52名の逃げ集団によるアタック合戦となったブエルタ第12ステージ。フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)がハビエル・ロモ(スペイン、モビスター)との一騎打ちスプリントを制し、今大会2勝目を挙げた。

ヴィスマのウォーミングアップを見守る少年たち photo:A.S.O. 
前日は背中の痛みに襲われたランダ photo:A.S.O.

前日の敢闘賞を表彰されたトーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング) photo:A.S.O.
9月4日(木)第12ステージ
ラレド〜ロス・コラレス・デ・ブエルナ 144.9km(丘陵)
獲得標高差 2,393m

第12ステージ ラレド〜ロス・コラレス・デ・ブエルナ image:A.S.O.
”勝者なし”という波乱のステージから一夜明け、その混乱の余韻が残る中、ブエルタ・ア・エスパーニャは12日目を迎えた。その舞台は鏡写しのような丘が2つ用意された丘陵ステージ。序盤に2級山岳アリサス(距離8.6km/平均5.8%)を越え、平坦区間を挟んで残り30kmから最大15%の1級山岳コラレス・デ・ブエルナ(距離7km/平均7.9%)をクリア。フィニッシュ地点はその頂上から22.9kmのダウンヒル&平坦路を進んだ先にある。
アクチュアルスタートからアタックが繰り返され、積極的に動いたのは前日も逃げたマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)だった。狙いはステージ優勝とともに残り41.7km地点に設定された中間スプリントポイント。しかし逃げを狙う動きが絶えず、集団は吸収とアタックを繰り返した。
2級山岳アリサスの登りに入ると、第7ステージを制したフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)が仕掛ける。ここにサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)とパブロ・カストリーリョ(スペイン、モビスター)が加わったが、後続もすぐに合流。頂上はチームメイトのマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)が先頭通過し、その後には52名という、グランツールでは異例の大集団逃げが形成された。

マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)も入った52名による逃げグループ photo:CorVos

プロトンでチームメイトに守られながら走るヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.
メイン集団はヴィスマ・リースアバイクがコントロールし、逃げとの差は2分前後で推移。残り63km地点では、逃げに5名を送り込んでいたモビスターからイバン・ガルシア(スペイン、モビスター)が飛び出す。スプリンタータイプの脚質を持つガルシアの動きは見送られ、その間、逃げ集団内では総合成績で最上位(8分27秒遅れ)のブリュノ・アルミライユ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール)とヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)が言葉を交わす場面も見られた。
残り50km地点でガルシアは吸収され、直後に同じモビスターのハビエル・ロモ(スペイン)がカウンターアタックを仕掛ける。さらにシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)やルーカ・ファンボーヴェン(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ)らも積極的に動いた。しかしいずれも決定打にはならず、ピーダスンが狙い通りに中間スプリントを先頭通過。20ポイントを加算してマイヨプントスでのリードを広げた。

逃げ集団を飛び出したイバン・ガルシア(スペイン、モビスター) photo:CorVos

1級山岳で形成された6名による先頭集団 photo:A.S.O.
やがて1級山岳コラレス・デ・ブエルナに入る頃には逃げとプロトンのタイム差は5分に拡大し、逃げ切りが濃厚となる。登坂ではマグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ)ら6名が前を行ったが、ソレルが作り出した強烈なペースがそれを捕らえる。残り3kmで先頭を飲み込み、アユソのアタックに唯一ハビエル・ロモ(スペイン、モビスター)が反応した。

先頭に立ったフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)とハビエル・ロモ(スペイン、モビスター) photo:CorVos
1級山岳の頂上はロモが先頭通過。その背後では、22歳のネオプロ(プロ1年目)ブリユー・ロラン(フランス、グルパマFDJ)が単独で追走し、さらにミケル・ランダ(スペイン、スーダル・クイックステップ)やカンペナールツらを含む17名の追走集団が形成された。そこには登りで遅れていたピーダスンも驚異的な追走で合流。前方ではロモがアユソに先頭交代を求めたが、アユソは応じず。勝負はスプリントへと持ち込まれた。
残り1km、両者のリードは28秒。ロモが先に踏み始めると、アユソが冷静に反応。最終ストレートに入り、差し切ってフィニッシュラインを先頭で通過した。アユソは今大会2勝目を挙げ、チームに通算5勝目をもたらした

