北海道ニセコ開催のUCIグランフォンド世界選手権2026、最終日の種目はグランフォンド/メディオフォンド。性別・年代別に細分化されたカテゴリーのロードレースに史上最多67カ国・1,456人がエントリーし、熱戦を繰り広げた。ここでは男子種目のダイジェストと日本人上位選手の談話でレースを振り返る。

イヴァン・バッソ、フラン・コンタドール、片山右京らがポルシェの先導車と並ぶ photo:Satoru Kato
世界を代表するスノー&スポーツリゾート、ニセコひらふ地区を発着するロードレース形式のレースがグランフォンド/メディオフォンドだ。アジア初開催のUCIグランフォンド世界選手権が、日本のニセコで開催されるとあって、開催国としても大いに盛り上がる。

スタートを待つもっとも若い男子19-34歳カテゴリー photo:Satoru Kato

スタートを待つ日本人選手たち photo:Makoto AYANO
参加国は史上最多となる64カ国、参加者は1,447 人。その内訳は約140kmのグランフォンドが約1,100人、約80kmのメディオフォンドが約380人。タイムトライアル/チームリレー種目を合算すると世界各国から約1900人あまりがニセコに集結した。日本人参加者の合計では過去最高の324人をマークした(2025年オーストラリア大会は50人)。

スタートを待つ大前翔 photo:Makoto AYANO 
大前翔の職場の同僚たちが応援に駆けつけた photo:Makoto AYANO
ここニセコでは2016年からUCIグランフォンドワールドシリーズ入りした「ニセコクラシック」でお馴染みのレースが、今年はUCIグランフォンドの最高峰、ワールドチャンピオンシップス(つまり世界選手権)の舞台として選ばれた。

大前翔を先頭にスタートするグランフォンド男子19-34 photo:Makoto AYANO
昨年のニセコクラシックでも使われたコースは北の大地を走るダイナミックさが好評の公道レース。140kmのグランフォンドはニセコひらふをスタートし、米どころ蘭越町を尻別川に沿って日本海の近くで往復するループを経由し、ニセコパノラマラインのKOMを越え、共和町へと降り、再びニセコ高原へと登り返す。そして最後はひらふゴンドラ坂の上りフィニッシュ。獲得標高は2,370mだ。

ニセコの大通りを140男子35−39がスタートしていく photo:Makoto AYANO
80kmのメディオフォンドはレース序盤にニセコパノラマラインを越えて共和町へと降り、再びニセコ高原へと登り返す、140kmのコースから60kmループを除いたショートループとなり、獲得標高は1,572m。距離は短いながらパンチの効いた山岳ルートで、フィニッシュのゴンドラ坂は共通だ。

140男子45-49の最前列に高岡亮廣、松木健治、田崎友康の3人が並ぶ photo:Makoto AYANO
男女とも年齢別に5歳刻み・6カテゴリーが用意され、男子は60歳以上、女子は50歳以上がメディオフォンドとなり、それより若いカテゴリーはグランフォンドになる。
いずれのクラスも世界各国のUCIグランフォンドワールドシリーズの予選レースで上位25%の順位に入って出場権を獲得する必要があり、つまりここニセコに集った参加者たちはいずれも予選通過者であり、レベルはおのずと高くなる。UCIポイントをもつ選手は出場することができず、その意味でプロ/エリート選手を除くアマチュアのロードレース世界選手権といえる。

朝陽を受けてスタート photo:Satoru Kato
フィニッシュ地点となるひらふゴンドラ坂が選手が整列してスタートを待つ待機グリッドとなり、大会アンバサダーのイヴァン・バッソとアルベルト・コンタドールの兄弟であるフラン氏、そして片山右京氏が先導車のポルシェと並び華を添える。この日の天候は薄曇りで、夏日の続いた週としては気温は低め。涼しい快適な気温のなかレースは始まった。

雲間から羊蹄山が集団を見送る photo:Satoru Kato
朝6時、まずグランフォンド、次いでメディオフォンドがスタートする。第1ウェーブの男子19-34歳カテゴリーから約5分〜3分間隔で若い順から出走していく。エントリーの少ない高齢クラスはとくに隣り合った年齢カテゴリーと同時出走になるが、出走者が一人でもいる場合はその年齢カテゴリーのチャンピオンとして表彰対象になる。

