明日に迫ったジャパンカップロードレース。宇都宮市内で行われたチームプレゼンテーションでは、国内外の強豪チームが続々と登壇し、ファンの前で意気込みを語った。ここでは登壇した順に出場海外チームのコメントをダイジェストで紹介する。



ポギチーム・グスト・リュブリャナ

ポギチーム・グスト・リュブリャナ photo:Makoto AYANO

海外チーム最初の登場は、ジャパンカップではすっかりお馴染みとなったポギチーム・グスト・リュブリャナ。名実ともに世界ナンバーワン選手タデイ・ポガチャルの出身チームであり、現在は彼自身も参画して若手育成を行う。2018年から数えて5回目の連続出場だ。

クロアチアチャンピオンのニコラス・ゴイコヴィッチは「スプリントもロードも狙いたい」と意欲的だ photo:Makoto AYANO

人気のマスコット、アタ吉も登場 photo:Makoto AYANO
グストのアタ吉が人気だ photo:Makoto AYANO



トマシュ・ポリャネック監督は「若いチームだから積極的な走りで逃げにメンバーを加えたい。可能な限りジャージをアピールしたい」と語る。例年は序盤の逃げにメンバーを送り込む戦術を採るチームだが、今年はどんな走りを見せてくれるか注目だ。



チューダープロサイクリング

チューダープロサイクリングは初出場だ photo:Makoto AYANO

記念すべきジャパンカップ初出場となったチューダープロサイクリングは、次代を担う20代前半の若手選手でメンバーを組んできた。年々チーム力を高めてグランツール出場を果たした新生チームの指揮を取るシルヴァン・ブランクフォール監督によれば「秋のクラシックシーズンで成績を出した強い選手が揃っているので日曜日のレースで勝ちたいと思っている」とのこと。

マティス・ロンデル(フランス)に期待だ photo:Makoto AYANO
チューダーの応援フラッグを持つ女性 photo:Makoto AYANO



注目選手は2024年のジロ・デ・イタリア ネクストジェンで総合4位に入り、先週のイタリアワンデーレースではアダム・イェーツに次いで2位に入ったマティス・ロンデル(フランス)。「日曜日の厳しい登りとテクニカルな下りは自分向き。チームとしてもいい走りができると思う」と意気込みを話している。



チーム ノボ ノルディスク

今年も出場のチーム ノボ ノルディスク photo:Makoto AYANO

連続出場中のサム・ブランド(ブランド)は「今までで一番強いチームだと思う」 photo:Makoto AYANO
スプリンターのマティアス・コペッキー(チェコ) photo:Makoto AYANO



選手全員が一型糖尿病患者で構成され「糖尿病と共に生きる人々を勇気づけ、治療に積極的に取り組み、それぞれの人生の目標に向けて生きていくことを応援する」という、強いメッセージを掲げて世界を転戦するチーム ノボ ノルディスク。今年で10回連続参加というジャパンカップお馴染みのチームだ。

連続出場中のサム・ブランド(ブランド)が「今までで一番強いチームだと思う」と胸を張るチームの注目株は、ツール・ド・ラブニールでトップ10フィニッシュを2回マークしたスプリンターのマティアス・コペッキー(チェコ)。来季は兄トマシュが所属するユニベット・ティティマ・ロケッツへの移籍が決まっており、ジャパンカップで良い手土産を持ち帰りたいところだ。一型糖尿病患者に勇気を与える走りを期待したい。



ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ

2人が引退するソリューションテック・ヴィーニファンティーニ photo:Makoto AYANO

新城幸也が絶対的なリーダーとしてチームを引っ張っているソリューションテック・ヴィーニファンティーニはジャパンカップ初出場。今季はツール・ド・熊野、ツアー・オブ・ジャパン、The Road Race Tokyo Tama、そしてツール・ド・九州と日本国内レースに連続出場し、その全てで好リザルトを叩き出してきた。

新城幸也はキャプテン的存在だ photo:Makoto AYANO

新城幸也に引退の花束を贈呈されたダヴィデ・バルダッチーニ(イタリア) photo:Makoto AYANO
今季で引退を決めたクリスティアン・ズバラーリ(イタリア) photo:Makoto AYANO



顔写真のお面に喜ぶヴァレリオ・コンティ(イタリア) photo:Makoto AYANO

実に14回目のジャパンカップ出場となる新城幸也は「九州からの連戦なので時差ボケもありません。スプリンターこそいませんが、日曜日は力いっぱい頑張りたいと思います」とコメントし、ランカウイから九州を転戦してきた身体は「近年で一番コンディションが良いかもしれない」状態だとも。事前インタビューでは「ワールドツアーがレースを作る展開になりますので、積極的に前にメンバーを送り込んで展開に乗り遅れないようにしたい」と現実的な作戦を話している。

