
1位 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) 4:32:47
2位 クリスティアン・スカローニ(イタリア、XDSアスタナ)
3位 ダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア、ポルティ・ビジットマルタ) +0:06
9月10日(水) ジロ・デッラ・トスカーナ メモリアル・アルフレード・マルティーニ(UCI1.1)結果
1位 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) 4:25:38
2位 マイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダープロサイクリング) +0:15
3位 ステフ・クラス(ベルギー、トタルエネルジー)
9月11日(木)グランプレミオ・チッタ・ディ・ペッチョリ・コッパ・サバティーニ(UCI1.Pro)結果
1位 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) 4:46:56
2位 バンジャマン・トマ(フランス、コフィディス) +0:05
3位 ベン・グランジャー(イギリス) +0:08
text:So.Isobe