ピレネー山脈を舞台にした山頂フィニッシュで、前日に総合争いから脱落したフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)が逃げ切り。ブエルタで自身初のステージ優勝を飾り、チームに3日連続の勝利をもたらした。

ピレネーでの山岳2日目に臨むヴィンゲゴー photo:A.S.O. 
チームプレゼンの時を待つXDSアスタナ photo:CorVos

前日に逃げ、マイヨロホを獲得したトースタイン・トレーエン(ノルウェー、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
8月29日(金)第7ステージ
アンドラ・ラ・ベリャ〜セルレル・ウエスカ・ラ・マージャ 188km(山岳/山頂フィニッシュ)
獲得標高差4,211m

第7ステージ アンドラ・ラ・ベリャ〜セルレル・ウエスカ・ラ・マージャ image:A.S.O. ブエルタ・ア・エスパーニャ第7ステージは、ピレネー山脈を舞台にした山岳&山頂フィニッシュ2連戦の2日目。舞台はアンドラ・ラ・ベリャをスタートし、直後にスペインへ再入国する188kmのコースで獲得標高差は4,211m。まず、登坂距離24.7km(平均4.4%)と長大な1級山岳から始まり、その後2つの2級山岳を越え、ラストに臨むのは1級山岳セルレル・ウエスカ・ラ・マージャ(距離12.1km/平均5.8%)だ。
アクチュアルスタートから前日同様に逃げ切りを狙う選手たちがアタックを繰り返し、13.2km地点から始まる1級山岳でフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)が飛び出す。前日の最終山岳で遅れ、総合争いから脱落したスペインのホープは単独で登りを攻め、先頭で頂上を通過。その後の急勾配の下りでアユソに追走集団が追いつき、13名による逃げグループが形成された。

スタート直後に集団を飛び出したフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.

13名による逃げグループが形成された photo:A.S.O.
その中には前日勝者ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツXRG)も入り、この日もEFエデュケーション・イージーポストは2名(クイン、ファンデルリー)を送り込む。またマイヨプントス(ポイント賞ジャージ)を着るマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)も加わり、最終山岳の手前に設定された中間スプリントに狙いを定めた。逃げを容認したメイン集団は、マイヨロホを着るトースタイン・トレーエン(ノルウェー)のバーレーン・ヴィクトリアスが先頭でコントロールした。
コース中盤に設定された2級山岳では、マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)を着るヴァインに、今大会3度目の逃げとなったジョエル・ニコラウ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)とクインが挑む。しかし昨年の山岳賞者のスプリントには敵わず、ヴァインが先頭で通過。さらにヴァインは続く2級山岳もトップで通過し、山岳ポイントを加算した。

プロトン前方で脚を回すトースタイン・トレーエン(ノルウェー、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:A.S.O.

山岳ポイントを順調に加算していくジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O. 
最終山岳の麓に設定された中間スプリントポイントを先頭通過したマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:CorVos
その頂上(残り46.5km)の時点で逃げグループのリードは3分23秒。タイム差は大きく広がりも縮まりもしないまま、残り14km地点に設定された中間スプリントをピーダスンが狙い通り先頭で通過。ピュアスプリンターでは決して狙えないような貴重な20ポイントを加算し、自身2度目のマイヨプントス獲得に向け大きく前進した。
そして逃げグループは3分40秒のリードで、1990年代にブエルタで度々登場した1級山岳セルレル・ウエスカ・ラ・マージャ(距離12.1km/平均5.8%)に突入する。平均勾配が5.8%と比較的低いのは、途中2箇所の下り区間が挟まるため。事実上、逃げ切り勝利を容認したプロトンの牽引はバーレーンからヴィスマ・リースアバイクへと交代した。

最終山岳で集団を牽引するヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.

残り11.1km地点で仕掛けたフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos
ハイペースの牽引によりタイム差が3分ちょうどまで縮まった逃げでは、ヴァインの牽引を経て残り11.1km地点でアユソが仕掛ける。マルコ・フリーゴ(イタリア、イスラエル・プレミアテック)が唯一反応したものの、アユソによる2度目の加速で引き離され、フリーゴはラウル・ガルシア(スペイン、アルケア・B&Bホテルズ)とローテーションを回しながら追走。その後、ジロ・デ・イタリアを含め今季7勝(総合優勝とチームタイムトライアルを含む)しているアユソとの差は一向に縮まらなかった。
そして母国スペインの観客が詰めかけるセルレル・ウエスカ・ラ・マージャの頂上に到着。アユソは悠々とフィニッシュラインを通過し、自身初となるブエルタ区間優勝を達成。前々日のチームTT、前日のヴァインに続き、チームに3日連続勝利をもたらした。

自身初となるブエルタ区間優勝を果たしたフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos
総合争いから脱落した翌日に、批判を封じるステージ優勝を飾ったアユソ。「ジロでグランツール初の区間優勝を挙げ、こうしてブエルタでも勝つことができた。大好きなレースの1つ(であるブエルタ)で、このような形で勝てたことは一生忘れないだろう。また、チームとして3日連続で勝てたことも素晴らしい。チームにスプリンターがいないので明日は勝てないだろうが、この勢いを継続させていきたい」と、アメリカ生まれのアユソは流暢な英語でそう語った。

フィニッシュ後、メディア取材に応じるフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.

チームに3日連続勝利をもたらしたフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.
一方のプロトンでは、最終山岳に入ってもなおヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)が先頭を引き、集団の人数を絞っていく。その後マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)の牽引からジョアン・アルメイダ(ポルトガル)が先頭に出たものの、ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)らを引き離すことはできない。
セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)によるカウンターアタックにはジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)が反応し、ひと塊に戻った集団をマッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)が牽引する。ラストにソレルがアタックして5秒を稼いだものの、トーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング)先頭でトレーエンを含む集団は1つのままフィニッシュ。その結果、単騎で精鋭集団に食らいついたトレーエンが見事マイヨロホの保持に成功した。
2022年のツアー・オブ・ジ・アルプスのドーピング検査で血液の数値に異常が見つかり、初期段階のがんが発覚したトレーエン。しかしすぐに摘出手術を行い、4ヶ月後に早くも実戦へ復帰。「がんを経験した後にこんなことが起きるなんて、本当に特別な気持ちがする」と前日にマイヨロホ獲得を喜んだトレーエンは、スプリントステージである翌日の第8ステージ、そして第9ステージでもマイヨロホ着用が確実視されている。

見事にマイヨロホを保持したトースタイン・トレーエン(ノルウェー、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:A.S.O.



8月29日(金)第7ステージ
アンドラ・ラ・ベリャ〜セルレル・ウエスカ・ラ・マージャ 188km(山岳/山頂フィニッシュ)
獲得標高差4,211m

アクチュアルスタートから前日同様に逃げ切りを狙う選手たちがアタックを繰り返し、13.2km地点から始まる1級山岳でフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)が飛び出す。前日の最終山岳で遅れ、総合争いから脱落したスペインのホープは単独で登りを攻め、先頭で頂上を通過。その後の急勾配の下りでアユソに追走集団が追いつき、13名による逃げグループが形成された。


その中には前日勝者ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツXRG)も入り、この日もEFエデュケーション・イージーポストは2名(クイン、ファンデルリー)を送り込む。またマイヨプントス(ポイント賞ジャージ)を着るマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)も加わり、最終山岳の手前に設定された中間スプリントに狙いを定めた。逃げを容認したメイン集団は、マイヨロホを着るトースタイン・トレーエン(ノルウェー)のバーレーン・ヴィクトリアスが先頭でコントロールした。
コース中盤に設定された2級山岳では、マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)を着るヴァインに、今大会3度目の逃げとなったジョエル・ニコラウ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)とクインが挑む。しかし昨年の山岳賞者のスプリントには敵わず、ヴァインが先頭で通過。さらにヴァインは続く2級山岳もトップで通過し、山岳ポイントを加算した。



その頂上(残り46.5km)の時点で逃げグループのリードは3分23秒。タイム差は大きく広がりも縮まりもしないまま、残り14km地点に設定された中間スプリントをピーダスンが狙い通り先頭で通過。ピュアスプリンターでは決して狙えないような貴重な20ポイントを加算し、自身2度目のマイヨプントス獲得に向け大きく前進した。
そして逃げグループは3分40秒のリードで、1990年代にブエルタで度々登場した1級山岳セルレル・ウエスカ・ラ・マージャ(距離12.1km/平均5.8%)に突入する。平均勾配が5.8%と比較的低いのは、途中2箇所の下り区間が挟まるため。事実上、逃げ切り勝利を容認したプロトンの牽引はバーレーンからヴィスマ・リースアバイクへと交代した。


