アルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット)とマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)の熾烈な総合争い。ボーナスタイムによるレース中の逆転を経て、フィニッシュスプリントを制したドゥリーが再逆転で総合優勝を掴み取った。

2021年に世界選手権が開催されたルーヴェンを走る周回コース photo:CorVos
ルーヴェンの石畳とアップダウンが続く市街地で行われたレネウィ・ツアー最終ステージは、まさに1秒を争う総合バトルの舞台となった。
前日終了時点で総合リーダーのアルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット)と、2位マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)の差はわずか1秒差。オランダとベルギーを代表するクラシックハンター2名が、コース後半に設定された3つのグリーンKM(先頭通過で-3秒獲得、3箇所全て先頭通過すれば-9秒)と、フィニッシュラインでのボーナスタイム争いを繰り広げることとなる。
フレミッシュ・ブラバントのアップダウンを駆け巡るこの日、エドアルド・アッフィニ(イタリア、ヴィスマ・リースアバイク)とカスパー・アスグリーン(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)というTTスペシャリストを含むが4名逃げグループを形成したものの、勢いをつけて追いかけるメイン集団を振り切るには至らず50kmを残して吸収。代わって飛び出したダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、XDSアスタナ)も「グリーンKM」の前に引き戻されている。

アタックを仕掛けるマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)。途中のボーナスタイムで総合逆転を果たす photo:CorVos
ジュリアン・アラフィリップ(フランス)とエリーザ・バルサモ(イタリア)がアルカンシエルを獲得した、2021年のロード世界選手権コースで各チームが猛烈な位置取り争いを繰り広げ、ラスト22km地点の第1「グリーンKM」では狙い澄ましたスパートでファンデルプールが1位通過(-3秒)。出遅れたドゥリーが3位通過(-1秒)したため、ファンデルプールは実質2秒のリードを築き、総合リーダーの座を奪った。ドゥリーは「あの時点で正直やられたと思った。でも、こういう状況では冷静さを保つことが一番大切だと感じていた」と振り返っている。
第2、第3「グリーンKM」では総合トップ10圏内のティム・ウェレンス(ベルギー、UAEチームエミレーツXRG)やフレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)たちが争い、ファンデルプールとドゥリーは一旦後退。「グリーンKM」通過後も各選手が絶えずアタックを繰り返す展開は変わらず、50名程度の集団がフィニッシュラインへとまっしぐら。すると、スプリント態勢に入った各チームの意表を突くように、ラスト1kmからドリース・デボント(ベルギー、デカトロンAG2Rラモンディアール)が単独先行を開始した。

最終スプリントを制し、再逆転で総合優勝を掴んだアルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット) photo:CorVos
かつてベルギー王者に輝いたデボントの独走で集団はパニックに陥った。数少ないアシスト陣を総動員し、デボントを追いかけ、まだ距離が空いた状態からスプリント勝負が始まる。ここでもドゥリーとファンデルプールが頭一つ抜けた加速で飛び出し、横並びでもがき合いながらフィニッシュ手前5mでデボントを追い抜いた1,2秒後、ファンデルプールを抑え込んだドゥリーが両手を広げた。
「とにかく冷静さを保つことが大事だった。パヴェル・ビットネル(チェコ、ピクニック・ポストNL)がスプリントに強いことも知っていたから、彼の後ろを狙うと決めたんだ」と振り返るドゥリーは、ボーナスタイム-10秒を得てファンデルプールを再逆転。総合タイム差僅か3秒という、熾烈な戦いを制すこととなった。

総合トップスリー。アルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット)が復活勝利を果たした photo:CorVos
「ポーカーのような勝負だった。中間スプリントで遅れた時点で全てを賭けるしかなかった。最後に自分のカードを出したらうまくハマったよ。マチューの強さは分かっていたし、彼を倒すには完璧な位置取りとタイミングしかなかった」と、駆けつけた父親の前で大きな勝利を得たドゥリーは振り返る。ロットの若きエースとして知られるドゥリーだが、今季は春のクラシックで好成績を収めることができず、重圧から精神的に厳しい状態が続いていたものの、個人トレーナーとの契約解消や、意識改革によって復調。ツール・ド・フランスでのトップ5入り4回、ADACサイクラシックでの2位を経て、ついに今年2月以来となる勝利を掴むことになった。
ドゥリーは今後、カナダで行われるワールドツアー2連戦に出場予定だ。

ルーヴェンの石畳とアップダウンが続く市街地で行われたレネウィ・ツアー最終ステージは、まさに1秒を争う総合バトルの舞台となった。
前日終了時点で総合リーダーのアルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット)と、2位マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)の差はわずか1秒差。オランダとベルギーを代表するクラシックハンター2名が、コース後半に設定された3つのグリーンKM(先頭通過で-3秒獲得、3箇所全て先頭通過すれば-9秒)と、フィニッシュラインでのボーナスタイム争いを繰り広げることとなる。
フレミッシュ・ブラバントのアップダウンを駆け巡るこの日、エドアルド・アッフィニ(イタリア、ヴィスマ・リースアバイク)とカスパー・アスグリーン(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)というTTスペシャリストを含むが4名逃げグループを形成したものの、勢いをつけて追いかけるメイン集団を振り切るには至らず50kmを残して吸収。代わって飛び出したダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、XDSアスタナ)も「グリーンKM」の前に引き戻されている。

