歴代最長距離の180.1kmで争われたロード世界選手権の女子エリートロードレース。単独先頭に立ちながらも追いつかれたデミ・フォレリング(オランダ)が、一騎打ちのスプリントを制して優勝。悲願のアルカンシエルを獲得した。

単騎で臨んだ阿部花梨 photo:CorVos

ロード世界選手権2026女子エリートロードレース image:UCI
カナダ第2の都市、モントリオールを舞台にした2026年ロード世界選手権も、残すところあと2日。この日は女子エリートロードレースが行なわれ、1年間アルカンシエルを着用する権利を懸けた戦いが繰り広げられた。コースは男女ジュニアやU23とは異なり、ブロサールを出発してモントリオール市街地の周回コースを巡る180.1km。8周する周回には、カミリアン・ウード(距離1.67km/平均7.4%)やポリテクニーク(距離0.78km/平均6%)が含まれ、獲得標高差は2,570mに達する。
女子エリートとして過去最長の戦いに臨んだのは、前回覇者マグドレーヌ・ヴァリエール(カナダ)や2023年、24年と連覇したロッテ・コペッキー(ベルギー)ら141名の選手たち。日本からは26歳で初のロード世界選手権に臨む阿部花梨(イナーメ信濃山形)が単騎で挑んだ。
気温20度前後の好天のなか、スタートした集団からは逃げを目指したアタックと吸収が繰り返される。20kmを進み、ようやく4名の逃げ集団が形成された。ウノエックス・モビリティで走り、今年のツール・ド・フランス・ファムでも逃げたマルテ・ベルグ・エドセス(ノルウェー)を除き、メンバーはコンチネンタルチームやクラブチームの選手で構成された。

逃げを打ったナタリー・クイン(アメリカ)とマルテ・ベルグ・エドセス(ノルウェー) photo:CorVos

プロトンのペースを上げ、人数を絞っていくオランダ photo:CorVos
メイン集団を牽引したのは、最大人数となる7名を擁するオランダだった。スプリンター向きではないレイアウトのためロレーナ・ウィーベスは不在だが、いまだ女子エリートでのアルカンシエル着用経験がないデミ・フォレリングを中心に、強力なメンバーを揃えた。逃げがエドセスとナタリー・クイン(アメリカ)の2名に絞られたこと以外、レースは大きく動くことなく周回コースに突入した。
今大会3つの金メダルを獲得して好調のスペインからは、パウラ・ブラジが2度の落車の末にリタイアする。スペインのエースの1人が脱落したプロトンは、残り76km地点で逃げの2名を捉えた。オランダが続けるコントロールを崩そうと、各チームのアタックが続くなか、残り52km地点でマエヴァ・スキバン(フランス)が飛び出した。
昨年のツール・ファムで区間2勝を挙げたスキバンに対し、オランダが牽引する集団は38名まで減少。登り区間でのプック・ピーテルセ(オランダ)の強力な牽引によって、優勝候補のコペッキーらが振り落とされる。その直後、残り38.5km地点でピーテルセの背後からフォレリングがアタックした。

残り38.5km地点でアタックし、単独先頭に立ったデミ・フォレリング(オランダ) photo:CorVos

自ら脚を使い、フォレリングを追走するマーレン・ロイサー(スイス) photo:CorVos
今年8月に自身2度目のツール・ファム総合優勝を決め、春のクラシックレースでも結果を残すなど、過去最高のシーズンを送るフォレリング。その加速には、エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)だけが食らいついた。しかし、ロンゴボルギーニを振り切ったフォレリングはスキバンを捉えて抜き去り、単独先頭に立つ。後続ではロンゴボルギーニやピーテルセ、カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド)、追いつかれた後も粘ったスキバンが追走集団を形成した。
しかしロンゴボルギーニ・グループのペースは上がらず、後方からは4日前のタイムトライアルで連覇を達成したマーレン・ロイサー(スイス)ら4名が合流する。その中にはジュリエット・ベルテとセリア・ジェリーの姿もあり、フランスがエース級の3名を揃える強力な追走集団が出来上がった。ピーテルセが抑え役を担っていたものの、フォレリングの独走勝利が決まったと判断するには早かった。