ハイペースの牽引によりタイム差が3分ちょうどまで縮まった逃げでは、ヴァインの牽引を経て残り11.1km地点でアユソが仕掛ける。マルコ・フリーゴ(イタリア、イスラエル・プレミアテック)が唯一反応したものの、アユソによる2度目の加速で引き離され、フリーゴはラウル・ガルシア(スペイン、アルケア・B&Bホテルズ)とローテーションを回しながら追走。その後、ジロ・デ・イタリアを含め今季7勝(総合優勝とチームタイムトライアルを含む)しているアユソとの差は一向に縮まらなかった。
そして母国スペインの観客が詰めかけるセルレル・ウエスカ・ラ・マージャの頂上に到着。アユソは悠々とフィニッシュラインを通過し、自身初となるブエルタ区間優勝を達成。前々日のチームTT、前日のヴァインに続き、チームに3日連続勝利をもたらした。

総合争いから脱落した翌日に、批判を封じるステージ優勝を飾ったアユソ。「ジロでグランツール初の区間優勝を挙げ、こうしてブエルタでも勝つことができた。大好きなレースの1つ(であるブエルタ)で、このような形で勝てたことは一生忘れないだろう。また、チームとして3日連続で勝てたことも素晴らしい。チームにスプリンターがいないので明日は勝てないだろうが、この勢いを継続させていきたい」と、アメリカ生まれのアユソは流暢な英語でそう語った。


一方のプロトンでは、最終山岳に入ってもなおヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)が先頭を引き、集団の人数を絞っていく。その後マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)の牽引からジョアン・アルメイダ(ポルトガル)が先頭に出たものの、ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)らを引き離すことはできない。
セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)によるカウンターアタックにはジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)が反応し、ひと塊に戻った集団をマッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)が牽引する。ラストにソレルがアタックして5秒を稼いだものの、トーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング)先頭でトレーエンを含む集団は1つのままフィニッシュ。その結果、単騎で精鋭集団に食らいついたトレーエンが見事マイヨロホの保持に成功した。
2022年のツアー・オブ・ジ・アルプスのドーピング検査で血液の数値に異常が見つかり、初期段階のがんが発覚したトレーエン。しかしすぐに摘出手術を行い、4ヶ月後に早くも実戦へ復帰。「がんを経験した後にこんなことが起きるなんて、本当に特別な気持ちがする」と前日にマイヨロホ獲得を喜んだトレーエンは、スプリントステージである翌日の第8ステージ、そして第9ステージでもマイヨロホ着用が確実視されている。

ブエルタ・ア・エスパーニャ2025第7ステージ結果
1位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) | 4:49:41 |
2位 | マルコ・フリーゴ(イタリア、イスラエル・プレミアテック) | +1:15 |
3位 | ラウル・ガルシア(スペイン、アルケア・B&Bホテルズ) | +1:21 |
4位 | アロルド・テハダ(コロンビア、XDSアスタナ) | +1:28 |
5位 | ショーン・クイン(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
6位 | ケヴィン・ヴェルマーク(アメリカ、ピクニック・ポストNL) | |
7位 | エドゥアルド・セプルベダ(アルゼンチン、ロット) | |
8位 | ブリユー・ロラン(フランス、グルパマFDJ) | +2:17 |
9位 | マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) | +2:30 |
10位 | トーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング) | +2:35 |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | トースタイン・トレーエン(ノルウェー、バーレーン・ヴィクトリアス) | 25:18:02 |
2位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | +2:33 |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) | +2:41 |
4位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) | +2:42 |
5位 | ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ) | +2:47 |
6位 | マッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) | +2:49 |
7位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +2:53 |
8位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | |
9位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | +2:55 |
10位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアール) | +2:58 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | 98pts |
2位 | イーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック) | 76pts |
3位 | ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | 75pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツXRG) | 34pts |
2位 | ルイス・フェルヴァーケ(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 23pts |
3位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) | 20pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | 25:20:55 |
2位 | マシュー・リッチテッロ(アメリカ、イスラエル・プレミアテック) | +0:27 |
3位 | ラウル・ガルシア(スペイン、アルケア・B&Bホテルズ) | +0:46 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツXRG | 75:04:46 |
2位 | ヴィスマ・リースアバイク | +6:37 |
3位 | XDSアスタナ | +10:47 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos
photo:Unipublic, CorVos
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