色づいた稲穂の田園地帯を集団が一列で進む photo:Satoru Kato
ここでは全カテゴリーの展開を紹介しきれないため日本人選手たちが上位で活躍したクラスを中心に、上位選手に取材したコメント等でレースの内容をお伝えする。

中盤まで大集団が崩れずに進んだ男子19-34カテゴリー photo:Satoru Kato
男子の最高位は岡泰誠(イナーメ信濃山形)の男子19-34歳グランフォンドでの3位。他に優勝者や表彰台登壇選手はおらず、井上和郎(BALBA)が男子45-49歳で4位になっている。なお岡は8年前の2018ニセコクラシック140kmの総合優勝者だ。

男子19-34のメイン集団がパノラマラインへの上りに入る photo:Makoto AYANO
最速タイムを叩き出したグランフォンド140男子19-34歳。レースが動いたのはパノラマラインを経てのラスト20kmの第2山岳の登りの序盤から。優勝することになるArtur SOWINSKI(ポーランド)の積極的なアタックに着いていけたのは7人ほど、そして続くハイペースの登坂終盤にはGiovanni LOISCIO(イタリア)と岡泰誠の3人に絞られ、大前翔(Roppongi Express)を含む4人の追走グループが続く展開で、ワイスのチェックポイントを越えて終盤を迎える。

逃げる岡泰誠(イナーメ信濃山形)、Artur SOWINSKI(ポーランド)、Giovanni LOISCIO(イタリア)の3人 photo:Makoto AYANO
「ポーランド人が強くて、ただがむしゃらに着いていったら3人になっていた」と話す岡。3人の勝負はゴンドラ坂へ。スプリントに備えて脚を残していた2人に対し、追走グループが迫る中で3人で逃げ切って表彰台を確保することを意識しすぎ、自ら先頭を引いて脚を残せなくなっていたという。岡は3位というリザルトに対しては「表彰台を確保したのは最低限のノルマ達成であり、同時に表彰台の真ん中以外は負け」と考えているという。

逃げる岡泰誠(イナーメ信濃山形)、Artur SOWINSKI(ポーランド)、Giovanni LOISCIO(イタリア)の3人 photo:Makoto AYANO

男子140km 19-34歳 Artur SOWINSKI(ポーランド)が優勝。岡泰誠は離されて3位に photo:Syunsuke FUKUMITSU
「どこまで牽制すればよかったかなど、反省することは多くありますが、チームメイトの吉岡君や協力的だった島野翔太君の助けもあり、うまく走れた。今年はトラック競技での瞬発系の強化をしたことで長い時間パワーを出せるようにもなった。低酸素トレーニングやチームでの高地合宿も効き、コンディショニングはうまく行きました。また、今回は普段から身体をケアしてもらっている鍼灸マッサージ院Lifebloodさんの現場サポートがあり、万全のコンディションで臨むことができました」と話す。

大前翔(左)を含む第2グループが最後の上りで先頭3人を追う photo:Makoto AYANO
優勝が期待されながら4位に終わった大前翔。それでもスプリントで先頭3人を追走する4人グループの先頭を取り、4位に。
大前は言う。「欧州勢の身体の大きさに圧倒感がありました。去年のニセコクラシックと比べるとずっと速い展開で、昨年に登りに感じたところも平地に感じるぐらいのスピード感で進みました。人数が絞られないまま最後まで行きそうな錯覚もありましたが、結果的には最後のワイスの10分登りで絞られる展開になりました。
自分のコンディション的には好調だった6月比で10〜15%ほど体調が下がっていたので、そのなかでも今日できるベストを尽くそうと考えていました。このコンディションの差が前の3人に残れたか・残れなかったかの差として現れました。岡さんは本当に強かったですし、自分としてもできることをしたことで悔いはありません」。
じつは3週間前は絶不調で、ニセコでは闘えないと思っていたんです。でもサドル周りの0.5mm単位のポジション変更をしたことで急速にしっくりきて、なんとか調子を戻すことができていました。でもその間に体重が増えたり、パワーが落ちたりしたことが悔やまれることろです。しかし今日できる最大限は尽くせました。