ロモを抜き、勝利したフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

母国最大のレースで2勝目を飾ったフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos
3位は単独で追走したロラン(フランス、グルパマFDJ)、4位は終盤に追走集団から抜け出したカンペナールツ(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)、5位はピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)だった。マイヨロホを着るヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)はチームメイトに守られ、他の総合上位勢と共に6分22秒遅れでフィニッシュ。アルミライユが総合6位に浮上した以外、順位に大きな動きはなかった。
3日前の休息日にUAEチームエミレーツXRGからの退団が発表されたアユソは、「発表はブエルタ終了時と約束していた。独裁のように一方的に出された」と強く批判。しかしチーム内の不和が伝えられる中でも、チームメイトのソレル(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)の献身を活かして勝利を飾った。
「厳しい一日がどう終わるか分からなかったが、自分のカードを切る必要があった。最後はロモを少しナーバスにさせ、彼が先にスプリントを開始したところを差し切った。ここはジュニアレースで走ったことのあるコースだったから道は熟知していた。ソレルが逃げに乗り、素晴らしい働きを見せてくれたので、彼とチームに感謝したい」とアユソは勝利を振り返った。
翌日の第13ステージは、登坂距離12.4km/平均勾配9.7%の超級山岳アングリルにフィニッシュする山岳決戦。大会屈指の難関が待ち受ける。

第12ステージを制したフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.

マイヨプントス(ポイント賞)のポイントを加算したマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:A.S.O.



9月4日(木)第12ステージ
ラレド〜ロス・コラレス・デ・ブエルナ 144.9km(丘陵)
獲得標高差 2,393m

”勝者なし”という波乱のステージから一夜明け、その混乱の余韻が残る中、ブエルタ・ア・エスパーニャは12日目を迎えた。その舞台は鏡写しのような丘が2つ用意された丘陵ステージ。序盤に2級山岳アリサス(距離8.6km/平均5.8%)を越え、平坦区間を挟んで残り30kmから最大15%の1級山岳コラレス・デ・ブエルナ(距離7km/平均7.9%)をクリア。フィニッシュ地点はその頂上から22.9kmのダウンヒル&平坦路を進んだ先にある。
アクチュアルスタートからアタックが繰り返され、積極的に動いたのは前日も逃げたマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)だった。狙いはステージ優勝とともに残り41.7km地点に設定された中間スプリントポイント。しかし逃げを狙う動きが絶えず、集団は吸収とアタックを繰り返した。
2級山岳アリサスの登りに入ると、第7ステージを制したフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)が仕掛ける。ここにサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)とパブロ・カストリーリョ(スペイン、モビスター)が加わったが、後続もすぐに合流。頂上はチームメイトのマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)が先頭通過し、その後には52名という、グランツールでは異例の大集団逃げが形成された。


メイン集団はヴィスマ・リースアバイクがコントロールし、逃げとの差は2分前後で推移。残り63km地点では、逃げに5名を送り込んでいたモビスターからイバン・ガルシア(スペイン、モビスター)が飛び出す。スプリンタータイプの脚質を持つガルシアの動きは見送られ、その間、逃げ集団内では総合成績で最上位(8分27秒遅れ)のブリュノ・アルミライユ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール)とヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)が言葉を交わす場面も見られた。
残り50km地点でガルシアは吸収され、直後に同じモビスターのハビエル・ロモ(スペイン)がカウンターアタックを仕掛ける。さらにシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)やルーカ・ファンボーヴェン(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ)らも積極的に動いた。しかしいずれも決定打にはならず、ピーダスンが狙い通りに中間スプリントを先頭通過。20ポイントを加算してマイヨプントスでのリードを広げた。


