ジャイアントのフルサスXCバイク「Anthem Advanced SL」の特別完成車が登場。カデックス初となるMTBホイール「CADEX MAX XC WheelSystem」を備え、サスペンションには走行状況に応じて自動で設定を変えるRockShox Flight Attendantがアセンブルされた。国内入荷は2台のみのスペシャルバイクだ。



世界で勝つためのフルサスXCバイク「Anthem Advanced SL」

ジャイアント Anthem Advanced SL SE (c)ジャイアント

ワークスチームのGIANT Factory Off-Road Teamとともに、世界最高峰のXCレースで戦い続けるジャイアント。その最前線を担うフルサスXCバイクが「Anthem Advanced SL」で、現行モデルは第4世代にあたる。

新世代で大きく変わったのが、リアショックの設置位置だ。従来のBB上からトップチューブの下へ移され、シングルピボットのリアサスペンション「FlexPoint Pro」は、フルカーボンの上側ロッカーアームと軽量なスイングアームを組み合わせた120mmストロークの仕様になった。

第四世代のAnthemはリアショックがトップチューブ側に設置された (c)ジャイアント

また前世代よりフレーム重量は89g軽量化、重量あたりの剛性を示す重量剛性比は7.95%高まっている。これを実現するのはジャイアントのカーボンテクノロジーで、原糸の段階から自社工場で製造されるAdvanced SLグレードカーボンを、継ぎ目が少なくなるような設計が採用されている。

ショックマウントに設けたフリップチップでは、HiとLowの2種類から選べる。Hiはヘッド角とシート角が立ち、曲がりくねった区間で機敏に反応する。Lowは双方が0.5°寝て、速度の乗る下りで安定しやすくなる。Low時のヘッド角は66.5°で、前世代の67.5°より1°寝ている。ステム一体型のカーボンハンドルバー「Contact SLR XC Integrated」を標準で備え、ケーブルは内装だ。

実戦での成績も目立つ。2026年シーズンのワールドカップXCO開幕戦では、ダリオ・リロ(スイス、GIANT Factory Off-Road Team)が泥に覆われた難しいレースをAnthem Advanced SLで制した。国内では7月の全日本選手権XCOで、副島達海(TRKWorks)がエリートクラス初参戦ながら優勝している。

最上位パーツで固めた特別仕様車「Anthem Advanced SL SE」

バイクのカラーに合わせたカラーリングが施されている (c)ジャイアント

今回の「Anthem Advanced SL SE」は、この車体をベースに、コックピットからブレーキまで主要な部品をすべて最上位グレードで固めた特別仕様車になる。ホイールには、デビューしたばかりの新型で、ブランド初のMTBホイールとなる「CADEX MAX XC WheelSystem」をスペックインした。

サスペンションは前後ともRockShoxのFlight Attendant搭載品で、フォークがSID Flight Attendant、リアショックがSIDLuxe Flight Attendantとなる。このシステムは、路面の変化と、ドライブトレインから得るペダリングやパワーの情報を処理して、状況に合わせたサスペンションの設定へ自動で切り替える。周回の中で登り、下り、テクニカルセクションが細かく入れ替わるXCOでは、操作をひとつ減らせる意味は小さくないだろう。

ワイヤレスのドロッパーシートポスト「RockShox Reverb AXS」がアセンブルされる (c)ジャイアント

Flight Attendantの構成部品は無線で接続される。ドライブトレインはSRAM XX SL Eagle Transmission 12-Speedで、クランクにはQuarkパワーメーターを備え、ドロッパーシートポストのRockShox Reverb AXSも無線式だ。ケーブルが減ることで見た目がすっきりし、整備もしやすい。各機器の登録や設定は、スマートフォンアプリのSRAM AXSに集約される。

ブレーキはMotive Ultimate。SRAMがサポートライダーにだけ供給しているカスタムカラーを、このSEのために採用した。色はパープルで、炎を思わせるフレームカラー「ストームファイアスプリント」と組み合わされる。前後サスペンションのデカールはゴールドで、フレームのGIANTロゴと色味を合わせている。サイズは400(S)と420(M)で、国内に入るのは各1台、計2台のみとなる。

ブランド初のMTBホイール「CADEX MAX XC WheelSystem」

CADEX MAX XC WheelSystem (c)ジャイアント

SEに搭載されるCADEX MAX XC WheelSystemは、ブランド初のMTBホイールとしてデビューする。XCレースは登りと下りどちらも激しく、マシンに要求される性能は非常に高い。例えば、登りでアドバンテージとなる軽量性を備えつつ、激しく揺さぶられる下りでも安定したコントロール性と強靭な耐久性が求められる。

カデックスではリム、スポーク、ハブをひとつのシステムとして設計。ホイールシステムの中核となるのが、スポークとハブの一体構造だ。スポークはSuper Aeroカーボンスポークだ。標準的なスポークと比較して最大3倍もの耐衝撃性を備えており、軽量なカーボン製のハブフランジに直接接着することで、荷重を受けた際の変形を小さくしている。