男子140km 19-34歳 表彰式 岡泰誠が3位に photo:Syunsuke FUKUMITSU
3位と4位。日本チームとしての連携やチームプレーはあったのかどうかを訊いてみた。
大前「欲を言えば、岡さんが最後のスプリントが厳しかったようなので、日本勢で協調して6人にしてからスプリントに賭けるのも有効だったと思います。ただ自分としては登りがベストコンディションじゃなかったことに悔いは残りますが、最後まで脚を攣らせることもなく、3人のスプリントで2人を大きく引き離して4になることができたので、レースに対する悔いはないです」。
岡泰誠は「もし自分が最後にダメだったら大前翔君のアシストに回ろうかとも思っていましたが、レース中には本人にそれは伝えたものの、日本人選手たちも個人それぞれで抱えているものも違うため、普段の所属チームを超えて誰かのために犠牲になるという走りではありません」と話した。

男子45-49のメイン集団 photo:Makoto AYANO
表彰台は逃したものの、層の厚い45-49歳クラスで4位に食い込んだのが井上和郎(BALBA)だ。
「一時は優勝したノルウェーと他国の選手の2人逃げがタイム差8分という大差に開き、集団には諦めムードも漂っていました。それまで高岡さんや田崎さんなど、ふくしまでも活躍したメンバーがレースをつくってくれていたので、自身としては自信の無さから躊躇して他の選手たちに追走を任せてしまった反省があります。

男子45-49メイン集団の松木健治田崎友康ら photo:Makoto AYANO 
男子45-49のメイン集団。高岡亮廣や清宮洋幸が先頭にたつ photo:Makoto AYANO
後で分かったことですが、今回TTとの2冠になったOeystein Seth FISKAA(ノルウェー)選手は、今年のUCI2.1レースも走っていて、UCIポイントをもってないだけの選手と分かりました。世界選となるととんでもない選手が居るもんだな、というのが実感です。

男子140km45-49歳 日本チームのメンバーと集団中ほどに位置取る井上和郎 photo:Satoru Kato
僕としては集団ローテを回して前を追って、ワンチャン表彰台を狙えればと思っていました。下りに入ってからの追走集団はうまく協調がとれはじめたんですが、それなのに2位のオランダ人選手は独りでかっ飛んでいった。最後の登り返しでアタックしてオランダの選手に追いつき、2人で追走しての残り10kmぐらいのところで後方から3位に入るアメリカ人選手が追いついてきて、前から落ちてきた同じ色のゼッケンの選手を抜いたのが分かったんですが、その時点で2位争いに居たことに後になって気づきました。

層の厚い45-49歳クラスで4位に食い込んだ井上和郎 photo:Makoto AYANO
セブンイレブンのある交差点からの緩いアップダウンでアメリカ人選手がフルアタックをかけ、僕は脚を攣らせて2人から遅れてしまった。その後はなんとか単独でフィニッシュしました。
春先は体重が70kg超と、まったく走れずいたことを考えると、良く走れた方ではないかと思います。ベスト体重にはまだ遠く、間に合ってないことが多かったけど、現役時代に近いパワーには戻せたりと、やれることはやってこれたかな、と。そんな感じだったので序盤から積極的に行く自信までは無く、後半になって余裕があれば勝負してみる、という感じでした。自分としてのベストは尽くせたとは思います」。

男子140km 35-39歳 Bjorn DE DECKER(ベルギー)が優勝 photo:Syunsuke FUKUMITSU
大前翔はこのグランフォンド世界選を次のように締めくくる。
「チームリレーの優勝からの失格ハプニングについては、グランフォンドのレースを走っているときには影響しませんでしたが、心理的にレース前後にUCI規則に対して、例えばバイク重量の最低重量制限や、ハンドルやブレーキレバーの最小幅の規定違反などで失格を恐れたりと、神経質になる面はありました。後になってみるとチームリレーに優勝したポーランドもフライングしていた動画がみつかったりと、憤りはありました。リザルトが覆ることは期待していませんが、そもそもレギュレーション自体があいまいだったりするので、来年以降はそうした面もブリーフィング時にしっかり確認して臨むことなど、教訓が得られたと思って前向きに捉え、来年は文句の無いかたちで日本チームとして優勝することができればと思っています。そこは高岡さんをはじめ、皆で再確認し合っています」。
男子グランフォンド/メディオフォンドを走った日本人選手たち

