フランス期待のクライマー、レニー・マルティネスによる古賀志林道でのアタックが決まった宇都宮ジャパンカップ。マルティネスや2位のボーダン、3位イサギレ、各チームのエース、第一集団に食らいついた橋川丈、逃げに乗ったミランのコメントを紹介しよう。
優勝 レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス)

麓からのハイスピード登坂でレニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス)がライバル勢を千切った photo:Makoto AYANO
勝つことができて最高の気分だ。チームメイトもよい走りをしてくれた。日本で走る機会は多くないので、この結果を残せて本当に嬉しい。
ラストの登りでアタックしたのは、集団でフィニッシュまで行くよりも単独のほうが展開をコントロールできると判断したからだ。勝つためにはメンタルと脚の両方が良いコンディションでなければならない。
──ヨーロッパなどでは不吉とされているゼッケン13は、ラッキーナンバーに変わりましたか?
だからこそ、ゼッケンを裏返して、不吉な気を吹き飛ばしたんだ。

13番のゼッケンを逆さにして着用したマルティネス photo:Makoto AYANO
記者会見
144.2kmという距離でも十分に厳しいレースだった。また周回の多さもレースの難易度を上げた。特に最後の約5kmはきつかった。
──パリ〜ニースとツール・ド・ロマンディでも小集団によるスプリントで勝利しています。最後の登り(古賀志林道)でアタックが決まらなくても、勝てる自信はありましたか?
パリ〜ニースとコースレイアウトは似ているものの、このレースは距離が短く、ライバルが十分に消耗していない可能性があったので、スプリントで勝てる自信はなかった。意識していたのは選別される集団にしっかりと残り、ラスト3周から繰り返しアタックして人数を絞るということだった。

記者会見で質問に対し、丁寧に答えるマルティネス photo:Makoto AYANO
──お父様のミゲルさんは、マウンテンバイクのクロスカントリーで活躍し、ツール・ド・フランスに出場した選手でした。どんなお父様ですか?
とても優しい父で、自転車を強要されたことはなかった。僕が速いのは遺伝かもしれないね(笑)。
2位 アレックス・ボーダン(フランス、EFエデュケーション・イージーポスト)

勝者を称えるアレックス・ボーダン(フランス、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:Satoru Kato
とても厳しく、テクニックを求められるコースだった。これがもし200kmのレースであったら、さらに厳しい展開になっただろうと思う。でも自分の脚質にマッチし、お気に入りのレースになった。だから来年もぜひ戻ってきたい。
ラスト3周に入るまでは、もちろん勝つ気持ちで走っていた。しかし徐々に身体がきつくなってきた。レニー(マルティネス)とは若いときから何度も一緒にレースを走っていて、彼の強さも十分に分かっている。彼のアタックに食らいつこうとしたのだが、今日は彼が強すぎた。
3位 ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス)

ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス) photo:Makoto AYANO
シーズン最後のとてもハードなレースだった。登りがきつくペースも速かった。レースを通して特定のチームによる集団コントロールがなく、集団ができてもすぐに崩壊し、最終的に各チーム1人ずつの少数集団となった。
シーズン終盤のレースであるため、各選手のコンディションにばらつきがあった。その中でも逃げに入り、少しでも良い順位でフィニッシュすることを目指した。テクニカルかつ下りの多いコースで良い結果を得られて嬉しい。
もちろんレニーがアタックすることは分かっていた。最後の数周回は僕ら3名で全開で登っていたのだが、レニーのスピードには敵わなかった。その後アレックスと追いかけたのだが、彼の方が力を一番残していた。
6位 ライリー・シーアン(アメリカ、イスラエル・プレミアテック)
スタートから激しい展開となった。力を尽くして得た6位は悪くない結果だ。とても疲れた。シーズン最後のレースなのでチームとして積極的に仕掛け、チーム全体として見せた走りを誇りに思う。
7位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)

マイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) photo:Makoto AYANO
もっと難易度の低いレースを予想していた。怪我明けや登坂が苦手な選手がいたため、実質僕ら3名での戦いとなった。単純にチーム力不足だった。ただ、コースもレースも心から楽しむことができた。
レースを通して調子は良くなく、ラスト3周に入り、ようやく脚が動き出した。時差ボケや睡眠不足が原因だろう。
雰囲気は本当に素晴らしく、皆が僕の名前を呼び、そこかしこに僕の名前が書かれた旗などがあった。ジェイコのジャージを着ているファンも多く、特別な体験となった。
精鋭集団に日本人で唯一食らいついた橋川丈(愛三工業レーシングチーム)

日本人でただ一人、レース中盤過ぎまで第一集団に残っていた橋川丈(愛三工業レーシングチーム) photo: Yuichiro Hosoda
毎年、最初1〜2周が速くなることはわかっていたので、1周目から集団前方に位置取りをしようと思っていました。中切れで遅れてしまったのですが、気を落とさず3周目の(古賀志林道の)下からワールドチームの選手と一緒に踏みました。気づいたら20名ぐらいの集団になっていて、日本人は自分1人でした。
ファンの皆さんからの声援も力になったのですが、それでイケイケになってしまいました。勝ち逃げの動きについていこうとしたのですが、そこでオールアウトしてしまい、その後は回復できず垂れてしまいました。
ワールドツアーを目指している自分としては、実力を出し切り、ついていかないとと思いました。ただ、ついていくだけで20位で終わるよりも、チャレンジしたいという気持ちで走りました。そのおかげで世界のトップの走りを体感し、悔しいですけど、これから前を向いて走りたいです。
ツール・ド・九州でも逃げに乗るなど、そこで得た100%の自信と共に臨みました。今日は勝ちに行くぞという気持ちすらありました。その思いが走りに今日走りに繋がったのだと思います。
序盤に形成された逃げに乗ったジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)

1周目に飛び出したジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) photo:Makoto AYANO
タフなレースだった。その一言に尽きる。逃げに乗って、チームメイトの脚を温存しようと飛び出した。限界まで集団に残ろうともがいたのだが、登り区間では常にいっぱいいっぱいだった。僕にとっては厳しいレイアウトだが、とても良いレースだった。
雰囲気は独特で、昨日も含め、とても楽しみながら走ることができた。来年のレーススケジュールはこれから決めることだけど、是非また戻ってきたいね。
──いま食べているうまい棒(やさいサラダ味)は美味しいですか?
とても美味しいよ。それにドラえもんが描いてある。
──それはドラえもんとは別のキャラクターですね。とても似ていますけど。
text:Sotaro.Arakawa
photo:Makoto AYANO, Satoru Kato
優勝 レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス)

勝つことができて最高の気分だ。チームメイトもよい走りをしてくれた。日本で走る機会は多くないので、この結果を残せて本当に嬉しい。
ラストの登りでアタックしたのは、集団でフィニッシュまで行くよりも単独のほうが展開をコントロールできると判断したからだ。勝つためにはメンタルと脚の両方が良いコンディションでなければならない。
──ヨーロッパなどでは不吉とされているゼッケン13は、ラッキーナンバーに変わりましたか?
だからこそ、ゼッケンを裏返して、不吉な気を吹き飛ばしたんだ。

記者会見
144.2kmという距離でも十分に厳しいレースだった。また周回の多さもレースの難易度を上げた。特に最後の約5kmはきつかった。
──パリ〜ニースとツール・ド・ロマンディでも小集団によるスプリントで勝利しています。最後の登り(古賀志林道)でアタックが決まらなくても、勝てる自信はありましたか?
パリ〜ニースとコースレイアウトは似ているものの、このレースは距離が短く、ライバルが十分に消耗していない可能性があったので、スプリントで勝てる自信はなかった。意識していたのは選別される集団にしっかりと残り、ラスト3周から繰り返しアタックして人数を絞るということだった。

──お父様のミゲルさんは、マウンテンバイクのクロスカントリーで活躍し、ツール・ド・フランスに出場した選手でした。どんなお父様ですか?
とても優しい父で、自転車を強要されたことはなかった。僕が速いのは遺伝かもしれないね(笑)。
2位 アレックス・ボーダン(フランス、EFエデュケーション・イージーポスト)

