混沌のスプリントバトルとなったブエルタ・ア・エスパーニャ第8ステージ。リードアウトを見失いながらも自ら位置取りを行ったヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)が先着し、大会初日に続く区間2勝目を挙げた。

仲の良いトレーエンとブラッティ photo:CorVos 
声援に応えるベルナル photo:A.S.O.

モンゾン・テンプラリオをスタートした選手たち photo:CorVos
8月30日(土)第8ステージ
モンゾン・テンプラリオ〜サラゴサ 163.5km(平坦)
獲得標高差1,236m
ピレネーを舞台にした2日連続の山岳バトルから一転、ブエルタ・ア・エスパーニャ8日目はスプリンターが主役のステージ。コースはモンゾン・テンプラリオを出発後、アラゴン州の平原を横切り州都サラゴサへと向かう163.5km。横風による集団分断(エシュロン)が起こらなければ、同じサラゴサにフィニッシュした2023年の第12ステージと同じく集団スプリントが予想された。
アクチュアルスタートからわずか5kmで形成されたのは、翌日に30歳の誕生日を迎えるセルヒオ・サミティエル(コフィディス)らスペイン人3名による逃げグループだった。逃げ切りの可能性が低くても母国最大のステージレースでのアピールを選んだ3名は、リドル・トレックが中心となり牽引するメイン集団に対し4分前後のリードを維持。一方、厳しい山岳2連戦を終えた選手たちは一時の休息を楽しみ、マイヨロホのトースタイン・トレーエン(ノルウェー、バーレーン・ヴィクトリアス)はカメラに笑顔を向けた。
ブエルタ第8ステージで逃げた3名
セルヒオ・サミティエル(コフィディス)
ホセルイス・ファウラ(スペイン、ブルゴス・ブルペレットBH)
ジョアン・ボウ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)

故郷バルバストロを通るステージで逃げたセルヒオ・サミティエル(コフィディス)ら3名 photo:A.S.O.

この日も積極的に集団を牽引したアマヌエル・ゲブレイグザビエル(エリトリア、リドル・トレック) photo:A.S.O. 
11世紀に建設されたモンテアラゴン城の前を通る選手たち photo:A.S.O.

チームメイトに守られながら走るトースタイン・トレーエン(ノルウェー、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:A.S.O.
サミティエルの故郷バルバストロを通過した選手たちには、心配された横風が吹き付けることはなく、逃げ集団は残り42.5km地点に設定された中間スプリントに到着。逃げではサミティエルが争うことなく先頭通過し、1分半まで迫ったプロトンではスプリントバトルの前哨戦が繰り広げられた。ポイント賞ランキング2位のイーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック)がチームメイトと共に先頭通過を狙ったものの、緑色のマイヨプントスを着るマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)が退け、13ポイントを加算した。
目的地サラゴサの市街地に突入した逃げグループは、1度目のフィニッシュラインの通過直前にNIPPO・ヴィーニファンティーニでプロキャリアをスタートさせたボウがシッティングのまま加速。それに反応するサミティエルを尻目にファウラが遅れ、約3時間にわたり動きのなかったレースがようやく動き出す。24秒遅れでフィニッシュに至ったプロトンでは、スプリント勝利を狙うチームや総合系チームが先頭でトレインを組んだ。

残り17.3kmで吸収されたジョアン・ボウ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)とセルヒオ・サミティエル(コフィディス) photo:A.S.O.

終盤に入り、総合系チームがペースを上げた photo:A.S.O.
先にファウラがプロトンに吸収され、残り17.3kmで先頭2名も捕まる。スプリントに向け1つになった集団はヴィスマ・リースアバイクやUAEチームエミレーツXRGが総合エースの安全確保のため先頭を牽引。しかしそんな中、前日勝者のフアン・アユソ(スペイン)が遅れ、再び山頂フィニッシュとなる第9ステージに備え、力の温存を優先した。
残り1km地点を示すバナーの直前、一気にトレインの番手を上げてきたのはエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)を擁するロットだった。初日は区間4位と勝利に迫ったベテランスプリンターのためにヤスペル・デブイスト(ベルギー、ロット)が前を引き、最終コーナー手前でそれに被せるようにエドワルト・プランカールト(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)が先頭へ。
しかし最終発射台を見失ったヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)はブライアン・コカール(フランス、コフィディス)の背後につき、ヴィヴィアーニの踏み込みからスプリントが始まった。
フィリプセンはスピードの伸び悩むコカールからヴィヴィアーニの背後に乗り換え、コース中央から左側へ斜行するヴィヴィアーニとフェンスの隙間をすり抜ける。一方、コース中央ではイーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック)とアルネ・マーリッツ(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ)がもがいたものの、フィリプセンが先にフィニッシュラインを通過。初日勝者が混沌のスプリントバトルを制した。