男子140km50-55歳 集団内でまとまって走る日本チーム photo:Satoru Kato

市村直生と高杉知彰が男子40-44の追走グループの先頭でハイペースを刻む photo:Makoto AYANO

140男子19-34のスタートに並ぶ日本人選手たち photo:Makoto AYANO 
140男子35−39をスタートする日本人選手たち photo:Makoto AYANO

140男子55−59のスタート後方から走り出していく日本人選手たち photo:Makoto AYANO

男子55-59のメイン集団で走る山本敦ら photo:Makoto AYANO

男子55-59のメイン集団に日本人選手が多く含まれた photo:Makoto AYANO

男子50-54のメイン集団で走る日本人選手たち photo:Makoto AYANO

男子60+スタート 奈良正一と吉池司 photo:Makoto AYANO

男子60+の集団後方から日本人が大勢スタートする photo:Makoto AYANO

メディオフォンド男子60の先頭2番手を走る奈良正一 photo:Makoto AYANO

メディオフォンド男子60メイン集団で走る野津雄三 photo:Makoto AYANO 
アンチ・ドーピングの観点から補給所の給水はセルフ方式が採用された photo:Makoto AYANO

日本人選手同士、協力しあいながら走った選手も多い photo:Satoru Kato
UCIグランフォンド世界選手権2026ニセコ最終日 男子グランフォンド/メディオフォンド結果
19-34歳
1位 Artur SOWINSKI(ポーランド) 3:26'36"
2位 Giovanni LOISCIO(イタリア) 0"
3位 岡泰誠(日本)0'07"
35-39歳
1位 Bjorn DE DECKER(ベルギー)3:37'43"
2位 Wojciech SZCZEPANIK(ポーランド)0'01"
3位 Patrik MIKAC(スロベニア)0'05"
40-44歳
1位 Johnny HOOGERLAND(オランダ)3:42'34"
2位 Benjamin PENAUD(フランス) 0'01"
3位 Sebastian DRUSZKIEWICZ(ポーランド) 0'02"
45-49歳
1位 Oeystein Seth FISKAA(ノルウェー)3:41'11"
2位 Rick GROENEWEG(オランダ) 5'08"
3位 Andrew KNIGHT(アメリカ) 5'21"
50-54歳
1位 Tom LEAPER(オーストラリア)3:46'42"
2位 Raul PORTILLO(スペイン)0'03"
3位 Alessandro ENCIN(イタリア) 0'08"
55-59歳
1位 Michael SCHAEFER(ドイツ)3:50'09"
2位 Bruce BIRD(カナダ) 0'04"
3位 Pasi VUORI(Finland)0'22"
60-64歳
1位 Wayne SANCHEZ(オーストラリア) 2:17'17"
2位 Jørn FJELDAVLIE(ノルウェー)0'01"
3位 Sean HARDY(オーストラリア)0'09"
65-69歳
1位 Douglas POMERANZ(アメリカ)2:18'35"
2位 Alan NELSON(オーストラリア)1'39"
3位 Frank NIJSSEN(オランダ)1'55"
70-74歳
1位 Ewald WOLF(リヒテンシュタイン)2:25'48"
2位 Roger CULL(オーストラリア)1'25"
3位 Alan FAVELL(カナダ)4'21"
75-79歳
1位 Paul MCRAE(カナダ)2:30'04"
2位 Tinsley JANES(ニュージーランド) 1'51"
3位 Robin SCHUMANN(ドイツ) 9'35
80-84歳
1位 Kevin DONOVAN(オーストラリア) 3:08'00"
85-89歳
1位 Marcel ÉVE(フランス)3:19'46"
text&photo:Makoto AYANO
photo:Satoru Kato, Syunsuke FUKUMITSU