また、クリスティアン・ズバラーリとダヴィデ・バルダッチーニ(イタリア)の2人にとってはこのジャパンカップが現役最終レース。壇上で花束を受け取り、感謝を述べていた。



イスラエル・プレミアテック

イスラエル・プレミアテック photo:Makoto AYANO

2026年のワールドツアー昇格をほぼ確定させているイスラエル・プレミアテックもジャパンカップ常連組。ツアー・ダウンアンダーとカデルエヴァンス・グレードオーシャンレースを走って引退するサイモン・クラーク(オーストラリア)にとっては13年ぶりのジャパンカップ出場だ。

サイモン・クラーク(オーストラリア)は自らチームにリクエストしてジャパンカップに出場したと言う photo:Makoto AYANO

ジャパンカップと相性のいいライリー・シーハン(アメリカ) photo:Makoto AYANO

注目は2023大会のクリテリウムで2位、日曜の本戦で6位に入ったライリー・シーハン(アメリカ)。「今度はもちろん優勝を狙っていきたいし、素晴らしいメンバーが揃っているので日曜日も十分狙えると思う」と気合の入ったコメント。20歳のパウ・マルティ(スペイン)は育成チームからの昇格組で、U23世界選手権では6位入賞。ベテランから若手までバランスの整ったチーム力で2日間に挑む。



ジェイコ・アルウラー

チーム・ジェイコ・アルウラー photo:Makoto AYANO

マイケル・マシューズ(オーストラリア)はもちろん日曜の優勝候補だ photo:Makoto AYANO

2018年にロバート・パワーが優勝したジェイコ・アルウラーにとっては6回目のジャパンカップ。全グランツールで勝利しているマイケル・マシューズ(オーストラリア)は、土曜日のスプリントも、日曜日の厳しい展開にも十分対応できる脚質を持つ。今季は体調不良でツール・ド・フランスを走れなかったものの、復帰戦のブルターニュ・クラシックとGPケベックで連続トップ10入りし、ロンバルディア前哨戦のイタリアンワンデークラシックは2戦とも5位と好調。「調子は良いので今シーズンの締めくくりとして日曜日を勝ちたいと思う」と可能性を感じるコメントを残している。

マウロ・シュミット(スイス) はクリテリウムで再びのポディウムを狙えるか? photo:Makoto AYANO

山岳での走りが期待されるクーン・ボーマン (オランダ) photo:Makoto AYANO
選手並みに人気があるマシュー・ヘイマン監督 photo:Makoto AYANO



スイスチャンピオンのマウロ・シュミット、2022年のジロ・デ・イタリアで山岳賞を獲得したクーン・ボーマン(オランダ)、マイケル・ヘップバーン(オーストラリア)、フェリックス・エンゲルハルト(ドイツ)と強いメンバーがマシューズの脇を固める。



リドル・トレック

リドル・トレックは強力な布陣だ photo:Makoto AYANO

昨日、六本木でのブランドイベントに参加したリドル・トレックは、特別ペイントのチームバイクを携えての登場だ。ジョナタン・ミラン(イタリア)とマティアス・バチェク(チェコ)、ジュリアン・ベルナール(フランス)ら一軍メンバーを揃えて好結果を誓う。

クリテリウムの絶対優勝候補、ジョナタン・ミラン(リドル・トレック) photo:Makoto AYANO

ミランは「秋のレースで優勝してから体調を崩したが順調に回復している。土曜日は集団をコントロールしてスプリント勝負に持ち込みたい」と、チームのクリテリウム6連覇に向けて気合を入れる。ヴァチェクも「日曜日は厳しい展開になるだろうが、それこそ自分の得意なレース。良い結果を狙っていきたい」と意欲を見せた。

マティアス・ヴァチェク(チェコ 、リドル・トレック) photo:Makoto AYANO

今年もリドル・トレックの応援バナーがたくさん登場 photo:Makoto AYANO

リドル・トレックファンにプレゼントを手渡すジョナタン・ミラン photo:Makoto AYANO
リドル・トレックのイラストバナーは様々なバージョンがある photo:Makoto AYANO





アンテルマルシェ・ワンティ

アンテルマルシェ・ワンティ photo:Makoto AYANO

日曜のジャパンカップに期待がかかるルイ・バレ(フランス) photo:Makoto AYANO
「日曜は皆が苦しむのを観に来てください」と今村駿介 photo:Makoto AYANO



2023年大会でルイ・コスタ(ポルトガル)を優勝に導いたアンテルマルシェ・ワンティは、その時以来となる2年ぶりの出場だ。日曜日のエースはフランス期待のルイ・バレ。ルワンダの世界選手権で体調を崩したためコンディションは自分でも分からないとのことだが、「スポンサーであるNIPPOのおかげでジャパンカップに参戦できて光栄だよ。どのように戦うかはシークレット」とも。ワールドツアーのGPモンレアルでは6位に入っており、コンディションが戻っていれば優勝候補の一角だ。