勝負がロンゴボルギーニとフォレリング、ニエウィアドマに絞られた photo:CorVos
フォレリングと後続の差が30秒まで開いた残り30.4km地点で、追走集団からロンゴボルギーニが飛び出す。その動きにジェリーが反応し、遅れを取ったロイサーらがスピードを上げてロンゴボルギーニたちを吸収する。徐々に先頭との差を縮め、残り17kmでニエウィアドマとロンゴボルギーニがフォレリングを捉えた。さらに残り14.5kmでベルテも追いつき、先頭は4名となった。
前回モントリオールで世界選手権が行なわれた1974年の女子ロード優勝者、ジュヌヴィエーヴ・ガンビヨン(フランス)が鳴らす最終ラップの鐘を聞く直前、先頭集団からロンゴボルギーニがアタック。短い登りやスプリントでは不利になると判断したイタリア王者の加速に、後続の3名は反応しなかった。そして最後の登り区間に入ると、フォレリングはベルテを振り落としながら、ニエウィアドマと共にロンゴボルギーニを捉えた。
その後もハイペースを刻むフォレリングにロンゴボルギーニはついていけず、勝負はニエウィアドマとの一騎打ちに持ち込まれる。2名が最終ストレートに突入し、後方からはロンゴボルギーニとロイサーが迫る。追いつかれる前にニエウィアドマがスプリントを開始したが、積極的なレース運びで展開を作ったフォレリングが勝利した。

スプリントでニエウィアドマを退けたデミ・フォレリング(オランダ) photo:CorVos

チームメイトと勝利を喜ぶデミ・フォレリング(オランダ) photo:UCI
長らくトップ選手であり続けながら、2023年の2位が最高位だったフォレリングが、悲願の世界一に輝いた。「まだ信じられない。この目標に向けて努力を積み重ねてきた。強い選手たちがチームとして支え、私のために犠牲を払ってくれた。最後はプック(ピーテルセ)が素晴らしいリードアウトをしてくれ、あとは私が役割を果たすだけだった」と喜びを語った。
「(単独先頭になったアタック後は)何度も『早く動きすぎた』と思う瞬間があった。追いつかれて『まずい』と思ったものの、最後まで信じ続けなければと思い、勇気を出してもう一度踏み込んだ」と、フォレリングは終盤の心境を振り返った。

表彰式では涙する場面もあったデミ・フォレリング(オランダ) photo:CorVos

念願のアルカンシエルを獲得したデミ・フォレリング(オランダ) photo:UCI
今年はオムロープ・ニュースブラットからロンド・ファン・フラーンデレン、ラ・フレーシュ・ワロンヌ、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュと主要な春のクラシックレースを席巻。前述のツール・ファムでは3年ぶりの総合優勝を決めたフォレリングが、ついにアルカンシエルを獲得し、充実したシーズンにさらに世界一の称号を加えた。
3位にはロンゴボルギーニが入り、ロイサーは4位でメダルを逃した。また、阿部は残り77km地点でリタイアとなった。


カナダ第2の都市、モントリオールを舞台にした2026年ロード世界選手権も、残すところあと2日。この日は女子エリートロードレースが行なわれ、1年間アルカンシエルを着用する権利を懸けた戦いが繰り広げられた。コースは男女ジュニアやU23とは異なり、ブロサールを出発してモントリオール市街地の周回コースを巡る180.1km。8周する周回には、カミリアン・ウード(距離1.67km/平均7.4%)やポリテクニーク(距離0.78km/平均6%)が含まれ、獲得標高差は2,570mに達する。
女子エリートとして過去最長の戦いに臨んだのは、前回覇者マグドレーヌ・ヴァリエール(カナダ)や2023年、24年と連覇したロッテ・コペッキー(ベルギー)ら141名の選手たち。日本からは26歳で初のロード世界選手権に臨む阿部花梨(イナーメ信濃山形)が単騎で挑んだ。
気温20度前後の好天のなか、スタートした集団からは逃げを目指したアタックと吸収が繰り返される。20kmを進み、ようやく4名の逃げ集団が形成された。ウノエックス・モビリティで走り、今年のツール・ド・フランス・ファムでも逃げたマルテ・ベルグ・エドセス(ノルウェー)を除き、メンバーはコンチネンタルチームやクラブチームの選手で構成された。


メイン集団を牽引したのは、最大人数となる7名を擁するオランダだった。スプリンター向きではないレイアウトのためロレーナ・ウィーベスは不在だが、いまだ女子エリートでのアルカンシエル着用経験がないデミ・フォレリングを中心に、強力なメンバーを揃えた。逃げがエドセスとナタリー・クイン(アメリカ)の2名に絞られたこと以外、レースは大きく動くことなく周回コースに突入した。
今大会3つの金メダルを獲得して好調のスペインからは、パウラ・ブラジが2度の落車の末にリタイアする。スペインのエースの1人が脱落したプロトンは、残り76km地点で逃げの2名を捉えた。オランダが続けるコントロールを崩そうと、各チームのアタックが続くなか、残り52km地点でマエヴァ・スキバン(フランス)が飛び出した。
昨年のツール・ファムで区間2勝を挙げたスキバンに対し、オランダが牽引する集団は38名まで減少。登り区間でのプック・ピーテルセ(オランダ)の強力な牽引によって、優勝候補のコペッキーらが振り落とされる。その直後、残り38.5km地点でピーテルセの背後からフォレリングがアタックした。