世界を代表するスノー&スポーツリゾート、ニセコひらふ地区を発着するロードレース形式のレースがグランフォンド/メディオフォンドだ。アジア初開催のUCIグランフォンド世界選手権が、日本のニセコで開催されるとあって、開催国としても大いに盛り上がる。


参加国は史上最多となる64カ国、参加者は1,447 人。その内訳は約140kmのグランフォンドが約1,100人、約80kmのメディオフォンドが約380人。タイムトライアル/チームリレー種目を合算すると世界各国から約1900人あまりがニセコに集結した。日本人参加者の合計では過去最高の324人をマークした(2025年オーストラリア大会は50人)。


ここニセコでは2016年からUCIグランフォンドワールドシリーズ入りした「ニセコクラシック」でお馴染みのレースが、今年はUCIグランフォンドの最高峰、ワールドチャンピオンシップス(つまり世界選手権)の舞台として選ばれた。

昨年のニセコクラシックでも使われたコースは北の大地を走るダイナミックさが好評の公道レース。140kmのグランフォンドはニセコひらふをスタートし、米どころ蘭越町を尻別川に沿って日本海の近くで往復するループを経由し、ニセコパノラマラインのKOMを越え、共和町へと降り、再びニセコ高原へと登り返す。そして最後はひらふゴンドラ坂の上りフィニッシュ。獲得標高は2,370mだ。

80kmのメディオフォンドはレース序盤にニセコパノラマラインを越えて共和町へと降り、再びニセコ高原へと登り返す、140kmのコースから60kmループを除いたショートループとなり、獲得標高は1,572m。距離は短いながらパンチの効いた山岳ルートで、フィニッシュのゴンドラ坂は共通だ。

男女とも年齢別に5歳刻み・6カテゴリーが用意され、男子は60歳以上、女子は50歳以上がメディオフォンドとなり、それより若いカテゴリーはグランフォンドになる。
いずれのクラスも世界各国のUCIグランフォンドワールドシリーズの予選レースで上位25%の順位に入って出場権を獲得する必要があり、つまりここニセコに集った参加者たちはいずれも予選通過者であり、レベルはおのずと高くなる。UCIポイントをもつ選手は出場することができず、その意味でプロ/エリート選手を除くアマチュアのロードレース世界選手権といえる。

フィニッシュ地点となるひらふゴンドラ坂が選手が整列してスタートを待つ待機グリッドとなり、大会アンバサダーのイヴァン・バッソとアルベルト・コンタドールの兄弟であるフラン氏、そして片山右京氏が先導車のポルシェと並び華を添える。この日の天候は薄曇りで、夏日の続いた週としては気温は低め。涼しい快適な気温のなかレースは始まった。

朝6時、まずグランフォンド、次いでメディオフォンドがスタートする。第1ウェーブの男子19-34歳カテゴリーから約5分〜3分間隔で若い順から出走していく。エントリーの少ない高齢クラスはとくに隣り合った年齢カテゴリーと同時出走になるが、出走者が一人でもいる場合はその年齢カテゴリーのチャンピオンとして表彰対象になる。

ここでは全カテゴリーの展開を紹介しきれないため日本人選手たちが上位で活躍したクラスを中心に、上位選手に取材したコメント等でレースの内容をお伝えする。

男子の最高位は岡泰誠(イナーメ信濃山形)の男子19-34歳グランフォンドでの3位。他に優勝者や表彰台登壇選手はおらず、井上和郎(BALBA)が男子45-49歳で4位になっている。なお岡は8年前の2018ニセコクラシック140kmの総合優勝者だ。

最速タイムを叩き出したグランフォンド140男子19-34歳。レースが動いたのはパノラマラインを経てのラスト20kmの第2山岳の登りの序盤から。優勝することになるArtur SOWINSKI(ポーランド)の積極的なアタックに着いていけたのは7人ほど、そして続くハイペースの登坂終盤にはGiovanni LOISCIO(イタリア)と岡泰誠の3人に絞られ、大前翔(Roppongi Express)を含む4人の追走グループが続く展開で、ワイスのチェックポイントを越えて終盤を迎える。

