Jクリテリウムツアーの最終戦「南魚沼クリテリウム」が、新潟県南魚沼市で行われた。決勝レースは7名の先頭集団がメイン集団を周回遅れにする展開となり、最後はスプリント勝負をレオネル・キンテロ(ヴィクトワール広島)が制して優勝した。また、総合優勝は孫崎大樹(ヴィクトワール広島)がランキング首位を守り、初代クリテリウムチャンピオンとなった。



孫崎大樹とヴィクトワール広島を先頭に決勝スタート photo:Satoru Kato

今年5回目の開催となった「南魚沼クリテリウム」。昨年まではJプロツアーとして開催されてきたが、今回は新たにスタートしたシリーズ戦「Jクリテリウムツアー」の最終戦として行われた。

六日町商店街のアーケード前を集団が抜けていく photo:Satoru Kato

雨に煙る魚野川を渡る集団 photo:Satoru Kato

米どころとして知られる新潟県南魚沼市のJR六日町駅に近い六日町商店街をスタート・フィニッシュとし、市内を流れる魚野川を挟むように周回する1周1.24kmの公道コースを設定。2組に分けての予選を8周9.9kmで行い、勝ち上がった50名で35周43.4kmの決勝レースを争う。

Jクリテリウムツアーのリーダージャージを着た孫崎大樹(ヴィクトワール広島) photo:Satoru Kato

7月に開催された第4戦「広島クリテリウム」で、孫崎大樹(ヴィクトワール広島)がJクリテリウムツアーのランキング首位、2位に中井唯晶(シマノレーシング)、3位に日野泰静(ヴェロリアン松山)、4位に岡篤志(宇都宮ブリッツェン)が続いていた。今回の結果次第では逆転の可能性もあったものの、中井、日野、岡は出走せず、孫崎の総合優勝は事実上確定していた。それでも孫崎は「勝って総合優勝を決めたい」と、スタートラインに並んだ。

レース半ばまでに形成された8名の先頭集団 photo:Satoru Kato

雨が降り続ける中スタートした決勝レースは、序盤から動いた。5周目に設定された中間スプリント賞の直後、6名が先行。レース中盤に差しかかる頃に2名が合流し、8名の先頭集団が形成された。

メンバーは、梅澤幹太(チームブリヂストンサイクリング)、白川幸希、レオネル・キンテロ(以上ヴィクトワール広島)新城雄大(キナンレーシングチーム)、馬場慶三郎(弱虫ペダルサイクリングチーム)、阿見寺俊哉(アヴニールサイクリング山梨)、織田聖(マトリックスパワータグ)、松本一成(チームサイクラーズスネル)。

メイン集団のペースは上がらず差が開く photo:Satoru Kato

レース終盤、先頭集団がメイン集団後方に迫る photo:Satoru Kato

メイン集団は主導権を握ろうとするチームが無いこともあって差はコース半周分にあたる1分まで開き、終盤にかけてさらに拡大していく。残り10周あたりからヴィクトワール広島がメイン集団を牽引するも、先頭集団の8名はその直後に迫る。

レース終盤、孫崎大樹を従えてヴィクトワール広島が集団を牽引 photo:Satoru Kato

レース終盤、7名の先頭集団がメイン集団最後尾に追いつく photo:Satoru Kato

先頭集団は阿見寺が落車で遅れて7名となるも、28周目にメイン集団に追いつく。ここでメイン集団の全員がマイナス1周=周回遅れとする処置が取られ、追いついた7名を含むひとつの集団となってレースが続行された。

レオネル・キンテロ、織田聖、梅澤幹太でのスプリント勝負 photo:Satoru Kato

最後のスプリントが伸びたレオネル・キンテロ(ヴィクトワール広島)が優勝 photo:Satoru Kato

最終周回に入ると、追いついた7名が集団前方に出てスプリント勝負へ。最後はキンテロ、梅澤、織田の競り合いをキンテロが制して優勝した。

表彰式 photo:Satoru Kato

レオネル・キンテロ コメント
「今年初の勝利で本当に嬉しい。雨のせいでとても難しいレースだった。危険なコーナーもあったけれど、自分に自信があったし、スプリント勝負になるだろうと思っていた。明日の経済産業大臣旗ロードレースはとても重要なレース。長距離は得意なので頑張りたい」

孫崎大樹(ヴィクトワール広島)が初代クリテリウムチャンピオンに photo:Satoru Kato

Jクリテリウムツアー総合優勝 孫崎大樹コメント
「今日のレース前まで総合優勝ということはあまり意識していなくて、でも中井(唯晶)選手がシリーズ2勝を挙げているので、今日勝てば(勝ち数で)並ぶから、総合優勝するなら勝って終わりたかった。その点は悔しいけれど、リーダージャージを獲得したのは学生の時以来でプロとしては初めてなので素直に嬉しいし、チームとしても初めてのことなので良かったと思う。

孫崎大樹(ヴィクトワール広島)がチームメイトとグータッチしながらフィニッシュ photo:Satoru Kato

クリテリウムのシリーズ戦は、スプリントが得意な選手にとっては新たに活躍する場になったと思う。これまではJプロツアーのシリーズ戦の中でのクリテリウムだったので、登りが得意ではないピュアスプリンターにとってはリーダージャージは手が届かないものだったけれど、そうしたスプリンターにもチャンスが出来たことはすごく良かったのではないかと思う。

今年はまだ1勝しか挙げてないので、残りのシーズンで貪欲に勝利を狙っていきたい」



クリテリウムの周回遅れ処置は? 集団の人数により異なる対処

クリテリウムで先行した集団がメイン集団を周回遅れにするという珍しいケースとなった今回の南魚沼クリテリウム。通常であれば周回遅れの選手はレースから除外されるが、今回は追いつかれたメイン集団は除外せずにレースを続行した。その根拠として、UCIのクリテリウムに関する規則がある。

2.7.021
20人以下の集団が後方に遅れ、先行する競技者に追抜かれた場合は、失格となり、競技から離れなければならない。
こうした集団が20人より多い場合、コミセール・パネルは競技を続けさせるか除外するかを決定する。

2.7.024
主集団の後尾に追いついた競技者は、1周回先行したとみなす。


今回の場合、追いつかれたメイン集団は20名より多かったので規則上はレースから除外する必要は無く、審判(コミセール・パネル)の判断でレース続行となった。
Jクリテリウムツアー2025 第5戦南魚沼クリテリウム 結果
1位 レオネル・キンテロ(ヴィクトワール広島) 58分42秒
2位 梅澤 幹太(チームブリヂストンサイクリング) +0秒
3位 織田 聖(マトリックスパワータグ) +0秒
4位 新城 雄大(キナンレーシングチーム) +1秒
5位 馬場 慶三郎(弱虫ペダル サイクリングチーム) +1秒
6位 松本 一成(チームサイクラーズスネル) +1秒
中間スプリント賞
1回目 石倉 龍二(VELONUTS RACING TEAM)
2回目 白川 幸希(ヴィクトワール広島)
3回目 馬場 慶三郎(弱虫ペダル サイクリングチーム)

Jクリテリウムツアー2025総合優勝 孫崎大樹(ヴィクトワール広島)



F(女子) 阿部花梨(イナーメ信濃山形-F)が今シーズン10勝目 photo:Satoru Kato

E2/E3優勝 左田龍脩 (ブラーゼンサイクリング倶楽部) photo:Satoru Kato



text&photo: Satoru Kato

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