第112回ツール・ド・フランスは1度目の休息日を経て、総合優勝の行方を大きく左右する勝負の第2週に突入する。山岳個人TTを挟む超級山岳フィニッシュのピレネー3連戦など、マイヨジョーヌを巡る戦いの舞台を紹介する。
7月16日(水)第11ステージ
トゥールーズ〜トゥールーズ 156.8km(平坦)
獲得標高差1750m

第11ステージ トゥールーズ〜トゥールーズ image:A.S.O.

トゥールーズ〜トゥールーズ 156.8km(平坦) image:A.S.O. トゥールーズで1度目の休息日を過ごしたプロトンは、2週目の初日もトゥールーズを発着する。コースは市街地から北へ向かい、東側の郊外を時計回りに巡る156.8km。カテゴリー山岳が密集する南側から再び中心部へ戻る、平坦基調のステージだ。
とはいえ終盤には4つのカテゴリー山岳が詰め込まれ、最大勾配20%を超える最後の3級山岳(距離0.8km/平均12.4%)がピュアスプリンターをふるいにかける。ポイントは頂上からフィニッシュまでの8.8kmで、遅れたスプリンターたちが集団に復帰できるかが勝負の鍵となる。
主催者が「アヴェニュー・カヴェンディッシュ」と名付けたフィニッシュ前のストレートだが、実際にはラウンドアバウトや大きな左コーナーを含むテクニカルなレイアウト。そのため各チームはリードアウトトレインを維持するのに苦労しそうだ。
フィニッシュ予定時刻:午前0時14分頃(日本時間)
7月17日(木)第12ステージ
オーシュ〜オタカム 180.6km(山岳)
獲得標高差3850m

第12ステージ オーシュ〜オタカム image:A.S.O.

オーシュ〜オタカム 180.6km(山岳) image:A.S.O. 翌日の個人タイムトライアルを含め、ツールはスペインとの国境沿いにそびえ立つピレネー山脈での3連戦に突入する。その初日は、今大会最初の超級山岳オタカム(距離13.5km/平均7.8%)を駆け上がる山頂フィニッシュだ。
山岳での総合争い第1ラウンドとなるこの日は、まず122.3kmに及ぶ平坦路を進む。中盤の4級山岳は登坂距離1.3km(平均6.3%)と、この後に待ち受ける山々に比べれば取るに足らない。本格的な登坂バトルは1級山岳コル・デュ・スロール(距離11.8km/平均7.3%)で幕を開け、続く2級山岳コル・デ・ボルデール(距離3.1km/平均7.7%)で集団はさらに絞られるだろう。
21.4kmの下りを経て挑む超級山岳オタカムは、2022年にヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)がタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)を1分以上も引き離し、勝利した記憶も新しい。過去5度のステージ優勝者のうち、3名がその年の総合優勝に輝いているまさに決戦の地だ。
フィニッシュ予定時刻:午前0時44分頃(日本時間)
7月18日(金)第13ステージ
ルダンヴィエル〜ペイラギュード 10.9km(個人TT)
獲得標高差650m

第13ステージ ルダンヴィエル〜ペイラギュード image:A.S.O.

ルダンヴィエル〜ペイラギュード 10.9km(個人TT) image:A.S.O. ピレネー2日目は、わずか10.9kmの個人タイムトライアル。しかし、その実態は1級山岳ペイラギュード(距離8km/平均7.9%)をひたすら登る、過酷な山岳TTだ。
平坦区間はスタートから2.9kmで終わり、すぐに平均勾配8.1%の登坂が選手たちを待ち受ける。フラムルージュ(残り1km地点)をくぐると、2つのヘアピンカーブを経てペイルスルド・バレスタス高原飛行場の滑走路へ。そしてフィニッシュ手前には最大16%の急勾配がそびえ立つ。
ペイラギュードは2022年にポガチャルがヴィンゲゴーを引き離し、ステージ優勝した峠。また、1級山岳を登る個人TTが前回行われた2020年には、ポガチャルがプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、現レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)からマイヨ・ジョーヌを奪う、劇的な逆転総合優勝の伝説が生まれた。
フィニッシュ予定時刻:午前0時31分頃(日本時間)
7月19日(土)第14ステージ
ポー〜リュション・シュペルバニエール 182.6km(山岳)
獲得標高差4950m

第14ステージ ポー〜リュション・シュペルバニエール image:A.S.O.

ポー〜リュション・シュペルバニエール 182.6km(山岳) image:A.S.O. 翌日は逃げ向きの丘陵ステージとなるため、この日をもって第2週の総合争いは一旦の区切りを迎える。この日の舞台はグレッグ・レモン(アメリカ)が歴史的な勝利を飾った1986年第13ステージを再現した、獲得標高差は4,950mの山頂フィニッシュだ。
ツールの常連出発地ポーから70kmの平坦路を進んだ先には、足慣らしとは言えない超級山岳トゥールマレー(距離19km/平均7.4%)がそびえる。標高2,115mの山頂を最初に通過した選手には昨年同様「ジャック・ゴデ記念賞」が贈られ、その後も2級、1級と厳しい登りが続く。
この日のフィナーレを飾るのは、36年ぶりにツールへ帰ってきた超級山岳リュション・シュペルバニエール(距離12.4km/平均7.3%)。残り6kmから勾配が厳しくなり、連続するコーナーが勝負をさらに面白くするだろう。1986年にレモンがベルナール・イノー(フランス)を突き放し、総合優勝を引き寄せた伝説の山岳で、栄光を掴むのは誰か。
フィニッシュ予定時刻:午前0時24分頃(日本時間)
7月20日(日)第15ステージ
ミュレ〜カルカッソンヌ 169.3km(丘陵)
獲得標高差2400m

第15ステージ ミュレ〜カルカッソンヌ image:A.S.O.