ジュリアン・アラフィリップ(フランス)とエリーザ・バルサモ(イタリア)がアルカンシエルを獲得した、2021年のロード世界選手権コースで各チームが猛烈な位置取り争いを繰り広げ、ラスト22km地点の第1「グリーンKM」では狙い澄ましたスパートでファンデルプールが1位通過(-3秒)。出遅れたドゥリーが3位通過(-1秒)したため、ファンデルプールは実質2秒のリードを築き、総合リーダーの座を奪った。ドゥリーは「あの時点で正直やられたと思った。でも、こういう状況では冷静さを保つことが一番大切だと感じていた」と振り返っている。
第2、第3「グリーンKM」では総合トップ10圏内のティム・ウェレンス(ベルギー、UAEチームエミレーツXRG)やフレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)たちが争い、ファンデルプールとドゥリーは一旦後退。「グリーンKM」通過後も各選手が絶えずアタックを繰り返す展開は変わらず、50名程度の集団がフィニッシュラインへとまっしぐら。すると、スプリント態勢に入った各チームの意表を突くように、ラスト1kmからドリース・デボント(ベルギー、デカトロンAG2Rラモンディアール)が単独先行を開始した。

かつてベルギー王者に輝いたデボントの独走で集団はパニックに陥った。数少ないアシスト陣を総動員し、デボントを追いかけ、まだ距離が空いた状態からスプリント勝負が始まる。ここでもドゥリーとファンデルプールが頭一つ抜けた加速で飛び出し、横並びでもがき合いながらフィニッシュ手前5mでデボントを追い抜いた1,2秒後、ファンデルプールを抑え込んだドゥリーが両手を広げた。
「とにかく冷静さを保つことが大事だった。パヴェル・ビットネル(チェコ、ピクニック・ポストNL)がスプリントに強いことも知っていたから、彼の後ろを狙うと決めたんだ」と振り返るドゥリーは、ボーナスタイム-10秒を得てファンデルプールを再逆転。総合タイム差僅か3秒という、熾烈な戦いを制すこととなった。

「ポーカーのような勝負だった。中間スプリントで遅れた時点で全てを賭けるしかなかった。最後に自分のカードを出したらうまくハマったよ。マチューの強さは分かっていたし、彼を倒すには完璧な位置取りとタイミングしかなかった」と、駆けつけた父親の前で大きな勝利を得たドゥリーは振り返る。ロットの若きエースとして知られるドゥリーだが、今季は春のクラシックで好成績を収めることができず、重圧から精神的に厳しい状態が続いていたものの、個人トレーナーとの契約解消や、意識改革によって復調。ツール・ド・フランスでのトップ5入り4回、ADACサイクラシックでの2位を経て、ついに今年2月以来となる勝利を掴むことになった。
ドゥリーは今後、カナダで行われるワールドツアー2連戦に出場予定だ。
レネウィ・ツアー2025第5ステージ結果
1位 | アルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット) | 3:59:38 |
2位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) | |
3位 | ドリース・デボント(ベルギー、デカトロンAG2Rラモンディアール) | |
4位 | パヴェル・ビットネル(チェコ、ピクニック・ポストNL) | |
5位 | ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー) | |
6位 | ロレンツォ・ミレージ(イタリア、モビスター) | |
7位 | ヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
8位 | ポール・ペンウェット(フランス、グルパマFDJ) | |
9位 | オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) | |
10位 | アクセル・ローランス(フランス、イネオス・グレナディアーズ) |
個人総合成績
1位 | アルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット) | 15:25:15 |
2位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) | +0:01 |
3位 | ティム・ウェレンス(ベルギー、UAEチームエミレーツXRG) | +0:21 |
4位 | フレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス) | +0:46 |
5位 | オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:48 |
6位 | パヴェル・ビットネル(チェコ、ピクニック・ポストNL) | +0:50 |
7位 | ドリース・デボント(ベルギー、デカトロンAG2Rラモンディアール) | +0:52 |
8位 | アルベルト・ベッティオル(イタリア、XDSアスタナ) | |
9位 | ティボール・デルフロッソ(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) | |
10位 | トムス・スクインシュ(ラトビア、リドル・トレック) | +0:58 |
その他の特別賞
ポイント賞 | パヴェル・ビットネル(チェコ、ピクニック・ポストNL) |
ヤングライダー賞 | ティボール・デルフロッソ(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) |
チーム総合成績 | アルペシン・ドゥクーニンク |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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