2日連続の山頂フィニッシュとなったブエルタ・ア・エスパーニャ第14ステージ。マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)が独走で逃げ切り、UAEに3日連続の今大会7勝目をもたらした。一方、総合上位に大きな動きはなかった。

UAEに乗り込んだヴィンゲゴー photo:CorVos 
スプリントステージまで我慢の続くヴィヴィアーニ photo:CorVos

スタート地点となったオスカー・ニーマイヤー国際文化センター photo:A.S.O.
9月6日(土)第14ステージ
アビレス〜アルト・デ・ラ・ファラポナ 135.9km(山岳/山頂フィニッシュ)
獲得標高差 3,805m

第14ステージ アビレス〜アルト・デ・ラ・ファラポナ image:A.S.O.
アングリルでの険しい戦いの翌日も、ブエルタ・ア・エスパーニャの主催者は山頂フィニッシュを用意した。それも135.9kmの短い距離に2つの1級山岳を含む、獲得標高差3,805mの登りが詰め込まれたタフなレイアウト。足慣らしの3級山岳を越え、まずは1級山岳サン・リャウリエンス(距離10.1km/平均8.5%)が立ちはだかる。その後鋭角なダウンヒルをクリアし、最後に挑むのは1級山岳ラ・ファラポナ(距離16.9km/平均5.9%)だ。
前日の最終山岳で逃げの行く手を阻むなど、連日続く抗議活動の影響を受け、イスラエル・プレミアテックは胸元から「イスラエル」の文字を削除したジャージで出走。そして晴天の中、体調不良で未出走となったセルヒオ・イギータ(コロンビア、XDSアスタナ)を除く157名がスタート。繰り返されるアタックの末、22名が逃げを形成した。
その中にリーダーチームであるヴィスマ・リースアバイクはヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー)を送り、ライバルのUAEチームエミレーツXRGはマルク・ソレル(スペイン)とミッケル・ビョーグ(デンマーク)とが入る。また、ステージ優勝が欲しいデカトロンAG2Rラモンディアールは、チームの半分であるブリュノ・アルミライユ(フランス)ら4名が逃げに乗った。

22名による逃げグループ photo:A.S.O.
序盤、カンペナールツがメカトラで一時ニュートラルサービスのバイクで走るシーンもありながら、逃げ集団は追う意欲の見せないメイン集団に対して4分のリードを確保する。1つ目の3級山岳はソレルが先頭通過して、プロトンに残った山岳賞で首位のジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツXRG)を間接的にアシスト。続く中間スプリントを通過し、逃げが1級山岳サン・リャウリエンスに入る頃に、プロトンとの差は5分40秒まで拡がっていた。
数的優位に立つデカトロンが逃げ集団のペースを作り、1級山岳の頂上はその手前で飛び出したジェームズ・ショー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)がトップ通過する。メイン集団ではイヴォ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)の牽引に、総合12位につけていたエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)が脱落。さらにフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)の引きに代わると、今度は総合8位シモーネ・コンソンニ(イタリア、リドル・トレック)が遅れを喫し、総合争いから姿を消した。

UAEが先導するプロトンでアルメイダをマークするヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.

単独先頭でフィニッシュを目指すマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos
ショーを引き戻した逃げた集団からは、最終1級山岳ラ・ファラポナ(距離16.9km/平均5.9%)の直前にソレルが加速する。唯一反応したのは、グランツール初出場の23歳ヨハネス・スターンミッテ(ノルウェー、デカトロンAG2Rラモンディアール)。しかし登坂開始からわずか1kmで振り切られ、ソレルの独走態勢が確立。残り距離を必死に粘るプロ2年目フィンレー・ピカリング(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)も、ソレルとの差を詰めることはできなかった。
「ジョアン(アルメイダ)がアタックしたら、自分は引き返すようにと指示を待っていた。だが最終的にゴーサインが出て、そのまま踏み切った」とレース後に語ったソレルは、変わらぬハイペースでラ・ファラポナの頂上に到着。圧巻の走りで2年連続、自身4度目となるブエルタでのステージ優勝を果たした。

自身4度目となるステージ優勝を飾ったマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

プロトンを牽引するフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.
一方のメイン集団は、ヴァインが牽引した後フェリックス・グロスシャートナー(オーストリア、UAEチームエミレーツXRG)が前を引き、終盤はマイヨブランコ(ヤングライダー賞ジャージ)を着るジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)がジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)のために牽引。強い向かい風にアタックが抑制されるなか、ラスト1kmを通過した集団からヒンドレーが仕掛け、ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)とヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)が反応する一方で、総合3位のトーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング)が遅れた。
最後は先にアルメイダが加速したものの、その背後についたヴィンゲゴーが先着。区間2位でボーナスタイム6秒を加算し、アルメイダとの差をわずか2秒広げた。一方、総合3位で区間8位だったピドコックと総合4位ヒンドレーとの差は、42秒から32秒まで縮まっている。

アルメイダをフィニッシュ手前で抜き、区間2位に入ったヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.

チームに7つ目の勝利をもたらしたマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.
母国スペインでチーム3連勝をもたらしたソレル。「チームのために再び勝利できて本当に嬉しい。今日はカンペナールツがアタックして逃げに入り、彼の動きをマークしていた。登りの前の谷間で仕掛け、単独先頭に立ってからは自分のペースで登り続けた。今日は妻の誕生日なので、この勝利は彼女に捧げる」と、喜びを語った。
UAEは第5ステージのチームタイムトライアルから快進撃を続け、第14ステージまでで驚異の7勝。アルメイダが総合2位につけ、ソレルがチーム4人目のステージ勝者となり、選手層の厚さを示している。



9月6日(土)第14ステージ
アビレス〜アルト・デ・ラ・ファラポナ 135.9km(山岳/山頂フィニッシュ)
獲得標高差 3,805m

アングリルでの険しい戦いの翌日も、ブエルタ・ア・エスパーニャの主催者は山頂フィニッシュを用意した。それも135.9kmの短い距離に2つの1級山岳を含む、獲得標高差3,805mの登りが詰め込まれたタフなレイアウト。足慣らしの3級山岳を越え、まずは1級山岳サン・リャウリエンス(距離10.1km/平均8.5%)が立ちはだかる。その後鋭角なダウンヒルをクリアし、最後に挑むのは1級山岳ラ・ファラポナ(距離16.9km/平均5.9%)だ。
前日の最終山岳で逃げの行く手を阻むなど、連日続く抗議活動の影響を受け、イスラエル・プレミアテックは胸元から「イスラエル」の文字を削除したジャージで出走。そして晴天の中、体調不良で未出走となったセルヒオ・イギータ(コロンビア、XDSアスタナ)を除く157名がスタート。繰り返されるアタックの末、22名が逃げを形成した。
その中にリーダーチームであるヴィスマ・リースアバイクはヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー)を送り、ライバルのUAEチームエミレーツXRGはマルク・ソレル(スペイン)とミッケル・ビョーグ(デンマーク)とが入る。また、ステージ優勝が欲しいデカトロンAG2Rラモンディアールは、チームの半分であるブリュノ・アルミライユ(フランス)ら4名が逃げに乗った。

序盤、カンペナールツがメカトラで一時ニュートラルサービスのバイクで走るシーンもありながら、逃げ集団は追う意欲の見せないメイン集団に対して4分のリードを確保する。1つ目の3級山岳はソレルが先頭通過して、プロトンに残った山岳賞で首位のジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツXRG)を間接的にアシスト。続く中間スプリントを通過し、逃げが1級山岳サン・リャウリエンスに入る頃に、プロトンとの差は5分40秒まで拡がっていた。
数的優位に立つデカトロンが逃げ集団のペースを作り、1級山岳の頂上はその手前で飛び出したジェームズ・ショー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)がトップ通過する。メイン集団ではイヴォ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)の牽引に、総合12位につけていたエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)が脱落。さらにフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)の引きに代わると、今度は総合8位シモーネ・コンソンニ(イタリア、リドル・トレック)が遅れを喫し、総合争いから姿を消した。


