3日連続となったツアー・オブ・グワンシーの集団スプリントでポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)が3連勝。多くのエーススプリンターを輩出してきたチームから、21歳の新たな才能が証明された。



アンテルマルシェ・ワンティとの合併が囁かれるロット photo:CorVos

中国の広西チワン族自治区で開催中のツアー・オブ・グワンシー(UCIワールドツアー)は3日目。今大会の最長距離である214kmのコースは、終盤に2級、3級、3級と丘が連続。獲得標高差も2,300m超となるため、これまでの2日間と比べスプリンターには厳しいレイアウトと見られていた。

前日同様、序盤からアタックが繰り返され、ライアン・マレン(アイルランド、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)ら5名が逃げを打つ。ここにリドル・トレックからはライアン・ギボンズ(南アフリカ)を送ったが、メイン集団ではマティアス・スケルモース(デンマーク)が背中の痛みを訴え途中リタイア。リドルは第2ステージでシモーネ・コンソンニ(イタリア)とバウケ・モレマ(オランダ)が去っているため、残りのステージを4名で戦うことになった。

欧州とは趣の異なる風景が広がるツアー・オブ・グワンシー photo:CorVos

順調に逃げ続ける先頭集団に対し、プロトンではリーダーチームであるスーダル・クイックステップがコントロール。そこにマックス・カンター(ドイツ)でのスプリント勝利を狙うXDSアスタナやピクニック・ポストNLも加わり、今季限りでの引退を発表しているギボンズが単独で粘ったものの、想定どおり残り20km地点で逃げを吸収。終盤に入り、前日と同様にジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG)がデカトロンAG2Rラモンディアールの選手とアタックを仕掛けた。

しかしこれは決まらず、ピクニック・ポストNLが先頭で残り300mから始まる最終ストレートに突入。直後にパヴェル・ビットネル(チェコ、ピクニック・ポストNL)がスプリントを開始し、その背後でポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)がタイミングを見計らった。スピードの落ちたビットネルと入れ替わるように、マニエとスタニスワフ・アニオコウスキ(ポーランド、コフィディス)、ヨルディ・メーウス(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)の3名が横並びとなった。

最終ストレートで先頭に立ったポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

3日連続勝利を掴んだポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

先頭でフィニッシュラインを通過したのは、赤い総合リーダージャージを着るマニエ。改めてトップスピードの差を見せつける圧巻の走りで、ワールドツアーで3日連続の勝利を手に入れた。

「今日は早朝スタート(午前10時)で長い1日だったが、チーム全員がベストを尽くし、強い気持ちで走った。日々“ウルフパック”の素晴らしい雰囲気のなかで走ることができ、本当に特別だという気持ちがある。それこそが強さを生み出しているんだ」と今季17勝、プロ通算22勝目を得たマニエは喜んだ。

翌日は、4つのカテゴリー山岳がバランスよく配置された丘陵ステージ。フィニッシュ手前約10km地点に設定された登坂距離700m/平均勾配7.1%の丘(カテゴリー山岳ではない)が、勝負にどう影響するかが注目だ。
ツアー・オブ・グワンシー2025第3ステージ結果
1位 ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ) 4:50:06
2位 ヨルディ・メーウス(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
3位 マックス・カンター(ドイツ、XDSアスタナ)
4位 スタニスワフ・アニオコウスキ(ポーランド、コフィディス)
5位 ダニエル・スケール(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
6位 オデッド・コグット(イスラエル、イスラエル・プレミアテック)
7位 ポール・ペンウェット(フランス、グルパマFDJ)
8位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)
9位 マライン・ファンデンベルフ(オランダ、EFエデュケーション・イージーポスト)
10位 アルネ・マーリッツ(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ)
個人総合成績
1位 ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ) 11:54:23
2位 マックス・カンター(ドイツ、XDSアスタナ) +0:20
3位 ヨルディ・メーウス(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
4位 パヴェル・ビットネル(チェコ、ピクニック・ポストNL) +0:24
5位 スタン・デウルフ(ベルギー、デカトロンAG2Rラモンディアール) +0:25
6位 ピーター・ウクセンベア(デンマーク、イネオス・グレナディアーズ)
7位 スタニスワフ・アニオコウスキ(ポーランド、コフィディス) +0:26
8位 ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG)
9位 マティス・ルベール(フランス、アルケア・B&Bホテルズ) +0:27
10位 ライアン・ギボンズ(南アフリカ、リドル・トレック)
その他の特別賞
ポイント賞 ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)
山岳賞 シモン・グリエルミ(フランス、アルケア・B&Bホテルズ)
ヤングライダー賞 ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)
チーム総合成績 ジェイコ・アルウラー
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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