イル・ロンバルディア前哨戦の「トレ・ヴァッリ・ヴァレジーネ」で再びタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)が独走。チーム力を活かして勝利し、シーズン最後の大一番に向けて弾みを付けた。

序盤の逃げに乗ったアンドリュー・オーガスト(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ) (c)INEOS Grenadiers
10月7日に開催されたワンデーレースが「トレ・ヴァッリ・ヴァレジーネ(UCI1.Pro)」。北イタリアはヴァレーゼ周辺を周回するパンチャー向けレースで、1919年に初回大会が開催され、今年で実に104回目。常にアップダウンを繰り返す200kmコースであることから、イル・ロンバルディア前哨戦として多数のビッグネームが集結するレースだ。
2025年大会の出場リストも極めて豪華だ。UAEチームエミレーツXRGはタデイ・ポガチャル(スロベニア)とイサーク・デルトロ(メキシコ)の2大エースを送り込んだほか、トーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング)やプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)、クィン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック)、ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)といった面々が勢揃い。ソリューションテック・ヴィーニファンティーニからは岩村元嗣も出場を果たした。
この日は序盤に5名の逃げが決まり、後半戦に入るとその中から唯一生き残ったロレンツォ・ミレージ(イタリア、モビスター)にエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)が追いついて2人逃げに。ラスト50kmを切った登坂区間でミレージを千切った元ツール・ド・フランス覇者が単独逃げに持ち込んだ。

レース後半にアタック、独走したエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) (c)INEOS Grenadiers
「調子は良かったんだ。元々チームメイトが逃げていたし、一人で先頭を追いかけるつもりもなかったけれど、誰も追いかけて来なかったんだ。逃げに合流した後も一人になってしまい、もう後戻りできないと悟ったよ」と、予定外の単独走になったベルナルの背後では、UAE勢に先手を打つべくライバルチームがアタックを連発。シモンズが一度遅れたミレージを引き連れてベルナルに合流して先頭は3名。メイン集団先頭では今季限りの引退を感じさせない走りでラファル・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツXRG)が他チームのアタックを捌き続けた。
決定的な動きが生まれたのは残り30km地点だった。ヴィクトル・ラフェ(フランス、デカトロン・AG2Rラモンディアール)が仕掛け、アフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス)とデルトロ、ポガチャルがこの動きに反応する。この4名はすぐに先頭3名を捕まえ、間髪入れずにポガチャルがアタックした。
湖を目指す緩やかなダウンヒルで仕掛けたポガチャル。埋めることのできる差だったものの、人数の多さが影響してかローテーションが回らず足並みが揃わない。世界選手権で66km独走、数日前の欧州選手権で75km独走を達成したポガチャルがこの隙を見逃すはずが無かった。
「最高の状況だったよ。下りで差が開いたのを見て、平坦になってから踏み込んだんだ。もし僕が自爆してもイサークがいて、彼は集団になっても独走でも勝てる脚があるから」と振り返るポガチャルがビッグギアで巡航。統率を失った後続グループを尻目にフィニッシュラインまでの22kmを駆け抜けた。

先頭グループから抜け出し、22km独走で勝利したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) (c)TeamEmiratesUAE
「もちろん今はシーズンが長いけれど、ロンバルディアは大きな目標だから最高の結果を出すためにモチベーションはさらに高まっているよ。ロンバルディアは"モニュメント"の一つで、カレンダーの中でも最大級のワンデーレースの一つ。土曜日に向けて脚も万全に仕上がると思うよ」と自信を覗かせるポガチャルが世界選手権から3連勝。UAEにとっては今シーズン通算91勝目となった。
46秒遅れの集団スプリントを獲ったのは19歳のアルバート・ウィゼンフィリプセン(デンマーク、リドル・トレック)で、3位はジュリアン・アラフィリップ(フランス、チューダープロサイクリング)。85名完走のタフレースで岩村は途中レースを降りることとなった。

10月7日に開催されたワンデーレースが「トレ・ヴァッリ・ヴァレジーネ(UCI1.Pro)」。北イタリアはヴァレーゼ周辺を周回するパンチャー向けレースで、1919年に初回大会が開催され、今年で実に104回目。常にアップダウンを繰り返す200kmコースであることから、イル・ロンバルディア前哨戦として多数のビッグネームが集結するレースだ。
2025年大会の出場リストも極めて豪華だ。UAEチームエミレーツXRGはタデイ・ポガチャル(スロベニア)とイサーク・デルトロ(メキシコ)の2大エースを送り込んだほか、トーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング)やプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)、クィン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック)、ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)といった面々が勢揃い。ソリューションテック・ヴィーニファンティーニからは岩村元嗣も出場を果たした。
この日は序盤に5名の逃げが決まり、後半戦に入るとその中から唯一生き残ったロレンツォ・ミレージ(イタリア、モビスター)にエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)が追いついて2人逃げに。ラスト50kmを切った登坂区間でミレージを千切った元ツール・ド・フランス覇者が単独逃げに持ち込んだ。

「調子は良かったんだ。元々チームメイトが逃げていたし、一人で先頭を追いかけるつもりもなかったけれど、誰も追いかけて来なかったんだ。逃げに合流した後も一人になってしまい、もう後戻りできないと悟ったよ」と、予定外の単独走になったベルナルの背後では、UAE勢に先手を打つべくライバルチームがアタックを連発。シモンズが一度遅れたミレージを引き連れてベルナルに合流して先頭は3名。メイン集団先頭では今季限りの引退を感じさせない走りでラファル・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツXRG)が他チームのアタックを捌き続けた。
決定的な動きが生まれたのは残り30km地点だった。ヴィクトル・ラフェ(フランス、デカトロン・AG2Rラモンディアール)が仕掛け、アフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス)とデルトロ、ポガチャルがこの動きに反応する。この4名はすぐに先頭3名を捕まえ、間髪入れずにポガチャルがアタックした。
湖を目指す緩やかなダウンヒルで仕掛けたポガチャル。埋めることのできる差だったものの、人数の多さが影響してかローテーションが回らず足並みが揃わない。世界選手権で66km独走、数日前の欧州選手権で75km独走を達成したポガチャルがこの隙を見逃すはずが無かった。
「最高の状況だったよ。下りで差が開いたのを見て、平坦になってから踏み込んだんだ。もし僕が自爆してもイサークがいて、彼は集団になっても独走でも勝てる脚があるから」と振り返るポガチャルがビッグギアで巡航。統率を失った後続グループを尻目にフィニッシュラインまでの22kmを駆け抜けた。

「もちろん今はシーズンが長いけれど、ロンバルディアは大きな目標だから最高の結果を出すためにモチベーションはさらに高まっているよ。ロンバルディアは"モニュメント"の一つで、カレンダーの中でも最大級のワンデーレースの一つ。土曜日に向けて脚も万全に仕上がると思うよ」と自信を覗かせるポガチャルが世界選手権から3連勝。UAEにとっては今シーズン通算91勝目となった。
46秒遅れの集団スプリントを獲ったのは19歳のアルバート・ウィゼンフィリプセン(デンマーク、リドル・トレック)で、3位はジュリアン・アラフィリップ(フランス、チューダープロサイクリング)。85名完走のタフレースで岩村は途中レースを降りることとなった。
トレ・ヴァッリ・ヴァレジーネ2025結果
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) | 4:34:32 |
2位 | アルバート・ウィゼンフィリプセン(デンマーク、リドル・トレック) | 0:46 |
3位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、チューダープロサイクリング) | |
4位 | ポール・ラペラ(フランス、デカトロン・AG2Rラモンディアール) | |
5位 | セルヒオ・イギータ(コロンビア、XDSアスタナ) | |
6位 | トムス・スクインシュ(ラトビア、リドル・トレック) | |
7位 | トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) | |
8位 | イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) | |
9位 | ヨハネス・クルセット(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) | |
10位 | ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス) | |
DNF | 岩村元嗣(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ) |
text:So.Isobe
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