南アフリカ・ケープタウンで開催されたケープタウンサイクルツアー。テーブルマウンテンを望む海岸線を巡る109kmのコースを舞台に、約3万人が参加する世界最大級の市民サイクリングイベントだ。クラブツーリズムツアーに帯同したスマートコーチング代表の安藤氏からのレポートで紹介しよう。



地球規模の絶景ルートを走るケープタウンサイクルツアー ©︎CapeTownCycleTour

絶景と強風で知られるケープタウンサイクルツアー。2016年は強風で中止になることもあったが、2026年大会は快晴に恵まれた。

先日、日本国内で開催されたツール・ド・ふくしまと同じく、今年からケープタウンサイクルツアーもUCIグランフォンドシリーズに仲間入り。3月4日から11日の日程でクラブツーリズムが実施したツアーの様子を紹介する。

シンガポールでの思わぬ36時間

シンガポールのランドマーク、マーライオンとマリーナベイサンズ photo:Hayato Andou

今回の旅は、思いがけないトラブルから始まった。羽田からのシンガポール航空便がディレイし、乗り継ぎ便に間に合わず、急遽シンガポールで36時間滞在することになったのだ。

しかし、この予定外の滞在も結果的には楽しい寄り道となった。シンガポールには旧鉄道跡を整備したグリーンウェイ「レイルコリドー」があり、市街地とは思えない自然の残るサイクリングルートになっている。レンタサイクルを手配し、マレーシア国境近くまでのサイクリングへ。レース前の軽いライドとしては、むしろ良いウォームアップになった。
旧鉄道跡を活用したレイルコリドーでのサイクリング photo:Hayato Andou


3日をかけてついにケープタウンに到着!

海岸線と山が近接するケープタウンの地形 photo:Hayato Andou

6日の深夜、ようやく南アフリカ・ケープタウンへ到着。空港でバイクケースを受け取り、ホテルへ移動する。大規模海外イベントではロストバゲージや機材トラブルも珍しくないが、今回はすべて無事に到着していた。

翌日はバイクを組み立て、軽くプラクティスライドへ。ケープタウンの街は背後に巨大なテーブルマウンテンを抱え、海岸線と都市が近接する独特の地形をしている。走り出してすぐ、その景観のスケールの大きさを実感することになる。3日以上かけて辿り着いたケープタウンの壮大な景色は、より一層感動を高めてくれた。

喜望峰の看板で記念撮影 photo:Hayato Andou

ウォーターフロントでのランチでは、早速南アフリカのワインとグルメを堪能。その後は大会エキスポへ向かった。見慣れないメーカーのブースをゆっくり見て回りたかったが、飛行機のディレイで時間を削られてしまったのが少し残念だ。エントリーを済ませた後は、コースの下見も兼ねてバスで喜望峰へ。大西洋を見下ろすダイナミックな海岸線は、この大会の魅力を象徴していた。

世界最大級のスタートライン

レース当日の朝、スタート地点となるケープタウン市庁舎前にはすでに数千人のライダーが集まっていた。歴史ある建物と朝日に照らされた広場、そして無数の自転車。まさに世界最大級の市民レースの雰囲気だ。

ケープタウン市庁舎前のスタートエリア photo:Hayato Andou

今年からUCIグランフォンドシリーズとなったこともあり、レースカテゴリーのライダーは早めのスタート。一方、サイクリングカテゴリーは「インターナショナルカテゴリー」として約1時間後にスタートする。

市街地を抜けると、すぐに大きな集団が形成される。道路いっぱいに広がるサイクリストの列は壮観そのものだ。

ダイナミックな海岸線を行く109kmのコース

海岸線を走るケープタウンサイクルツアーのコース photo:Hayato Andou

コースはケープ半島を大きく一周する109km。大西洋の海岸線を走る区間では、岩礁の続く海岸と山岳地形が作り出すダイナミックな景観が続く。

ケープタウンの風「ケープドクター」はこの大会の名物でもある。今年もレースカテゴリーのライダーには大きな影響があったようだが、サイクリングカテゴリーのスタート時間ではそれほど強くは感じなかった。むしろ日差しが強く、海から吹く風が心地よいほどだった。

エイドで配られるジャガイモ photo:Hayato Andou

エイドステーションではドリンクを中心に、バナナやエナジーバーなども提供される。私設エイドらしき場所で手を伸ばして受け取ったのは、小さなジャガイモ。南アフリカらしい補給食もこのイベントの面白さの一つだ。

世界中から集まるサイクリスト

コース沿いでは観客の応援や音楽、そしてユニークなパフォーマンスが続く。カラフルな衣装で踊る応援団など、まるでお祭りのような雰囲気で、一般参加者でも主役になったような気分を味わえる。

コースのハイライトとなるチャップマンズピークドライブ photo:Hayato Andou

109kmという距離は初心者サイクリストには長く感じられるかもしれない。しかし高速道路から始まり、海岸線や山岳地形へと変化する景色、そして街の応援が続くコースは、まったく飽きることがない。

最大のハイライトは、チャップマンズピークドライブ(Chapman’s Peak Drive)。断崖を削って作られたこの道路は観光バスすら通行できず、車で訪れる観光客がほとんどだ。その道を、見渡す限りのサイクリストが登っていく。圧巻の光景は、疲れを忘れさせるほど印象的だった。

カラフルな応援も南アフリカらしさ photo:Hayato Andou

世界中から集まったサイクリストとともに走る109km。南アフリカの雄大な自然と街の活気を同時に感じられるこのイベントは、まさに世界最大級の市民サイクリングイベントだ。

参加人数や開催規模を考えると、例えるなら東京マラソンをそのままサイクリングイベントにしたようなスケール感だった。実際に参加したライダーからは「ゴールするのがもったいない」「もう一周したい」といった声も聞かれ、忘れられないサイクリング体験になったようだった。

アフターレースの楽しみ方

テーブルマウンテンからの夕日 photo:Hayato Andou

ゴール後は、テーブルマウンテンの散策へ。走ってきた海岸線を見下ろしただけでなく、レースデイの最後を締めくくるように、美しい夕陽が大西洋に沈んでいった。レースと共に、忘れられないサンセットとなったことだろう。

そして滞在最終日の翌日は、南アフリカワインの産地で有名なフレンシュホックからステレンボッシュまでの丘陵ライド。何億年もの歳月で隆起した土地でケープドクターの乾いた風にそだてられた、ミネラル感たっぷりの南アフリカワインをお土産に買ったのは言うまでもない。

トラブルから始まったあっという間の8日間だったが、それらのトラブルがより一層思い出を引き立ててくれたのは間違いない。来年、ぜひ参加してみてはいかがだろうか。

text&photo:Hayato Andou

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