「ポーランド人が強くて、ただがむしゃらに着いていったら3人になっていた」と話す岡。3人の勝負はゴンドラ坂へ。スプリントに備えて脚を残していた2人に対し、追走グループが迫る中で3人で逃げ切って表彰台を確保することを意識しすぎ、自ら先頭を引いて脚を残せなくなっていたという。岡は3位というリザルトに対しては「表彰台を確保したのは最低限のノルマ達成であり、同時に表彰台の真ん中以外は負け」と考えているという。


「どこまで牽制すればよかったかなど、反省することは多くありますが、チームメイトの吉岡君や協力的だった島野翔太君の助けもあり、うまく走れた。今年はトラック競技での瞬発系の強化をしたことで長い時間パワーを出せるようにもなった。低酸素トレーニングやチームでの高地合宿も効き、コンディショニングはうまく行きました。また、今回は普段から身体をケアしてもらっている鍼灸マッサージ院Lifebloodさんの現場サポートがあり、万全のコンディションで臨むことができました」と話す。

優勝が期待されながら4位に終わった大前翔。それでもスプリントで先頭3人を追走する4人グループの先頭を取り、4位に。
大前は言う。「欧州勢の身体の大きさに圧倒感がありました。去年のニセコクラシックと比べるとずっと速い展開で、昨年に登りに感じたところも平地に感じるぐらいのスピード感で進みました。人数が絞られないまま最後まで行きそうな錯覚もありましたが、結果的には最後のワイスの10分登りで絞られる展開になりました。
自分のコンディション的には好調だった6月比で10〜15%ほど体調が下がっていたので、そのなかでも今日できるベストを尽くそうと考えていました。このコンディションの差が前の3人に残れたか・残れなかったかの差として現れました。岡さんは本当に強かったですし、自分としてもできることをしたことで悔いはありません」。
じつは3週間前は絶不調で、ニセコでは闘えないと思っていたんです。でもサドル周りの0.5mm単位のポジション変更をしたことで急速にしっくりきて、なんとか調子を戻すことができていました。でもその間に体重が増えたり、パワーが落ちたりしたことが悔やまれることろです。しかし今日できる最大限は尽くせました。

3位と4位。日本チームとしての連携やチームプレーはあったのかどうかを訊いてみた。
大前「欲を言えば、岡さんが最後のスプリントが厳しかったようなので、日本勢で協調して6人にしてからスプリントに賭けるのも有効だったと思います。ただ自分としては登りがベストコンディションじゃなかったことに悔いは残りますが、最後まで脚を攣らせることもなく、3人のスプリントで2人を大きく引き離して4になることができたので、レースに対する悔いはないです」。
岡泰誠は「もし自分が最後にダメだったら大前翔君のアシストに回ろうかとも思っていましたが、レース中には本人にそれは伝えたものの、日本人選手たちも個人それぞれで抱えているものも違うため、普段の所属チームを超えて誰かのために犠牲になるという走りではありません」と話した。

表彰台は逃したものの、層の厚い45-49歳クラスで4位に食い込んだのが井上和郎(BALBA)だ。
「一時は優勝したノルウェーと他国の選手の2人逃げがタイム差8分という大差に開き、集団には諦めムードも漂っていました。それまで高岡さんや田崎さんなど、ふくしまでも活躍したメンバーがレースをつくってくれていたので、自身としては自信の無さから躊躇して他の選手たちに追走を任せてしまった反省があります。


後で分かったことですが、今回TTとの2冠になったOeystein Seth FISKAA(ノルウェー)選手は、今年のUCI2.1レースも走っていて、UCIポイントをもってないだけの選手と分かりました。世界選となるととんでもない選手が居るもんだな、というのが実感です。

僕としては集団ローテを回して前を追って、ワンチャン表彰台を狙えればと思っていました。下りに入ってからの追走集団はうまく協調がとれはじめたんですが、それなのに2位のオランダ人選手は独りでかっ飛んでいった。最後の登り返しでアタックしてオランダの選手に追いつき、2人で追走しての残り10kmぐらいのところで後方から3位に入るアメリカ人選手が追いついてきて、前から落ちてきた同じ色のゼッケンの選手を抜いたのが分かったんですが、その時点で2位争いに居たことに後になって気づきました。