今年8月に自身2度目のツール・ファム総合優勝を決め、春のクラシックレースでも結果を残すなど、過去最高のシーズンを送るフォレリング。その加速には、エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)だけが食らいついた。しかし、ロンゴボルギーニを振り切ったフォレリングはスキバンを捉えて抜き去り、単独先頭に立つ。後続ではロンゴボルギーニやピーテルセ、カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド)、追いつかれた後も粘ったスキバンが追走集団を形成した。
しかしロンゴボルギーニ・グループのペースは上がらず、後方からは4日前のタイムトライアルで連覇を達成したマーレン・ロイサー(スイス)ら4名が合流する。その中にはジュリエット・ベルテとセリア・ジェリーの姿もあり、フランスがエース級の3名を揃える強力な追走集団が出来上がった。ピーテルセが抑え役を担っていたものの、フォレリングの独走勝利が決まったと判断するには早かった。

フォレリングと後続の差が30秒まで開いた残り30.4km地点で、追走集団からロンゴボルギーニが飛び出す。その動きにジェリーが反応し、遅れを取ったロイサーらがスピードを上げてロンゴボルギーニたちを吸収する。徐々に先頭との差を縮め、残り17kmでニエウィアドマとロンゴボルギーニがフォレリングを捉えた。さらに残り14.5kmでベルテも追いつき、先頭は4名となった。
前回モントリオールで世界選手権が行なわれた1974年の女子ロード優勝者、ジュヌヴィエーヴ・ガンビヨン(フランス)が鳴らす最終ラップの鐘を聞く直前、先頭集団からロンゴボルギーニがアタック。短い登りやスプリントでは不利になると判断したイタリア王者の加速に、後続の3名は反応しなかった。そして最後の登り区間に入ると、フォレリングはベルテを振り落としながら、ニエウィアドマと共にロンゴボルギーニを捉えた。
その後もハイペースを刻むフォレリングにロンゴボルギーニはついていけず、勝負はニエウィアドマとの一騎打ちに持ち込まれる。2名が最終ストレートに突入し、後方からはロンゴボルギーニとロイサーが迫る。追いつかれる前にニエウィアドマがスプリントを開始したが、積極的なレース運びで展開を作ったフォレリングが勝利した。


長らくトップ選手であり続けながら、2023年の2位が最高位だったフォレリングが、悲願の世界一に輝いた。「まだ信じられない。この目標に向けて努力を積み重ねてきた。強い選手たちがチームとして支え、私のために犠牲を払ってくれた。最後はプック(ピーテルセ)が素晴らしいリードアウトをしてくれ、あとは私が役割を果たすだけだった」と喜びを語った。
「(単独先頭になったアタック後は)何度も『早く動きすぎた』と思う瞬間があった。追いつかれて『まずい』と思ったものの、最後まで信じ続けなければと思い、勇気を出してもう一度踏み込んだ」と、フォレリングは終盤の心境を振り返った。


今年はオムロープ・ニュースブラットからロンド・ファン・フラーンデレン、ラ・フレーシュ・ワロンヌ、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュと主要な春のクラシックレースを席巻。前述のツール・ファムでは3年ぶりの総合優勝を決めたフォレリングが、ついにアルカンシエルを獲得し、充実したシーズンにさらに世界一の称号を加えた。
3位にはロンゴボルギーニが入り、ロイサーは4位でメダルを逃した。また、阿部は残り77km地点でリタイアとなった。
ロード世界選手権2026 女子エリートロードレース結果
| 1位 | デミ・フォレリング(オランダ) | 4:45:09 |
| 2位 | カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド) | |
| 3位 | エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア) | +0:04 |
| 4位 | マーレン・ロイサー(スイス) | +0:08 |
| 5位 | ジュリエット・ベルテ(フランス) | +0:39 |
| 6位 | プック・ピーテルセ(オランダ) | +1:36 |
| 7位 | セリア・ジェリー(フランス) | +2:55 |
| 8位 | ドミニカ・ヴウォダルチク(ポーランド) | +4:16 |
| 9位 | マエヴァ・スキバン(フランス) | +5:48 |
| 10位 | フランシスカ・コッホ(ドイツ) | +5:51 |
| DNF | 阿部花梨 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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