とても厳しく、テクニックを求められるコースだった。これがもし200kmのレースであったら、さらに厳しい展開になっただろうと思う。でも自分の脚質にマッチし、お気に入りのレースになった。だから来年もぜひ戻ってきたい。
ラスト3周に入るまでは、もちろん勝つ気持ちで走っていた。しかし徐々に身体がきつくなってきた。レニー(マルティネス)とは若いときから何度も一緒にレースを走っていて、彼の強さも十分に分かっている。彼のアタックに食らいつこうとしたのだが、今日は彼が強すぎた。
3位 ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス)

シーズン最後のとてもハードなレースだった。登りがきつくペースも速かった。レースを通して特定のチームによる集団コントロールがなく、集団ができてもすぐに崩壊し、最終的に各チーム1人ずつの少数集団となった。
シーズン終盤のレースであるため、各選手のコンディションにばらつきがあった。その中でも逃げに入り、少しでも良い順位でフィニッシュすることを目指した。テクニカルかつ下りの多いコースで良い結果を得られて嬉しい。
もちろんレニーがアタックすることは分かっていた。最後の数周回は僕ら3名で全開で登っていたのだが、レニーのスピードには敵わなかった。その後アレックスと追いかけたのだが、彼の方が力を一番残していた。
6位 ライリー・シーアン(アメリカ、イスラエル・プレミアテック)
スタートから激しい展開となった。力を尽くして得た6位は悪くない結果だ。とても疲れた。シーズン最後のレースなのでチームとして積極的に仕掛け、チーム全体として見せた走りを誇りに思う。
7位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)

もっと難易度の低いレースを予想していた。怪我明けや登坂が苦手な選手がいたため、実質僕ら3名での戦いとなった。単純にチーム力不足だった。ただ、コースもレースも心から楽しむことができた。
レースを通して調子は良くなく、ラスト3周に入り、ようやく脚が動き出した。時差ボケや睡眠不足が原因だろう。
雰囲気は本当に素晴らしく、皆が僕の名前を呼び、そこかしこに僕の名前が書かれた旗などがあった。ジェイコのジャージを着ているファンも多く、特別な体験となった。
精鋭集団に日本人で唯一食らいついた橋川丈(愛三工業レーシングチーム)

毎年、最初1〜2周が速くなることはわかっていたので、1周目から集団前方に位置取りをしようと思っていました。中切れで遅れてしまったのですが、気を落とさず3周目の(古賀志林道の)下からワールドチームの選手と一緒に踏みました。気づいたら20名ぐらいの集団になっていて、日本人は自分1人でした。
ファンの皆さんからの声援も力になったのですが、それでイケイケになってしまいました。勝ち逃げの動きについていこうとしたのですが、そこでオールアウトしてしまい、その後は回復できず垂れてしまいました。
ワールドツアーを目指している自分としては、実力を出し切り、ついていかないとと思いました。ただ、ついていくだけで20位で終わるよりも、チャレンジしたいという気持ちで走りました。そのおかげで世界のトップの走りを体感し、悔しいですけど、これから前を向いて走りたいです。
ツール・ド・九州でも逃げに乗るなど、そこで得た100%の自信と共に臨みました。今日は勝ちに行くぞという気持ちすらありました。その思いが走りに今日走りに繋がったのだと思います。
序盤に形成された逃げに乗ったジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)

タフなレースだった。その一言に尽きる。逃げに乗って、チームメイトの脚を温存しようと飛び出した。限界まで集団に残ろうともがいたのだが、登り区間では常にいっぱいいっぱいだった。僕にとっては厳しいレイアウトだが、とても良いレースだった。
雰囲気は独特で、昨日も含め、とても楽しみながら走ることができた。来年のレーススケジュールはこれから決めることだけど、是非また戻ってきたいね。
──いま食べているうまい棒(やさいサラダ味)は美味しいですか?
とても美味しいよ。それにドラえもんが描いてある。
──それはドラえもんとは別のキャラクターですね。とても似ていますけど。
text:Sotaro.Arakawa
photo:Makoto AYANO, Satoru Kato
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