セブンイレブンのある交差点からの緩いアップダウンでアメリカ人選手がフルアタックをかけ、僕は脚を攣らせて2人から遅れてしまった。その後はなんとか単独でフィニッシュしました。
春先は体重が70kg超と、まったく走れずいたことを考えると、良く走れた方ではないかと思います。ベスト体重にはまだ遠く、間に合ってないことが多かったけど、現役時代に近いパワーには戻せたりと、やれることはやってこれたかな、と。そんな感じだったので序盤から積極的に行く自信までは無く、後半になって余裕があれば勝負してみる、という感じでした。自分としてのベストは尽くせたとは思います」。

大前翔はこのグランフォンド世界選を次のように締めくくる。
「チームリレーの優勝からの失格ハプニングについては、グランフォンドのレースを走っているときには影響しませんでしたが、心理的にレース前後にUCI規則に対して、例えばバイク重量の最低重量制限や、ハンドルやブレーキレバーの最小幅の規定違反などで失格を恐れたりと、神経質になる面はありました。後になってみるとチームリレーに優勝したポーランドもフライングしていた動画がみつかったりと、憤りはありました。リザルトが覆ることは期待していませんが、そもそもレギュレーション自体があいまいだったりするので、来年以降はそうした面もブリーフィング時にしっかり確認して臨むことなど、教訓が得られたと思って前向きに捉え、来年は文句の無いかたちで日本チームとして優勝することができればと思っています。そこは高岡さんをはじめ、皆で再確認し合っています」。
男子グランフォンド/メディオフォンドを走った日本人選手たち














UCIグランフォンド世界選手権2026ニセコ最終日 男子グランフォンド/メディオフォンド結果
19-34歳
1位 Artur SOWINSKI(ポーランド) 3:26'36"
2位 Giovanni LOISCIO(イタリア) 0"
3位 岡泰誠(日本)0'07"
35-39歳
1位 Bjorn DE DECKER(ベルギー)3:37'43"
2位 Wojciech SZCZEPANIK(ポーランド)0'01"
3位 Patrik MIKAC(スロベニア)0'05"
40-44歳
1位 Johnny HOOGERLAND(オランダ)3:42'34"
2位 Benjamin PENAUD(フランス) 0'01"
3位 Sebastian DRUSZKIEWICZ(ポーランド) 0'02"
45-49歳
1位 Oeystein Seth FISKAA(ノルウェー)3:41'11"
2位 Rick GROENEWEG(オランダ) 5'08"
3位 Andrew KNIGHT(アメリカ) 5'21"
50-54歳
1位 Tom LEAPER(オーストラリア)3:46'42"
2位 Raul PORTILLO(スペイン)0'03"
3位 Alessandro ENCIN(イタリア) 0'08"
55-59歳
1位 Michael SCHAEFER(ドイツ)3:50'09"
2位 Bruce BIRD(カナダ) 0'04"
3位 Pasi VUORI(Finland)0'22"
60-64歳
1位 Wayne SANCHEZ(オーストラリア) 2:17'17"
2位 Jørn FJELDAVLIE(ノルウェー)0'01"
3位 Sean HARDY(オーストラリア)0'09"
65-69歳
1位 Douglas POMERANZ(アメリカ)2:18'35"
2位 Alan NELSON(オーストラリア)1'39"
3位 Frank NIJSSEN(オランダ)1'55"
70-74歳
1位 Ewald WOLF(リヒテンシュタイン)2:25'48"
2位 Roger CULL(オーストラリア)1'25"
3位 Alan FAVELL(カナダ)4'21"
75-79歳
1位 Paul MCRAE(カナダ)2:30'04"
2位 Tinsley JANES(ニュージーランド) 1'51"
3位 Robin SCHUMANN(ドイツ) 9'35
80-84歳
1位 Kevin DONOVAN(オーストラリア) 3:08'00"
85-89歳
1位 Marcel ÉVE(フランス)3:19'46"
text&photo:Makoto AYANO
photo:Satoru Kato, Syunsuke FUKUMITSU
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