今年ツール・ド・熊野でステージ優勝を上げた育成チーム(ワンティ・NIPPO・リユーズ)の今村駿介はワールドツアーのメンバーとして土曜日のクリテリウムを走る。「こんなに大きなチームの一員として初めてジャパンカップを走るから楽しみです。明日はチームが勝てるように頑張りますし、日曜日は選手たちが苦しむ様子を大いに楽しんでもらいたいです」とコメント。ツール・ド・九州の総合6位に入ったルーカ・ファンボーヴェン(ベルギー)の調子も良さそうだ。



コフィディス

長い伝統を持つ名門チーム、コフィディス photo:Makoto AYANO

フランスを代表する伝統チーム・コフィディスもまたジャパンカップのお馴染みチーム。エースを担うのはバスクが誇るクライマー、ヨン・イサギレ(スペイン)だ。

好調のクライマー、ヨン・イサギレ(スペイン)は日曜の優勝候補だ photo:Makoto AYANO

ツール・ド・フランスでステージ通算2勝。勝利から遠ざかってはいるものの、秋のイタリアクラシック連戦では上位入賞を繰り返しているイサギレのモチベーションは高いはず。EF時代の2023年にジャパンカップを走ったサイモン・カー(イギリス)や、次代を担う若手選手が優勝への道筋をアシストする。



バーレーン・ヴィクトリアス

バーレーン・ヴィクトリアス photo:Makoto AYANO

今大会最も厚い陣容を誇るのがバーレーン・ヴィクトリアスだ。当初の発表から大幅なメンバー変更を経たものの、結果的にフランス期待のクライマーのレニー・マルティネス、ブエルタ・ア・エスパーニャでマイヨロホを着たトースタイン・トレーエン(ノルウェー)、秋のクラシックシーズン好調のアフォンソ・エウラリオ(スペイン)と分厚い戦力で宇都宮に乗り込んだ。日曜の本戦はマルティネスとアフォンソがエースを務めることが事前発表されている。

クライマーのレニー・マルティネス(フランス) photo:Makoto AYANO

おばあちゃんが日本人というクォーターのトースタイン・トレーエン(ノルウェー) photo:Makoto AYANO
日本語で表現したトースタイン・トレーエン(ノルウェー)の応援フラッグ photo:Makoto AYANO


チームに居ることが楽しいというトレーニーの寺田吉騎 photo:Makoto AYANO

また、育成チームのメンバーとして1シーズンを過ごした寺田吉騎がトレーニーとしてメンバー入り。「新城選手が所属していたワールドツアーチームの一員として走れることを誇りに思います。ここでジャパンカップを走るという夢が叶いました」とコメント。土曜日のクリテリウムでは「スプリントで少しでも活躍できるようにしたいです」とコメントを残している。



EFエデュケーション・イージーポスト

EFエデュケーション・イージーポスト photo:Makoto AYANO

ガーミン・シャープ時代から数えて実に6勝。ジャパンカップ常連で、いつも好成績をマークしてきたのがこのEFエデュケーション・イージーポストだ。

期待がかかる留目夕陽(EFエデュケーション・イージーポスト) photo:Makoto AYANO

「ジャパンカップは我々チームにフィットしたレースだと思う。昨年はニールソン・パウレスが勝ったし、今年も同じ結果を引き継ぎたいと思っている。希望に溢れた6人の選手を連れてきたよ」とコメントするのはかつての名選手、マッティ・ブレシェル監督。日本人唯一のワールドツアー選手として在籍する留目夕陽を筆頭に、6名中5名が25歳以下という若手中心メンバーで連覇に挑む。

コルビー・シモンズ(アメリカ) photo:Makoto AYANO

EFエデュケーション・イージーポストの応援フラッグを持ったファン photo:Makoto AYANO
ピンクの手でEFエデュケーション・イージーポストを応援 photo:Makoto AYANO



大歓声を受けた留目は「すごく大変なシーズンでしたが、良い経験になりましたし、この舞台で戦うことができて良かったと思います」とアップダウンのシーズンを壇上で総括。下部育成チームから昇格したコルビー・シモンズはクリテリウムの本場と言えるアメリカで成績を出してきた選手。土日どちらもピンク色のジャージに注目だ。



こうして各チームが宇都宮に集結し、2025年ジャパンカップがいよいよ幕を開ける。明日のクリテリウム、そして日曜の本戦で、誰が秋の宇都宮を制するのか。注目の一戦は目前だ。

text:So Isobe