ミュレ〜カルカッソンヌ 169.3km(丘陵) image:A.S.O. ピレネー山脈を離れ、一行はミュレから東のカルカソンヌへと向かう。近年のカルカソンヌフィニッシュは集団スプリントが定番だったが、今年は中盤に3つのカテゴリー山岳が設定された、獲得標高差2,400mの丘陵ステージとなった。
それでもラスト42kmは下りと平坦路のため、”登れる”スプリンターたちによる集団スプリントの可能性も残されている。ただピレネーでの激闘を経た選手たちには、確実に疲労が蓄積しているはず。逃げ切りに向いたレイアウトだけに、集団をコントロールするチームが現れるかどうかが勝敗を分ける鍵となる。
厳しい第2週を走り終えた選手たちは、フィニッシュ後、地中海沿岸の都市モンペリエへ移動し、2度目の休息日を迎える。
フィニッシュ予定時刻:午前0時18分頃(日本時間)
7月21日(月)休息日 モンペリエ
text:Sotaro.Arakawa
image:A.S.O.
7月16日(水)第11ステージ
トゥールーズ〜トゥールーズ 156.8km(平坦)
獲得標高差1750m


とはいえ終盤には4つのカテゴリー山岳が詰め込まれ、最大勾配20%を超える最後の3級山岳(距離0.8km/平均12.4%)がピュアスプリンターをふるいにかける。ポイントは頂上からフィニッシュまでの8.8kmで、遅れたスプリンターたちが集団に復帰できるかが勝負の鍵となる。
主催者が「アヴェニュー・カヴェンディッシュ」と名付けたフィニッシュ前のストレートだが、実際にはラウンドアバウトや大きな左コーナーを含むテクニカルなレイアウト。そのため各チームはリードアウトトレインを維持するのに苦労しそうだ。
フィニッシュ予定時刻:午前0時14分頃(日本時間)
7月17日(木)第12ステージ
オーシュ〜オタカム 180.6km(山岳)
獲得標高差3850m


山岳での総合争い第1ラウンドとなるこの日は、まず122.3kmに及ぶ平坦路を進む。中盤の4級山岳は登坂距離1.3km(平均6.3%)と、この後に待ち受ける山々に比べれば取るに足らない。本格的な登坂バトルは1級山岳コル・デュ・スロール(距離11.8km/平均7.3%)で幕を開け、続く2級山岳コル・デ・ボルデール(距離3.1km/平均7.7%)で集団はさらに絞られるだろう。
21.4kmの下りを経て挑む超級山岳オタカムは、2022年にヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)がタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)を1分以上も引き離し、勝利した記憶も新しい。過去5度のステージ優勝者のうち、3名がその年の総合優勝に輝いているまさに決戦の地だ。
フィニッシュ予定時刻:午前0時44分頃(日本時間)
7月18日(金)第13ステージ
ルダンヴィエル〜ペイラギュード 10.9km(個人TT)
獲得標高差650m


平坦区間はスタートから2.9kmで終わり、すぐに平均勾配8.1%の登坂が選手たちを待ち受ける。フラムルージュ(残り1km地点)をくぐると、2つのヘアピンカーブを経てペイルスルド・バレスタス高原飛行場の滑走路へ。そしてフィニッシュ手前には最大16%の急勾配がそびえ立つ。
ペイラギュードは2022年にポガチャルがヴィンゲゴーを引き離し、ステージ優勝した峠。また、1級山岳を登る個人TTが前回行われた2020年には、ポガチャルがプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、現レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)からマイヨ・ジョーヌを奪う、劇的な逆転総合優勝の伝説が生まれた。
フィニッシュ予定時刻:午前0時31分頃(日本時間)
7月19日(土)第14ステージ
ポー〜リュション・シュペルバニエール 182.6km(山岳)
獲得標高差4950m


ツールの常連出発地ポーから70kmの平坦路を進んだ先には、足慣らしとは言えない超級山岳トゥールマレー(距離19km/平均7.4%)がそびえる。標高2,115mの山頂を最初に通過した選手には昨年同様「ジャック・ゴデ記念賞」が贈られ、その後も2級、1級と厳しい登りが続く。
この日のフィナーレを飾るのは、36年ぶりにツールへ帰ってきた超級山岳リュション・シュペルバニエール(距離12.4km/平均7.3%)。残り6kmから勾配が厳しくなり、連続するコーナーが勝負をさらに面白くするだろう。1986年にレモンがベルナール・イノー(フランス)を突き放し、総合優勝を引き寄せた伝説の山岳で、栄光を掴むのは誰か。
フィニッシュ予定時刻:午前0時24分頃(日本時間)
7月20日(日)第15ステージ
ミュレ〜カルカッソンヌ 169.3km(丘陵)
獲得標高差2400m


それでもラスト42kmは下りと平坦路のため、”登れる”スプリンターたちによる集団スプリントの可能性も残されている。ただピレネーでの激闘を経た選手たちには、確実に疲労が蓄積しているはず。逃げ切りに向いたレイアウトだけに、集団をコントロールするチームが現れるかどうかが勝敗を分ける鍵となる。
厳しい第2週を走り終えた選手たちは、フィニッシュ後、地中海沿岸の都市モンペリエへ移動し、2度目の休息日を迎える。
フィニッシュ予定時刻:午前0時18分頃(日本時間)
7月21日(月)休息日 モンペリエ
text:Sotaro.Arakawa
image:A.S.O.
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