やがて1級山岳コラレス・デ・ブエルナに入る頃には逃げとプロトンのタイム差は5分に拡大し、逃げ切りが濃厚となる。登坂ではマグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ)ら6名が前を行ったが、ソレルが作り出した強烈なペースがそれを捕らえる。残り3kmで先頭を飲み込み、アユソのアタックに唯一ハビエル・ロモ(スペイン、モビスター)が反応した。

1級山岳の頂上はロモが先頭通過。その背後では、22歳のネオプロ(プロ1年目)ブリユー・ロラン(フランス、グルパマFDJ)が単独で追走し、さらにミケル・ランダ(スペイン、スーダル・クイックステップ)やカンペナールツらを含む17名の追走集団が形成された。そこには登りで遅れていたピーダスンも驚異的な追走で合流。前方ではロモがアユソに先頭交代を求めたが、アユソは応じず。勝負はスプリントへと持ち込まれた。
残り1km、両者のリードは28秒。ロモが先に踏み始めると、アユソが冷静に反応。最終ストレートに入り、差し切ってフィニッシュラインを先頭で通過した。アユソは今大会2勝目を挙げ、チームに通算5勝目をもたらした


3位は単独で追走したロラン(フランス、グルパマFDJ)、4位は終盤に追走集団から抜け出したカンペナールツ(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)、5位はピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)だった。マイヨロホを着るヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)はチームメイトに守られ、他の総合上位勢と共に6分22秒遅れでフィニッシュ。アルミライユが総合6位に浮上した以外、順位に大きな動きはなかった。
3日前の休息日にUAEチームエミレーツXRGからの退団が発表されたアユソは、「発表はブエルタ終了時と約束していた。独裁のように一方的に出された」と強く批判。しかしチーム内の不和が伝えられる中でも、チームメイトのソレル(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)の献身を活かして勝利を飾った。
「厳しい一日がどう終わるか分からなかったが、自分のカードを切る必要があった。最後はロモを少しナーバスにさせ、彼が先にスプリントを開始したところを差し切った。ここはジュニアレースで走ったことのあるコースだったから道は熟知していた。ソレルが逃げに乗り、素晴らしい働きを見せてくれたので、彼とチームに感謝したい」とアユソは勝利を振り返った。
翌日の第13ステージは、登坂距離12.4km/平均勾配9.7%の超級山岳アングリルにフィニッシュする山岳決戦。大会屈指の難関が待ち受ける。


ブエルタ・ア・エスパーニャ2025第12ステージ
1位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) | 3:16:21 |
2位 | ハビエル・ロモ(スペイン、モビスター) | |
3位 | ブリユー・ロラン(フランス、グルパマFDJ) | +0:13 |
4位 | ヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:17 |
5位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | |
6位 | ニコ・デンツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | |
7位 | ダミアン・ホーゾン(オーストラリア、Q36.5プロサイクリング) | +0:18 |
8位 | サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
9位 | マルケル・ベロキ(スペイン、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
10位 | パブロ・カストリーリョ(スペイン、モビスター) |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | 44:36:45 |
2位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) | +0:50 |
3位 | トーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング) | +0:56 |
4位 | トースタイン・トレーエン(ノルウェー、バーレーン・ヴィクトリアス) | +1:06 |
5位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアール) | +2:17 |
6位 | ブリュノ・アルミライユ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) | +2:23 |
7位 | マッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) | +2:26 |
8位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +2:30 |
9位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +2:33 |
10位 | マシュー・リッチテッロ(アメリカ、イスラエル・プレミアテック) | +2:44 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | 172pts |
2位 | イーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック) | 111pts |
3位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | 105pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツXRG) | 46pts |
2位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) | 26pts |
3位 | ルイス・フェルヴァーケ(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 25pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | 44:39:29 |
2位 | マシュー・リッチテッロ(アメリカ、イスラエル・プレミアテック) | +0:27 |
3位 | ウィリアムジュニア・ルセルフ(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +1:50 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツXRG | 132:47:27 |
2位 | ヴィスマ・リースアバイク | +12:25 |
3位 | XDSアスタナ | +30:41 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.
photo:CorVos, A.S.O.
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