2013年に世界選手権を制したルイ・コスタ(ポルトガル、EFエデュケーション・イージーポスト)が現役引退を発表した。ツール通算区間3勝や2023年のジャパンカップ優勝など、39歳が19年間のプロ生活に幕を下ろした。



現役引退を発表した39歳のルイ・コスタ(ポルトガル、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos

「自転車競技から本当に大きな幸せをもらった。そろそろ引退の時が来たようだ。家族と共に、これまで何度も後回しにしてきた穏やかな時間をゆっくりと味わいたい。夢を生き、勝利し、倒れては立ち上がり、コーナー毎に私を見守ってくれた小さな守護天使がいた私は、本当に恵まれていた」と、コスタはSNSにそう綴った。

コスタのプロデビューはいまから遡ること18年前の2007年。ポルトガル籍のプロチームであるベンフィカから2009年にケス・デパーニュ(現モビスター)に移籍し、翌年のワールドチーム昇格から今年までずっとワールドチームで走り続けてきた。キャリアハイのシーズンとなったのは、ツール・ド・スイスで総合3連覇を達成した2012年からの3年間だった。

2013年のツール・ド・フランスで区間2勝を挙げたコスタは、イタリア開催のロード世界選手権に臨む。大雨のレースは強豪ぞろいの4名集団からホアキン・ロドリゲス(スペイン)との一騎打ちスプリントへ。先着したコスタは世界王者に輝き、アルカンシエルに袖を通した。

アルカンシェルを手にしたルイ・コスタ(ポルトガル) photo:TDWsport/Kei Tsuji

抜群のスプリント力で勝利したルイ・コスタ(ポルトガル、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) photo:Makoto AYANO

その後ランプレ・メリダへ移籍後もコンスタントに勝ち星を重ね、プロ通算33勝を積み上げたコスタ。日本人ファンにとって記憶に新しいのは、アンテルマルシェ・ワンティの一員として出場した2023年のジャパンカップ。世界選手権の時と同じく雨のサバイバルな展開から、残り2周回でアタック。最後は3名によるスプリントを制し、37歳にして現役後期を象徴する大きな勝利を掴み取った。

2024年からはEFエデュケーション・イージーポストに移籍し、同年のポルトガル選手権ロードレースで優勝。今年はグランツールには出場しなかったものの、キャリアの礎を築いたツール・ド・スイスに出場し、10月11日のイル・ロンバルディアが現役最終レースとなった。

途中グランツールでの総合優勝を目指し、成績が低迷しながらも、プロ19年間を走りきったコスタ。所属した各チームやポルトガル自転車競技連盟への感謝を綴り、「信じてくれた人、応援してくれた人、助けてくれた人、共にいてくれたすべての人へ、心から感謝する。今日、ひとつの章が幕を閉じる。けれど自転車への情熱だけは、これからも決して消えることはない」と、締めくくった。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos