ワフーのフラッグシップサイクルコンピューター、ELEMNT ACEをレビュー。3.8インチ大画面でマップが劇的に見やすくなり、対気速度計測で風の状況を可視化する革新機能を搭載。新しいライド体験を実走で確かめた。

ワフー ELEMNT ACE(左)
ワフーの新世代ELEMNTシリーズがついに出揃い、国内デリバリーも本格的に開始されている。このタイミングでACE、ROAM 3、BOLT 3をそれぞれ実際に使用する機会を得た。今回はそのACEをピックアップしよう。
ELEMNT ACEはこれまでのワフーラインアップにはなかった新機軸のサイクルコンピューターとして開発が行われている。デビューから月日が経過しているが、その間、ワフーはソフトウェア面での改善に積極的に取り組み、ソフトウェアが成熟してきたという。
大型化したボディサイズと専用マウント

非常に大型ながらブラケット先端と同等のラインに収められている

iPhone15と比較しても中々な大きさだ
ELEMNT ACEはまずサイズが大きい。ELEMNT BOLT 3はもちろん、大画面がポイントだったROAM 3よりも見た目にも、重量としてもボリューミーだ。手持ちのiPhone15と比較してみると流石にiPhoneの方が大きいが、 126 × 71 × 24mmという大きさはかつてのiPhone 7と同等のサイズ感。
その分、ELEMNT ACEはシリーズ最大の画面を備えており、一見しただけでも可読性に特化していることがわかる。後述するが機能が洗練されているため、ELEMNT ACEはスマホの代替というよりは、ハンディタイプのナビゲーションデバイスと認識するのが良さそう。サイクルコンピューターの枠から飛び出そうとしているのは間違いないモデルだ。
専用設計のマウントシステム

ビッグボディ用に突き出し量も多くなっている専用マウント
ELEMNT ACEに同梱されているアウトフロントマウントは専用品で大きさと強度ともにACE用に設計されている。ワフー代理店のインターテックが扱うケーエッジもELEMNT ACE向けモデルを用意する予定があるとのことのため、サイコンとライトなどを安心して装備が可能となるはず。
実際に大きさに関しては、ACEのボディ先端とブラケットフードの先端が同じラインに位置していたため、想像以上に良い印象を抱いた。ACEの目玉機能である風速計のセンサーが搭載されている兼ね合いや、ラバーマウントが付属しないことなどを考慮すると現実的ではないにせよ、トップチューブやハンドル一体型のステムにマウントできると具合が良さそう。
3.8インチ大画面による圧倒的な視認性
データフィールド表示の自由度

ワフー ELEMNT ACE

数多いデータも大画面・大フォントのおかげで読み取りやすい
3.8インチの画面による恩恵は間違いなく大きい。ワフーの美点はページの拡大表示と縮小表示によって、画面に載るデータフィールドの数が増減すること。3つのデータのみを表示させるときは非常に大きなフォントサイズとなり、9つのデータを表示するときは小さなフォントになるため、状況に応じて最適な表示を選択できる。
具体的には表示させるデータ数が少なければ、これまでのROAM 3やBOLT 3以上に大きなフォントサイズで表示されるため、サイコンに一瞬だけ目を落とせば情報が頭に飛び込んでくる。画面を注視する時間=前方から目線を外す時間のため、それが短ければ安全に走ることにもつながってくるはず。

同じ数のデータを表示させるとフォントの大きさが異なることがわかる
実際にはデータ表示が2つや3つの場合、フォントサイズが十二分に大きい印象だが、サイコンの画面表示が視力の影響で見にくくなっている方であれば、大きな文字の恩恵を受けられるそうだ。
筆者はデータ数は9つの表示で落ち着いた。この9つの表示もACEならではのメリットがあり、他の機種の場合は7つ表示と同じフォントサイズとなっているため、可読性が落ちないこと。多めのデータフィールド表示では、特定の数値を読みたい訳ではなく、一目で様々な情報を得たいことが多いので、読みやすさが変わらずに数が増えるのは有難い限りだ。
ナビゲーション機能:理想的なマップ縮尺とバランス

大画面のおかげでコーナー指示とマップどちらも見やすい
同じような恩恵はナビゲーションのマップ表示の大きさの自由度が増していることに表れている。画面が大きいことで縮尺を拡大しすぎなくても曲がり角が把握しやすく、やや引き気味のマップ表示にでき、向かう先の全体像と曲がり角の詳細な場所のバランスがちょうど良くなる。
これは本当に大きなメリットで、曲がり角の直前に画面を凝視する必要もなくなり、気持ちがだいぶ楽になる。カラー表示やアンチグレアディスプレイも読み取りやすさに貢献しており、ライド中にディスプレイの表示に不満を抱くことはなかった。個人的にはACE最大の魅力はマップ関連の表示が読み取りやすいことと言いたい。
高精度な位置情報とルート案内

マップを拡大しても曲がり角とその先の道のりが把握しやすい
読み取りやすさと同時にナビゲーションを支えているのは位置情報の取得スピードであると感じる。信号待ちで、足を地面についた瞬間にオートポーズがかかり、発進するときにペダルを一漕ぎした瞬間にスタートする俊敏さがあるおかげで、ナビゲーションの曲がり角と自分の位置関係を正確に把握することができる。
テストライドでもほとんど曲がり角を見誤ることはなく、指示通りの道を進むことができたのもACEの機能のおかげ。もし曲がり角で曲がることができなくても、文字通り瞬時に、ミスルートを知らせてくれる。ミスに気がつけるタイミングは早ければ早いほどいい。
ただACEがミスルートに気がつき、ライダーにビープ音で知らせている間にはもうルートの再計算が行われている。「あ、曲がれなかった!どうしよう」と考えていると、ACEは新しい道のりを提案してくれるため、市街地などでも次の交差点で復帰ルートに乗ることもできる。知らない土地であれば、ACEのリルートの素早さは安心感に繋がるはずだ。

Googleマップの共有ボタンを押すと、Wahooアプリを選択できる 
アプリで共有した目的地はすぐにACEに転送できる
今作からGoogleマップやAppleマップアプリで指定した地点をWahooアプリと共有する機能が搭載されていることもポイント。この機能によって地点検索を先述したアプリに任せることができ、ナビのルート作成の手間が減ったことで、ナビの利便性が高まっている。
この機能は地点をWahooアプリと共有すると自動的にELEMNTにも転送され、サイコン自らがルートを作成してくれる。Googleマップと同じルートどりにはならないものの、比較的わかりやすい道のりを示してくれるので、出先でカフェやコンビニを探すときには有用だ。細かい道がある都市圏では、希望の道のりになりにくいので、次第に使いこなせるようになるはずだ。
革新的な対気速度計測機能

ボディ前方に設けられた通気口に入る風で対気速度を計測する
そして、ACEの目玉機能である対気速度計測はサイクリングを心地よくしてくれる機能だった。
改めて紹介すると、ACEのボディ前方に設けられたエアインテークとその内側の圧力センサーで、サイコンに入り込む風の速度(対気速度)を計算するというもの。例えば、ライダーが20km/hで走行していて、ACEが示す対気速度が25km/hとすると、5km/hの向かい風が発生していることになる。一方で、ライダーの速度>対気速度の場合は追い風の影響を受けている。
この計算の結果をACEは画面上にカラーグラフィックで表示してくれて、一目で風の状況をライダーに伝えてくれる。具体的にはエアブースト(追い風:ヘビー、ライト)であれば緑系、ニュートラルであれば水色、エアドラッグ(向かい風:重い、軽い)であればオレンジ・赤色で色付けされる。

対気速度表示はカラーの背景色で状況が直感的にわかりやすい

マップ表示でも対気速度が表示される
指標は空気抵抗ではないことには注意したい。上り坂の斜度のように風の状況を教えてくれるデータのため、エアロポジションで抵抗をどれだけ減らしたかというよりも、向かい風でエアロポジションを取ったら対気速度と走行速度の差が縮まったかの結果を知れるというもの。
向かい風は体感できるもので、あえてデータで見なくてもわかるのは間違いない。しかし、自分の体感と客観的なデータを照らし合わせることができたおかげで、気持ちが多少なり楽になったのは間違いない。「向かい風だから頑張らなくていいや」とギアを一段軽くできるのは、ヒルクライムで斜度を把握できた時と同じ感覚だ。
もちろん向かい風はツラい。風が勢いよく自分に当たっている間は耐え忍ぶしかできなく、その時にACEに目を向けると表示はオレンジか赤色で、「ですよねー」と思いながらペダルに集中するだけ。対して、追い風の時は風に乗り、気持ちよいクルージングを一層楽しめる。辛い原因や楽な気分の理由を可視化することに大きなメリットを感じられる。
ライド後のデータ分析

ウインドダイナミクスで風の状況がわかる 
マップ上にウインドダイナミクスが表示されている 
往復でもウインドダイナミクスが確認できる。緑のブーストを受けているときは往路、オレンジの時は復路
ライドが終了し、Wahooのクラウドにアップロードされたデータでは、地図上に風の状況が表示されるのも嬉しい。今回テストでは江ノ島に向かって南下するライドを行い、復路で向かい風が吹きつけた。が、実際に地図を見返してみると向かい風の区間は16%程度。体感ではもっとキツかったのだが…。これがグループライドで活用できれば、ライドの振り返りで話題となるのは間違いない。もしトレインを組んでいれば、先頭以外はエアブーストがかかっていたことも知れるかも。
今回のACEで初めて搭載された対気速度の指標は、ライドに影響を与える外的要因を知るためのデータ。パワーは自分自身の頑張りが表現されるが、対気速度は頑張った結果の速度が影響するが、自分ではコントロールできない環境を表現している。有効活用できれば、ライドのクオリティは高められると感じた。
バッテリー性能:優れた持続力

約6時間(経過時間、走行時間は約5時間)のライドで15%の電池を消費した
ACEのランタイムのチェックは、工場出荷からスマホをペアリングした状態、ほぼ初期状態でのテストを行なった。自宅から約100km、経過時間は約6時間、実走行時間は約5時間という条件での状況をお伝えしよう。
最終的な結果は85%。6時間も稼働させ続けたが、わずか15%の消費となった。100kmのサイクリングであれば、充電せずとも何度もライドが行えるのは非常に扱いやすいサイコンと言えそうだ。宿泊を伴うツーリングでも充電不要というのは、複数の電子機器を扱う現代人の充電事情にとって心強いメリットとなるだろう。
バッテリーの減り具合の印象としては、最初の数%は数字が動きやすく、90%以降は数値の変動が緩やかになった。今回のテストではROAM 3とBOLT 3も同時に使用していたが、最初の1時間は2機種よりも数値変動は大きく、若干心配になったのは正直なところ。最終的にはACEの方が10%も電池が残っていたので、ロングライフであることは間違いない。
ACEが最適なユーザー像

ワフー ELEMNT ACE
今回のテストを通じて感じられたのは、ACEはナビゲーションシステムの魅力を最大に引き出せるサイクルコンピューターだということ。特に縮尺を拡大気味にして、曲がり角をわかりやすく表示していても、周囲の地図情報もチェックできることは、大きなアドバンテージと言っても過言ではない。
ロードバイクのように中高速域で巡航する場合、ナビゲーションの曲がり角指示が遅れて感じてしまうこともあった。進行ルートを先読みできることで、曲がり角と自車の距離感を脳内で補完しやすくなっているのは非常に有用だと思う。

大画面のおかげでコーナー指示とマップどちらも見やすい
価格は108,900円(税込)と決して安くないが、地図を重宝したいという方にはオススメのモデルだ。従来のサイクルコンピューターの概念を超えた、新世代のナビゲーションデバイスとして、ELEMNT ACEは確実にサイクリング体験を向上させてくれる。特に対気速度計測機能は、データの可視化によってライドの楽しさを新たな次元に押し上げる革新的な機能と言えるだろう。
今回の記事はACEに搭載されたACEならではの機能にフォーカスした。ROAM 3の記事では、ELEMNTシリーズ通して進化している機能などを交えて紹介したいと思う。

ワフーの新世代ELEMNTシリーズがついに出揃い、国内デリバリーも本格的に開始されている。このタイミングでACE、ROAM 3、BOLT 3をそれぞれ実際に使用する機会を得た。今回はそのACEをピックアップしよう。
ELEMNT ACEはこれまでのワフーラインアップにはなかった新機軸のサイクルコンピューターとして開発が行われている。デビューから月日が経過しているが、その間、ワフーはソフトウェア面での改善に積極的に取り組み、ソフトウェアが成熟してきたという。
大型化したボディサイズと専用マウント


ELEMNT ACEはまずサイズが大きい。ELEMNT BOLT 3はもちろん、大画面がポイントだったROAM 3よりも見た目にも、重量としてもボリューミーだ。手持ちのiPhone15と比較してみると流石にiPhoneの方が大きいが、 126 × 71 × 24mmという大きさはかつてのiPhone 7と同等のサイズ感。
その分、ELEMNT ACEはシリーズ最大の画面を備えており、一見しただけでも可読性に特化していることがわかる。後述するが機能が洗練されているため、ELEMNT ACEはスマホの代替というよりは、ハンディタイプのナビゲーションデバイスと認識するのが良さそう。サイクルコンピューターの枠から飛び出そうとしているのは間違いないモデルだ。
専用設計のマウントシステム

ELEMNT ACEに同梱されているアウトフロントマウントは専用品で大きさと強度ともにACE用に設計されている。ワフー代理店のインターテックが扱うケーエッジもELEMNT ACE向けモデルを用意する予定があるとのことのため、サイコンとライトなどを安心して装備が可能となるはず。
実際に大きさに関しては、ACEのボディ先端とブラケットフードの先端が同じラインに位置していたため、想像以上に良い印象を抱いた。ACEの目玉機能である風速計のセンサーが搭載されている兼ね合いや、ラバーマウントが付属しないことなどを考慮すると現実的ではないにせよ、トップチューブやハンドル一体型のステムにマウントできると具合が良さそう。
3.8インチ大画面による圧倒的な視認性
データフィールド表示の自由度


3.8インチの画面による恩恵は間違いなく大きい。ワフーの美点はページの拡大表示と縮小表示によって、画面に載るデータフィールドの数が増減すること。3つのデータのみを表示させるときは非常に大きなフォントサイズとなり、9つのデータを表示するときは小さなフォントになるため、状況に応じて最適な表示を選択できる。
具体的には表示させるデータ数が少なければ、これまでのROAM 3やBOLT 3以上に大きなフォントサイズで表示されるため、サイコンに一瞬だけ目を落とせば情報が頭に飛び込んでくる。画面を注視する時間=前方から目線を外す時間のため、それが短ければ安全に走ることにもつながってくるはず。

実際にはデータ表示が2つや3つの場合、フォントサイズが十二分に大きい印象だが、サイコンの画面表示が視力の影響で見にくくなっている方であれば、大きな文字の恩恵を受けられるそうだ。
筆者はデータ数は9つの表示で落ち着いた。この9つの表示もACEならではのメリットがあり、他の機種の場合は7つ表示と同じフォントサイズとなっているため、可読性が落ちないこと。多めのデータフィールド表示では、特定の数値を読みたい訳ではなく、一目で様々な情報を得たいことが多いので、読みやすさが変わらずに数が増えるのは有難い限りだ。
ナビゲーション機能:理想的なマップ縮尺とバランス

同じような恩恵はナビゲーションのマップ表示の大きさの自由度が増していることに表れている。画面が大きいことで縮尺を拡大しすぎなくても曲がり角が把握しやすく、やや引き気味のマップ表示にでき、向かう先の全体像と曲がり角の詳細な場所のバランスがちょうど良くなる。
これは本当に大きなメリットで、曲がり角の直前に画面を凝視する必要もなくなり、気持ちがだいぶ楽になる。カラー表示やアンチグレアディスプレイも読み取りやすさに貢献しており、ライド中にディスプレイの表示に不満を抱くことはなかった。個人的にはACE最大の魅力はマップ関連の表示が読み取りやすいことと言いたい。
高精度な位置情報とルート案内

読み取りやすさと同時にナビゲーションを支えているのは位置情報の取得スピードであると感じる。信号待ちで、足を地面についた瞬間にオートポーズがかかり、発進するときにペダルを一漕ぎした瞬間にスタートする俊敏さがあるおかげで、ナビゲーションの曲がり角と自分の位置関係を正確に把握することができる。
テストライドでもほとんど曲がり角を見誤ることはなく、指示通りの道を進むことができたのもACEの機能のおかげ。もし曲がり角で曲がることができなくても、文字通り瞬時に、ミスルートを知らせてくれる。ミスに気がつけるタイミングは早ければ早いほどいい。
ただACEがミスルートに気がつき、ライダーにビープ音で知らせている間にはもうルートの再計算が行われている。「あ、曲がれなかった!どうしよう」と考えていると、ACEは新しい道のりを提案してくれるため、市街地などでも次の交差点で復帰ルートに乗ることもできる。知らない土地であれば、ACEのリルートの素早さは安心感に繋がるはずだ。


今作からGoogleマップやAppleマップアプリで指定した地点をWahooアプリと共有する機能が搭載されていることもポイント。この機能によって地点検索を先述したアプリに任せることができ、ナビのルート作成の手間が減ったことで、ナビの利便性が高まっている。
この機能は地点をWahooアプリと共有すると自動的にELEMNTにも転送され、サイコン自らがルートを作成してくれる。Googleマップと同じルートどりにはならないものの、比較的わかりやすい道のりを示してくれるので、出先でカフェやコンビニを探すときには有用だ。細かい道がある都市圏では、希望の道のりになりにくいので、次第に使いこなせるようになるはずだ。
革新的な対気速度計測機能

そして、ACEの目玉機能である対気速度計測はサイクリングを心地よくしてくれる機能だった。
改めて紹介すると、ACEのボディ前方に設けられたエアインテークとその内側の圧力センサーで、サイコンに入り込む風の速度(対気速度)を計算するというもの。例えば、ライダーが20km/hで走行していて、ACEが示す対気速度が25km/hとすると、5km/hの向かい風が発生していることになる。一方で、ライダーの速度>対気速度の場合は追い風の影響を受けている。
この計算の結果をACEは画面上にカラーグラフィックで表示してくれて、一目で風の状況をライダーに伝えてくれる。具体的にはエアブースト(追い風:ヘビー、ライト)であれば緑系、ニュートラルであれば水色、エアドラッグ(向かい風:重い、軽い)であればオレンジ・赤色で色付けされる。


指標は空気抵抗ではないことには注意したい。上り坂の斜度のように風の状況を教えてくれるデータのため、エアロポジションで抵抗をどれだけ減らしたかというよりも、向かい風でエアロポジションを取ったら対気速度と走行速度の差が縮まったかの結果を知れるというもの。
向かい風は体感できるもので、あえてデータで見なくてもわかるのは間違いない。しかし、自分の体感と客観的なデータを照らし合わせることができたおかげで、気持ちが多少なり楽になったのは間違いない。「向かい風だから頑張らなくていいや」とギアを一段軽くできるのは、ヒルクライムで斜度を把握できた時と同じ感覚だ。
もちろん向かい風はツラい。風が勢いよく自分に当たっている間は耐え忍ぶしかできなく、その時にACEに目を向けると表示はオレンジか赤色で、「ですよねー」と思いながらペダルに集中するだけ。対して、追い風の時は風に乗り、気持ちよいクルージングを一層楽しめる。辛い原因や楽な気分の理由を可視化することに大きなメリットを感じられる。
ライド後のデータ分析



ライドが終了し、Wahooのクラウドにアップロードされたデータでは、地図上に風の状況が表示されるのも嬉しい。今回テストでは江ノ島に向かって南下するライドを行い、復路で向かい風が吹きつけた。が、実際に地図を見返してみると向かい風の区間は16%程度。体感ではもっとキツかったのだが…。これがグループライドで活用できれば、ライドの振り返りで話題となるのは間違いない。もしトレインを組んでいれば、先頭以外はエアブーストがかかっていたことも知れるかも。
今回のACEで初めて搭載された対気速度の指標は、ライドに影響を与える外的要因を知るためのデータ。パワーは自分自身の頑張りが表現されるが、対気速度は頑張った結果の速度が影響するが、自分ではコントロールできない環境を表現している。有効活用できれば、ライドのクオリティは高められると感じた。
バッテリー性能:優れた持続力

ACEのランタイムのチェックは、工場出荷からスマホをペアリングした状態、ほぼ初期状態でのテストを行なった。自宅から約100km、経過時間は約6時間、実走行時間は約5時間という条件での状況をお伝えしよう。
最終的な結果は85%。6時間も稼働させ続けたが、わずか15%の消費となった。100kmのサイクリングであれば、充電せずとも何度もライドが行えるのは非常に扱いやすいサイコンと言えそうだ。宿泊を伴うツーリングでも充電不要というのは、複数の電子機器を扱う現代人の充電事情にとって心強いメリットとなるだろう。
バッテリーの減り具合の印象としては、最初の数%は数字が動きやすく、90%以降は数値の変動が緩やかになった。今回のテストではROAM 3とBOLT 3も同時に使用していたが、最初の1時間は2機種よりも数値変動は大きく、若干心配になったのは正直なところ。最終的にはACEの方が10%も電池が残っていたので、ロングライフであることは間違いない。
ACEが最適なユーザー像

今回のテストを通じて感じられたのは、ACEはナビゲーションシステムの魅力を最大に引き出せるサイクルコンピューターだということ。特に縮尺を拡大気味にして、曲がり角をわかりやすく表示していても、周囲の地図情報もチェックできることは、大きなアドバンテージと言っても過言ではない。
ロードバイクのように中高速域で巡航する場合、ナビゲーションの曲がり角指示が遅れて感じてしまうこともあった。進行ルートを先読みできることで、曲がり角と自車の距離感を脳内で補完しやすくなっているのは非常に有用だと思う。

価格は108,900円(税込)と決して安くないが、地図を重宝したいという方にはオススメのモデルだ。従来のサイクルコンピューターの概念を超えた、新世代のナビゲーションデバイスとして、ELEMNT ACEは確実にサイクリング体験を向上させてくれる。特に対気速度計測機能は、データの可視化によってライドの楽しさを新たな次元に押し上げる革新的な機能と言えるだろう。
今回の記事はACEに搭載されたACEならではの機能にフォーカスした。ROAM 3の記事では、ELEMNTシリーズ通して進化している機能などを交えて紹介したいと思う。
ELEMNT ACE | ELEMNT ROAM 3 | ELEMNT BOLT 3 | |
---|---|---|---|
税込価格 | 108,900円 | 83,600円 | 63,800円 |
ウインドセンサー | ● | — | — |
タッチスクリーン | ● | ● | — |
音声スピーカー | ● | ● | — |
バッテリーライフ | 30時間 | 25時間 | 20時間 |
ディスプレイ | 3.8インチ (9.7cm) 1,600万色 | 2.8インチ (7.1cm) 1,600万色 | 2.3インチ (5.8cm) 1,600万色 |
本体サイズ | 126 × 71 × 24mm | 96 × 53 × 24mm | 83 × 47 × 24mm |
重量 | 208g | 109g | 84g |
GPS | デュアルバンドGPS GPS、GLONASS、BeiDou、Galileo、QZSS、SBAS、NavIC | デュアルバンドGPS GPS、GLONASS、BeiDou、Galileo、QZSS、SBAS、NavIC | デュアルバンドGPS GPS、GLONASS、BeiDou、Galileo、QZSS、SBAS、NavIC |
充電ポート | USB-C | USB-C | USB-C |
アプリ対応 | Wahooアプリ対応 | Wahooアプリ対応 | Wahooアプリ対応 |
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