ショーを引き戻した逃げた集団からは、最終1級山岳ラ・ファラポナ(距離16.9km/平均5.9%)の直前にソレルが加速する。唯一反応したのは、グランツール初出場の23歳ヨハネス・スターンミッテ(ノルウェー、デカトロンAG2Rラモンディアール)。しかし登坂開始からわずか1kmで振り切られ、ソレルの独走態勢が確立。残り距離を必死に粘るプロ2年目フィンレー・ピカリング(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)も、ソレルとの差を詰めることはできなかった。
「ジョアン(アルメイダ)がアタックしたら、自分は引き返すようにと指示を待っていた。だが最終的にゴーサインが出て、そのまま踏み切った」とレース後に語ったソレルは、変わらぬハイペースでラ・ファラポナの頂上に到着。圧巻の走りで2年連続、自身4度目となるブエルタでのステージ優勝を果たした。


一方のメイン集団は、ヴァインが牽引した後フェリックス・グロスシャートナー(オーストリア、UAEチームエミレーツXRG)が前を引き、終盤はマイヨブランコ(ヤングライダー賞ジャージ)を着るジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)がジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)のために牽引。強い向かい風にアタックが抑制されるなか、ラスト1kmを通過した集団からヒンドレーが仕掛け、ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)とヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)が反応する一方で、総合3位のトーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング)が遅れた。
最後は先にアルメイダが加速したものの、その背後についたヴィンゲゴーが先着。区間2位でボーナスタイム6秒を加算し、アルメイダとの差をわずか2秒広げた。一方、総合3位で区間8位だったピドコックと総合4位ヒンドレーとの差は、42秒から32秒まで縮まっている。


母国スペインでチーム3連勝をもたらしたソレル。「チームのために再び勝利できて本当に嬉しい。今日はカンペナールツがアタックして逃げに入り、彼の動きをマークしていた。登りの前の谷間で仕掛け、単独先頭に立ってからは自分のペースで登り続けた。今日は妻の誕生日なので、この勝利は彼女に捧げる」と、喜びを語った。
UAEは第5ステージのチームタイムトライアルから快進撃を続け、第14ステージまでで驚異の7勝。アルメイダが総合2位につけ、ソレルがチーム4人目のステージ勝者となり、選手層の厚さを示している。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2025第14ステージ
1位 | マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) | 3:48:22 |
2位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:39 |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) | |
4位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +0:43 |
5位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアール) | +0:48 |
6位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +0:53 |
7位 | マシュー・リッチテッロ(アメリカ、イスラエル・プレミアテック) | |
8位 | トーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング) | |
9位 | セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) | |
10位 | フィンレー・ピカリング(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス) | +1:25 |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | 53:19:49 |
2位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) | +0:48 |
3位 | トーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング) | +2:38 |
4位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +3:10 |
5位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアール) | +3:30 |
6位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +4:21 |
7位 | マシュー・リッチテッロ(アメリカ、イスラエル・プレミアテック) | +4:53 |
8位 | セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) | +5:46 |
9位 | トースタイン・トレーエン(ノルウェー、バーレーン・ヴィクトリアス) | +6:33 |
10位 | マッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) | +8:52 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | 192pts |
2位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | 139pts |
3位 | イーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック) | 111pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツXRG) | 46pts |
2位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | 39pts |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) | 29pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | 53:24:10 |
2位 | マシュー・リッチテッロ(アメリカ、イスラエル・プレミアテック) | +0:32 |
3位 | ウィリアムジュニア・ルセルフ(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +14:36 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツXRG | 159:08:38 |
2位 | ヴィスマ・リースアバイク | +8:00 |
3位 | デカトロンAG2Rラモンディアール | +1:04:27 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.
photo:CorVos, A.S.O.
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