スポークとハブを一体化したシステムが採用される (c)ジャイアント

さらにスポークは、ブレース角を広げるDBL(Dynamic Balanced Lacing)をこのホイール用に調整して採用した。踏み込んでもスポークの張力が揺らぎにくいため、横方向とねじり方向の剛性が上がり、パワーが逃げにくくなる。本数は前20本、後24本だ。

リアハブのM1-C120は、面ラチェット方式を改良した「ヘリカル・ベベル・ラチェットドライブシステム」を採る。フリーボディとラチェットリングが噛み合うスプラインを10°傾けた構造で、力の伝わり方が安定し、各部品への負担を軽減。ラチェットは120T、噛み合い角はわずか3°。踏み込みへの反応が速く、トラクションを繊細にコントロールしやすい。ベアリングはカデックス製のセラミックだ。

耐衝撃性に優れるSuper Aeroカーボンスポーク (c)ジャイアント

リムはフックレスのカーボンで、高さは22mm、内幅は30mm。強度が必要な箇所にだけ引張強度の高い繊維を置く精密強化レイアップによって、重くせずにプロの使用に耐える強度を持たせた。リム高が低いことは軽さに寄与するほか、荒れた路面でしなやかに追従し、グリップやトラクションの面でも有利に働くとしている。

サイドウォールは片側5mmの厚みで、エッジに丸みを持たせた「Wide Guardテクノロジー」を採用し、リム打ちパンクやリムの破損を起こしにくくした。そのぶんタイヤインサートに頼る必要が減り、インサートの重量を足さずに済む。内幅30mmのリムは大きなエア容量を確保してタイヤサイドを支えるため、空気圧を下げた設定でもグリップを確保できる。推奨タイヤは29×2.2〜2.6インチ。重量は、リムテープとチューブレスバルブを含む前後セットで1,248gだ。

新型Anthem Advanced SLに乗って、2026年のW杯開幕戦で勝利を挙げたダリオ・リロ (c)ジャイアント

ラボでの比較試験では、XCレース用ホイールのベンチマークのひとつとされるRoval Control World Cupを、横剛性で5.3%(平均45.5N/mm、同43.2N/mm)、圧縮荷重に対する強度で75.8%(平均773.5kgf、同440.0kgf)上回ったという。

価格は前後セットが660,000円、前が264,000円、後が396,000円(いずれも税込)。リア用にはシマノMSとSRAM XDの両方のフリーボディが付属する。アクスルは前110×15mm、後148×12mmのスルーアクスルで、ローターはセンターロックだ。

乗車中の破損に備えた「CADEX Composite Confidence Program」の対象でもあり、2年間の無償交換と5年間の半額交換が用意される。レースだけでなく、ハードなトレイルライドまで使いたい層にとっては、判断材料のひとつになるだろう。

アラン・ハザリーも高く評価するCADEX MAX XC WheelSystem (c)ジャイアント

副島達海(TRKWorks)も全日本選手権を新型Anthem Advanced SLで制した (c)ジャイアント



ジャイアント Anthem Advanced SL SE
サイズ:400(S)、420(M)
カラー:ストームファイアスプリント
フレーム:Advanced SLコンポジット(前後三角)、120mm FlexPoint Proサスペンション、フリップチップ、12×148mmスルーアクスル
フロントフォーク:RockShox SID Flight Attendant XC、120mm、Flight Attendant Race Dayダンパー、Boost 15×110、オフセット44mm
リアショック:RockShox SIDLuxe Flight Attendant、RL3ダンパー、Solo Air、210/50
クランク:SRAM XX SL Eagle Transmission(Quarkパワーメーター付き)
変速:SRAM XX SL Eagle Transmission 12-Speed
ブレーキ:SRAM Motive Ultimate(ローター F:180mm/R:160mm)
ホイール:CADEX MAX XC WheelSystem
タイヤ:MAXXIS Aspen 29×2.4、120TPI、チューブレス
コックピット:GIANT Contact SLR XC Integrated
シートポスト:RockShox Reverb AXS(ポッドコントローラー、ドロップ量125mm、30.9×395mm)
サドル:GIANT Grit SLR
価格:2,420,000円(税込)

カデックス CADEX MAX XC WheelSystem
リム形式:フックレス
リム素材:カーボン
リムハイト:22mm
リム内幅:30mm
推奨タイヤサイズ:29×2.2〜2.6インチ
フロントハブ:CADEX M1-C hub(センターロック)
リアハブ:CADEX M1-C120 hub、120Tヘリカル・ベベル・ラチェットドライバー、CADEXウェーブスプリング(センターロック)
ベアリング:CADEXセラミック
フリーボディ互換:シマノMS(付属)/SRAM XD(付属)
スポーク:Super Aero Carbon Spoke/DBL(前20本・後24本)
ニップル:CADEX integrated alloy
重量:1,248g(前後セット、リムテープ・チューブレスバルブ込み)
価格:660,000円(税込・前後セット)/264,000円(税込・前)/396,000円(税込・後)

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