UCI(国際自転車競技連合)は6月20日、機材の規則変更に関する声明を発表した。2026年1月1日より、ハンドルバーの最小幅が外端間400mm、ブレーキレバーの間隔は内端間320mmに規定される。また、今シーズン後半のレースでは最大ギア比を54×11に制限する試験運用が行われる予定だ。



ハンドルの両外側間で400mmが最小幅となった photo:Makoto AYANO

UCI運営委員会で決定された、機材の規則改正は以下の5項目だ。これは6月12日のプレスリリースで承認された規則改正についての詳細を明確化したもので、UCIは「SafeR*の勧告に応じるべく、プロトン全体へのアンケートなどを通じて、選手やチーム、主催者と広範な協議を経て策定された」と強調している。

・ハンドルバーの最小幅
・フォークの最大幅
・リムの最大高
・ギヤ比制限の試験運用
・ヘルメット仕様の明確化

*UCIが2023年に設立した男女ロードレースの安全性向上を目指す組織

ハンドルバーの最小幅を400mmに規定

図1:ハンドルバーの幅について image:UCI

この中でもUCIが図と共に詳細に伝えているのがハンドルバーの最小幅の制限についてだ。図にある通り、ハンドルの両外側の間で400mm(A)が最小幅となり、更にブレーキレバーは両内側の間が320mm(B)に規定される。自転車業界で一般的に用いられる「芯-芯」では380mmとなる(C)。

これらはロードレースとシクロクロスで2026年1月1日から適用され、トラック競技においてはハンドルの両外側間の最小幅350mmが、2027年1月1日から導入される。

図2:ハンドルバーの角度について image:UCI

さらに新規則には、ハンドルバーの角度に関する規定も追加された。図のように、同じ側のハンドルバー内側から外側の端までの距離を最大50mmとするもの。これは2024年に、「ブレーキレバーを極端に内側に向けるセッティング」への規制に伴ったものと考えられるルール改定で、ハンドルバーを極端な角度のハの字にするセッティングを規制するための措置だ。

ギヤ比制限をシーズン後半に試験的運用

2023年ツールで、フロント56Tに10-33Tカセットを組み合わせたピーダスン photo:So Isobe

更にUCIは、最大ギヤ比を制限するテストを、今シーズンの後半に行われるステージレースで実施すると発表した。そのギヤ比は54×11で、クランクが1回転するあたり10.46mとなる。その目的はレース中に到達する最大速度を抑制するためだ。

本件についてはUCIが今年1月、2024年に発生したインシデントを分析・報告した際に、将来的なギヤ比制限について言及していた。昨年10月には、スーダル・クイックステップのイヴ・ランパールトとイラン・ファンウィルデル(共にベルギー) が、共にギヤ比制限の賛成を語っていた。

他にはフォークの最大内幅をフロント115mm、リア145mmに制限(ロードは2026年、トラックは2027年より施行)するほか、ロードレースにおけるホイールの最大リムハイトが、2026年から65mmに制限される。

UCIはこれらの規則改定を「全ての選手が高性能かつ安全な機材で競技できるようにするため」と説明している。

text:Sotaro.Arakawa