コース左端で先頭に立ったヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

区間2勝目を飾ったヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:A.S.O.
リードアウトを見失いながらも、自ら位置取りをして勝利をもぎ取ったフィリプセン。「勝ったのだから文句はない。(プランカールトが)素晴らしいリードアウトをしてくれたが、目の前にはいなかった。ラスト1kmではコミュニケーションを取ろうとしたのだが困難で、自分で隙間を見つけなければならなかった。だから余計な風を受けながら、遅れてスプリントすることとなった。脚はコンクリートのように重かったが、それでも何とか勝つことができ、チームの努力を無駄にしなかった」と、グランツール通算15勝目を飾ったフィリプセンは喜びを語った。
ピーダスンは区間9位だったものの、9ポイント差でマイヨプントスを保持。また最終ストレートでの斜行によりヴィヴィアーニは集団最後尾である105位に降格。また後方で同じく斜行し、ベン・ターナー(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)の進路を妨害したコカールもヴィヴィアーニと同じく、106位への降格とイエローカードの処分を受けている。

勝利に迫ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ロット)だったが、その後降格処分が下された photo:A.S.O.

表彰台で勝利を喜ぶヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

マイヨロホを保持したトースタイン・トレーエン(ノルウェー、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:A.S.O.
そしてトースタイン・トレーエン(ノルウェー、バーレーン・ヴィクトリアス)はこの日もマイヨロホの保持に成功した。「今日はリラックスしたステージで、(昨日以上に)このジャージを楽しむことができた。チームのおかげでトラブルなくフィニッシュできた。明日の最後の登りはどうなるだろうね」とコメント。総合2位ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)とのタイム差は2分33秒だ。



8月30日(土)第8ステージ
モンゾン・テンプラリオ〜サラゴサ 163.5km(平坦)
獲得標高差1,236m
ピレネーを舞台にした2日連続の山岳バトルから一転、ブエルタ・ア・エスパーニャ8日目はスプリンターが主役のステージ。コースはモンゾン・テンプラリオを出発後、アラゴン州の平原を横切り州都サラゴサへと向かう163.5km。横風による集団分断(エシュロン)が起こらなければ、同じサラゴサにフィニッシュした2023年の第12ステージと同じく集団スプリントが予想された。
アクチュアルスタートからわずか5kmで形成されたのは、翌日に30歳の誕生日を迎えるセルヒオ・サミティエル(コフィディス)らスペイン人3名による逃げグループだった。逃げ切りの可能性が低くても母国最大のステージレースでのアピールを選んだ3名は、リドル・トレックが中心となり牽引するメイン集団に対し4分前後のリードを維持。一方、厳しい山岳2連戦を終えた選手たちは一時の休息を楽しみ、マイヨロホのトースタイン・トレーエン(ノルウェー、バーレーン・ヴィクトリアス)はカメラに笑顔を向けた。
ブエルタ第8ステージで逃げた3名
セルヒオ・サミティエル(コフィディス)
ホセルイス・ファウラ(スペイン、ブルゴス・ブルペレットBH)
ジョアン・ボウ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)




サミティエルの故郷バルバストロを通過した選手たちには、心配された横風が吹き付けることはなく、逃げ集団は残り42.5km地点に設定された中間スプリントに到着。逃げではサミティエルが争うことなく先頭通過し、1分半まで迫ったプロトンではスプリントバトルの前哨戦が繰り広げられた。ポイント賞ランキング2位のイーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック)がチームメイトと共に先頭通過を狙ったものの、緑色のマイヨプントスを着るマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)が退け、13ポイントを加算した。
目的地サラゴサの市街地に突入した逃げグループは、1度目のフィニッシュラインの通過直前にNIPPO・ヴィーニファンティーニでプロキャリアをスタートさせたボウがシッティングのまま加速。それに反応するサミティエルを尻目にファウラが遅れ、約3時間にわたり動きのなかったレースがようやく動き出す。24秒遅れでフィニッシュに至ったプロトンでは、スプリント勝利を狙うチームや総合系チームが先頭でトレインを組んだ。


先にファウラがプロトンに吸収され、残り17.3kmで先頭2名も捕まる。スプリントに向け1つになった集団はヴィスマ・リースアバイクやUAEチームエミレーツXRGが総合エースの安全確保のため先頭を牽引。しかしそんな中、前日勝者のフアン・アユソ(スペイン)が遅れ、再び山頂フィニッシュとなる第9ステージに備え、力の温存を優先した。
残り1km地点を示すバナーの直前、一気にトレインの番手を上げてきたのはエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)を擁するロットだった。初日は区間4位と勝利に迫ったベテランスプリンターのためにヤスペル・デブイスト(ベルギー、ロット)が前を引き、最終コーナー手前でそれに被せるようにエドワルト・プランカールト(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)が先頭へ。
しかし最終発射台を見失ったヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)はブライアン・コカール(フランス、コフィディス)の背後につき、ヴィヴィアーニの踏み込みからスプリントが始まった。
フィリプセンはスピードの伸び悩むコカールからヴィヴィアーニの背後に乗り換え、コース中央から左側へ斜行するヴィヴィアーニとフェンスの隙間をすり抜ける。一方、コース中央ではイーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック)とアルネ・マーリッツ(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ)がもがいたものの、フィリプセンが先にフィニッシュラインを通過。初日勝者が混沌のスプリントバトルを制した。


リードアウトを見失いながらも、自ら位置取りをして勝利をもぎ取ったフィリプセン。「勝ったのだから文句はない。(プランカールトが)素晴らしいリードアウトをしてくれたが、目の前にはいなかった。ラスト1kmではコミュニケーションを取ろうとしたのだが困難で、自分で隙間を見つけなければならなかった。だから余計な風を受けながら、遅れてスプリントすることとなった。脚はコンクリートのように重かったが、それでも何とか勝つことができ、チームの努力を無駄にしなかった」と、グランツール通算15勝目を飾ったフィリプセンは喜びを語った。
ピーダスンは区間9位だったものの、9ポイント差でマイヨプントスを保持。また最終ストレートでの斜行によりヴィヴィアーニは集団最後尾である105位に降格。また後方で同じく斜行し、ベン・ターナー(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)の進路を妨害したコカールもヴィヴィアーニと同じく、106位への降格とイエローカードの処分を受けている。



そしてトースタイン・トレーエン(ノルウェー、バーレーン・ヴィクトリアス)はこの日もマイヨロホの保持に成功した。「今日はリラックスしたステージで、(昨日以上に)このジャージを楽しむことができた。チームのおかげでトラブルなくフィニッシュできた。明日の最後の登りはどうなるだろうね」とコメント。総合2位ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)とのタイム差は2分33秒だ。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2025第8ステージ結果
1位 | ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | 3:43:48 |
2位 | イーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック) | |
3位 | アルネ・マーリッツ(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ) | |
4位 | アナス・フォレーヤ(デンマーク、ジェイコ・アルウラー) | |
5位 | マディス・ミケルス(エストニア、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
6位 | ティボー・グリュエル(フランス、グルパマFDJ) | |
7位 | ファビオ・クリステン(スイス、Q36.5プロサイクリング) | |
8位 | ベン・ターナー(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
9位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | |
10位 | ダビド・ゴンサレス(スペイン、Q36.5プロサイクリング) | |
105位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ロット) | |
106位 | ブライアン・コカール(フランス、コフィディス) |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | トースタイン・トレーエン(ノルウェー、バーレーン・ヴィクトリアス) | 29:01:50 |
2位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | +2:33 |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) | +2:41 |
4位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) | +2:42 |
5位 | ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ) | +2:47 |
6位 | マッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) | +2:49 |
7位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +2:53 |
8位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | |
9位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | +2:55 |
10位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアール) | +2:58 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | 120pts |
2位 | イーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック) | 111pts |
3位 | ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | 105pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツXRG) | 34pts |
2位 | ルイス・フェルヴァーケ(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 23pts |
3位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) | 20pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | 29:04:43 |
2位 | マシュー・リッチテッロ(アメリカ、イスラエル・プレミアテック) | +0:27 |
3位 | ラウル・ガルシア(スペイン、アルケア・B&Bホテルズ) | +0:46 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツXRG | 86:16:10 |
2位 | ヴィスマ・リースアバイク | +6:37 |
3位 | XDSアスタナ | +10:47 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos
photo:Unipublic, CorVos
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