イタリアを巡るジロ・デ・イタリア・ウィメンが華々しく開幕した。初日の個人タイムトライアルで、総合優勝候補筆頭のマーレン・ロイサー(スイス、モビスター)が狙い通りマリアローザを獲得している。



ジロ・デ・イタリア・ウィメンが開幕。連覇を狙うエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、UAEチームADQ) photo:RCS Sport

ツール・ド・フランスと同時期に、女子ロードレースの最高峰グランツールであるジロ・デ・イタリア・ウィメンがベルガモで華々しく開幕した。

女子ロード界でもツール・ド・フランスとブエルタ・ア・エスパーニャが開催されるようになって久しいが、歴史で見ればジロは今年で36回目と最も長く格式高い。

2025年7月6日(日)〜7月13日(日)にかけて北イタリアからエミリア=ロマーニャ、マルケを巡る8日間の戦いは、総走行距離939.6kmで獲得標高は14,000m超に及ぶ過酷なもの。初日は14.6kmの個人タイムトライアルで、山頂フィニッシュは第2、第4、第7ステージの3日間。特に第7ステージ最終盤のモンテ・ネローネは急勾配ゾーン多数を含む登坂距離約15kmの峠で、文句なしのクイーンステージとなる。
ジロ・デ・イタリア・ウィメン2025 ステージリスト
第1ステージ 7月6日(日) ベルガモ(個人タイムトライアル・14.6km)
第2ステージ 7月7日(月) クルゾーネ – アプリカ(92km)
第3ステージ 7月8日(火) ヴェッツァ・ドリオ – トレント(122km)
第4ステージ 7月9日(水) カステッロ・テジーノ – ピアネッツェ(142km)
第5ステージ 7月10日(木) ミラーノ – モンセリーチェ(108km)
第6ステージ 7月11日(金) ベッラリア=イゲア・マリーナ – テッレ・ロヴェレシェ(145km)
第7ステージ 7月12日(土) フェルミニャーノ – モンテ・ネローネ(150km)
第8ステージ 7月13日(日) フォーリ – イモラ(134km)
最強オールラウンダーのデミ・フォレリング(オランダ、FDJスエズ)やカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム・ゾンダクリプト)はツール・ファムを見据えて今大会をスキップ。総合争いはより「オープン」な状況にある。

連覇を狙うエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、UAEチームADQ) photo:RCS Sport

世界女王のロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム)。展開次第で総合成績を狙う可能性も photo:UCI
ステージ優勝を狙うマリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:UCI



6月のツール・ド・スイスでフォレリングを破って総合優勝を挙げたマーレン・ロイサー(スイス、モビスター)は、TTスペシャリストからオールラウンダーへの転身に成功し、現在キャリアハイと言える時期を迎えている。連覇を狙うエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、UAEチームADQ)、今年現役復帰して早速ブエルタで総合3位に入ったアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス・プロタイム)らが対抗馬だが、前哨戦の結果を見るとロイサーの登坂力が一つ抜けているようだ。

スプリントステージではロレーナ・ウィーベス(オランダ)とロッテ・コペッキー(ベルギー)要するSDワークス勢を他チームがどう対抗できるかに注目。コペッキーは展開次第で総合表彰台に絡む可能性を十分に残している。丘陵ステージではコペッキーや、絶対女王マリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)らの走りに注目だ。

初日の市街地タイムトライアル:ロイサーがマリアローザ獲得に成功

ベルガモ市街地を駆け抜ける14.6kmの市街地タイムトライアルで、圧倒的なタイムを刻んだのはやはりロイサーだった。

トップタイムを叩き出しながら走るマーレン・ロイサー(スイス、モビスター) photo:UCI

序盤にはパリ五輪の個人TTで銀メダルに輝いたアンナ・ヘンダーソン(イギリス、リドル・トレック)が好走したが、強者揃いの後半出走組が次々とタイムを更新することに。過去4度総合優勝しているファンデルブレッヘンがトップタイムをマークしたが、スイスナショナルチャンピオンのジャージに身を包んだロイサーが、間髪入れずに20秒も記録更新。コペッキーと最終走者のロンゴボルギーニはファンデルブレッヘンを上回ったものの、ロイサーのタイムには10秒以上届かなかった。

ロイサーが狙い通りのステージ優勝を挙げるとともに、マリアローザ、そして2位コペッキーに対して12秒、ロンゴボルギーニに対して16秒、ファンデルブレッヘンに対して20秒のリードを獲得。「ずっと狙っていたこの日に勝つことができて本当に嬉しい。現実じゃないような気もするし、たくさんの喜びと感情が湧き出てきた」とコメントする。

ステージ2位に食い込んだロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム) photo:UCI

アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス・プロタイム)はステージ4位 photo:CorVos

「ずっと"これで大丈夫なのか"と不安に思っていたけれど、今こうして勝ててスーパーハッピー。ずっとマリアローザを着るのは夢だったから。ロードレースでは一つのミスで全てを失うこともあるけれど、調子はとても良いし強いチームがサポートしてくれる。途中誰かに渡してもいいと思うけれど、最終的にマリアローザを持って帰ることが私の大きな目標」とレース後のインタビューで話している。

スプマンテを開けるマーレン・ロイサー(スイス、モビスター) photo:UCI

マリアローザに袖を通したマーレン・ロイサー(スイス、モビスター) photo:UCI

翌第2ステージは92kmという短距離ステージながら、ステージの後半全てが登り基調、最後は緩斜面の12.9km登坂にフィニッシュするという山岳コース。難易度は決して高くないものの、総合成績を占う上では重要な一日になりそうだ。
ジロ・デ・イタリア・ウィメン2025 第1ステージ結果
1位 マーレン・ロイサー(スイス、モビスター) 17.22
2位 ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム) +0:12
3位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、UAEチームADQ) +0:16
4位 アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス・プロタイム) +0:20
5位 リーケ・ノーイェン(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) +0:24
6位 アンナ・ヘンダーソン(イギリス、リドル・トレック) +0:27
7位 クリスティーナ・シュヴァインバーガー(オーストリア、フェニックス・ドゥクーニンク) +0:30
8位 アレッシア・ヴィジリア(イタリア、FDJスエズ) +0:40
9位 モニカ・トリンカコロネル(イタリア、リブ・アルウラー・ジェイコ) +0:41
10位 シリン・ファンアンローイ(オランダ、リドル・トレック) +0:41
個人総合成績(マリアローザ)
1位 マーレン・ロイサー(スイス、モビスター) 17.22
2位 ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム) +0:12
3位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、UAEチームADQ) +0:16
4位 アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス・プロタイム) +0:20
5位 リーケ・ノーイェン(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) +0:24
6位 アンナ・ヘンダーソン(イギリス、リドル・トレック) +0:27
7位 クリスティーナ・シュヴァインバーガー(オーストリア、フェニックス・ドゥクーニンク) +0:30
8位 アレッシア・ヴィジリア(イタリア、FDJスエズ) +0:40
9位 モニカ・トリンカコロネル(イタリア、リブ・アルウラー・ジェイコ) +0:41
10位 シリン・ファンアンローイ(オランダ、リドル・トレック) +0:41
その他の特別賞
ポイント賞 マーレン・ロイサー(スイス、モビスター)
ヤングライダー賞 アントニア・ニーダーマイヤー(キャニオン・スラム・ゾンダクリプト)
チーム総合成績 SDワークス・プロタイム
text:So Isobe

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