ウィリエールの新型エアロロード"FILANTE SLR ID2"が登場した。洗練された形状と専用ボトルシステムでエアロダイナミクスが13.6%向上。最大34mmタイヤ対応で安定性も向上した次世代エアロロードだ。



ウィリエール FILANTE SLR ID2(ホワイト) (c)Wilier

マーク・カヴェンディッシュのツール最多勝利を支えたウィリエールのエアロロード、FILANTE SLR。革新的な素材や研究開発を経て生み出されたエアロロードは、優れた軽量性と高い剛性によってトッププロからも高い評価を獲得し、ウィリエールの新時代を切り開いた一台となった。

そんなFILANTEがモデルチェンジを遂げ、第二世代のFILANTE SLR ID2へと進化する。現在ウィリエールがサポートするグルパマFDJとの共同開発が行われた新型は、プロ選手があらゆる局面で最大限の効率、快適性、コントロール性を発揮できるオールラウンド性が突き詰められた。

非常にスリムになったヘッドチューブ (c)Wilier

各部が進化している中で最も大きなポイントがエアロダイナミクスの強化だ。ウィリエールはタイムトライアルバイク"Supersonica SLR"の開発で得た知見をもとに、フレームだけにとどまらず各パーツに至るまでのバイク全体でエアロを突き詰めた。

具体的にはフォークの設計一つとってもタイヤとリムの影響まで考慮した形状、ダウンチューブではヘッドチューブ側を薄く、ウォーターボトル側を幅広いテーパード形状とすることで、空気抵抗を最小限に抑えることを狙っている。そして、ボトルケージとボトルも専用品を開発しており、フレームシステム全体で空気の流れを整えている。

ヘッド側はスリムに、ボトムブラケット側はボトルを覆うような太さのダウンチューブ (c)Wilier

専用ボトルとケージもエリートとともに共同開発を行った (c)Wilier

ウィリエールによると従来型FILANTE SLRと、新型FILANTE+専用ケージ+専用ボトルの比較では空気抵抗が4.5%低減されるという。さらに新型FILANTE+専用ケージ+汎用ボトルの組み合わせでも、従来型よりもエアロ効率が向上を確認したとウィリエールは説明する。シートチューブ側は最大750mlのボトルにも対応可能だ。

ヘッドチューブは前作よりもスリムな形状へと進化。トップカバーがトップチューブとツライチになるような設計が与えられており、ハンドルバーとのインテグレーテッド化が進んだ。さらにステム一体型ハンドルバーのF-BARもID2仕様へと刷新されており、ブラケットとバーエンドで3cm差のフレア(例:トップ35cm、ドロップ38cm)が採用され、エアロポジションとスプリント時のコントロール性の両立を果たしている。また、ブラケット部分はやや隆起させることで剛性向上も狙っている。

新型ではトップカバーがフレームとツライチになるように設計されている (c)Wilier

新型FILANTEのエアロダイナミクス設計の中で小さいながらも革新的な進化を遂げたのが、シートステーだ。一見すると先代と同じようなフォルムをしているが、ここも薄型になると同時に、ステーを2.5°内側に傾けた形状を採用している。この設計は新しいボトル配置と相まって、CFDシミュレーション上で乱流が低減されることが確認されているという。

シートポストもSupersonicaからの知見を活かし、非常に薄い形状を採用している。これによってシマノDI2のバッテリーはボトムブラケット側のハウジングに納めることとなった。バッテリーが車体下部に移設されたことで、バッテリーへのアクセス性が改善、さらに低重心化にも貢献する。他にもパワーメーター用の凹型マグネットハウジングも用意し、徹底的に空気抵抗を削減する意欲が表れている。

シルバーストーンの風洞施設にて実験を行った (c)Wilier

シートステーをわずかに内側に向け、空気の流れを最適化した (c)Wilier

専用ボトルケージを使用することで空気の流れを整えている (c)Wilier

ウィリエールはエアロダイナミクスの検証をモータースポーツ関連企業が集うイギリス・シルバーストーンの風洞で実施。自転車単体での新旧比較では空気抵抗が13.6%低減しており、CFDで推定されていた12%を上回る結果を得た。ライダーを含めたシステム全体でも実走行環境で良好な結果となり、時速40kmの走行時では14.15ワットものパワーセーブを実現している(エアロキット装備時)。

また新型のフレーム重量(Mサイズ)が860gと前モデルと等しいが、BB剛性は+7.49%に向上。素材は東レのT800、T1100、M46JBを効果的に配置しているという。世界最高峰のプロ選手たちのスプリントにも応えてくれる剛性とエアロが備えられたことで、エアロロードとしての戦闘力も進化していると言っても過言ではないだろう。リアエンドはUDH対応。

従来モデル(ブルー)と新型FILANTE+汎用ボトル(グリーン)、新型FILANTE+専用ボトル(オレンジ)の比較で、新型の抵抗が少なくなっている (c)Wilier

従来モデルと比較し、重量は同じで、剛性とエアロどちらも改善している (c)Wilier

ジオメトリーもグルパマFDJとのコラボレーションによって煮詰められた。重要な変更ポイントはリアトライアングルがわずかに長くなり、かつタイヤクリアランスを最大34mmとすることで、バイク全体の安定性が向上していること。さらにリーチとスタックのバランスを整え、フィッティングの幅を広げている。同時にハンドルバーの選択肢も増加し、小さいサイズでも適切なポジションを出しやすくなっている。

カラーはグロスカーボン、グレー、ホワイト(アップチャージ+11万円)、パールブロンズ(+11万円)、ロイヤルブルー(+27.5万円)が用意されている。いずれも単色ではなく非常に洗練されたデザインとなっているため、一度チェックしてもらいたい。

グルパマFDJと共同開発を行い、すでに実戦に投入されている (c)Wilier

ラインアップはフレームセット(1,045,000円)、ULTEGRA DI2完成車(1,727,000円)、DURA-ACE DI2完成車(1,936,000円)、SUPERRECORD 13s(受注発注:2,640,000円、いずれも税込)が揃う。完成車のホイールはいずれもミケのKLEOS RD50だ。

ウィリエール FILANTE SLR ID2(ロイヤルブルー) (c)Wilier

ウィリエール FILANTE SLR ID2(パールブロンズ) (c)Wilier
ウィリエール FILANTE SLR ID2(ホワイト) (c)Wilier


ウィリエール FILANTE SLR ID2(グレー) (c)Wilier
ウィリエール FILANTE SLR ID2(グロスカーボン) (c)Wilier





ウィリエール FILANTE SLR ID2
フレームセット
付属品:FバーID2、ガーミン/ワフー専用マウント、 0mmオフセットシートポスト、専用エアロボトルケージ&ボトル付属
価格:1,045,000円(税込)

ULTEGRA Di2/MICHE KLEOS RD50
価格:1,727,000円(税込)

DURA-ACE Di2/MICHE KLEOS RD50
価格:1,936,000円(税込)

SUPER RECORD 13s/MICHE KLEOS RD50(受注発注)
価格:2,640,000円(税込)

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